INTERVIEW

“ ほぼ0円 ”で「97名」を採用した、CRAZY初代人事責任者の採用戦略とはー前編ー

創業7年目を迎えたCRAZYは、現在社員数約90名 。そのほとんどの採用を担ってきた人物がいる。CRAZY初代人事責任者、吉田勇佑だ。

約4年前、社員数わずか20名ほどのCRAZYに入社した吉田は、企業内人事については素人同然だった。だが、求人媒体やエージェントを1割足らずしか活用することなく、採用を牽引。

なぜ採用難といわれるこの時代に、一緒に働きたい仲間を次々と採用することができたのか。CRAZY流の採用ターゲット設定、リファラル採用の秘訣、社員のSNS活用について。 CRAZYの採用の裏側を初めて大公開。

「転職希望者」は狙わない戦略

—求人媒体やエージェントは1割弱しか活用していないと聞いています。どのように採用を?

僕らは良くも悪くも求人媒体をほとんど利用していなくて、「転職検討層」にはあまりアタックしてきていないんですよ。

約4年前は求人媒体をつかって、月100人と面談したことはありましたが、全然成果がでなくって…。「入社したら楽しい人生がおくれそう」など、CRAZYに期待する気持ちをもった方の応募が多かったんです。

ですが、創業間もないフェーズには、自分で独立するくらいの実力と意志のある方が必要。「転職したい人」というよりも「今は転職を考えていない優秀で面白い人たち」を狙う戦略に変えたんです。

吉田勇佑(Yusuke Yoshida) IWAI OMOTESANDO General Manager 株式会社VOYAGE GROUPにて、広告営業・新規事業を経験後、新卒採用支援事業を営むグループ会社のサポーターズ創業期に参画。CRAZY WEDDINGで結婚式を挙げたことを機に、株式会社CRAZYへ初代人事として参画。2018年10月からCRAZY WEDDINGの新ブランド “IWAI” のGeneral Managerに就任。

ー彼らのような即戦力人材は、転職市場にはでてきませんし、会社説明会にもきませんよね。

そうなんです。だからこそ、彼らが来たくなる機会を作ろうと、発想をシフトして、今では年50本ほど“ 転職とは無関係なリアルイベント”を開催しています。

僕らのメイン事業は、完全オリジナルウェディング事業『CRAZY WEDDING』です。つまり、空間プロデュースは得意分野なので、リアルイベントを通しての採用であれば、強みにフォーカスできるんです

ーどのようなイベントを?

母集団形成の場として、経営者との対談イベントTOP LIVE」や「キングダム経営論、花火大会、就活生向けの炊き出しなど、いろんな企画をしています。社員数50名だった創業4年目には、新卒社員を14名採用したんですが、うち半数にあたる7名は、「CRAZY LIFE LAB」というひとつのイベント経由でしたね。

CRAZY LIFE LAB」は、優秀な学生を運営側に迎え入れて作った5日間のイベントです。学生界で活躍する精鋭メンバーが、「就活をもっとよくしたい」「ネームバリューや給料等の条件だけではなく、自分のビジョンを大切にしたい」という思いに共感して、集ってくれたんです。

創業4年目は、メイン事業のCRAZY WEDDINGが勢いよく成長している時期でした。組織が拡大したとしても、ビジョンを受け継いで信じてくれる、志とコミットメントの高い「新卒社員」がとにかく必要。結果、このイベントだけで7人の新卒社員を採用できました。

ただ、正直このやり方はもう僕はできないですよ、大変すぎて(笑)。「人事」や「就活生」という肩書きは取っ払って、本気でぶつかりましたから。ですが、企業と就活生ではなく、主体者として仲間になることで、「この先もCRAZYの人たちと一緒に未来をつくりたい」と感じてもらえたのだと思います。

紹介したくなる「脳みそ」づくり

ーイベントの運営メンバーや参加者はどう集めているんですか。

社員みんなで集めますよ。求人媒体をほとんど利用しないので、そもそもリファラル採用が主流なんです。

一般的に、リファラル採用が成功しやすいタイミングは、入社・転職した直後だといわれています。なぜなら、「入社・転職した理由」をもっとも周りに報告したいときだから。入社直後は、紹介したくなる脳みそになっている状態なんですよ。

逆説的に捉えると、この状態をいかに継続させるかが大切。「CRAZYで働く魅力は?」「なんのために入社したの?」と語れる場を、週に1度、月に1度、3ヶ月に3日間設計しています。

日頃から考えていないのに、急に問われても、答えられませんし、おそるおそる発した言葉は、胸には響きません。そもそも社員にとって紹介したいと思える会社であることは前提ですが、日頃から「なぜ・なんのために」を振り返る機会を設けて、自然と紹介したくなる状態にすることが大切です。

また、社員の立場にたてば分かると思うのですが、「友人を紹介してください」といっても、どう声をかけるべきか難しいですよね。「自分だったらどんなイベントにくるのか」を考えてもらっています。今働いている社員こそ元採用ターゲットなので、彼ら自身が参加したい企画であることは欠かせません。

CRAZYは墨田区にオフィスがあるので、毎年隅田川の花火大会を見られるプチイベントも開催しています。花火ならみんな喜んできてくれますし、お誘いしやすいんです。

花火のあとは、オフィスにろうそくを立ててムーディーな雰囲気のなか、二次会をすることもあります。

ーまるでデートみたいですね(笑)。

恋愛もそうですが、心が動かない限り、付き合いたいって思わないじゃないですか(笑)。美しく花火を見ながら、非日常の空間でお酒を飲んでいると、お互いに本音で話しやすいんですよ。

「投稿したい」⇔「うれしい」の循環

ーリアルだけでなく、オンライン上の発信にも力を入れていますよね。

今の時代は、SNSを使えば何千人の方にアプローチができるので、社員に「投稿したい」と思ってもらえるような仕掛けは取り入れています。

SNSを活用しない人のひとつの理由は、写真がないからなんです。どういう写真を撮ったら良いかもわからない。だからこそ、月に1度プロのカメラマンが撮影した、オフィスや社内イベントの写真を提供しています。

自分が映っている素敵な写真があれば、人は自然と投稿したくなるんです。すると「いいね」や「コメント」の反応がきます。うれしいですよね。「投稿したい」⇔「うれしい」の循環が生まれると自然とアップされるようになっていきました。

社員の投稿から興味を持ってくださって、連絡がくるケースは非常に多いんです。Instagramで「#crazyな日々」と調べていただければ、出てきますよ。

ほかにも、LINE@*を活用して、イベントの告知や、職種の募集、記事の紹介を配信しています。「今すぐの転職は考えていないけど、とりあえず登録しておこうかな」くらいの気軽な気持ちで使っていただけるのが良いですね。

今まったく何も考えていなくても1年後には転職を考えたりするので、そのときに思い出していただけるように、ゆるくでもつながっていたいんです。人生は、本当にタイミングなので。

ただ、人事になりたての頃は、どれだけ発信しても、求めていた層の人たちに出会えたわけではなかったんですよ。それこそ苦悩の連続で…。(後編へ続く)

 

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(画像:谷口千博,グラフィック:東和香

水玉綾(@maya_mip)
Aya Mizutama

CRAZY MAGAZINE編集長。フリーの編集者・ライター。HR領域の取材記事を中心に、媒体は「未来を変えるプロジェクト」「新R25」「PR Table Community」「BizHint」「FastGrow」等。三度の飯より愛犬が好き🐩🐾

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