2021.07.10

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すべての人が等しくお祝いできる世の中に向けて、私たちができること。

みなさま、はじめまして。CRAZY WEDDINGプロデューサーの渡部恵理です。

これまで約100組のオーダーメイドウェディングのプロデュースを手掛けた後、現在はセクシュアルマイノリティの方々に向けたウエディングを中心に担当しています。

 

きっかけは、2019年。

ジューンブライドの6月に「CELEBRATION for all」という、セクシャルマイノリティの方々へ向けた無料挙式プロデュース企画を実施したことが始まりでした。

そこから活動の認知はひろがり、現在までに出会ったカップルは述べ30組。「CRAZYのおかげで一生忘れない祝福される経験になった」などと、好評の声もたくさんいただいています。

 

しかし一方、すべての人が等しくお祝いできる世の中の実現に向けては、まだまだ世間に知られていない事情が多すぎる、と痛感しています。私たち自身も、まだ知らないことがたくさんあります。

そこで、「CELEBRATION for alll」という名称はそのままに、これまでに得た経験や学びを発信していくことを決めました。この記事はその第一弾となります。

皆さまにとって、少しでも「知れてよかった」と感じてもらえる機会になれば嬉しいです。それではぜひ、ご一読ください。

◯急速に進む、「セクシュアリティを受け入れる」時代

前述のとおり、活動のはじまりは、2019年Tokyo Rainbow Prideと呼ばれる、渋谷区を中心として、多様なセクシュアリティを持った方々が虹色の旗を掲げパレードをしたり、発信したりするムーブメントへの参加でした。

年々その波は大きくなっていき、約20万人を動員したその年、CRAZY WEDDINGも代々木公園に「愛を誓う」ブースを出展する機会をいただきました。

渋谷区は全国に先がけて2015年にLGBTQなど性的少数派の方々に向けて「パートナーシップ 制度」の交付を全国で初めて導入しており、現在その輪は100自治体を突破しています。

2021年6月 制度の導入状況 
引用:自治体にパートナーシップ制度を求める会(Twitter:@partnership_)
閲覧日:2021年7月10日

世の中には確実に「LGBTQ」という言葉は広がり、SNSの発展とともに情報は当事者の方も含めて受け取りやすくなっていました。また、SDGsの認知の拡大とともに、個人でも企業でも「セクシュアリティへの理解」は急速に求められてきています。

ですが一方で、当事者のみんなと話す中で知れば知るほど、自分も身を置くブライダル業界はセクシュアリティへの対応が不足していることを痛感しました。

◯「知らないから変われない」ブライダル業界

2019年7月に、あるLGBTQ当事者の方のSNSが話題になりました。

「初めて挙式を断られた!!

結婚式ランキングでも◯◯(式場名)は上位だから行くの楽しみにしてたのに、少し残念」

引用:まさ&しんご/一歩一歩進むゲイカップル(@gouple_smile) Tweetより

その式場の責任者の方からは、「LGBTQ研修を受けたがゆえに、受け入れる体制や配慮の不十分さが理解でき、かえって嫌な思いをさせてしまうかもしれないため受け入れができない」と断った理由を説明されたそうです。

実際に私が活動の中で耳にした声を踏まえても、非当事者と当事者の感覚にはギャップがあり、それがブライダル業界の変化を遅れさせている、と感じています。

また、以下の調査結果を見ても、非当事者と当事者間のギャップがあることがわかります。

P&Gジャパン合同会社が独自に行った調査では、LGBTQを理解・支援したいと思う人は全体の53.8%いるにも関わらず、その内69.1%は「アライ(性的マイノリティを理解し支援することに積極的な人たち)として行動していない」のが実情だということもわかりました。

調査:P&Gジャパン(2021年4/21(水)~4/26(月))
調査対象:15歳〜69歳、人口構成比に合わせて5,000人
引用:LGBTQ+とアライ(理解者・支援者)に関する全国調査https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M101519/202105255385/_prw_OR1fl_8i6O4T8S.pdf
閲覧日:2021年7月10日

【共感しても行動しない理由】

1位「身近にLGBTQの人がいない」43.8%、

2位「自分に何ができるかわからない」40.3%。

このアンケートを見ても、”知識が無いから行動できない人”が多いことがわかります。

◯結婚に関わる、私たちが、できること

今でも忘れられない、同性カップルのふたりが話してくれた言葉があります。

「怖がらないでほしい、知らないことは悪いことではないから。でも、耳を傾けて一人の人間として、知る努力をしてほしいんです。その姿勢があれば、私たちは信頼して一緒に歩み寄ることができます。」

わからないことがあったとしても、目の前にいるふたりの人生をフラットに聞き、ふたりにとっての幸せな形を探して式をつくる。そのこと自体は、いわゆる「新郎新婦」と向き合うことと変わりはありません。

私自身、20組のセクシュアルマイノリティの方々の式をつくりながら「生涯愛する人とともに生きたいと誓うことに、同性も異性も変わらない」と日に日に痛感しています。

 

その上で重要なのは、マイノリティではない私たちマジョリティが変化すること。

そのために、「LGBTQを理解したい、けれど機会がない、わからない」そういう方々に向けた情報発信やそして知る機会をつくること。

そう考え、このマガジン連載をスタートさせました。今後は2週間に1度ほどのペースで更新をしていく予定です。

 

同時に、我々CRAZY社員の理解も促進させられるよう、現在は毎週水曜日に、ジェンダー問題にまつわる勉強会をスタートしています。

多様なお祝いのシーンをつくりながら、自ら知る機会をつくっていく。そうして少しずつ境界線は消えて、当たり前に「多様な人間のひとりひとり」として受け入れられる未来へとつながっていけるはず。

ブライダル業界から変わっていけることがある、そう信じて、文章を綴っていきたいと思います。


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vol.2

「同性カップルの挙式をつくり、私が教えてもらったこと」

Vol.3

「『幸せになってほしい。』性的マイノリティ家族の変わらない願い」

編集・執筆:渡部恵理


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