2017.10.12

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70名のベンチャー企業が育児しながら働ける環境を持つ、たった1つの大きな理由

こんにちは! CRAZY MAGAZINEで執筆しているライターのFELIX清香です。

株式会社CRAZYには独自の仕組みやユニークな発想がたくさんあります。しかし社内にいる人にとっては当たり前すぎることだからか、社外の人にそれがなかなか伝わらない! そんな実感をうけて、外部からの視点でCRAZYを紹介することになりました。

今回は「CRAZY流の子育て」についてです。

ミーティングの横で……?


「これは明日までに決めなきゃいけないよね?」「予算をそれに配分して……」と真剣に、喧々諤々とミーティングをする横で、子供たちがケラケラと笑いながらお菓子を食べたり社員の膝によじ登ったり、時には「あれ? お尻ちょっと臭わない?」とオムツを替えてもらう子がいたり……。CRAZYでは日常的に見られる光景です。

「子育てを大切に考えています」と聞いた時に私が想像したのは「託児所があるのだろう」「育児休暇が取りやすく、時短勤務やリモートワークの仕組みが整っていて、パパママ社員が働きやすいのだろう」ということでした。

しかし、上記の光景を目の当たりにして、CRAZYの子育ての方法は私の想像とは遥かに異なることが分かりました。CRAZY社員は職場と子育ての場を切り分けず、職場で文字通り子育てをしながら仕事をしているのです。

子育て中のパパママ社員は朝、会社専属のシッターさんに子供を預けて仕事を始めます。シッターさんはその後パパママ社員の代わりとなって子育てや離乳食作りを行いますが、お昼時間には子供たちはパパママ社員とともに全社員でランチを食べます。食後、子供たちはまたシッターさんと遊んだり、お昼寝をしたり、水族館に行ったりと活動をします。

全社員でランチについて詳しくはこちら:
「こころ」は腸内に存在するのか?自然食ランチがこころに及ぼす影響に迫る


シッターさんに預けられている間、子供たちが特別な部屋に隔離されて社員となんの関わりもないのであれば託児所付きの企業と変わりません。しかしCRAZYでは、子どもたちは子育ての用の部屋とオープンオフィスを行き来していて、シッターさん以外の社員も子守をしたり、異変を知らせたりと、子育てに関わっています。

アートディレクターで生後1年1ヶ月のかりんちゃんと共にCRAZYに出社している染谷和花さんは、

「私の両親は自営業者なのですが、私自身も親の会社の社員の方々に育ててもらった感覚があります。幼稚園から帰ると大人たちが遊び相手になってくれて。それがとても良かったから、同じ環境を娘のかりんに与えられるのはうれしいですね」

と話してくれました。

子供が生まれることは本来喜ばしいことであるはずだ

10月に第二子の育児休暇を取得する予定の高橋純平さんは、前職までのIT企業などと比較して、こう言います。

「社長の森山がパパとして育休を取ったこともあり、僕が育休を取ることに対して何の違和感も抵抗もなく受け入れてもらえました。

僕は新卒で大手IT企業に入社したのですが、そこでも託児施設を設置したり男性の育休促進を行ったりと、さまざまな子育て応援施策を行っていて、子育てに対して理解はありました。だから育休を取ろうとすれば取れたと思います。

ただ、こんな風に一切迷惑がられずに育休を取ることはできなかったと思いますね。CRAZY社員が持つ「子育て」の概念は、他の企業の方々が持つ概念と違うなと感じます。それは仕事に対する概念が違うからではないかと思うんですよ。

僕たちは『生きるように働く』という企業カルチャーを大事にしています。生きると働くを分けないからこそ、子供を産み育てるということに対しても、自然に受け入れることができているのだと思います」

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妊娠や育休取得の報告をすると、一般的な企業では祝福をしつつも「体制はどうする?」等と課題として扱われることが多いと思います。私が以前に働いていた企業も女性社員が多く、育休を取ることについての理解はありましたが、妊娠の発表があるたびに真っ先に浮かぶのは体制や仕事の量のことでした。

ところがCRAZYでは妊娠を発表すると、みんなが本当に喜んでくれているとのこと。

「子供が誕生することって本来はとても喜ばしいこと。もちろん、体制や仕事の割り振りを考える必要はあるけれど、仲間が心の底から喜んでくれる気持ちが伝わってくるから、純粋にうれしいです」

と染谷さんも話してくれました。

「こんな働き方で良いのだろうか」と泣いたことも

ところが、この形が生まれるまでにはいろいろなトライ&エラーがあったそうです。

CRAZY創業メンバーでウェディング事業の最高執行責任者を務める遠藤理恵さんは、社内シッター制度を利用した第一号。遠藤さんは言います。

「職場復帰を検討した時に今の役職を提案されたのですが、その当時、息子の圭都はまだ生後6ヶ月でした。だから復帰をためらったのですが、経営会議で専属シッターをつけられることに決まって。

信頼している友人に運良くシッター役を引き受けてもらったのですが、最初は本当に手探りでした。彼女と一緒に大阪や福岡に出張したり、その際のホテルを彼女に探してもらったり。早朝や夜のMTGなどが重なった時は、生後半年の息子を夜中にお風呂に入れながら、『こんな働き方で良いのだろうか』って泣いたこともあります。シッターの彼女も私と同じ働き方をしているので、彼女も休みがなかなかとれないという問題もありました。

そんな中で、ママ社員も増えて来たので、体制を整えていくことに。シッターさんの人数を増やしたりシフト制を導入したり、ママ社員とシッターさんの休日を合わせるように仕組みを作ったりと試行錯誤を繰り返して、次第に安定した形で社内で子育てができるようになりました」

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「働くことも子供を育てることも人生の一部だ」というたった一つの大事な認識

CRAZYがこういった環境を作れたのは、オフィスに社員が静かに眠るためのスペースがあったり、体に優しい食事が取れる社員食堂があったりと、もともと「CRAZYが働くことと生きることを分けない」という発想で経営されているからでしょう。

社員は会社を運営するための歯車ではなく生きた人間であり、「子供を産み育てることも仕事も大事な人生の一部」である。そういう認識があるからこそ、子育てをしながら仕事ができる環境が作れたのだと私は思いました。次回は、この環境がもたらす社員と子供達への好影響について紹介します。

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編集:水田 真綾 写真:小澤 彩聖 

FELIX 清香SAYAKA FELIX

greenz.jp、Pouch、「ソトコト」等のWEBマガジン、雑誌での執筆や書籍構成、オウンドメディアの立ち上げ等を行なっている。国際交流やエシカル、児童文学、体感型アートに興味あり。プライベートでは、Give & Takeではなく、Give & Giveで経済が回るかどうかをさまざまな取り組みで実験する「ギフト経済ラボ」のメンバーとして、カルマキッチンというカフェイベント等の運営に参加している。 WRITER’S ARTICLES


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