2020.12.14

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人に投資する会社には未来がある。 前職での出世コースを捨て、経営企画室長を務めるメンバーが語った“今ここにいる理由”

公務員の出世コースで働いていた人が、突然、創業数年のベンチャー企業(しかも、未経験の領域)に転職を決めるということは、きっと勇気のいることだと思います。

5年前に、実際にそのような選択をしたメンバーがいます。現在、執行役員であり経営企画室室長として、CRAZYの経営をリードする井上雄貴さんです。「転職するつもりなんて全くなかった」と言い切るほど、順風満帆にキャリアを進んでいた井上さんは、ある出来事をきっかけに、転職を決意することになります。

CRAZYへの入社直後は未経験な業界や社風に悩み、挫折したこともありました。しかし、高い志を持ち続け、自分の選択を信じぬいたことによって、今ではCRAZYの中心を担う1人として活躍しています。

世の中の情勢が移り変わり、これからのキャリアや働き方について、考え直す機会が増えている今だからこそ、転職を決意してから、今の姿になるまでの井上さんの物語をお伝えしたいと思いました。

CRAZYの経営メンバーとして働くことのリアルや葛藤、そして、見出しているやりがい、が詰まった内容になっております。未来を見据え、今と向き合う全ての人に届いたら嬉しいです。

(聞き手:尾崎)

井上 雄貴
執行役員 経営企画室室長

東京都庁財務局で、都債発行による資金調達や庁内部局の決算業務に従事。理想の社会づくりの難しさを実感する中で、山川咲著書「幸せをつくるシゴト」と出会い、CRAZYを知る。CRAZYは新たな視座・視点から社会を変革する力を持っていると確信し、創業期に参画。CRAZY WEDDING 大阪支社責任者、新規事業 IWAI OMOTESANDOの責任者を経て、現在は執行役員として経営企画室室長を担う。

感情をなくしたロボットが、自分の意志でまっすぐに生きることを決めた

尾崎:

雄貴さんは元々、区役所で働かれていましたね。どうして区役所を選んだんでしょうか?
 

井上:

実は、中学時代に当時は完治が難しい難病に指定されていた腸の病気にかかったことがあるんです。いろいろな投薬をしたり、絶食期間を繰り返したりとなかなか大変な闘病生活を過ごしていました。入院を繰り返す生活の中で、本を読みあさっていた時に『全部自分の気持ち次第で世界を変えられる』という一節に出会いました。それから、毎日「自分は治る」といい聞かせる日々を送っていたら、なんと、病気が完治したんです。
 

尾崎:

すごい体験ですね!
 

井上:

うん。この体験を通して、将来は自分みたいに、本人の意志に関わらず苦しんでいるマイノリティーや社会的弱者を助けられる仕事をしていきたいと思って、公務員を目指すことにしました。
 

尾崎:

なるほど!
 

井上:
公務員の中でも、住民の一番近くで働きたいと思って、23区の中でも人気ナンバーワンである港区区役所に入りました。ここを変えられたら、ゆくゆくは日本を変えて多くの人をサポートできる。自分が区長になって、有名になって、日本を引っ張っていきたい!と、情熱を持っていたんですね。そんな姿を人事の方がみてくれていたようで、将来性がありそうだと、東京都庁への異動を打診してくれたんです。都知事の直下で働くようになり、そこから、都財政全般とりわけ資金調達を任せてもらっていました。

 

尾崎:

やりがいはとてもあったと思いますが、なぜ転職を考えるようになったのですか?

 

井上:

一言でいうとしたら、自分を犠牲にしていると気付いたから、かな。

そこに気付いたら仕事が全然楽しくなくなっていったんです。数値を毎日見て、調整業務の繰り返し。小さな積み重ねが、都民のためになると思って働いていたけれど、都の財政と住民一人一人の生活の間で葛藤し、当たり前のように綺麗事だけじゃない環境に身をおく中で、自分の純粋さを守るために、ある意味心を殺して仕事をすることを覚えてしまいました。
 

尾崎:

それで、働くのがきつくなって…
 

井上:

そうですね。でも、それに気付いたのは、たまたま会った親友から「お前はマジで感情がないロボットになるぞ」って言われたときだったんです。そこで、彼は何かの役に立つと、咲さん(山川咲:CRAZYの創業者)がCRAZY WEDDINGを立ち上げた軌跡を綴った、“幸せをつくるシゴト”という本を貸してくれました。

そこに書いてあった、世の中の常識に埋もれず、自分自身が信じた道を突き進む咲さんの物語に触発されて、もうボロボロ泣いちゃって(笑)。

こうやって、自分の意志でまっすぐ生きる物語があるんだということを知って、自分自身も何かを変えたいと奮い立ちました。

 

尾崎:

運命的な出会いですね!その後、どこで入社を決断したんですか?

 

井上:

後日、こんな集団が本当にあるのか確かめたくて、採用イベントに足を運び、代表の森さん(森山和彦:代表取締役社長)の話を初めて聞きました。

そこで、森さんが語った「会社に従う人、という意味の“従業員”ではなく、一人一人が自分の意志を持って生きることと、経済成長を両立させられる新しいカイシャを作り、世界を変えていきたい」という考え方に心を打たれました。

しかし、僕も斜めにものをみるタイプなので(笑)、最後に、「本当にそんな世界が実現できるのか?」とうがった質問をしてみました。すると、真っ直ぐ、嘘のない目で「絶対にできます。僕には3億倍の自信があります」と言い切る姿を見て、ここで、理想のカイシャ作りを学ぼうと、CRAZYに入社することを決めたんです。

入社後すぐは“感情”に苦しみ、同時に救われた

尾崎:

入社後すぐに、経営に携わるようになったんでしょうか?

 

井上:

いや、森さんとも話して、お客様の人生と寄り添い、理想をかなえる仕事には経営のイロハがあると考えて、最初はウェディングのプロデューサーからはじめました。

 

尾崎:

初耳です!笑

 

井上:

そうだよね(笑)実は、この仕事がすごく難しくて。

入社当初は、公務員時代に学んだことで活躍できると考えていたんだけど、全然違くて。CRAZYは人の感情を大切に取り扱う集団なので、それをあまりやってこなかった自分は、仲間にオープンに感情を共有することが怖かったり、それにより萎縮して仕事のスピードが落ち成果が出せず、挫折しました。

正直、自分の能力の無さを感じて、辞めることを考えるくらい苦しみましたね。

 

尾崎:

そうだったんですね…。辞めてしまいたいと思うほどの高い壁を、どうやって乗り越えていったんですか?

 

井上:

そんな状況を変えた体験が2つあります。

一つは、自信を失っている時期に、仕事中にもかかわらず、勇佑(吉田勇佑:現IWAI総支配人)が、「ちょっと散歩しましょうよ」って誘ってくれたことです。

そこで、仕事の同僚としてではなく、友達のようなスタンスで「僕は、ゆうきさんの可能性を信じています」と伝えてくれました。短い時間でしたが、自分の傷ついた尊厳を回復してくれましたし、「こいつとなら、情熱交わしながら仕事できるし、もう1回頑張ろう」って思えたんです。
 

尾崎:

同じ目線で語り合える仲間の存在があったんですね。
 

井上:

そして、2つ目は入社1年後(2016年1月)に、全社員で行ったパタゴニア研修です。研修のスタートに、お互いに感じていることを送り合う時間で、メンバーから「他人を巻き込んだ世界を生きること。他人と共感し合うこと。感情をもっとシェアすること」という言葉をもらいました。

その言葉を胸に、パタゴニアの大自然の中で過ごしていく時間は、自分を客観的に振り返る機会になり、少しずつ自分の感情が見えてくるようになりました。そこで、日頃から「絶対自分は結果を出せる。不安なんかない」そう言い聞かせていた自分にも、「不安定な道を歩むことや、自分の恐怖心を共有することへの恐れ」があるという本心に気付きました。

そして、これを周りのメンバーに共有できたとき、人との繋がりや、大自然に支えられている安心感などを感じ、心の中にあった「自分は人や世界と離れたくない。もっとつながっていたい。」という、純粋な願いに気づいたんです。

 

尾崎:

自分の本当の感情に気付いた瞬間だったんですね。

 

井上:

“感情”に苦しめられたけれど、それを救ってくれたのも“感情”でした。

その後、チームメンバーだった勇佑と「すぐにCRAZYの経営者になろう。」誓いを立て、大阪支社の支社長に着任したりと、感情とロジックを両立しながら、マネジメントする役割として歯車がうまく回るようになったんです。

特に、大阪支社では、1年の目標を半期で達成するなど経営的にインパクトのある成果も出し、そこに所属しているメンバーも幸せに働いてくれました。やりたかった組織づくり、やりたかった世の中づくりの、成功体験を得ることができました。

 

井上:
あと半期は楽できると思っていた矢先に、取締役の熊谷から声がかかり東京に戻され(笑)IWAI OMOTESANDOの立ち上げや事業責任者を経て、経営企画室の室長に至ります。

時には少年の姿ですべてをさらけ出すことが、自分のスタイルになった

尾崎:

現在は、会社の財務を管理する立場にありながら、仲間の感情も大事にする組織作りにも尽力されていると思います。一見すると、都庁時代の役割に近くなっているかなと思いますが、何か変わったことはありますか?

 

井上:

確かに、やりたいことはメンバーの近くで共に苦しみ、喜び合うことなんだけど、得意なことは数字とか着実に進める裏方の1人で集中する仕事だったりで、ジレンマみたいなものは感じています(笑)

 

尾崎:

その中で、心を殺さないようにするために、どのような工夫をしていますか?

 

井上:

時々、全力で少年になる!ということですね!(笑)

常にメンバーの前で仕事モードの自分でいるのではなく、時に、少年で超いたずらっ子の自分に戻っていくんです。まぁ、これもメンバーから「ゆうきさんって本当は少年ですよね。少年っぽさを出さないと、ただの怖い人になっちゃうからどんどん出してください!」って言われたのがきっかけだったんですが。

 

尾崎:

メンバーからの一言で自分のオンとオフの姿に気付いたんですね。“少年”を出せたことによっての一番の変化って何でしたか。

 

井上:

自分が感情を出しても受け入れてくれる、仲間がいるなと安心できることです。それによって、お互いの信頼関係がより深まるんですね。

みんな、きっと少年少女の頃のような無邪気な姿もっていて、その素の人間性をお互い認め合っていると、逆に仕事モードの時には、遠慮し合わず議論をしたり、成果に集中したコミュニケーションが取りやすくなるんだ思います。

それも、CRAZYで働く中で気付いたことでした。

 

尾崎:

チームが応えてくれる安心感があるからこそ、個人でもベストパフォーマンスが出せるんですね。入社してから5年間、改めて転職の選択は正解だったと思いますか?

 

井上:

うん。一点の曇りも無くそう思えています。

特に、世界的にも誰も経験したことがないこの状況下で、森さん、そして、志を持って入ってきたメンバー達がどう意思決定し、どう動くかを一緒に学べることはすごく貴重だと思います。もうリアルな研修所みたいな感じですね。

だからこそ、当たり前に苦しい時もあるし、自分自身の未熟さに対して苛立つ時もあります。でも、そういう時は、「この苦しみをどう乗り越えるのかを学び、新しい社会をつくるために、出世コースを捨ててまでここに来たんだ」って鼓舞するんです。

それの繰り返しですね。

 

CRAZYで学べるのは、人間性の成長と矛盾を超えた第三の解を生み出すスキル

 

尾崎:

苦しい状況を乗り換えていく中で、どんな成長があったと思いますか?

 

井上:

CRAZYはいつだって、仕事と人間関係をどちらも大事にしようとする環境です。だから、本来、会社では見て見ぬふりをするような人間関係の“不和”までも解決しようとわざわざ扱っている。

一見したらそれは非効率だけど、そうやって人間と向き合うことによって人間性を磨くことができますし、矛盾を超えた第三の解を生み出すスキルも、かなり成長すると思います。

不確性が増していくこの時代で、今までの論理では予測できない世界に突入していくと思います。そんな中で、目の前の人と向き合いながら、一つずつ矛盾を超えていくスタンスは、次世代の経営者を目指す人にとって、必要不可欠なスキルだと感じています。

 

“人”に投資する会社には未来がある

尾崎:

では、CRAZYで、ゆうきさん自身はどういう未来を作っていきたいですか?

 

井上:

婚礼業界はいま、変化の時にあると思います。その中で、僕らは、テクノロジーや人材育成、感動コンテンツ作りのノウハウを用いて、今までのビジネスモデルとは全く違うものを、生み出そうと挑戦しています。大変な時だからこそ、第三の解を模索していく中で、ウェディング業界に希望を灯せる存在になっていきたいと思います。

さらに、PURPOSE(パーパス)の変更によって、他の業界とも一緒に仕事をしていく機会が増えていきます。今までの結婚式ビジネスに関わっていなかった人が、結婚式の良さを再認識し、可能性を感じるようになれば、業界も少しずつ盛り上がっていくと思います。

 

尾崎:

それは、結果的に日本の幸せの量が増えていくことに繋がりますね。

 

井上:

そうだね。

正直、僕らは今、コロナ禍の影響を受け逆風の中にいます。でも、個人的にはすごく希望を持ってるんです。なぜなら、企業にとっての最大の資産であり、戦略の鍵だと思っている「人」に対して、投資し続けているからです。日々、人と向き合い、人間関係と仕事のどちらもを大事にする文化を持っている環境だからこそ、V字回復するチャンスが必ずくると信じています。


*CRAZYは中途社員を募集しています。

異業種からのチャレンジも大歓迎です。(詳細はこちら)

インタビュー&ライティング:尾崎 友紀
編集:佐藤史紹


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