INTERVIEW

【6周年特別号】CRAZYが新ブランドを発表!創業6年間の総まとめと、経営者二人が描く未来構想とは。

2018年7月2日に創業6周年を迎えた株式会社CRAZY。結婚式業界に風穴を開けた、オーダーメイドのウェディングサービス「CRAZY WEDDING」は、結婚式会場を持たない革新的なスタイルで、成長を続けてきた。そしてこの夏、表参道に結婚式会場をもち、新ブランドを発表。

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今回は6周年を記念した特別号として、6年間の総まとめと未来構想について、創業者二人に話を聞いた。

ーCRAZYは本日で6周年を迎えましたね。今のお気持ちはいかがでしょうか。

森山:創業当初は何も分からなくて理想だけ語っていたことを思い出します。人の成長と同じで、6年を迎えて会社も少しずつ大人になってきたと感じますね。ただ、若い会社、小さな子どものように、変わらず夢を純粋に持っていくことはとても大事だと感じています。

山川:私は気持ちが高まっていますね。正直、純粋な思いだけでは大きな未来には辿りつかないことを知った、6年間でした。これまでは何か大きな見えないものを目指していて、だから頑張れた部分がありましたが、今は違います。新たなCRAZYが生まれている感覚。まさに、「未来の音が聞こえる」という表現がぴったりな状況です。

山川咲(Saki Yamakawa)株式会社CRAZY / CRAZY WEDDING 創設者。
大学卒業後、ベンチャーのコンサルティング会社へ入社。5年間の社会人生活にピリオドを打ち、退職後、単身オーストラリアへ。帰国後、「意志をもって生きる人を増やしたい」との想いを実現すべく、業界で不可能と言われ続けたオリジナルウエディングのブランド「CRAZY WEDDING」 を立ち上げ、たった1年で人気ブランドに成長させる。2016年には夢であった毎日放送「情熱大陸」に出演し、2年間の休業を経て第一子を出産。2017年9月には自身初となる個展「うまれる。」を開催。著書に『幸せをつくるシゴト』(講談社)がある。

「ナシ婚層」にヒットした、CRAZY WEDDINGが全ての始まり。

ーCRAZY WEDDINGの始まりと、6年間の歩みを教えてください。

森山:妻である山川と私が結婚式を挙げたのは、26歳のときです。結婚式会場に行って驚いたのは「ここにウェルカムボードを置いてください」と言われたこと。私たちの理想の結婚式を知らずに、なぜここにウェルカムボードを置かなければならないのか、私には理解ができませんでした。

そのほかにも「こんなことがしたい、あんなことがしたい」と伝えても断られるばかり。お客として「なんでこんなに融通が効かないんだろう」と疑問に思ったんです。だからこそ私たちは「そもそも結婚式って必要なのか」「どんな結婚式なら理想なのか」という純粋な問いを立てるところから始めました。

これまでのような制約条件に縛られた形ではない、オーダーメイドウェディングを生み出せたのは、こうした原体験があったからです。実はCRAZY WEDDINGを選んでくれた人たちは、「ナシ婚層」*1の人たちなんですよ。

森山和彦(Kazuhiko Moriyama):株式会社CRAZY 代表取締役社長
中央大学卒業後、人材コンサルティング会社へ入社。法人向けコンサルティング部門の事業責任者として、中小企業から大企業までの組織改革コンサルタントとしてトップセールスを記録する。6年半の勤務を経て2012年7月に株式会社CRAZYを創業。独自の経営哲学から組織運営のシステムを確立している。経営の第一優先は健康。毎日3食手作りの自然食を提供したり、シーズンごとに全社員合宿を行ったり、全社員で世界一周旅行をしたり、と既存の企業経営にとらわれないユニークな経営をしている。

結婚式を挙げないことを選択していた人たちに、「これだったら挙げたい!」と思ってもらえるクリエイティブな方法で、結婚式を提供してきました。業界が応えられていなかった、世の中のニーズにフィットしたのだと思います。それがイノベーターとアーリーアダプターを超えて、多くの方々に広がっていったのが今なんですね。

創業以来6年間、売り上げは年平均約190%の成長を遂げ、順調に伸びてきました。オーダーメイドは、当然ながらパッケージのウェディングサービスよりも1人あたりのお客様にかける時間が多くなります。この、一見不合理に思えることが、イノベーションの源泉となり、模倣困難性を高め、競争優位になったのだと思います。

不可能と言われたモデルを実現した鍵とは。

山川:もともとCRAZY WEDDINGは、私と遠藤理恵が個人で理想の結婚式を作り始めたところから生まれています。お互いに式を挙げたときに、あまりの制約条件の多さに唖然とした体験がありました。

当時ウェディング業界は会場中心のパッケージによるビジネスモデルで、同じパターンの繰り返し。ほとんどの会場が、同じプロセスを踏んで、同じような結婚式を作っていたんです。一人として同じ人生を歩んできた人はいないのに。

そんな背景から、会場中心ではなく、お客様の人生を大切にしたオーダーメイドウェディングとして誕生したのがCRAZY WEDDINGです。多くの関係者に「それは理想だけど、できるものならみんなやってるよ」と言われてきましたが、今日までお客様に「あなたたちに任せたい」と選んでいただいてここまで来ました。

創業2年目には「業界の革命児」と言われ、様々な雑誌に取り上げていただいて。時代が求めていたものとタイミングが重なったこと、Facebookの台頭により、ビジュアルのインパクトを持って拡散できたことが勝因だったと思います。4年目には創業時の夢であった情熱大陸への出演も叶ったのです。

業界では不可能と言われたモデルを確立できたのは、私たちの原体験をベースに、お客様の立場でこのサービスの可能性を純粋に信じてきたから。一人の人間として、どう思うかという観点を常に大事にしてきたからだと思っています。

ー「一人の人間として、どう思うかという観点」について、もう少し教えてください。

結婚式を作り続けてきて分かった、お客様の変わらないニーズは、シンプルです。万人と一緒ではなく「特別な一人の人間として扱ってほしい」ということ。でも世の中にその受け皿はあるのでしょうか。どこに行っても同じような結婚式の選択肢しかありません。「ケーキカットをお肉カットにしましょう」というコンテンツの変更だけに本質的な価値が無いことにお客様は気付き始めています。

今、オリジナルウェディングと言われているものは、「オリジナルな提案をしてくれる」のではなく「オリジナルなことを持ち込んでも許しますよ」という形式が実態です。本当の意味でオリジナルな提案をするサービスは、世の中にはほとんどありません。

新郎新婦の人生背景や、結婚する理由を知ったからこそ提案できる二人らしさを、クリエイティブな装飾とコンテンツで表現すること。これが、6年間CRAZY WEDDINGがしてきたことです。

CRAZYの次なる挑戦とは

ー新ブランドとして「結婚式会場を持つ」と発表しましたね。今まで会場を持たないスタイルを貫いてきた中で、どのような背景があったのでしょうか。

森山:世の中への提供価値の新しい可能性が見えたことですね。創業から月日が経ち、私自身年齢を重ねていく中で、第一子を授かり、感じる豊かさや趣向が変わっていきました。そんな中で出会ったのが、当時GUCCIのビジネスプランニング部門責任者だった熊谷幹樹と、Teach For Japan創設者の松田悠介です。彼らを経営メンバーに迎えたことが、今回の新しい戦略の意思決定に大きく影響を与えています。

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新経営陣で、海外向けの商品開発や、プランナーへの教育事業、ドレスなどの小物を作ることなど、様々な可能性を議論しました。つまり、会場ありきで考えたというよりも、今あるリソースを駆使して、次に焦点を当てるべきクリエイティブを検討した結果、会場を持つことに決めたのです。

山川:CRAZY WEDDINGは、尊敬する経営者の方から「本当に良い事業なら迷うことなく拡大しなさい」という言葉をいただいて、これまで一人でも多くの人に届けたいと、事業拡大を続けてきました。ただ、今年になって産後に会社に戻ってきて、結婚式を手がける機会があったのですが、CRAZY WEDDINGは、「世の中の結婚式を代替できるモデルではない」と痛感したんです。

なぜなら、オーダーメイドであるがゆえに、制作過程が非常に複雑で、だからこそ価値があって、決して安くはない特別なサービスだからです。私たち提供サイド及び今の時代のニーズを汲んでも、CRAZY WEDDINGはこのボリュームが適正値。拡大ではなく、質を高めていくことがベストだと思いました。

一方で、もっと多くの人に使っていただける、世の中の新しいスタンダードとなる結婚式を考えて見えてきたのが、今回の新しいブランド構想でした。

 

均質化する時代に大事なのは、クリエイティブであるかどうか。

森山:CRAZY WEDDINGがスタートしてから、業界ではオリジナルウェディングが流行ってきていますよね。私はオリジナルウェディングは、誰にでもできるものだと思っています。その人なりに、思い出の品を用意したりすれば。ただ大事な観点は、そこにクリエイティブが介在するかどうかなんです。

クリエイティブとは、創造性であり、0から1を生み出すこと。AだからBではなく、発想が転換することなんです。CRAZYはこれまでクリエイティブな人たちとチームをつくってきました。これはウェディング業界の人材特性とは明らかに違うと思います。

ただしクリエイティブな人材は、業務を淡々と進めることが往往にして苦手だったりします。私たちは彼らをビジネス人材と融合させて、バランスの良い組織編成を構築しこれを成り立たせています。実は多くの方に不可能だと言われた部分はここなのです。

CRAZYではクリエイティブ関係からITやコンサル業界出身の方など、多種多様な人材が協働でウェディングを製作している。

これから私たちがつくる会場と今までの会場との違いの一つは、このクリエイティブという部分です。あるものを紹介する横一列な選択肢ではなく、新郎新婦の人生背景、関係者との関係、あらゆる文脈を考え、その場をクリエイティブにプロデュースすることができる会場とサービスを設計しています。

ゲストが求めているものは、「高級感」ではなく「共通の思い出」。

山川:一般的な結婚式場では、お客様がゲストにもっと良い体験を提供したいと思った時、選べる選択肢は限られているんですよ。お料理の値段をあげるとか、お花を増やすとか、課金をしてより高級なものを提供する以外に選択肢があまり存在しないんです。

今の時代は、高級な特別感が日常化しています。一昔前はおそらく、行ったことがない場所に行けるのが嬉しかったし、あまり食べないフレンチを食べられるのが嬉しかったかもしれません。でもそういう時代ではない今、ゲストが心から喜べるサービス・体験の設計が、求められていると思うんです。

そのヒントは、人が介在するソフト面の充実にあります。これはCRAZY WEDDINGが6年間研究し尽くしてきた部分です。言葉を変えると、結婚式に参加するゲストとの「共通の思い出」に付加価値をつけること。そのために、これまで培ってきたソフト面を活かしながら、自社会場におけるハード面の設計にもこだわり、お客様へ提供する価値を広げていく予定です。

ー今後はどんな進化を遂げていくのでしょうか。

森山:CRAZY WEDDINGは、オリジナリティのフラグシップとして原点は変えずに、もっと心が震える瞬間に焦点を当てた、高付加価値なサービスにします。私は、人が介在すべき仕事とそうでない仕事が存在すると思っているので、テクノロジーを活用しながら、人が結婚式をお祝いすることに真に集中できるようにしていきたいと考えています。

新しいブランドに関しては、世の中の新しいスタンダードとなる結婚式として全国展開に向けて進化させていきます。ウエディング業界は厳しい岐路に立たされていることもあり、恐らくこれからさらに衰退していくのではないでしょうか。そうすると、会場の空洞化が起きます。これは私たちにとって1つの機会になると思っています。

2018年7月2日に6周年を迎えたCRAZYの様子。森山は、全社員の前で次のステージへ向かうCRAZYの方針をプレゼンテーションした。

新ブランドを含むCRAZY全体としては、普通の結婚式に満足しないお客様に向けた、オリジナリティの高いサービスを展開していきます。表参道だけでなく、いろいろな地域で再生事業などを含めて仕込んでいます。ここから4年以内に、5店舗以上の会場を全国へ展開する予定です。

回転率高く運用している今の業界の常識とは違うやり方で、どのようにビジネスとして成り立たせるのか。この矛盾こそイノベーションの種ですね。クリエイティブカンパニーとして、この矛盾に対する答えを出していきたいと思います。

その結果、業界全体が盛り上がっていくことにも微力ながら貢献できたら嬉しいですね。私たちは自社で全部やろうとは思っていません。パートナーや投資家の皆さん、いろいろな人たちと手を合わせていきます。

ウェディングは、一生で一度の思い出から始まり、ライフスタイル全般を通して、人の人生に影響を与える可能性があります。この分野のイノベーションを通して、日本から世界に向けて、素晴らしい人間関係や幸せな記憶をつくっていきたいと考えています。

ー最後に、山川さんにとって「結婚式」とはどういうものでしょうか。

山川:結婚式とは、人生を肯定し、新しい人生を始める場所です。一生にとってすごく意味があるもの。なぜなら、自分の人生ってどうだったんだろう、誰と出会って、どんなふうに育てられて、なぜ結婚するんだろうと、振り返り整理できる大きな節目だからです。

私は人生の棚卸しをして編集をして形にすることが、結婚式の本当の価値だと思っています。こうした大切な軸はぶらさずに、アウトプットの「形」の選択肢を世の中に提案していきたいと思います。

新ブランドの全貌が明らかになるのは、もうまもなく。乞うご期待。

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編集:高橋陽子 写真:小澤 彩聖

*1「ナシ婚層」

役所に婚姻届を提出はするものの、結婚式を挙げない人たちのこと。

水玉綾(@maya_mip)
Aya Mizutama

CRAZY MAGAZINE編集長。フリーランスのライター・編集者。働き方・組織論などのビジネスシーンから、個展のポエミーな文章まで幅広く担当。生の実感値があがる「美しくする編集」を大切にしている。愛読書はミヒャエル・エンデの『モモ』とクルミドコーヒーの『ゆっくり、いそげ』

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