CONCEPT:己
2018.10 @東京/PARADISE GARAGE
-プロセスを振り返ると
もの言う新郎新婦、だったと思う。
「ファーストバイトは嫌」
「フライングがしたい」
「会場に川を作って花筏を作りたい」
「おもしろくない余興は要らない」
「しみじみした演出は要らない」
「ぐちゃぐちゃで、おもしろくて、
とにかく人と違うことがしたい!!」
「CRAZYさんは、
できないって言わないんですよね?」
と最初の面会で要求を突きつけた。
そんな私たちにプロデューサーの岡野さんが紡いでくださったコンセプトは「己」。
己
自分は何者なんだろう
そんなことをひたすら
考えてきたこれまでの人生なりたいと願う姿に向かって
ずっと一人でひたむきに突き進んできた常に冷静に物事を捉える君といると
生き急ぐ自分の心に余白が生まれ信念に従い有言実行している
あなたと一緒にいると
自分の殻が破れる予感がする互いに出会い
誰かの為に己を閉ざすのではなく
内なる声に正直に生きていくと決めたここから始まる人生の第二章
世界における自分の存在価値を叫びながら
二人でしか作れない未来を君と共に生きる
– 一生の思い出となる一日
コンセプトが読み上げられた後、真っ暗に静まり返った会場に鳴り響くのは、お祭りのような鐘の音。
「あやっとさー!」の掛け声とともに入場したのは、新郎新婦ではなく寳船さんというプロの阿波踊りパフォーマーの方々。
驚くゲストの顔。
数分の演舞の後、ついに新郎新婦入場、ステージの上に…と思ったら、一緒に阿波踊りを踊り出す。
コンテンツでは「どんな己になりたいか」の宣言を巨大垂れ幕にして披露しました。
CRAZYのオフィスで、巨大筆で書いた垂れ幕。何て書いたのかは、当日までお互い内緒。コンセプトを反芻しながら、未来を想像しながら悩みに悩んで産み出した一言。
夫は、
座右の銘「而今(にこん)」・・・ 一瞬一瞬を全力で大切に生きること。幼少期、病気で何度も命をおとしかけたり、苦境ばかりだった。だからこそ、一瞬一瞬を大切に、悔いのない人生を過ごしたい。
私は、
「顔を上げて」自分に自信がなく人の目が見られない姿勢を変え、上を、未来を見つめて、次の動作に繋げる。
それぞれが自分の人生を振り返り、新たなスタートへの強い決意を、自分たちの言葉でゲストへ語る時間となりました。
ゲストには、この宣言を受けてメッセージカードを一人一枚書いていただき、一方的に私達を見せるのではなく、ゲストにも感じて参加してほしいという想いからお願いしました。
ここでお色直し、再入場。
結婚式の3日前まで悩みに悩んで出した答えは「馬に乗りたい」でした。
ポニーサイクル という馬の自転車が借りられることを知り、宅急便では間に合わないので、レンタカーで倉庫まで乗り付け、式前日にCRAZYのオフィスへ搬入。
なんで馬なのか?
理由はなくて、ただ乗りたかったから。
自転車やバイクじゃ、私たちらしくない。
エンディングは、ゲストから頂いたメッセージをウェディングツリーにして、誓約書を披露。高砂に全員集合して記念撮影をして、退場…かと思いきやここでCRAZYからのサプライズ。
「おめでとう〜!」の合唱とともに吹き出してきたのは、大量の桜吹雪。
周りには、すぐ近くにお世話になった人たちの笑顔。「しんみりした演出は要らない」と言っていたのに、涙が止まりませんでした。
「会場に怒られるからNG」と言われていた大量の桜吹雪を、見事に降らせていただきました。
退場は、ゲストの作ってくれたアーチの間を抜けて、時間をかけて会場を回りながら。あまりにも大量の桜吹雪だったので、私たちが通った道には「花筏」が出来上がっていたのでした。
これが私たちの、一生の記憶に残る1日でした。
-そもそもなぜCRAZYにしたのか
家族のみで神前式を行う予定だったので、披露宴パーティーを別日程で行うことにしていました。
「みんなと同じことが嫌い」という共通点はあるものの、友人も多く結婚式をしたい夫と、結婚式にあまり乗り気ではない私。
そんな彼が私に見せたのは、知り合いが挙げたとある結婚式の動画でした。会場には7mの大きな木が生えていて、高砂は草むらのようで、子供達が自由に遊んでいる。突如始まるファッションショー。
「こんな結婚式がしたい」と彼はずっと言っていました。この結婚式がCRAZYプロデュースだと知ったのは、結婚が決まった1週間後にCRAZYのオフィスに初めて伺った時でした。これは運命かもしれない、とその場で即決していました。
私たちが結婚するまでには、様々な困難がありました。普通とは違う年齢差や、家庭環境、お互いの個性が強すぎるためにぶつかることも多々あり、ようやく結婚に至ったことは、ゴールであり人生の第二章のスタートだとお互い位置付けていました。
-世界に一つだけのコンセプト
コンセプトメイキングのためのヒアリングでは、生まれてから、ここに至るまで。小学生の頃いじめにあった話や受験の話、結婚には関係のない話もたくさん、時間を毎回大幅にオーバーして伝えました。
待ちに待ったコンセプト発表の日、伝えられたコンセプトは「己」。
「えっ、漢字一文字?」
「結婚式なのに、己?!」
「でも、今までに見たことがないから、
人と違ってていいんじゃない!」
と受け止めていました。
どんな装飾になるのかも想像つかない中、ここから苦難の日々が始まります。
「なぜ結婚するのか?」
「なぜ結婚式をするのか?」
「なぜこの人なのか?」
「どんな景色を見たいか?」
何度も何度も二人で話し合いました。
「ゲストに感謝を伝えたいのに、
なんで『己』なんだろう?」
「己と自分はどう違うんだろう?」
しっくりこなくて、ぶつかることもありました。
岡野さんに、もう一度説明を求めることもありました。「このコンセプトは新郎に寄りすぎている、2人のものじゃない。」と迷い、泣くこともありました。
そうこうしている間に、コンセプト発表より緊張した装飾提案。私たちの装飾は、赤を基調としたこのようなものでした。
波動のような木の枝。色々な方向に向かっていて、二人がどれだけ戦ってきたかを示しています。二人が高砂に立つと、一筋のレーザーの光が。
二人が立つことで完成する、私たちだけの高砂。椅子もテーブルもない、二人が主役の高砂。
抽象的だったコンセプトが、姿を現した気がしました。
ドレスの試着に行っても、ヘアメイクの打ち合わせをしても「コンセプトは何ですか?」と聞かれ「お・・・己です・・・」と答える日々。
特にヘアメイクの知花さんとは、装飾に合ったものではなく、自分が好きなイメージを伝え、ふわふわとして、でも大きな強い会場に負けないお花たくさんのヘアメイクにしてくださいました。
自分がコンセプトに対して、結婚に対してどう思っているのか、深く話すことができ、人に話すことで、少しずつコンセプトが自分の身体に染み込んでいるのを少しずつ感じることができました。
-CRAZY WEDDINGで結婚式を挙げるということ
「己とは何か?」
私たちが出した答えは、「たくさんの周りの方々に支えられていること。それが私たちの己」でした。
最初は自分たちがやりたいことを結婚式で実現することを目指していましたが「ゲストに感謝を伝えたい」「ゲストに楽しんでほしい」という思いが強くなっていきました。
結婚式当日も、CRAZY花嫁は、本当にたくさん自分の言葉で喋る機会があります。新郎の横で、ニコニコ笑ってるだけの新婦とは違います。いただいたコンセプトを汲みとって理解して、人に話せるぐらいまで掘り下げて。
好きだから結婚をして、結婚をするから結婚式をするという流れを見直して人生を振り返り、未来を見つめて。この二人だから出会い、この二人だから一緒にいて、支えてくれる人たちがいる。ということに気づき、心に刻むことができました。
悩みに悩んで、苦しいこともたくさんありましたが、CRAZYの門を叩いた日から、ゲストを送り出した最後の瞬間までが全部結婚式だったんだなと今はそう思っています。
いただいた「己」というコンセプトも、今では私たちの身体の一部のようになり「人と違う」ではなく「それぞれ違う」。まさに人生を変えるほどの結婚式になりました。
一緒に作り上げた皆さんとは今でも関係が続いています。結婚式とは、人生そのものだなぁと感じるきっかけをいただいたCRAZY WEDDINGさんと、関係してくださった全ての方々に感謝いたします。