2017.12.29

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<社外秘初公開>組織文化を浸透させる秘訣とは? CRAZY初の公式オフィスツアーを開催しました。

新しいビジネスが生まれ、すぐに模倣されて一般化していく時代。事業ライフサイクルが短い現代において、多くの創造的な企業が、新しい事業を生み出すために必要なものとして「組織文化」をあげています。ベイン・アンド・カンパニーの「経営管理の手法と傾向に関する世界調査」でも、グローバル企業幹部の91%が「組織文化は戦略と同じくらい重要である」と答えています。そして、組織全体に浸透してこそ文化と言えます。

CRAZYでは、組織文化の浸透に対して、様々な実験をしてきました。その実験結果を社会に共有することで、多くの人とともに組織の新たな可能性を模索していきたい。そんな思いから、社外秘初公開の公式オフィスツアーを開催。CRAZY独自の取り組みを体験・見学してもらい、じっくりと語り合いました。

集まったのは、企業の代表や、経営コンサルタント、人事部で働く方など、組織を引っ張っていく立場にある方々。皆さんはオフィスツアーに参加してどのような感想を抱いたのでしょうか。イベントの模様を感じてもらえるように、WEB上オフィスツアー的に紹介します。

数字で見るCRAZY

イベントは「CRAZYを数字で紹介する」という内容から始まりました。ここでクイズ。19%。この数字は何を表しているでしょうか。

様々な数字を取り上げて、CRAZYを紹介しました。

19%は、CRAZY WEDDINGの結婚式を経験している社員の数です(2017年12月30日現在は、20%超)。CRAZY WEDDINGというウェディング事業から始まったCRAZYは、挙式を行なった新郎新婦が後に、人生やキャリアを見つめ直し、CRAZYでの挑戦を決断して入社するというパターンが非常に多いです。

また、初回のツアー参加者限定で、年間かけている社員の研修費も公開しました。その数字の大きさに驚く人も。人生100年時代*1では生涯学習が必要だといわれていることや、よりクリエイティブな発想・感性を育み、社員の成長を通して世の中に新しい価値を生み出せるようにしたいという思いから、社内研修を頻繁に行っているのです。

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真剣に聞く参加者の皆さん

社内研修の内容はスキルアップだけでなく、時代の変化に対応するために必要なマインドセットや、日頃の疲れを癒すようなものも。これは「仕事とプライベートを分けない」というCRAZYの考え方から生まれたものであり、100年時代において社員が活躍できるように仕組みを整えています。

オフィスツアーでは、このようにいくつかの数字をあげ、参加者の方々にその内容を想像してもらうという方法でCRAZYを紹介しました。

独自の「シェア」と「握手」で、場をつくる

数字で紹介した後は、独自の組織文化を体験。CRAZYには、毎朝各部署の朝礼で取り入れている習慣があります。それは「握手」と「シェア」です。「握手」は文字通りの握手ですが、慣れていない日本人は、時に指先だけを軽く触れ合うだけのおざなりな握手をしてしまうことも。そうではなく必ず相手の目を見てしっかりと手を握ります。一緒に働く仲間のコンディションや、関係性を感じた上で仕事をスタートしていくのです。こうしたスキンシップが、信頼感を高め、生産性を上げるという研究結果も出ています。

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生産性を高める握手の秘密

握手をする参加者の方々。手をふれあい、しっかり見つめ合うことで緊張がほぐれ、人としてのつながりが生まれてきます。

「シェア」とは、ネガティブなこともボジティブなことも含めて、自分の気持ちを率直に話すというもの。聞き手は、話に「良い、悪い」の判断を下さずに「そうなんだ」と、受けとめる姿勢が大切になります。このような率直な気持ちを吐露し、受け止めあうシェアの習慣が、多様な人と意見を許容する文化を醸成しています

今回は、参加者を3チームに分け、チームごとにCRAZY社員を一人配置して、このオフィスツアーに参加する動機や思いをシェアし合いました。

率直に語り合う参加者。人となりが伝わり、チームに安心感と連帯感が生まれてきます。

シェアでは、こんな声も出ました。

”叱咤激励してガンガンとひっぱる手法でチームを運営すると業績は上がりましたが、人間関係はギスギスしてきました。そこで暖かな雰囲気を作ろうと心がけると、業績が下がってきました。ワクワク感を盛り上げながら業績を高める方法のヒントがCRAZYにはあるのではないかと思い、参加したんです。”

”今、組織を大きくしていくフェーズにあります。制度とカルチャーをどう作っていくべきかを考えているので参加しました。”

オフィスを「リノベーション」した背景とは

ツアーに参加した動機のシェアが終わったところで、オフィスの紹介が始まりました。先ほどシェアを行なった3チームに分かれ、チーム内のCRAZY社員がオフィスに込められた思いを紹介していきます。

CRAZYでは、前述の通り「仕事とプライベートを分けない」という考えを大切にしています。これまでは仕事とプライベートを完全に分けて、どうバランスをとるかについて議論されてきましたが、今後はプライベートの活動が仕事に置き換わったり、仕事こそがもっとも楽しい遊びになったりと、境界線が曖昧になっていくのではないでしょうか。CRAZYではそういった発想で、仕事とプライベートの「境界線が曖昧なオフィス」を作ろうと、もともと繊維工場だった場所を自分たちでリノベーションをしました。家なのか、オフィスなのか、非常に曖昧なつくりになっています。

また、オフィスを施工会社さんに頼むのではなく、全社員でリノベーションしたことにも理由があるのだと、CRAZY社員は参加者に説明をしていきました。その理由は、自分たちの手で作ることで、オフィスの空間や仕事を「自分ごと」に捉えるメンタリティが高まるから。リノベーションそのものが、組織文化を育む1つの取り組みでもあったのです。

オフィス1Fには「BLANK」という名前のカフェがあります。クラウドファンディングで550万円の支援金を集め、おいしくて体に良いものを提供できるカフェを作りました。

オフィス1Fにあるカフェ「BLANK」。名前をあえて「空白」にしているのは、お客様それぞれがカフェにくる目的や価値を大切にして欲しいから。社外の方もふらりと入店可能です。

社外の方も入店可能にしているのは、社外と社内の境界線を曖昧にしたいから。オフィスがある墨田区の方と交流したり、カフェで仕事をしている社外のフリーランスの方と、話が盛り上がり新しい企画が生まれたりすることもあります。今回のオフィスツアーの参加者の一人は、カフェの利用者でもありました。

「仕事とプライベートを分けないこと」を大切にしているため、子連れ出社を推奨している。この日も社員の子供がシッターさんとともにオフィスを通っていきました。

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フリーアドレスのオフィススペース

境界線を曖昧にするため、フリーアドレスにしたオフィス。社員同士のパーソナルスペースを縮めるべく、人が安心して話せる距離感を緻密に計算した設計になっています。オフィスの床も、社員が貼りました。

こちらもどうぞ(3Fオフィスの様子を360度カメラで覧になれます):
【ITベンチャーおしゃれオフィス20選】株式会社CRAZY

3F以上は、通常は社外の方がなかなか入らない場所。いつも通り社員が仕事をするところを見学しました。

理想の生き方をするための手段としての制度

続いてオフィスツアーは4階へ。ウェディングやイベントに使う装飾品が置いてある部屋を抜けると、照明を落とした落ち着ける図書室のような空間が。そしてそこにはお題が置いてあります。内容は「制度とは何か」。何だと思いますか?

本は貸し出し自由。経営や組織にまつわるものから、漫画まで幅広いジャンルの本が置いてある。

チームの話し合いでは、こんなコメントが出ました。

”やること、やったらいけないことの境界線を示すものではないでしょうか。それがわかれば、自分がやることに集中できます”

”人と人とがともにいることは良いことですが、ぶつかることもあります。よりよく繋がるために必要なものが制度なのではないでしょうか”

CRAZY社員からは、「CRAZYでは、制度は社員を縛るものだとは考えていません。CRAZYには『仕事とプライベートを分けない』という考え方がありますが、そのためには理想の生き方を、仕事をしながら叶えていく必要があります。理想の生き方のために、大切なことを明確にし、それを実現するための手段の1つが制度なんです」という説明がありました。

経営陣も一緒に食べるランチタイム

ツアーが終わるとランチの時間です。CRAZYでは経営の優先順位の1番に「健康」を掲げています。オーガニックの食品を使った手作りのランチを、給食のように提供する仕組みを構築しました。今までに提供してきた食事数は創業5年目の1年間だけで、なんと51,750食! 毎日担当の社員が料理をし、社員全員で配膳し、みんなで分け合って食べ、お皿を洗います。この日はCRAZY社員とともに参加者の方々もランチをとりました。

社員とともに「いただきます」。ご飯がおいしいとお代わりをする参加者が続出していました。

この日のランチは玄米ご飯とスープ、車麩の煮物と青菜のおひたし。いつもおかずはみなで分け合って食べています。お代わりは、自由!

毎日のランチでは、社長やアルバイトの方々も一緒におしゃべりを楽しみながらランチをしています。

手書きのお手紙タイムで終了

その後は振り返りのシェア。朝と同じように、このツアーで感じたことをチームでざっくばらんに話し合いました。たとえば、こんな意見が出ました。

”CRAZYはオフィス全体や制度から理念を伝えていて、理念を発信、共有したり文化を醸成したりするのがとても上手いと感じました。大きなヒントをもらいました”

”CRAZYとは理念が似ていると思って参加しましたが、自社の組織や風土作りの方向性を考え直したいと思いました。さっそく明日から変えていきます”

自分たちの感想を熱く話し合う参加者

そして、最後にCRAZYから参加者の方々にブルーの便箋とペンが渡され「今日感じたことを一番伝えたいと思う人に、お手紙を書いてください」と伝えられました。参加者は上司に、同僚に、部下に、ビジネスパートナーに向けて、じっくりとお手紙を書いていました。

真剣な面持ちで手紙に向かう参加者の方々

ツアーを終えて〜企業の可能性〜

CRAZYは企業の可能性を模索しているビジネス集団。既存の考え方・働き方にとらわれず、業界・事業を本質から考え、新たな可能性や真に理想だと言える組織運営の取り組みを発明しています。今回の組織文化浸透に対する取り組みもその一つ。ただし、CRAZYの方法は一つのサンプルであり、現在のCRAZYの方法だけが正解ではありません。またCRAZY自体も規模の拡大や時代の変化とともに進化していきます。

今回のツアーは、CRAZY社員にもたくさんの気づきが生まれ、新しい社会に向けて一歩前進を感じられた時間でした。通常は社外の方には公開していない場所も含めて紹介したオフィスツアー。気になる方はぜひ次回のオフィスツアーに参加してみてくださいね。

参加者のみなさま、ありがとうございました!

*1 健康寿命が高齢化し、人々が平均100歳前後まで生きることが可能になった時代のこと。リンダ・グラットンが著書『LIFE SHIFT』で人生100年時代での社会生活や労働形態の在り方について分析を行い、その概念が大きく知られるようになった。

FELIX 清香 SAYAKA FELIX

greenz.jp、Pouch、「ソトコト」等のWEBマガジン、雑誌での執筆や書籍構成、オウンドメディアの立ち上げ等を行なっている。国際交流やエシカル、児童文学、体感型アートに興味あり。プライベートでは、Give & Takeではなく、Give & Giveで経済が回るかどうかをさまざまな取り組みで実験する「ギフト経済ラボ」のメンバーとして、カルマキッチンというカフェイベント等の運営に参加している。


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