2017.03.23

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ダンボールの上で仕事!? 壮烈な創業インターンを経験した学生、幣春菜さんをインタビュー。

CRAZY WEDDING大阪支社は立ち上げから2年が経過した。今ではプロデュースした結婚式は合計48組。1組につき約半年間をかけて結婚式を創っていくことを考えると、これは並大抵の数字ではない。大阪支社がここまでこれたのは、とある1人のインターン生の力が大きかった。それは立ち上げ当初から2年間インターンとして共に働いてくれた、学生の幣春菜さん(通称へいちゃん)だ。大阪支社がどれほど彼女に助けられたかを語りだすと、枚挙にいとまがない。

初対面の印象はクールで、芯の強そうな女性。話しかけると意外とお茶目なへいちゃんだけど、仕事をしている姿は、まさか学生だとは思わない程の貫禄と責任感が垣間見える。そんなへいちゃんが、インターンを辞めることを決断した。今回は、大阪支社の縁の下の力持ちでありながら、謎のベールに包まれている彼女の本音に迫ってみたい。

まさかの大学1年生で、採用イベントへ

― へいちゃんは、どうしてインターンをはじめることにしたの?

理由は2つあって。1つはウェディングプランナーになることがもともと夢だったから。というのも、私は親が再婚しているので家族のことで悩むことも多くて。今の時代そうした悩みを抱えている人ってたくさんいる。私はプランナーという仕事を通じてそれに寄り添える人になりたいと思ったんです。

もう1つは、昔から自分の個性がないという理由で悩んでいたから。なので、もし私がウェディングプランナーになるなら、個性を引き出して表現できるようなウェディングをつくりたいと思っていました。検索しているとCRAZY WEDDINGというブランドが、すでにそういうウェディングをやっていることが分かったんですね。先にやられて悔しい! と思いながらも、勉強させてもらおうと思って東京まで行ったんです。

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― しかもそれ採用イベントなんだよね、当時大学1年生で。その行動力に、CRAZY社員もさぞかしびっくりしたと思うよ!

そうかもしれない(笑)。ちなみに採用イベントがあることは前日に知ったので、すぐに身支度をして東京へ向かったんですよ! あのときの直感と行動力には、今でも自分を褒めてあげたいくらい。今振り返ると、この時の行動が今を作っているんですよね。当時はもちろん何もスキルとかは持っていなかったけど、思い切って行動をしたことで本当に人生が変わったなと思います。

― 実際にCRAZYに触れてみて、どうだったかな?

感情を嘘偽りなく表現していることがすごく刺激的でした。

ランチ*1を一緒に食べたのですが、一見うるさいと思うくらいきゃーきゃー話していて。世の中には、こんなにも自分の気持ちに素直に、感情や個性を表現できる人がいるんだ、って。私は「クールだね」とか「何を考えてるか分からない」と言われることが多いのですが、CRAZYの人たちを見て、私ももっと自分を表現できる人になりたいと思いましたね。

―確かにへいちゃんは何を考えているか分からないときがあるかも(笑)。でも自分の心や頭の中で深くじっくり考えてから、外にアウトプットするタイプの人もいるから、私はそんなに気にならなかったよ。むしろそのミステリアスで独特な感じが好きなくらい!

ありがとうございます。でも昔より最近は、インターンをしたお陰なのか、自分を表現できることが増えてきたように思います。

大阪支社メンバーで結婚式後に打ち上げをした帰りの写真。楽しそうにくっついて撮影をしているこの距離感からは、社員とインターン生の垣根は全く感じられない。へいちゃんが、メンバーにとても頼りにされていたこと、メンバーと苦楽を共にしてきた仲間であったことが伺える。

ダンボールにMacを置いて仕事をする日々!?

― そうなんだね。インターンが始まってからはどんな日々を送っていたの? 立ち上げ当初だから、本当に整っていなかったんじゃない?

そうなんです。私の最初の仕事は、家具のサイズを決めるためのマンションの採寸でしたから。もちろん机も椅子もないので、地べたに座ってパソコンで仕事をしていました。そこでいちろうさん*2が「へいちゃん!机きたよ!」と言って持ってきてくれたのは、いちろうさんの住み込み荷物が入っていたダンボールでした(笑)。そのダンボールを2つ並べて「快適だね」と話していたのが懐かしいです。

― その体験すごいね、面白すぎる。大学1年生で初めて参加したインターンの職場がその状態って、不安に思うことはなかったの?

ありましたよ〜! だってダンボールの上での仕事ですよ。でも、必死にばんばん電話をかけるいちろうさんとよしこさん*3の姿や、真剣な顔を見ていると、この人たちの想いは本気だからちゃんと信じていいんだなと感じて。

― そうだったんだね……。いちろうさん、よしこさんがこれを聞いたら喜ぶだろうなあ。へいちゃんはどんな仕事をしていたの?

主に結婚式を一緒に作るキャスト*4まわりの仕事をしていました。キャスト採用募集と説明会、面談、実際に結婚式に入るための事前研修やシフト調整。それ以外では、毎日の料理も作っていましたね!

東京で開催されたキャストリーダー会にて、サプライズで誕生祝いをしてもらったへいちゃん。歳が近い人たちに「教える」接し方ではなく「大切なことを伝える・向き合う」接し方をするへいちゃんの姿に、同世代からの尊敬の声も多い。

バンクーバーで、WEBデザインを

― キャストまわりの仕事はへいちゃんに一任されていたよね。ダイニングチーム*5が大阪にくるまでは、料理まで作っていたんだ。仕事の幅も責任も大きい中で大変だっただろうなと思うのだけど、どうして続けられたんだろう?

そうですね…..最初に言っておくと、何回も辞めようと思ったんですよ(笑)!

これが私のやりたいことなのかな? と疑問を持ったり、立ち上げからみんなで一緒に働いてきたけど、やっぱり社員とインターン生の違いを感じて寂しくなったり、泣いて帰ることもありました。それでも「まだここで何も残していないのに、このまま辞めたくない!」という想いが強くて。

― 反骨心が、とどまらせたんだね。そんなへいちゃんだけど、とうとう辞めるんだよね……。感慨深い。2年間本当にお疲れさま。やり残したことはもうないかな?

はい、それはもうないです。想いがきちんと届いて、次を担ってくれる人も育ってきたので、そろそろ私が次のステップに行かないと、キャストの皆も十分羽ばたけないと思ったんです。私がCRAZYの採用イベントに参加したことを機に、未来が大きく拓いたように、次へ次へと新しい道に進んでいくことが私はもちろん、次を担うキャストの人たちにも大切だと思って。

― 縁の下の力持ちが居なくなってしまうのは大阪支社にとって大変なことだけど、それによってもっと大阪支社が成長していくんだと思うな。辞めた後はどうするの?

バンクーバーへ行き、WEBデザインを学びます。何で海外かというと、この2年間で人間として基盤となる価値観は作ってこられたけど、私はこれできます! と自信をもって言える「武器」はまだなくて。それを手に入れるために知らない人ばかりの海外に行って、どこまで自分ができるか試してみたいんです。

また、素敵な活動をしていても表現の仕方によってその魅力が伝わっていないサイトも多いなと思っていて。私は自分の気持ちを表現するのが苦手な人間だからこそ、自分と同じように外に表現できていない人の想いや感情を引き出して、形にできる人になりたいと思ってWEBデザインを選びました。

― へいちゃんらしくてとっても素敵だと思ったよ。聞かせてくれてありがとう! 最後に、どんな学生にCRAZYインターンを薦めたいか教えてほしいな。

今選択している道が絶対に正しい!と思っている人ほど薦めたいですね。というのも、これが絶対に正しいと思っている時は、自分の固定概念や社会的な正しさで固められている部分があると思うんです。かつての私がそうであったように。でもそんな人ほど「こういう考えも合うんじゃない?」「こういう人になりたいんじゃない?」「本当に望んでいることは何なの?」「何を感じているの?」とたくさん問いを投げてもらうことで、外に目を向けて、何度も問い直し、時には足を動かしてチャレンジをしていくことで、世界が広がると思うんです。私はそうやって、今までの自分が小さい枠の中で生きていたということに気づくことができました。

だから、今選択している道が絶対に正しい!と思っている人ほど、インターンに挑戦してみてほしいなと思います。

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先日、東京オフィスにへいちゃんが来た。インターン卒業を前にして、丁寧に東京メンバーにも挨拶をしに来てくれたのだった。

CRAZY WEDDING創設者である山川咲は大阪に出張した際、へいちゃんのことを「CRAZY史上最高のアテンドだった」と言っていた。その理由がとっても分かる気がする。

自然体で媚びない姿は、肩の荷を楽にしてくれる。でも丁寧な気遣いを当たり前にやってのけるものだから、そこに大きな「愛」があるのだなあと感じてしまう。

心の声を表に出しにくいと言っていたけれど、実はへいちゃんの伝えたいことは、立ち居振る舞いや在り方で、伝わっているんじゃないかな。

バンクーバーでWEBデザイン。

彼女が望んだ「武器」が手に入る、
大きな挑戦かもしれない。

でも、もう、もっているよ。

へいちゃんの人としての在り方が、
きっと、最強の武器なんじゃないかな。

*1 ランチ
CRAZYでは毎日、手作り自然食ランチを全社員で一緒に食べる。経営の優先順位の第一に「健康」を掲げているので、素材にこだわったランチを食べることは仕事をする以前に大切なことだ。また、全員で「いただきます」をし、同じ釜の飯をつつくことで、社内のコミュニケーションを円滑にする狙いもある。

*2 いちろうさん
榊 伸一郎。CRAZY WEDDING創業メンバーの一人。新卒でIBMに入社後、3ヶ月で退社をし、数年間フリーのエンジニアとしていくつもの事業の立ち上げに携わった。その後森山や山川と共にCRAZY(当時UNITED STYLE)を立ち上げ、現在はCRAZY WEDDINGのマーケティングを担っている。

*3 よしこさん
岡本 佳子。「CRAZY WEDDINGを大阪でも挙げられるようにしたい! 」という想いのもと、大阪支社を立ち上げた。最近長期休暇を取得するGreat Journey制度を活用していた。(記事:世界一周をする企業

*4 キャスト
CRAZY WEDDINGの結婚式当日を一緒に創作・運営しているメンバーのこと。東京には2017年3月10日現在87名が在籍しており、そのうち43名が平日は別の仕事をしている社会人だ。へいちゃん率いる大阪には35名在籍しており、そのうち7名が社会人である。

*5 ダイニングチーム
CRAZYの健康的な食を提供しているチーム。いわばCRAZYの「お母さん」。毎朝のおにぎり、昼食、そして夜ごはん、さらにはお菓子までを手作りしてくれている。

*6 アテンド
CRAZYでは2通りの使い方をしている。1つは結婚式当日に新郎新婦の側について案内・誘導する人のこと。もう1つは、今回の例のように講演会やイベントをする際に、登壇者の1番近くで機転を利かせてサポートをする人のこと。
 


※CRAZYは一緒に働く仲間を探しています

編集:高橋 陽子

水玉綾(@maya_mip)AYA MIZUTAMA

CRAZY MAGAZINE編集長。フリーの編集者・ライター。HR領域の取材記事を中心に、媒体は「未来を変えるプロジェクト」「新R25」「PR Table Community」「BizHint」「FastGrow」等。三度の飯より愛犬が好き??


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