INTERVIEW

「離職率4.5%」の失敗と成功。CRAZY初代人事責任者が、4年間のすべてを語った。ー後編ー

創業7年目を迎えたCRAZYは、現在社員数約90名 。そのほとんどの採用を担ってきた人物がいる。CRAZY初代人事責任者、吉田勇佑だ。約4年前、社員数わずか20名ほどのCRAZYに入社した吉田は、企業内人事については素人同然だった。

そんな彼が、なぜ採用難といわれるこの時代に、次々と人材を獲得できたのか。前編は、CRAZY流の採用ターゲット設定、リファラル採用の秘訣、社員のSNS活用について。後編は、ブランディングチェンジ、「人生観」を重視した採用、吉田の次なる挑戦とは。

ブランド構築⇄母集団形成の循環

ーCRAZYはリファラル採用のために、自社イベントのプロデュースや、社員のSNS投稿にも力を入れていますね。ですが、求めていた層の人たちに最初は出会えなかったというのは、どういうことでしょうか(前編のつづき)。

吉田勇佑(Yusuke Yoshida) IWAI OMOTESANDO General Manager
株式会社VOYAGE GROUPにて、広告営業を経験後、新卒採用支援事業を営むグループ会社のサポーターズ創業期に参画。CRAZY WEDDINGで結婚式を挙げたことを機に、株式会社CRAZYへ初代人事として参画。2018年10月からCRAZY WEDDINGの新ブランド “IWAI” のGeneral Managerに就任。

最近でこそ年50本ほどのイベントをしていますが、2年前までは開催を控えていたんです。集客した人たちが、採用ターゲットと異なるケースが多かったので。

理由を分析したところ、ブランドイメージが課題でした。当時は「全社員世界一周」や「全社員インターンシップ」など、奇抜な取り組みをしていたこともあり、ある種サークルのように自由で、楽しく働けるイメージが先行していました。

しかし実際のところ、自由には責任が伴うし、裁量の幅も広いので、自分でビジネスを進める力がなければ、本人が苦しんでしまいます。ブランドイメージを変えなくてはイベントを開催しても、意味がないと思いました。

そこで、2016年11月にオウンドメディアCRAZY MAGAZINEを立ちあげました。会社が大切にしている働き方や価値観を発信することで、本質的な部分を伝えつつも、ビジネス色を強くしていったんです。

2017年7月にはホームページをフルリニューアルして、ブランドコピー「HUMAN BUSINESS COMPANY」を打ちだしました。人らしく豊かに生きることだけでなく、ビジネススケールや生産性も大切にすると、創業期からの会社のスタンスを、社外に示したんです。

そこから徐々に、声をかけてくれる人の層が変わっていった実感がありますね。ただ母集団形成するだけではなくて、その質をあげるために、ブランディングチェンジが必要なのだと学びました。

とはいっても、「こういう会社です! 」と発信するだけでは効果が薄いので、CRAZYのリアルを感じていただいたトップリーダーの方々に、口コミしてもらえる会社になることを目指していました経営者同士の対談イベントTOP LIVE」はまさにそこを狙っています。

人は、信頼してる人からの言葉に影響を受けるので、たとえば有名な経営者の方が「CRAZYっておもしろいね」と一言呟いてくれたらイメージが変わるんです。Yahoo!アカデミアの伊藤さんやユニリーバの島田さんのような方々からの応援は大きかったですし、本当に感謝しています。

世の中の流れも読みながら、かけ算的に話題になる施策を打つことも意識しています。最近は、日本初の「睡眠報酬制度」を公開したのですが、時間を削減する働き方改革が進んでいる世の中において、逆張りなんですよ。「労働時間」ではなく「睡眠時間」を自分でコントロールするので。国を超えて世界各国のメディアからの取材もいただき、うれしかったですね。

人生を扱う、お客様との深い人間関係

—4年間の採用実績を見ると、中途採用7割のなかで2割はCRAZY WEDDINGで式をあげた方とのことですが、どういうことでしょうか。

結婚式をつくる過程では「どんな人生を歩んできたか」「これからどんな人生・家庭生活を送りたいのか」など徹底的に考えていただくんですよ。そして式では、「2人でこう生きていきます」と大切な人にお伝えするわけじゃないですか。

両親や大事な仲間に、今までとこれからの人生を承認してもらえるので、自信がつき、その体験が人生の転機になる人が多いんです。

たとえば、「給料もいいし、チャレンジはもういいかな」と今までは考えていた旦那さんが「どう生きたいか」という軸で仕事を見つめ直すことはよくあります。

転職に問わず、疎遠になっていた両親と和解したり、夢であった世界一周に出かけるなど、一歩踏み出すキッカケは様々です。

転職してくださった方は、CRAZY WEDDINGを経て、人生における大事な一歩を踏み出せたから、同じ体験をもっと多くの人に届けていきたいという思いで、CRAZYに参画してくれるんですよね。

また、社員とお客様は、式をつくる過程でそれくらい深い対話をしているので、式を終えたあとも友人として交流が続いています。 つながり続けているからこそ、式直後ではなくとも、1年後とかにタイミングが重なって、一緒に働くケースが生まれています。そのほとんどが結婚式以外の業界で働いていた方なんですよ。

離職率は4.5%!「人生観」を重視した採用

—入社した人たちは、新卒・中途ともに定着していますか。

実は離職率は4.5%なんです! 採用面談は、CRAZY WEDDINGと一緒で、関係性を築いたうえで「どんな過去を歩んできたのか」「人生の志はなにか」と、深掘りをします。今その瞬間だけでその人を見ないで、生まれたときからこれまでの人生を想像するんです。

最大でも10回ほどの面談をして、お互いの人生観をしっかり共有し合います。だからなのか、面談では涙を流していただくことが多いんですよ。

入社直前には、全社員に向けて10分間の「ライフプレゼンテーション」をしてもらいます。ビジネス的なプレゼンやスキルチェックではなく、その人の本質は何なのか、あくまで扱いたいのは「ライフ」。そのために、プレゼン前には既存社員がしっかりと向き合います。

これまでの人生を棚卸して、生き方や未来への意志を明確にするんです。こうした面談やプレゼン等の取り組みが今の離職率を支えていると思いますね。Googleが提唱している、サイコロジカルセーフティ(心理的安全)がある状態、つまりメンバーが自分をさらけ出し、遠慮することなく自由に発言・行動できる雰囲気の職場づくりに繋がっているのだと思います。

また、入社前に既存社員に深く向き合ってもらうこの体験は、お客様の人生と向き合うCRAZY WEDDINGのサービスに繋がっています。自分がしてもらった体験がなければ、お客様の人生に耳を傾けることはできないですから。

吉田勇佑の次なる挑戦、事業の最前線へ

—4年間、人事として走り続けてきた吉田さんですが、10月からIWAI OMOTESANDOのGeneral Managerに着任したそうですね。どのようなきっかけがあったのですか。

あえてここで正直に話すと、本当はCRAZYを卒業して、起業することを視野に入れていたんです。外部のメンターの方にも相談していました。20代最後の挑戦として、ゼロから自分でチャレンジしようと思って。

もともと、世の中に素晴らしい家族が増えていけば、幸せに生きる人が増えると信じているんです。人生のコアな価値観をつくるのは、家族ですから。だから親子教育にアプローチするビジネスを考えていました。

ですが、よくよく考えるとCRAZY WEDDINGこそ、家族を作る出発点なんですよね。しかし今は、結婚式を挙げるカップルの年30万組中、300組ほどにしか届けられていません。CRAZY WEDDINGをもっと広げていけば、僕がやりたいと思ったビジョンの実現に繋がると考えが変わっていきました。

人事は大好きな仕事ですが、今年の6月に「最前線で結婚式事業をやりたいです」と代表の森山に伝えました。後任として乾将豪が引き継いてくれることにもなり、IWAI OMOTESANDOの立ち上げ時期とも重なって、General Managerに任命いただきました。事業を作るチャレンジをしたいという志と、愛情が循環する家族を増やしたいという思いがちょうど一致したんですよね。

—後任の採用責任者・乾将豪さんへのメッセージはありますか。

バタバタしてしまって引き継ぎには苦労をかけました(笑)。彼は大学時代から一緒に活動していて、先に入社していた彼の紹介で、僕はCRAZY WEDDINGを知りました。彼はカルチャーをすごく理解しているし、事業の最前線を走っていたエース人材です。

僕がやってきた4年間よりもさらに規模とクオリティが求められているなかで、受け継いでくれたことには、熱くなるものがありますし、本当に感謝しています。やっぱりCRAZYの人事は、キャリアに向き合うことを超えて、人生に向き合う仕事。乾君にしかできない仕事になると思います。応援しています!

左)現・採用責任者:乾将豪(Masatoshi Inui)
新卒1期生として入社。最短でプロデューサーになり、多くの結婚式を手がける。また、過去最多の営業成績を残すも、一時は大病を患い休職し、奇跡的な回復をへて復帰。CRAZYWEDDINGの営業部門でリーダーを務め、驚異の月契約率93%を記録した。現・採用責任者。

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(画像:谷口千博,グラフィック:東和香

水玉綾(@maya_mip)
Aya Mizutama

CRAZY MAGAZINE編集長。フリーランスのライター・編集者。働き方・組織論などのビジネスシーンから、個展やポエミーな文章まで幅広く担当。世の中が美しくなる編集を大切にしている。吉本ばななさんのTUGUMI、ミヒャエル・エンデさんのモモが好き。

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