INTERVIEW

新経営体制の発表!「組織風土を進化させ、100億円企業へ」CRAZYの目指す未来とは。

認定NPO法人Teach For Japan創設者の松田悠介に、GUCCIビジネスプラニング部門責任者の熊谷幹樹。ふたりの経営陣を外部から招き発足した、総勢6名からなるCRAZYのボードメンバー。ビジネスパフォーマンスを求めることは当然ながら、感情や人間性を大切に取り扱ってきた。この独自の強いカルチャーが、どのようにスケールアップしていくのか。6名が語った、現在と未来。

プロフィール
森山和彦(Kazuhiko Moriyama)
株式会社CRAZY 代表取締役社長

山川咲(Saki Yamakawa)
CRAZY WEDDING Founder(創設者)

中西章仁(Akihito Nakanishi)
CRAZY WEDDING Business CEO(事業最高経営責任者)

熊谷幹樹(Motoki Kumagai)
株式会社CRAZY CSO(最高戦略責任者)

松田悠介(Yusuke Matsuda)
株式会社CRAZY CHO(最高人財責任者)

遠藤理恵(Rie Endo)
CRAZY WEDDING Business COO(事業最高執行責任者)

 


会社のグロースを考えた先にあった、ボードメンバーの発足

森山和彦(Kazuhiko Moriyama)株式会社CRAZY 代表取締役社長
大学卒業後、人材コンサルティング会社へ入社。法人向けコンサルティング部門の事業責任者として、トップセールスを記録する。6年半の勤務を経て2012年7月に株式会社CRAZYを創業。独自の経営哲学から組織運営のシステムを確立している。

― 株式会社CRAZYのボードメンバー発足の経緯を聞かせてください。

森山和彦(以下、森山):創業以来掲げてきた「style for Earth」(※20187月より『To celebrate your life the most in the world. /  世界で最も人生を祝う企業』へ変更)というビジョンと、「2022年までに100億円」という売上構想を実現するためですね。改めて経営の足りない部分を補っていこうと考えたんです。松田さん(CHOの松田悠介)と幹樹さん(CSOの熊谷幹樹)のような外部の人たちに、安心して参画してもらえる会社になったことは非常に大きいと思います。

― 足りない機能とは、具体的にどういったものでしょうか。

森山:事業をグロースさせていく経験です。以前のメンバーは創業期やマネジメントの経験はあるけど、事業をグロースする経験を積んだ人はいませんでした。

― 「外部の人たちが安心して参画できる会社」についても、詳しくお聞かせください。

森山:まず、私が事業のマネジメントに直接介入しなくても、ビジネスがある程度安定する状態が数年続いている。企業として一定のビジネスモデルの水準には達したと思っています。創業して6年が経ちますが、事業は平均年190%の成長を続けてきました。また創業メンバーの遠藤が出産したことを機に、子どもと共に働ける環境を整備するなど、働き方も整えてきました。その上でここからジャンプできる会社は、自分たちをどう変えていけるかだと思うんですね売上100億円の達成プロセスには、CRAZY WEDDINGをグロースさせるだけではなく、外部からの新しいメンバーと協働しながらウエディングという軸を活用した新規事業の開発もしています。

松田悠介(Yusuke Matsuda):株式会社CRAZY CHO(最高人財責任者)
認定NPO法人Teach For Japan を創設し、日経ビジネス「今年の主役100人」、世界経済会議(ダボス会議)のGlobal Shapers Communityなどにも選出された経験を持つ。17年にTeach For Japan代表理事を退任。現在はスタンフォード大学経営大学院で学びながら、CRAZYの経営にも参画している。

松田悠介(以下、松田):CRAZYの創業時の印象は、周囲から聞く限りですが、非常にカルチャーが強い会社だということ。最初の50名くらいまではカルチャーだけで事業運営が可能だったと思いますが、事業をスケールさせていくには、違うスキルセットが必要になります。組織規模が大きくなるほど、やるべきことが増えるので、時間・人・資金も必要になり資源は枯渇していく。以前よりも一層戦略的に考えなければならないんです。だからこそ私自身の組織経営や、幹樹さんのMBA取得後にGUCCIで事業を統括した経験が活きると思います。また私は今スタンフォードで学んでいる身なので、良質なインプットをCRAZYの戦略策定やマネジメントでアウトプットし続けていくという意味で、非常に良いシナジーを生み出せるのではないかと思っています。

熊谷幹樹(以下、熊谷):そうですね。私は業態は異なりますが、投資信託とGUCCIの事業が主なキャリアです。事業をつくり・育てる経験を、CRAZYでもアウトプットできたらと思っています。また外部の客観的視点を持った者として、これまでの当たり前に対して別の方向性を示唆する価値提供もしていきたいです。

森山:優秀な外部人材と、内部からの生え抜き人材が戦い合ってしまうケースをよく聞きますが、CRAZYではうまく融合していると思います。創業期からずっと言っていたことは「世界的企業を一緒につくるためには変化し続けよう。そうでなければ一緒にいられなくなる」と。生え抜きメンバーは、外部人材を受け入れながら、自ら変化を選び続けてきたと思います。また創業メンバーはスタートアップのフェーズに指向性を持つケースも多く、会社の成長とともに規模が拡大すると離れてしまう。ですが彼らの多くが変化を選び、今も一緒に仕事をしているのは、非常に嬉しいことです。

「思考・行動」ベースでは満足な結果しか得られない。爆発的な成果には「感情」が必要。

松田:創業時はサークル的な風土があり、外部人材は参画しにくかったかもしれないですが、今のCRAZYは、外部の優秀な人材が入りたくなる組織だと思いますね。理恵さんなど出産した女性社員たちが安心して働きながら子育てができる環境や制度もありますし、日本の中での新しい組織の形だと思います。

熊谷幹樹(Motoki Kumagai)株式会社CRAZY CSO(最高戦略責任者)
単一ファンドとしては日本最大規模にまで成長した投資信託会社での取締役運用調査部長を経験後、GUCCIでビジネスプラニング部門責任者として事業運営全般に携わり、2017年CRAZYへ参画。ペンシルバニア大学ウォートンスクールMBA取得。

熊谷幹樹(以下、熊谷):私が外から入ってきて感じた印象は、様々なバックグラウンドを持った、多様な人がいるということですね。他の会社は、スペックを重視して雇うかどうかを決める。CRAZYの場合は、仕事上の経験を含めたスペックはもちろん大事ではありますが、人間性も最重視していますからね。

森山:そうですね。多様性に富む組織は、ダイバーシティ&インクルージョンでいうと、インクルージョンの部分が弱くて困っているんですよね。CRAZYはカルチャーが強そうで「インクルージョン的要素が強い集団」に見られがちですが、前提として多様性に富んでいる。創業期からクリエイターも一緒に働いていますし、スペックだけではなく人間性も重視してきたので、多様性があるのだと思います。

遠藤理恵(Rie Endo)CRAZY WEDDING Business COO(事業最高執行責任者)
CRAZY創業メンバーのひとり。Forbes Japanが主催する日本最大規模の活躍女性&企業表彰アワード「JAPAN WOMEN AWARD 2016」にも選出された。一児の母でもある。

遠藤理恵(以下、遠藤):人間活動を「感情・思考・行動・結果」と整理すると、多くの企業は「行動」と「結果」にだけ焦点を当てる節はあると思う。CRAZYは最初から人の多様さを前提に、盲点である「感情」と「思考」を意識しながら結果を求めてきたよね。

山川:創業から、感情とか思考とかの共有をたくさんしてきたね。それが全ての出発点で今も変わっていない。極端に言えば、感情や思考をとにかく優先的に扱ってきた私たちが、不器用ながらも行動を重ねることで、結果を出せるようになってきたのかと思います。だから、今はビジネスの領域においても感情や思考を持ったまま働ける環境になっていて、それが多様性を育てているのだと思う。

森山:面白いね。会社は、特に感情というプラスマイナスが激しいものをリスク要因と捉えるから、行動だけを見た方が楽だよね。行動や結果だけにフォーカスする会社は、ある意味で強そうに見えるかもしれないけれど、紋切り型で、多様性がある強さじゃない。今は再現性が求められる社会なので、理解はできるけど。

松田:世の中的には、ダイバーシティ・多様性万歳みたいな風潮があるけど、ダイバーシティマネジメントは一番難しいですよね。多様性が担保されていると、衝突しますから。ただ、衝突はイノベーションや成長のエネルギー源になります。とはいえ多様性がありすぎるのも問題なので、良いバランスを保つ必要はありますよね。

― 感情や思考は、経営をする上で、非効率で面倒なもの。行動と結果さえ出してくれればいいという声は根強くありそうです。その逆をいくポリシーをお持ちなのは、なぜでしょうか。

山川咲(Saki Yamakawa):CRAZY WEDDING Founder(創設者)
「CRAZY WEDDING」 を立ち上げ、たった一年で人気ブランドに成長させる。2016年に事業を退いた後、出産を経て現在に至る。毎日放送「情熱大陸」に出演。著書に『幸せをつくるシゴト』(講談社)がある。

山川:私が答えていいですか(笑)。お客さまが私たちに期待してくださっていたのは、感情的な価値が大きかったと思うんです。結婚業界もそうですが、効率化されたビジネスが溢れる世の中において、ある種の非効率から生まれる感情的価値の大切さが求められている。また、私は一回しかない自分の人生において、自分の望む生き方をしたいと思いました。すると、自分がサービスを消費するのではなく、そのサービスを通して何を感じて、何を思うのか。そういった形のないものが大事だったんです。自分の原体験も起点になっていると思います。

中西章仁(以下、中西):私自身は、感情に蓋をしてステークホルダーに求められる行動をやり尽くして、成果をあげてきたんです。ただその中で「この成果は本当に意味のあるものなのか」という違和感を覚えたんですね。それがきっかけになっていると思います。

森山:感情には爆発力がありますよね。何か不可能を起こす(起こしたい)ときには、思考や行動からスタートしても長続きしなかったりと難しい。不可能を起こすためには、喜びや感動や衝動といった感情が必要だと思う。

遠藤:そうですね。またボードメンバーはそれぞれが強い思想を持ち共感し合えていますが、メンバーとのギャップはどうしても生まれてしまう。その間に立って信頼関係をつくることが私は大切だと思うんですよね。CRAZYのボードメンバーとメンバーがひとつになることこそが、強いパワーの源になるから。だから、大きなビジョンを信じて、皆の力をひとつにしていくコミュニケーターのような役割でいたいと改めて思いますね。

山川:私は、時代が求めているものを一生懸命生きる中で表現をしていくことが、これまでやってきたこと。そして生涯やっていくことだと改めて思いました。自分の結婚をきっかけにCRAZY WEDDINGを立ち上げたように、今でいうと育児のような、生きる中で直面する物事に向き合い、隠された人生の文脈を見出し、自己表現していくこれをもっと短いスパンでやっていきたいと思います。

「感情」を扱えるヒューマンビジネスカンパニーとして、世界で唯一の存在になる。

― CRAZYはこれからどこに向かっていくのか。まずは森山さんから、経営者として見つめている未来についてお聞かせください。

森山:会社として経営者として、ふたつの側面があります。会社は、結婚をはじめとして、あらゆる人間情報を大切に深く扱ってきたからこそ、最も感情を扱うことのできる世界で唯一のコンサルティング会社のような存在になれたらと思います。ヒューマンビジネスカンパニーと銘打っていますが、人間の奥深さをしっかりとビジネスとして成立させて行きたいですね。また、経営者として重要なのは、ビジョンを創造し、クリアに保ち続けること。そして、CRAZYに機会を持ち込むことです。新しい考え・新しい人・自分自身の変化…たくさんのチャレンジをCRAZYに持ち込みたい。それらは何のためにするのかといえば、やっぱり、ビジョン「style for Earth」のためにですね。

遠藤:感情を扱う世界で唯一のコンサルティング会社、なりたいですね。

森山:ボードメンバーはもちろん、CRAZYのメンバーは自分の人生の中で起きるあらゆることに、例え苦しく辛いとしても、常日頃から向き合い続けている。このカルチャーは、CRAZYの中の価値だけではなく、お客さんにも伝わっているんですよね。感情という存在は、どこの会社も触りにくいものですが、私たちは日々向き合っているからこそ、情報として扱うことができると思うんです。ゆりかごから墓場までじゃないですけど、お客さまの大切な人生転機にあらゆる手段で寄り添えたらと考えています。

遠藤:人の感情を扱おうとすると、今だとコーチングやカウンセリングがありますが、ウエディングというビジネスの領域でやっていることが価値だと思うんです。人が本気で思考して行動を変えようとするのは、自分の人生に関わると捉えたとき。ウエディングや出産・育児・住宅などは真剣に人生について考えるきっかけになりますよね。これから100年ライフになった際の第二の人生も、ビジネスチャンスになるかもしれないですね。

森山:まさに、感情的な付加価値をコンサルティングしていきたい。私たちは、人間の感動を商品・サービスとして扱っているから。

中西章仁(Akihito Nakanishi)CRAZY WEDDING Business CEO(事業最高経営責任者)
商社にて欧米・アジア市場開拓担当として活躍後、人事へ。交通インフラ系企業へ人事責任者として転職するも、森山・山川と再会。2013年、株式会社CRAZY(当時の名称は、株式会社UNITED STYLE)に、創業メンバーとして参画、現在に至る。

中西:大切なものは手触り感だと思っていて、どんな形であれ感情が失われたようなものを、人間は求めていない。人間の感情が交わされて、手触り感を感じられることが、人生の豊かさに繋がると思うから。商品やサービスの形は変わったとしても、CRAZYは感情から派生する手触り感を大切にし続けたいですね。

熊谷:世の中はデジタル化が進んで便利になる一方で、人のニーズはアナログ化しています。触れる・感じるニーズが増えてきている。CRAZYは世の中の潮流をもともと大切にし続けきた組織なんだと感じました。

森山:私も、ビジネスを誠実に行いながらも「究極的には手触り感でしょ」と捉えています。幸せを伝えるためにビジネスがあるから。それを6年前からずっと続けている集団なんですよね、CRAZYは。これは競争優位性だと思っています。

大事なものは何ひとつ手放すことなく、100億円構想を描けるところまで来た。

森山:それから「style for Earth」というビジョンとも関わることですが、私は、人間を含めたあらゆる生態系環境に、良い影響を与える事業がしたい。大前提として、人間は地球の一部だと思っています。環境に悪影響のことをしたら、結局は自分たち人間にも返ってくる。

松田:地球に住んでいる我々が、資源を使うだけでなく、つくる側に回ることですよね。国連が掲げるSDGSを真剣に考え、達成に近づくようなサステナブルなビジネスをしていく必要がある。

山川:これまで私たちは、事業を通して人の人生と向き合い、豊かに生きる人を増やしてきましたが、これは一部分のアプローチなんです。もっと大きな地球環境も踏まえて、まずは100億円の売り上げを目指し、ビジネスというシステム・枠組みに手をかけていく必要がある。

森山:そうだね、今改めて思ったんだけど、大事なものを手放さずにようやくここまで来れたなと。少し会社が大きくなると、諦めることもあったりするじゃないですか。昔は良かったけど今の体制では難しいことが生まれたりして。でも本当に青臭い情熱みたいなものはずっと握りしめてきた。弱い自分ももちろんいるけれど、こうやって皆がいてくれるから進んでいける。

松田:CRAZYは、自分たちがつくりたい未来をつくっていけるスタートラインに立ったということですね。経営戦略も優先順位も変えて未来に投資ができる。これからが本当に楽しみです。私自身も、CRAZYがビジョナリーカンパニーであり続けるためのパートナーになっていきたいと改めて思います。CRAZYを通じて、メンバーたちはもちろんのこと、お客さまやかかわる全ての人たちが、意志を持って活き活きと生きていけるような、関係性を築いていきたいですね。

中西:私も、すべてのメンバーがフルスイングをしてジャストミートが狙える場所をつくっていきたいです。「絶対に欲しい」という理想を手放さないで、全力を尽くしたからこそ出会える、人生が変わるほどの景色があると思うんです。そんな景色を作る土壌を生み出したいですね。また私自身も、自分という小さな枠から飛び出て、多くの人と共に熱く誠実に理想を目指し、豊かな人生を生きたいと思います。

「深い人間関係でつながる」というコア技術をエンジニアリングすることで、広がる未来。

― 新しい事業について、ご披露いただける構想があれば。

森山:人間に対する深い理解や洞察、興味。これらが私たちのベースであり財源。ウエディング領域を拡張することももちろんですが、ウエディングの前後にもビジネスを拡張していきます。深い人間関係でつながるという、ベーシックなコア技術をエンジニアリング化することによって、色んなことが提供できるようになると考えています。

山川:結婚は本当の意味で人生がスタートするタイミングですよね。自分の意志を持って生きていくスタート。結婚式から始まっていくその先の人生に、長くかかわっていきたいと思います。

― 最後に、森山さんからメッセージがあればお願いします。

森山:CRAZYはこれから、自立分散型の組織になっていき、会社の外と中がもっと繋がっていくと思います。今以上に、多様な機会が生まれるのではないでしょうか。社員かどうかは関係なく、その機会を掴んでくれる人たちと一緒にやっていきたいですね。はっきり言って余白だらけです(笑)。個人的には、ビジネスを突き詰めてきた人と一緒に話がしたいですね。その力を使って、これからの5年、10年。そして、その先の未来を「本質」という観点から一緒に描いていきたい。拠点はここ(両国)だけではなくて、都心部や地方など全国に広げていく予定です。2年後には全世界30都市にオフィスがあるかもしれない。CRAZYはまさに今、可能性が開くタイミングだと思います。

(END)

「やっぱり、人生は素晴らしい」あたらしい山川咲、はじまる。

CRAZY創業メンバー中西章仁。子どもたちにとっての「社会」とは、「自分の在り方」そのものだから。

「スタートアップを3,000億のメガファンドへ、GUCCIを経てCRAZYを売上100億円企業へ。」

「自分の弱さと向き合うことでしか、もう前に進めないと思った」Teach For Japan創設者 松田悠介、退任とCRAZY参画の裏側

JAPAN WOMEN AWARD 2016受賞  遠藤理恵が語る「育児も仕事も欲張るコツ」とは?


※CRAZYは一緒に働く仲間を探しています

編集:水田 真綾 写真:小澤 彩聖

伊勢真穂
Maho Ise

リンクアンドモチベーションにおける約8年間の組織人事コンサルティング経験を経て、フリーランスとして活動中。組織変革の知識と現場経験を豊富に持つため、HR領域における取材依頼が多い。「Forbes JAPAN」や「HR2048」といったビジネス系メディアでの執筆を行う。

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