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INTERVIEW

JAPAN WOMEN AWARD 2016受賞  遠藤理恵が語る「育児も仕事も欲張るコツ」とは?

母でも、女性が輝く働き方があることを強く意識し、示したのが、遠藤理恵だった。

Forbes JAPANは昨年12月19日、日本最大規模の女性アワード「JAPAN WOMEN AWARD 2016」*1を発表。“働きやすさ”ではなく“真の女性活躍”の促進・発信を目指す同アワードで、革新をもたらすリーダーとして個人部門賞を獲得したのが遠藤だ。

育休からの復帰と同時にCRAZY WEDDING最高執行責任者(以下、COO)に就任。
「目の前の人に対して何がベストかをブラしたことはない」と語る彼女には、母として、COOとして生きていくための深い愛情が、凛とした中に見え隠れする。

今回は、そんな彼女に独占インタビュー。
彼女の語りから見えたのは、「女性の活躍と組織の生産性が比例する社会」だった。

遠藤理恵◎株式会社CRAZYの創業メンバーの1人。人材教育コンサルティング会社に、CRAZY WEDDING創業者・山川咲と新卒同期として入社。1年目で32年ぶりの営業記録を更新。翌年、美容業界へ転職。その後、山川と再会し株式会社UNITED STYLE(現株式会社CRAZY)を創業。プロデューサーとして数多くのウェディングに携わる。2015年に第1子出産。育休を経て、最高執行責任者(COO)として復職。JAPAN WOMEN AWARD 2016受賞。

 

育休から復帰のタイミングでCOOに

遠藤が職場復帰したのは、育休をとって半年が経ったころ。復職はCOOとしてだった。

「経営会議でどう復帰するかを話したとき、COOにならないかと言われた。COOとして働くのであれば、圭都(遠藤の息子)がまだ1歳なので、ベビーシッターが必要という話になり、3日後には子連れ・シッター付きで働く日々がスタートした」

ベビーシッターという選択に加え、ランチを提供しているメンバーが話していた「託児をしたい」という話がとんとん拍子で実現。メンバーの理解と制度の現実化が「子連れ出社」という新しい選択肢を職場に生んだ。現在、遠藤のほかに3人のメンバーが子連れ出社をしている。

「CRAZYでは朝礼に子どもが参加することも会議中に授乳することも普通。私もシッターもみてあげられないときは、メンバーが遊び、寝かしつけてくれることも日常の光景」

その言葉は、オフィスの中に子どもがいることを、メンバー全員が自然に受け入れていることを意味していた。

だが、すべてが順調だったわけではない。

 

授乳しながらパソコンを打ち、取れない責任に葛藤した日々

初めての子育て、COOとしての立場。遠藤にさまざまな役割と責任がのしかかる。遠藤は、思うようにいかない日々に苦しんだ。

「出産前は、究極自分の睡眠を削ればよかった。出産後はそうはいかない。夜中に圭都を寝かしつけて仕事をしたり、授乳しながらパソコンを打ったり。授乳はコミュニケーションの1つだから、片手間にするのは嫌だったけど、そうするしかなかった。それが辛かった。やらなきゃいけない仕事ができず、取らなきゃいけない責任が取れず、葛藤した」

仕事も子育ても、自分のしたいカタチにすることに奮闘する日々。何度もくじけそうになった。遠藤は「CRAZY WEDDINGにとって、責任者は私じゃないほうがいい。降りたいと言ったこともあった」と振り返る。
乗り越えられた背景には何があったのか。

「素直に『降りたい』と言葉にしたことで、すっきりしたのかも」

遠藤自身が辛いから降りたいわけではなかった。CRAZY WEDDINGのこと、息子のことを考えてのことだった。

「私が嫌だったことは、夜が遅く朝が早かったこと。圭都がまだ小さいのに、その負担が大きかったこと。私、圭都を公園すら連れて行ったことがなかった。母として圭都を公園に連れて行ってあげたいし、ちゃんと眠らせてあげたかった」

そんな想いを、遠藤は率直にCRAZY WEDDING最高経営責任者(以下、CEO)に話した。話すうち、どうすればしたいカタチにできるかが見えてきたという。

CEOはこう切り出した。
「シフト制にしよう。理恵は朝7時に来て16時に帰る」と。

「『朝方生活にして仕事も育児もやりたいようにやればいい。みんなに時間を合わせてもらえばいいよ』って。嬉しかった」

実際にやってみてリズムが整ってきた。子どもの成長やメンバーとの時間調整を考慮し、シフトには随時更新をかけた。現在は、9時〜18時で働いている。

ベビーシッターや託児サポートに加えて、導入されたシフト制。遠藤は、子どもの成長に合わせ、自分のしたいカタチを手に入れていった。

CRAZYには、そのときどきの最善を決める文化がある。変わっていくことが自然という文化の浸透が、迅速で柔軟な対応を可能にしているだろう。遠藤をサポートしたのは、CRAZYの文化や彼女を「支えたい」と思うメンバーの存在だと感じるが、そうさせる遠藤の「強さ」も感じる。頑張ることができる彼女の原動力は何か。

 

ブレない愛情深さと絶大な信頼

「頑張らない理由がないと思えたからかな」遠藤はきっぱり答えた。

「出社する朝、メイクをしながら『辛いな』ってよく思っていた。でも、メイクしている間に旦那が圭都の着替えをさせて、両親がご飯を食べさせてくれた。メイクが終わると『行ってらっしゃい』って圭都の支度をして送り出してくれた。会社では、メンバーが私に時間を合わせ、私のためにシッターが付いてくれた。こんなにもみんなの思いが私にあるのに、私が頑張らない理由がないなって純粋に思えた」

みんなの愛情に応えたいー。それこそが遠藤の原動力だった。

そんな彼女に、メンバーは絶大な信頼を寄せる。遠藤流の信頼の取り方を聞いた。

「まず感謝をすること。みんながいてくれるから今のCRAZY WEDDINGがあると思うと、誰がえらいではなく、一人一人に『現場をつくってくれてありがとう』『オフィスを守ってくれてありがとう』と思う。それから、関わるときは『目の前の人に対して何がベストか』をブラしたことはない。会社のエゴや売上のためにと、相手のことを置いて、違う目的のためにこれと言ったことは、私の中ではない」

相手の可能性を常に考え、愛情深く、誠実な遠藤。メンバーが絶大な信頼を寄せるのもうなずける。

 

COOであり身近な存在。先輩ママでもある遠藤理恵が見据える未来

多様化するメンバーのライフステージ。遠藤のように妊娠・出産・復帰を辿る人、妊活をする人、夫の転勤に付いていく人などさまざまだ。
先駆者としての彼女が見据えるのは、どんな未来だろう。

将来的には『女性が輝く働き方』を追求したい。女性は感性の生き物だから、感性を研ぎ澄ませられる関わりがしたい。例えば、マッサージやアピアランス指導の導入など。社外でやってもらえるし、それが普通かもしれないけど、メンバーでできるに越したことはないから。内面の隅々までメンテナンスし、自己認知して、セルフコントロールしながら働ける仕組みを、マネジメントとして導入したい」

そう思うのは、遠藤自身、自分の身体状況が社内に影響を与えることを実感しているからだと言う。

「自分のメンテナンスができていないと、周りにいい影響はでないし、できていれば、与えられるものはプラスになる。一人一人のメンテナンスが整えば、お客様に対して届けられるものが変わり、チームの生産性が上がって、全体のパフォーマンスが向上する」

遠藤が示す「女性が輝く働き方」は、単に女性が働きやすい環境にするのではなく、女性の活躍と組織の生産性が比例し、企業戦略ともなる考えだ。

 

遠藤の見据える未来には、より豊かな社会が広がっている。

 

 

注釈
*1
JAPAN WOMEN AWARD 2016
人数比率や育休比率などの数字、福利厚生などの制度だけではなく、「自ら道を切り拓き企業の中で活躍している個人と、意欲ある女性が働きやすい環境づくりを積極的に行っている企業」を表彰することで、真の女性の企業内活躍にフォーカスすることを目的としたアワード。一般投票と評議員の審査を経て受賞者・企業を決定。個人部門賞は、遠藤を含め、さまざまな分野で第一線をいく10人が受賞した。

 

高橋 陽子
Yoko Takahashi

「OVER THE BORDERの新婦です」の一言で、CRAZYを取り巻く人に認知してもらえるありがたい人生を送る。GALLERY WEDDINGプロデューサーと、FEEL THE CRAZY編集者と、少しのフォトライター業と…。わらじを何足履けるか冒険しながら、大好きな愛媛暮らしを満喫中。

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