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INTERVIEW

「働き方改革」で注目を集めるChatWork社が、新しくしたオフィスで重要視したことは?

働き方改革が叫ばれる中、意外に注目されていないのは働く環境だ。今回は、最近オフィスを移転したChatWorkの山本敏行社長と、移転に際して空間装飾を担当したCCA(CRAZY CREATIVE AGENCY)の林隆三にインタビューを行った。チャットワークは、業務の効率化と会社の成長を目的としたメール・電話・会議に代わるビジネスコミュニケーションツールであり、160,000社以上に導入されている。ITの力によって世界の「働き方を変える」会社の、オフィスを通した働き方のアップデートを覗き見る。

プロフィール
山本敏行氏 / ChatWork株式会社 CEO
1979年、大阪府生まれ。2000年、中央大学商学部在学中に、ロサンゼルスで創業。2004年にChatWorkの前身である「EC studio」を法人化し、2011年、クラウドベースのチャットツール「チャットワーク」の提供を開始。2012年、ChatWorkに社名を変更。米国法人をシリコンバレーに設立し、現在は海外と日本の拠点を行き来しながら「チャットワーク」の普及活動に邁進している。

林隆三 / CCA(CRAZY CREATIVE AGENCY)代表
インテリアデザイン会社にてオリジナルプロダクトのデザイン・開発、インテリアコーディネートや、海外の最先端現代デザイナーの国内プロモーションを担当する。その後、フォトクリエーションを中心とした空間ブランディング集団に所属し、アーティストのCDジャケットやMV撮影での美術スタイリングや、展示会・イベントでの空間演出を務めたCRAZYでは創業時からアートディレクターとして携わり、現在はCCA(CRAZY CREATIVE AGENCY)代表として「変革に寄与する。」をコンセプトに法人向けクリエイティブサービスを手がけている。

アクセスや利便性よりも重視したこととは

-どのような背景でオフィスを移転することになったのでしょうか?

山本氏:簡単に言うと手狭になったからです。営業部署や開発部署の社員が増えたので。ただし、移転するにあたって「営業が一番動きやすい場所に行きましょう」となりがちだと思うのですが、それは嫌だと思ったんですよね。

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弊社の最初のオフィスは、都心から離れた大阪の吹田市に構えました。WEBだけでセールスをしていくから市内じゃなくてもいいよねと。東京に進出する際も、そのストーリーを引き継いで、田園都市線沿いの溝の口にオフィスを構えました。東京と言っても住所は神奈川県。求人募集をかけても応募があまり来なかったので、三軒茶屋に移りました。そして手狭になって、池尻大橋。その後は離れる場所がなくて入谷に行ったんです。

営業部署の社員が増えたという理由で、単に便利な場所に移動するのでは、これまでのストーリーがなくなってしまう。また僕はスーツを着てる人が沢山いるようなビル群が嫌いで、極力自然がある場所が良い。ストーリーをつなげながらも、営業が動きやすく、自然がある場所として、東京タワーの麓にあるこのビルを選びました。

山本氏は最初に視察に来た際に、この建物から見える景色に惚れ込んで、ここへの移転を決意したという。

電話・社員証・ネクタイ。
「不要になったもの」はチャットワークの「構成要素」だった。

-オフィスのエントランスはCCAが空間装飾を担当していますが、どのようなこだわりがあるのでしょうか?

林:担当させて頂いたのは5階と7階のエントランスの壁面です。ここではChatWorkの文化や働き方、サービスとしてのチャットワークの役割を表現しています。これまでチャットには平面的なイメージがありましたが、チャットワークというサービスは非常に立体的なコミュニケーションだと感じました。利便性だけではない新時代のコミュニケーションツールとしての奥行きや重なりを感じたんですよね。また、見えていない部分の複雑でありながら多用的な性質を、チャットワークをモチーフにしたパネルを重ねることで表現しています。

5階エントランス。実はチャットバブルは社員の数だけ存在している。社員が増えるたびに新しいチャットバブルを加えていくことで、誰にも想像できないチームの形に変化し続けていく様子を表現。

林:7階のエントラスの壁面は、チャットワークというサービスや、企業・組織の在り方、新しい働き方によって、今では「不要になったもの」を用いてChatWorkの文字を形作っています。ただし、利便性や改善を見出した結果チャットワークが生まれているので、それらは「不要になったもの」ではなく「チャットワークを生み出した構成要素」でもあると考えました。ビジネスシーンで長年活躍し、時代を創ってきたものに敬意を払った作品となっています。

7階エントランス。

目を凝らしてみると、隙間を使って「ChatWork」の文字が浮いて見える。社員の方に「不要になったものは何ですか?」と聞いて出てきたものを飾った。固定電話、カレンダー、手帳、社員証、ファイル、バインダー、書籍、付箋、ネクタイ、ボールペンなど。

山本氏:「オフィスの視察に行きたい」と言っていただけるフックが欲しいなと思っていたんです。同じオフィスなのに、口コミが口コミを呼んで、遊びに来てもらえるなら、それだけで費用対効果が違うじゃないですか。その結果、チャットワークユーザーが増えれば、会社にも良い。林さんが作ってくれた壁面は、写真で映すと文字が浮き出て面白いので、訪問者は記念撮影をしてソーシャルにも挙げてくれますね。

外部の方と会議をする際も「チャットワークのオフィス良いらしいよ」と噂が流れ、「行きたい」と言っていただけるんです。来てもらう機会が増えることで社員の出入りが減り、働き方改革にもなっていますね。

株式会社CRAZYの「境界線の曖昧なオフィス」については
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コミュニケーションの場と、集中の場

-社員の皆さんの反応はいかがでしたか?

山本氏:今回5階に社員が交流するためのカフェスペースを設けたので、社員同士の交流が増えましたね。前のオフィスは会議室が足りず、社員が交流する場の会議室が来客スペースになってしまっていたんです。今まで自席でお弁当を食べていた社員はカフェスペースに集まって食べるようになり、結果的に交流が生まれています。

林氏:カフェスペースで社員の方がランチを食べている様子は、楽しそうでしたね。部署を問わず、いろいろな人と話してるのだと感じました。カフェでは談笑しながら、デスクスペースではすごく集中している、そのギャップにも驚きましたね。使いやすいんだろうなと思いました。

山本氏:オフィスは社員のみんなにとって結構満足度が高いと思いますね。先日は終業後にシアタールームで「『君の名は。』を上映します! 」と社内イベントが開催されていました。大画面で見られるので、サッカー観戦などもいずれやるでしょうね。最初は「なんでこんなもの作ったんだろう」と思った社員もいたと思いますが、実際にできてみれば楽しそうにワイワイやってます。

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カフェスペースは、スタッフ同士のコミュニケーションを活性化するためのもの。ここでは会議は原則禁止。カフェやサロンのように談笑しながらリラックスできる空間となっている。たこやきパーティなどの交流会も開催されたとのこと。

シアタールームは最大収容人数が20人以上の会議室。内装デザインを手がけたのは4D GROUNDWORKの塚本光輝氏。スクリーン等の操作はiPadからワンタッチで可能。映画鑑賞やスポーツ観戦、音楽好きの社員の交流の場として活用されている。通常の会議室として利用する際に使う大テーブルは、卓球台を再利用。山本氏は卓球台に卓球ラケットとピンポン玉をコッソリ隠しているという。

体感値が高いオフィスだからこそ、働き方以上の価値を

-最後に。オフィスを通した働き方のアップデートに大切なことはなんだと思われますか?

山本氏:オフィスにも経営の意思が入ってることが大切だと思いますね。もちろんコストの事は考えるのですが、経営陣として「こういう働き方をしていくんだ」という意思を伝える手段になると思っています。

林氏:僕は山本さんがおっしゃっていたように、経営の意思や想い、制度をちゃんと体感できることが必要なんじゃないかと思っていて、それが職場環境という空間だと思っています。紙で読むわけでも話で聞くわけでもなく、肌で感じられることが、一番体感値が高いもの。だからこそ、アクセスが便利だから、キャパシティが広いから、オシャレだから良いというわけではなく、1つ1つ想いやストーリーを持つことが大切だと思います。職場は働く場所ではありますが、自宅よりも長い時間を過ごす生きる場所であり暮らしの一部ですから。働き方以上の価値がここにはあるのではないかなと感じますね。

(END)

SNS時代だからこそ、撮影したくなるオフィスデザインは重要でしょう。ただその根底に、これまで会社が培ってきたストーリーや経営陣の意思・想いがあり、社員が誇りを持って働けることが大切なのだと思いました。今後も働き方改革を先導していくChatWorkさんから目が離せません。

<山本社長登壇!>
【TOP LIVE】突破力2.0〜ChatWorkとCRAZYの経営者が語る、業界の固定概念をぶち破る力とは?〜

日時:4月18日(水) 19:30-21:30
場所:CRAZY本社

登壇者は、ChatWork株式会社 CEO 山本敏行氏と、株式会社CRAZY 代表取締役社長 森山和彦。
突破力の根源や、思考法・習慣にフォーカスを当てながら、互いの人生や組織哲学、リーダーシップ論について語ります!
仕事や人生において、リーダーシップに関心のある20代から40代のビジネスマンの皆さま、奮ってご参加ください。詳細はこちら

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水田 真綾(@maya_mip)
Maya Mizuta

CRAZY MAGAZINE編集長。立ち上げた後、執筆・編集共に行っている。学生時代から人の世界観を形作る「メンタルモデル」に興味を持ち、「学習する組織」や「U理論」を学んで団体を創設、イベントを多数開催。趣味は、星を見て風を感じて森でお散歩をすること。愛読書はエーリッヒ・フロムの「愛するということ」。

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