「誰かの勇気になれたら」ふたりの新婦が挙式に込めた願い

こんにちは!CRAZY WEDDINGのプロデューサー渡部恵理です。

私は、2019年からこれまで「CELEBARATION for all  -すべての人に等しくお祝いを- 」の活動の一環としてセクシュアルマイノリティの方々の式をつくらせていただいています。その活動から得た気づきや経験を、より多くの方々に届けたいという想いでスタートしたLGBTQ連載企画第4弾です。

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今回は女性カップルのなるみさんとジェニーさんの「願いとこだわりの詰まったふたりが選んだ結婚式」の物語をお届けしたいと思います。

「一人でも多くの人に届けたい」ふたりが結婚式をする理由

おふたりとCRAZYとの出会いは2年前。CRAZY WEDDINGが主催したセクシュアルマイノリティのカップル限定 無料挙式プロデュースのキャンペーンにふたりが応募してくれたことがきっかけでした。

凛とした佇まいに思わず「美しい」そう感じたお二人でしたが、終始お互いに目を合わせてニコニコ笑顔で語らう姿は可愛らしく、出会って数分で愛し合っていることが感じられる、そんな魅力に溢れるおふたり。

「なぜ、このキャンペーンに応募してくれたのですか?」と問われると、すぐに「私たちが式をすることで、誰かの勇気になれたらと思って」「できるだけ多くの人に届ける式がしたい」と返答。

おふたりの譲れない意志と痛烈な未来への願いを感じた瞬間でした。

おふたりは結婚式の開催を決意したと同時に、youtubeチャンネル「Girls Right TV」を開設。現在も、女性を中心に多様な背景を持った方の相談場所となれるように、女性カップルとしてリアルな思いや、お二人なりの考えを発信しています。

そんなおふたりの結婚式で目指したのは、「結婚式」という機会を超えて、社会へふたりのメッセージを届けることです。

そのチャレンジは簡単なものではありませんでした。

新型コロナウイルス感染症という高い壁。呼びたいと思っていたゲストは、当初の予定よりも大幅に減らさなければなりませんでした。そんな状況に、開催を断念すべきかと悩みながらも、「どんなに難しい状況になっても、諦める前に、どうしたらやれるかを考えよう。」と決めて、準備に取り組んだおふたり。

そうして迎えた、式当日は何一つ理想を手放さない二人の心が詰まった内容でした。

結婚式当日
両親に見せた念願の晴れ姿

結婚式当日。ウエディングドレスに袖を通したおふたり。

「綺麗だね」「可愛いよ」とお互いを褒め合う温かな空気の中、時間は進んでいきました。

挙式前に過ごす家族だけの時間では、まず、晴れ姿のなるみさんと親御様がご対面しました。

「うちの親はとても私を信頼してくれていて、自由にさせてくれた。」これまでを振り返りながら、笑って話していたなるみさん。

親御さまの顔を見てこぼれる涙には、言葉にし難い感謝の気持ちと安心を感じました。

続いて親御様と対面したのは、アメリカ人のお父様と日本人のお母様をもつジェニーさん。

「はじめて自分が女性を愛することを伝えた時、母に受け止めてもらうまでに時間はかかったけれど、今は最大の応援者。」とカミングアウトの時のことを振り返ります。

対面時、心からの喜びを感じるお父様お母様の表情。

ジェニーさんが本当の自分を偽ることなく伝えて、諦めなかったこと。そしてお父様とお母様のジェニーさんへの愛があって、迎えられた当日がありました。

リアル、オンライン合わせて参列者は200名
「すべての人が、どこにいても、楽しめる結婚式」

20名がリアル参列、約60名がZoomでオンライン参列した結婚式当日。アメリカにいるジェニーさんのご親族にも結婚式の様子をリアルタイムで届けました。

同時に、YouTubeで生配信を実施。常時約100名の方がライブで見守ってくれました。

全て合わせて約200名の参列者が参加する中でおふたりは、「どこにいても、すべての人に同じように楽しんでほしい。」と、Zoomで参加されるゲストには食事とともに、調香師でもあるなるみさんが準備した、会場と同じ香りのする花びらも郵送しました。

いよいよ迎えた挙式。

牧師様は、なんと実生活でも牧師をしているジェニーさんのお父様が務めました。

「生涯愛し合うことを誓いますか。」

見守り続けてくださったお父様の前で誓うその二人の表情は柔らかく幸せに満ちていました。

宣誓の後、お互いへの誓いの言葉を読み上げたおふたり。

ジェニー、あなたは毎日私に素敵な言葉を贈ってくれるよね。「愛している」「美しい」「完璧だ」

その全てをこれからは私からも贈り続けさせて下さい。

「ずっと一緒にいて下さい」の答えはもちろんイエスです。

白いドレスに身を包むふたりの新婦。

ひとりの人間として、互いに愛し合っているということが純粋に届く誓いの言葉は、多くの人の胸に響いていきました。

「わたしたちはわたしたちの人生を生きていく」
歌とダンスに込めた願い

盛大にスタートしたパーティー。

随所にオンラインで参加される方への思いやりがが散りばめられていました。歓談の時間に話せるようにとオンライン参加者用の特設ブースも用意。一人残らず楽しんでほしいというふたりの気持ちが実現した形です。

また、できるだけ画面越しでも伝わるコンテンツをしたいと考えたおふたりは、踊りと歌を披露することに。

曲は 『The Greatest show man』の『This is me』。

“わたしはわたし”

“わたしたちなりの道を進んでいく” 

そんなメッセージを高らかに歌いました。

再入場ではダンスを披露。

曲は『美女と野獣』のテーマソング。

「私たちはふたりとも女性。美女と野獣は男女ではなく、私たちそれぞれの内側にあり、時に美女のように美しく優しく、時に野獣のように怒り醜くなることだってある。」

ダンスに込めた力強いメッセージ。

会場では、涙するゲストも見られました。

パーティーの結びには、ジェニーさんが両親への手紙を替え歌にして届けました。歌詞には、等身大の彼女の思いが込められていました。

No more pretending my girlfriend is a boy

もう自分の彼女を男の子に置き換えて話さなくていい

And I know I’m shining Just ‘cause I can be myself

自分が自分でいるだけで自分がとても輝いているように思えた

Don’t know how hard it’s gonna be to live open

オープンにして生きることがどれだけ大変かわからないけど

But I know I had the best day with you today

最高の1日だったことはわかるんだ

− ジェニーさん 親御様へのメッセージより

あっという間に時間は過ぎ、パーティーは結びの時間に。

その場にいる一人残らずすべての人が二人の幸せを祈り、ふたりは全身で祝福を受け取っていました。

「やりきった」と満面の笑みで退場したお二人。

そこには、確かに満たされた空気が残っていました。

「愛に境界線はいらなかった」

「誰かの勇気になれたら」

その願いからはじまったなるみさん、ジェニーさんの結婚式。


二人の物語は、今なお続いています。

結婚式後、カミングアウトをしていなかった友人に連絡をしたりSNSで発信したりする中で、大きな気づきがあったとふたりは言います。

それは、「結婚を祝福するときに、同性異性の区別をする人はいなかった」ということ。

「ただただ幸せを祝福する」この行為が、人と人の境界線をなくしていく力になることを実感したと言います。

おふたりの勇気ある活動は、日本に留まらず海外のメディアにも取り上げられました。その様子に背中を押され、結婚式を決意した方もいらっしゃいます。

変化しつつある「同性婚」への意識。

「いつか同性婚が認められたその時に、このブーケを持って結婚式をもう一度したい。」

そう言って、ブーケを2セット準備したなるみさんジェニーさんの願いが、近い未来に叶うことを祈って、私たちもこの活動をつづけていきたいと思っています。

編集後記

結婚式から1年後、おふたりの結婚式会場であるIWAI OMOTESANDOへ記念撮影にきてくれました。

「思い出すね〜!」「懐かしい!」と終始楽しそうに思い出を振り返り撮影していたおふたり。そんなふたりから、結婚式から1年を経てのメッセージをいただいたのでご紹介します。

– 式から1年を記念してIWAIに記念撮影をしにきてくれた
なるみさんとジェニーさん


結婚式を振り返って -なるみさん&ジェニーさん-

結婚式を機会に、なるちゃんとなるちゃんの家族と、心が繋がった家族になれたような気がします。

なるちゃんの実家に遊びに行っても本当に娘のように扱ってくれて、自分の実家とどっちが居心地が良いか選べないくらいです。笑

− ジェニー

結婚式で誓い合った「一緒に生きていくふたり」として、お互いの大切な家族や友人、職場にもあたたかく迎えてもらっていることが幸せです。冠婚葬祭など大切な行事にふたり揃って行くことも増えました。お互いにとって、そしてお互いの大切な人にとって、貴重な瞬間にふたりで立ち会えることはこんなにも心強いことなんだと感じています。

− なるみ

セクシュアルマイノリティ のみなさんへメッセージ

ジェニーは大学生の時に、なるみはジェニーと一緒にSNSを始めた時に、ウェディングドレスが二つ並んだ結婚式の写真を見て大変救われました。「幸せになれるんだ、なっていいんだ」と、それまで抑圧されていたものがふわっと軽くなった気がします。私たちの結婚式を配信したことで、それを見た誰かが同じように楽になれていたらとても嬉しいです。

ウェディングドレスが2つ並んでいる結婚式も、タキシードが2つ並んでる結婚式も、その他のどんな形の式でも当たり前に受け止められ、誰にでもその先に法律婚の選択肢がある、そんな日本になるまで私たちは発信を続けていきます。声をあげられる人は一緒にあげていただき、今はあげられない人もあたたかく見守っていただけたら嬉しいです。

プロデューサー 渡部恵理
セクシュアルマイノリティの方の式は随時受け付けております。

以下よりお問い合わせください。

株式会社CRAZY 担当:渡部
MAIL:welcome@crazy.co.jp
TEL:0120-181-904

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執筆:渡部恵理
編集:池田瑞姫

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