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『君は確率を逸脱できるか』突き抜ける学生の実行論-kokokara未来会議レポート-

社会課題に対して真剣に考えるだけではなく、明るい未来を描き議論を重ねる。それが「kokokara未来会議」だ。10月14日から2日間に渡り開催された株式会社kokokara Group主催の本イベントには、全国から情熱的な学生が集合。社会人と一緒に、企業、行政、学生といった垣根を超えて議論し行動する、最初の一歩を踏み出した。弊社代表の森山は、初日に行われたセッション「これからリーダーになる君たちへ」にスピーカーとして登壇。3名の活動家と共に語った成長の秘訣をレポートする。自分が何者か、何を成していくのか、日本の未来を担う君たちへ―。

登壇者
塚本廉氏(Ren Tsukamoto)
シリアルアントレプレナー
高等専門学校を卒業後、株式会社日立製作所へ入社。都市開発システムに従事。日立製作所の代表として技能オリンピックに出場。数年の勤務後、東京大学に入学。入学直後に企業と学生のマッチングサービスで起業。その後、アジア・中東・バルカン半島に様々な事業を展開している。主な事業形態としては、IT、投資、人材、教育。近年は第一線から外れ若者達のサポートや育成に従事する。

金山裕喜氏(Yuki Kanayama)
公益財団法人京都高度技術研究所

日亜化学工業株式会社にて半導体レーザー、LEDの研究開発、製造技術開発に従事。その後は京都市役所の産業観光局に転身。グリーンイノベーション創出支援や、ベンチャー・中小企業の成長支援に携わる。現在は公益財団法人京都高度技術研究所(ASTEM)にてベンチャー・中小企業の成長支援や、ソーシャルイノベーション創業支援を担当している。

中村 多伽氏(Taka Nakamura)
株式会社taliki 代表取締役

京都大学大学総合人間学部出身。在学中からカンボジアへの2校の学校建設と教育支援を行う。ニューヨークへのビジネス留学や現地の報道局でのインターン、舞台・映画・ライブへの出演等を通して「マスの意識を変えること」に興味を持つ。「社会課題の解決をもっと身近に、楽しく、カジュアルに。」というコンセプトのもと、株式会社taliki設立。人々が社会課題を知り、考え、解決のために行動することのお手伝いを、様々な事業を通して行なっている。

森山和彦(Kazuhiko Moriyama)
株式会社CRAZY 代表取締役社長

前職の人材コンサルティング会社では、法人向けコンサルティング部門の事業責任者として、中小企業から大企業までの組織改革コンサルタントとしてトップセールスを記録する。6年半の勤務を経て2012年7月に株式会社CRAZYを創業。「style for Earth」というビジョンをもとに、独自の経営哲学から組織運営のシステムを確立、CRAZY WEDDINGというオーダーメイドのウェディングサービスを提供している。

強烈な原体験と無力感。

森山和彦(以下、森山):皆さんこんにちは。本日参加した理由は明確でしょうか。「良い話だった」で終わるのではなく、行動を変える時間になるといいですね。ここにいる皆さんは「何かを成したい」「普通になりたくない」と野心を持っている人が多いと思います。レアな人材になるには、何が必要でしょうか。私は確率を逸脱することだと思うんですよ。データに当てはまらないレベルの行動をすること。

塚本廉(以下、塚本)氏:人と違う行動をすることですよね。一般的に面白いか面白くないかはどうでもよくて、振り回されずに自分が直感的にやりたいことをする。僕は誰もやってないことが好きなので、それが軸になってます。

森山:塚本さんは学生ながら連続起業家なんですよね。

塚本氏:今まで誰も触れていない領域を見つけてしまったら「やらなきゃ」と手を出しちゃうんです。僕はヤンキーなどの若者に社会進出の機会を作るハッシャダイというサービスを提供しています。彼らは一般的には社会復帰が難しいのですが、周りに何を言われても「やる」という姿勢は強くて、中卒だろうが高卒だろうが大卒と全然戦えるんです。実際に一部上場企業の内定をもらう子もいて。そういう僕も実は過去に檻の中に入っていたことがあります(笑)。他の事業で言えば、大学1年生の時に東南アジアに行ったことを機に、プログラミングを学ぶ学校を作ってもう6年目ですね。

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森山:塚本さんは当事者だから周りの人たちも共感できるんですね。また東南アジアにも、実際に行って事業を始めているのもすごいです。

塚本氏:大学入学後に「今後東南アジアは人口が増えてビジネスチャンスが来る」という話を聞いたのですが、授業や本では実際の生活だったりは分からなかったので。何も知らない状態で宿も予約せずに、片道だけチケットを取ってカンボジアに行きました(笑)。それが大学1年生の春。

森山:最高ですね!

塚本氏:飛行機を降りて外に出るじゃないですか。当時のカンボジアは真っ暗だったんです。タクシーもバイクも信用できない。どうしようかと考えて、まず3、4時間歩きましたね。犬の遠吠えが聞こえてきて、来たら戦おうと(笑)。

中村多伽(以下、中村)氏:私は過去にカンボジアに2つの小学校を建てています。その時にまずしたことは、セメントで学校の土台を作ること(笑)。皆さん、セメントを手作りしたことがありますか? セメントは石灰と土と水を混ぜて作るのですが、アルカリ性なので手が溶けてしまうんですよ。私は京大生ですが、全然上手にできなくて。カンボジアの大工さんの方が断然上手なんですよ。そういう無力感を感じられたのが良かったですね。今は社会課題の解決をもっと身近に、楽しく、カジュアルにできたらと思い、株式会社talikiを運営しています。

森山:現地に行くことは非常に大事ですよね。例えば「世界を変えたい」と言うなら、世界を見に行かないのはシンプルにおかしいと思うんです。でも多くの人は知識ばかりを求める。テクノロジーの世界なので知識はGoogle先生に教えてもらえばいいのに。英語だって使えなくても大丈夫。実際に動けることの方が大事だなと。それで自分の無力さを知った方が良いと思うんですよ。知らない国だとお店に行くのも注文をするのも話しかけるのも、緊張しますから。実際にやってみると世界が広がりますよね。

中村氏:「行動が大切だ」ということは分かっているのに、なぜ多くの人は行動しないのでしょうか。

意志・環境・覚悟。行動するための布石を打つこと。

金山裕喜(以下、金山)氏:僕は京都知事とお会いしたことを機に、行政に興味を持って就職し、今は京都で創業ベンチャー支援をしています。仕事柄さまざまな人とお会いするからこそ思うのですが、多くの人が行動をしないのは、周りに行動する人が少ないからではないでしょうか。行動する先輩や友人のネットワーキングがあれば、行動は身近なものになると思うんです。また自分がなりたいと思う理想の大人を調べたり、会いに行ったりすることも大事だと思いますね。

中村氏:選択肢として知らない可能性はありますよね。

森山:人間に影響を与えるものを2つに分けたら「個人の意志」と「環境」だと思います。私は特に環境が鍵になると思っていて、このイベントもそうです。自分が動く環境を作るために「お金」と「時間」を使うこと。学生のうちに1泊3万円のホテルを借りてみてください。くつろぐためじゃない。自分の未来や事業プランを考えるためにお金を払って部屋にこもるんです。考えられなかったら、アルバイトで必死に稼いだ3万円を失うんですよ。いい投資だと思いませんか? 海外旅行の切符を取る、インターンに行くというのも1つの環境作りです。

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塚本氏:僕は24時間のスケジュールを必ず決めていますね。真似はしない方がいいです(笑)。例えば、1時間で本を20ページ読むと決めるんです。24時間のスケジュールの中で、決めたこと終わらない限り寝られないので、やるんですよね。少しでも早く終われば、残りの累計時間が自分の休憩になるというスタンスで生きてます(笑)。

やると決めたことをやらない人は、そもそも何もうまくいかないんです。例えば、会社に入ったら時間の制約がある中で動きます。提出時間を守れなければ信用を失いますし、やりますと宣言したアウトプットができなければ次から取引はなくなってしまう。だからこそ、自分に甘えずにやると覚悟を決めて行動するのは大事だと思います。

人を巻き込むために、本当に必要なものとは

中村氏:せっかくですので、会場からの質問を受け付けましょうか。

質問:皆さんはどのようにして人を巻き込んでいますか。

金山氏:僕は民間の事業者から新しいプロジェクトの相談を受けることが多いのですが、最初はどこの組織も「それは自分の仕事じゃないから」と言う人が多いんです。まずはそういう人を巻き込むために動かないといけない。定められた期限までに実行するために「この人に話を通さなきゃ」と具体的にスケジュールを決めるんです。僕の場合はそう進めていくうちに、「ちょっと応援しようか?」と周りが声をかけてくれて、上手くいくようになりました。それが「僕たちでもできるんだ」と皆で思えた成功体験となり、組織の空気が変わっていきました。まずは自分でやるべき行動を具体的に考えて進めていくことで、自然と周りがついて来てくれるのではと思います。

森山:すごいことですよね。学生の多くは世界最先端っぽい会社で、人を巻き込むことが偉いと思いがちですが、京都の固いお役所で人を動かす方がよっぽど難しいと僕は思います。

中村氏:今回京都市の知人に「京都市で一番イケてる若い人教えてください」とお願いしたら金山さんを紹介してくださったんです。メリットは何も提示できていないのに、金山さんは「楽しそうなので参加させてください」と言ってくださって。「行政の人はこんなに柔軟なんだ」と思うほどの主体性でした。

森山:人を巻き込む方法は沢山ありますけど、一番重要なのは「人間観」だと思うんです。つまり人をどう見ているか。私は情熱を持って巻き込もうとするのはちょっと違うと思うんです。だって相手が決めることですから。巻き込んでいくというより、一緒に考えてもらうように努力すること。「私は問題だと思ったんだけど、どうかな?」と。テクニカルな部分にはなりますが「社会貢献性」などの高い抽象概念と結びつけると、賛同してもらいやすくはなりますね。

塚本氏:僕は一緒に働く人たちを「社員」とは呼ばないんです。もちろん「社長」とも呼ばせないです。家族と近い考えかもしれませんね。血は繋がっていても、親が子どもの行く先を決めるわけではないですよね。何かをお願いするときも「これやって」ではなく「仲良く飯食おうぜ」みたいなスタンスで接しています。

森山:それは大切ですよね。私もメンバーは同志だと思っています。みんなが合意してるのは未来のビジョンであり、ビジョンが上司なんです。リーダーや起業家など役割にこだわって、ポジショニングで人を測る人がいますが、くだらないと思いませんか? 全員一人では生きていけないんですよ。全員が誰かに貢献して世の中は成り立っている。自分がビジョンの出発点だと思うのも違うんです。自分のビジョンや情熱って誰からもらったの? 周りからもらったんじゃないのかな? って。

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中村氏:私が今社会課題の解決にフォーカスしている理由もそこですね。過去に「死にたい」と思うほど落ち込んだ時に「どうにかするから大丈夫だよ」と言ってもらえたことが、生きる勇気になったんです。カンボジアに小学校を建てた時は、現地のお母さんが泣きながら「ありがとう」と言ってくれて。私からすれば「こちらこそありがとう」なんですよ。学校を建てる意思決定をするに至った私の人生すべてを肯定されているような気がして、救われたんです。私はいろいろな人に引っ張り上げてもらって、日々頑張れているんだと思います。最後になりますが、世界を背負っていく彼らに、エールをいただけますか。

森山:今日は気持ちが高ぶりましたか? アッパーサイドでやる気に溢れた感覚や感情を、どのようにしてダウンサイド、つまり冷静な思考で戦略に落とし込み、地味にコツコツやるか。「この話って結局何だったんだろう」と考えている人もきっといますよね。冷静に考えすぎる人はアッパーサイドが弱いので、人を動かすのは難しい傾向があります。反対に気持ちが高まりすぎる人は、戦略を作成しコツコツ続ける力が弱くなる。つまり両方意識してやることが大切だと思います。

塚本氏:大体8割くらいの人は「あーよかったな」で終わって、1週間経つと全て忘れて一般学生に戻るわけです。ここに来たことは自分に時間を投資しているので、投資以上のものを持って帰ってほしい。どれだけ吸収するか行動するかは自分次第。呼ばれたら飛んでいきますので、次に会うときに見違えるほど成長していてほしいと思います。

金山氏:僕が出会った成功者はみんな「自分は運がいい」と言うんですよね。たくさん動いて、いろいろな世界に飛び込んで、運を上げて頑張ってくださいね。

取材を終えて
私は学生の頃、何者かになりたい、特別でありたいと生き方を必死に探していたように思います。「意識が高い」という言葉がありますが、大切なのは高い意識を行動に落とし込むことなのだと思いました。株式会社kokokara Groupは、1週間の海外研修プログラム「kokokara Asia Tour」も開催しているとのこと。多様な大人たちと出会い、真剣に議論を交わし、可能性を広げる時間が待っていると思います。新たな挑戦の門を拓く、若きリーダーに乞うご期待です。
 


※CRAZYは一緒に働く仲間を探しています

編集:高橋 陽子

水玉綾(@maya_mip)
Aya Mizutama

CRAZY MAGAZINE編集長。フリーランスのライター・編集者。働き方・組織論などのビジネスシーンから、個展のポエミーな文章まで幅広く担当。生の実感値があがる「美しくする編集」を大切にしている。愛読書はミヒャエル・エンデの『モモ』とクルミドコーヒーの『ゆっくり、いそげ』

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