こんにちは。IWAI OMOTESANDOプロデューサーの梅﨑です。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、誕生日や記念日、結婚等訪れる様々な節目に対して、「思うようにお祝いするのは難しいし、今年はもういいかな〜。」なんて考えている方も、少なくないのではないでしょうか。
今回は、IWAIの開業から結婚式をつくり続けてきた私が、たくさんの「家族の節目」にご一緒してきて感じたことをシェアできれば思っています。
本記事が、読んでいただくみなさまにとって、自分たちの「節目」を今よりもちょっと大切に思えるきっかけになりますと幸いです。
父との心の距離が変わった、ある日のサシ飲み
私には、家族に対して「本当の私を認めてほしい」という想いを抱えていた時期があります。
その転機になったのは就職活動中、父とふたりで行った居酒屋での出来事です。
就職活動に際して「敷かれたレールではなく私が進みたいと思った道を応援してほしい」と思い、勇気を振り絞って泣きながら父に本音を話しました。
私はその会話の中で初めて、父の人生観やその背景を真っ直ぐに聞くことになります。
そこで気づいたのは、制限されていたように感じていた過去が、全ては父が私を思う愛情ゆえだったということ。
これまで見てきた世界がオセロのようにひっくり返り、涙が止まらないほど嗚咽しました。
この出来事が私にとって大きな原体験となり、この時から私は、家族関係が人生に与える影響の大きさに興味を持つようになりました。
結婚式で教えてもらった、「そこにある愛」
そんな私は今、パートナーに情緒不安定なのではと心配されるほど、毎日のように涙しています。
そのきっかけは、妊娠。
頻度が多くなった祖母からの電話。
義両親が送ってくれる、栄養価の高い食材定期便。
両親から唐突に送られてくる、私が生まれた時の写真。
自分に与えられる一つひとつの出来事が、どんな想いで行われているのかを想像して涙が止まらなくなってしまうのです。
電話の向こう側で、「あーちゃんが小さい頃はね・・・」と昔話をしてくれる祖母。
生まれた時から可愛がっていた初孫が親になるとは、どういう気持ちだろう。
健康に良さそうな食材を、わざわざ目で確かめて購入し、送ってくれる義両親。
手間がかかることを続けてくれるのは、どんな想いからだろう。
押入れの奥深くに眠っていたはずの写真を送ってきてくれる両親。
引っ張り出して見てみようと思う気持ちは、どんなものだろう。
写真を見ながらどんな会話が繰り広げられたんだろう。
一つひとつの行動に隠れた気持ちに、私は「どれだけ愛されているか」を感じずにはいられません。
なぜ家族に距離感を感じていた私が、涙するほど家族の気持ちを感じられるようになったのか?
それはIWAIで見てきた家族の光景と語られる言葉たちが教えてくれた「愛の存在」でした。
私は結婚式をプロデュースすることで、「愛に気づく力」をもらってきたような気がしています。
IWAIでみえる、本当の想い
今回は、そんな私を育ててくれた、IWAIでみえる家族の愛を、少しだけシェアできればと思います。
初めて知る親の本音
〜文章抜粋〜
・生まれた時の気持ち
32年前、予定日よりも1週間程遅れて生まれました。あと1日遅かったら帝王切開と言われていたので陣痛がきた時はほっとしました。抱いた時は「母にしてくれてありがとう」という気持ちが込み上げてきたのを今でも覚えています。
・印象深いエピソード
仕事で忙しく家をあけることが多かったのが今でも心に残っています。母と話したいことも沢山あったろうに、いつでも笑顔で『仕事頑張ってね』と送り出してくれる姿が健気で、いつも私も頑張ろうと奮い立たせて仕事場へ向かっていました。
・メッセージ
これからも、今日まで周りの人が注いでくれた愛情を忘れる事なく「ありがとう、ごめんなさい」と素直に伝えられる人であってください。あなたがこの世に生まれてきてくれてそれだけで十分。母にとって大切な宝物です。幸せになってね。
IWAIの結婚式ではプロセス中に、親御様に新郎新婦への手紙を書いてもらう機会があります。
「新郎新婦が生まれた時の気持ち」「印象的深いエピソード」「お子さまへのメッセージ」という構成の元、親御さまの当時の気持ちがそのまま記されたお手紙です。
お手紙から、それまで直接触れることのなかった想いを知って込み上げてくる涙。
私がIWAIの結婚式で最も好きなシーンの一つです。

伝えたからこそ、通じ合った心
IWAIではおふたりが参列者全員にお手紙を書きます。
お打合せ中、「まだ母へ素直に感謝を伝えられたことがない。」と話してくれた新婦様。
対話を重ねる中で気持ちが変化していき、今まで言えなかった想いを手紙にして綴ることになりました。
結婚式当日、これまで通うことのなかった互いへの想いが通い合った時間。
手紙を胸に抱きながら涙を流し、「ありがとう、ありがとう」と何度も呟くお母様の姿が忘れられません。

溢れる記憶に、感じる愛
IWAIでは結婚式当日、親御様とだけ過ごす時間があります。
晴れ姿を見てもらう時間です。
その時間の前に、おふたりがこれまでを振り返って選んだ思い出のアイテムを観る親御様。
「どんな娘さん(息子さん)だったんですか」と声をかけると、アルバムを見ながら、嬉しそうに目を細めて我が子のことを語ってくれました。

私の仕事は、愛に気づく節目をつくること
「家族関係」が持つ可能性を信じる私は、IWAI独自の5つのコンテンツ
① 新郎新婦の人生を棚卸しするヒアリング
② 自身の人生を客観視するライフストーリーの鑑賞
③ 親御様からお手紙をもらう
④ これまで出会ってきた人(参列者)へ手紙を書く
⑤ 挙式当日、家族や大切な人から自身へ向けられた想いを知る
の中で、ご家族との関係性を大切にプロデュースをすることを心がけています。
例えば①のヒアリングでは、様々な質問を重ねる過程で、固定的に捉えていた過去から、別の側面がみえてくる瞬間があります。
客観的な目線で物事を見て初めて気づくことって、普段もありますよね。
結婚式も同じで、第三者である私がプロデューサーとして介在する価値の一つはそこにあると考えています。
本当に必要なのは、結婚式の中にある「行為」ではなく、それらの「行為」を通して、そこにある「気持ち」に気づくことです。
その「気持ち」に気づいたとき、私たちは「愛」を感じずにはいられません。
家族の間の愛情は見えにくいだけで、必ずある。
当たり前に近くにいる分、気付かずに見過ごしてきた愛がたくさんある。
ゆっくりと目を凝らしてこの愛に気づく後押しをしてきたのだとこれまでを振り返って感じています。
見逃している気持ちはありませんか?
心に引っかっていることはありませんか?
結婚式を始めとするたくさんの節目は、愛を伝える・感じる絶好の機会です。
その対象は、友人や兄弟、姉妹、親子など様々。
誕生日や成人式、妊娠・出産等自分から愛に気づくきっかけにできる機会が私たちの日常にはたくさんあります。
どんな形でもいいと思います。
少しだけ勇気をだして、そこにある節目を大切にしてみてください。
あなたの一歩から、関係性が優しく変わっていくことを、私は一緒に信じています。
「節目」のご相談は、こちらへお気軽にお寄せください。
執筆:梅﨑有紗
構成・編集:池田瑞姫
バナー画像撮影・文中婚礼画像撮影:kuppography
文中人物画像撮影:享丸桂大