2022.06.10

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IWAI OMOTESANDOの結婚式写真

招待状や高砂、豪華な装飾、ケーキ入刀……そんな“普通”の結婚式にあるものが、IWAI OMOTESANDO(以下、IWAI)の結婚式にはありません。

“普通”がない分、大切なゲスト一人ひとりに気持ちを伝え、会話を楽しみ、これからのご縁を深める時間を過ごすーー。「ふたりが主役」なのではなく、「人と人が繋がる場所」。それが、IWAIの結婚式です。

そんなIWAIの結婚式を記録し、ふたりとゲストをつないでくれる“IWAIの結婚式写真”。実は、ここも“普通の結婚式写真”とはちょっと違うのです。

IWAIの結婚式写真とはどんなものなのか。そこには、どんな思いが込められているのか。IWAIの立ち上げにも携わったCRAZY WEDDINGブライダルマネージャーの永野真梨(以下、永野)と、IWAIの結婚式写真を手掛ける株式会社クッポグラフィーの代表・久保真人さん(以下、久保さん)の対談をお届けします。

写真左:久保 真人
東京・横浜・沖縄・福岡でフォトスタジオを運営。株式会社クッポグラフィー代表取締役。IWAI OMOTESANDOの開業前からパートナーとして開発に携わる。

写真右:永野 真梨
CRAZY WEDDINGブライダルマネージャー。CRAZY初の婚礼業界経験者として創業期に入社。開業前のサービス構築からIWAI OMOTESANDOに携わる。

“時系列”ではなく“人生軸”で綴る結婚式写真

永野:
私は以前別の結婚式場でプランナーをしていました。振り返ってみると、そのときに私が思っていた“一般的な結婚式の写真”と、“IWAIの結婚式写真”はかなり異なっていることに気づかされます。

久保さん:
結婚式の写真は、その日一日の思い出を“時系列”順にアルバムに収めるのが一般的です。控室でのヘアメイク・お着替えといったお支度の時間から始まり、挙式や披露宴の様子、お色直し……と、丸1日主役のふたりに密着してその場で起こっていることを記録し、時系列通りにアルバムを作っていくんです。

でも、IWAIでは時系列ではなく“人生軸”でアルバムを作ります。当日撮影した写真をアルバムに収録するのは一般的な結婚式と同じですが、収める順番が違うんです。

永野:
そう。IWAIのアルバムは流れが特徴的ですよね。

親御さんとの対面シーンを記録した“Birth”、ふたりを象徴する人やモノを記録した“Roots”、披露宴の歓談の様子を記録した“Growth”、ゲスト全員のポートレート写真を記録した“Portrait”、挙式の様子を記録した“Ceremony”、そして最後にふたりのシンプルなツーショットを記録した“Story of two”の6部で構成されています。

どうしてこのような構成になったのでしょうか?

久保さん:
ふたりにとって結婚式のアルバムが、“自分の人生を肯定できるもの”であってほしいと思ったからです。

写真を見て「結婚式楽しかったね」と思い返すだけでなく、「この人たちと出会えてよかった」「ふたりの原点はここだった」、そして「これからも大切な人たちと生きていこう」と前に進んでいくための役割が、このアルバムにはあるんです。

Birthには生まれた時、一番最初に見たであろう親御さんの表情を。Rootsで自分を形成するもの……例えば親族だったり、幼い頃に夢中になった趣味を思い起こすものを。

Birth・・・親御様ファーストミート(晴れ姿お披露目)時の親御様の表情
Roots・・・親族控室・親族紹介時の様子

Growthは、一緒に成長してきた友人や同僚たちの姿を顧みて。Portraitでこれまで出会ってきた大切な人たち、つまり式に参加してくれた方一人ひとりの表情を見返せるようにゲスト一人ひとりの写真を。

Growth・・・パーティー中の1枚
Portrait・・・パーティー中に撮影した、ゲスト一人ひとりの写真が並ぶ

Ceremonyではふたりの出会いを思い出して。そして、Story of twoの“ふたりらしい姿”を見て、これからふたりが歩んでいく暮らしに思いを馳せてもらう。

Ceremony・・・挙式のワンシーン
Story of two・・・シンプルで何気ない、でも最大級にふたりらしい1枚がアルバムの結びを飾る

IWAIの結婚式写真は、“非日常の記録”を思い出すものではなく、“日常的な人生の一部”を振り返って未来につなげるツールとして使ってほしいと思っています。

永野:
IWAIの結婚式写真は自然体なものばかりですよね。よくある主役のふたりがばっちりポーズを決めたり、カメラ目線を決めたりするものはほとんどない。

その分、大切な人たちに囲まれて幸せそうなふたりの表情やゲストがふたり以上に楽しんでいる姿が多くて。まるでアルバムからふたりの日常の姿が見えてくるような……。

久保さん:
結婚式の写真って、特別なものでも神聖なものでもないと思っているんです。

もちろん僕自身はフォトグラファーとしていろいろなこだわりや意味を込めて作っていますけど、結婚式を挙げるふたりにとっての写真は、シンプルに幸せな気持ちになれるものであってほしいなと。だからこそ写すのはふたりらしい姿がいいし、いつでも何度でも気軽に見返せるようなものがいい。もっと言うと写真を見る度に、前向きな気持ちになれるものだと嬉しいですよね。

式だけじゃない。写真も“ゲスト中心”に

永野:
そもそも、なぜIWAIの結婚式写真は“人生軸”や“日常”を軸にしようと思ったのでしょうか?

久保さん:
IWAIの結婚式のあり方がそうだから、ですね。IWAIでは従来の「ふたり中心」の結婚式ではなく、参加する人全員が楽しめる「ゲスト中心」の結婚式を行っていますよね。

永野:
そうですね。IWAIには主役のふたりを目立たせるような、豪華な装飾や高砂はありません。結婚式を「ふたりを披露する場」ではなく、「そこにいる全員をお祝いする場」として捉えているからなのですが……。

久保さん:
そう!まだIWAIの立ち上げ段階のときに、「ゼロから再定義しなおした結婚式を作りたい」とIWAIから相談を受けたんです。そんな中で、写真だけ既存のスタイルを取り入れるのは不自然だなと思って。

結婚式を再定義するなら、結婚式の写真もこれまでの型をやぶって再定義する必要があるはず。IWAIの結婚式が“人生を振り返るもの”なら写真も人生を振り返るように人生軸で構成するし、“ゲスト中心”ならゲスト全員の表情を記録する。

そうやって出来上がったのが、現在のIWAIの結婚式写真です。

だからIWAIの結婚式写真には、一般的なスタイルにあるものの多くが無いんです。結婚式当日の時系列に沿ってふたりの写真で埋め尽くされた豪華なアルバムも、普段撮らないようなポーズを決めたふたりの写真も、ゲストの表情がほとんど分からない集合写真も、IWAIの結婚式写真には無い。

これが、結婚式写真を再定義した僕の結論でした。

永野:
ゲスト中心の写真は、IWAIの象徴のひとつですよね。アルバムの“Portrait”ではゲスト全員のポートレート写真を収録していますが、この写真を撮れるのは正直うちの式場ぐらいだと思っています。

“Portrait”では、すべてのページにゲストの写真が並んでいる

久保さん:
まず、一般的な結婚式だとケーキ入刀やファーストバイト、余興などコンテンツが盛りだくさんなので、パーティ中にゲスト全員の写真を撮るのは物理的に不可能です。でも、IWAIはふたりとゲストが会話を楽しめるように本当に必要なコンテンツだけに絞っていて、パーティーに自然な余白があります。だからこそ実現できることです。

そして、このポートレート撮影では、単に写真を撮るのではなく、ゲスト一人ひとりの「その人らしい写真を残すこと」を大切にしています。ポージングや表情を指定するのではなく、周りのご友人を巻き込んだり、素敵な部分を伝えたり、ちょっとした質問をしてみたりとあらゆる工夫をして、その人の自然な表情を引き出します。

リラックスした表情のゲストをふたりが幸せそうに見守っているのが、IWAIの結婚式。まさに、コンセプトである「ゲスト中心」を体現できているのではないかなと思います。

それを実現するためにメンバー内では、ゲストとの関わり方についての研修やノウハウの共有を重ねてきました。単に“人が写っている写真”ではなく、“その人らしい写真”が残せるのは、IWAIの空間とプログラム、そして撮影に対するこだわりが、全て揃っているからだと言えますね。

式場とカメラマンの思いは同じ。だから、届く

永野:
2019年にIWAIがオープンして今年で4年目。ありがたいことにたくさんのお客さまから「IWAIだから結婚式をあげたい」「IWAIで結婚式をしてよかった」とおっしゃっていただいています。でも、オープンしたばかりの頃は“新しい形の結婚式”を受け入れてもらえるか不安もありました……。

そんなときに、「あ、私たちはこのままで大丈夫だ」と思えたきっかけがあって。それが、1枚の写真だったんです。

久保さん:
どんな写真だったんですか?

永野:
ゲスト40名ほどの小さなパーティ会場で、全員でモニターに映し出された映像を見ている写真です。

まるで自宅のリビングでくつろぎながら、気のおけない人たちとテレビを見ているような雰囲気で……。カメラ目線の人が誰もいなくて、思いっきり笑いながら映像を見ているんですよ。撮影されているのに気が付かないくらい、その場にいた全員が心から楽しんでいるのが分かる写真だったんですよね。

パーティー中、みんなで映像を見ている様子

その写真を見て、「“結婚式”らしくないな。でもものすごくIWAIらしいな」と思えたんです。私たちが創りたいと追い求めてきたものがそのまま形となって映し出されていました。3年たった今でも見返すくらい大好きな写真です(笑)。

久保さんの思い出に残る“IWAIの結婚式写真”の話も教えてください!

久保さん:
僕はこれまでに約13年ウェディングフォトを撮り続けていますが、その中で撮影の受注から撮影当日までが史上最短のものがあってですね……。

IWAIから、結婚式当日に「久保さん、撮影のご注文いただいたので今日よろしくお願いします!」って連絡がきたんです(笑)。準備期間の様子からプロデューサーが事前に想定して、「もしかしたら撮影をこの日にお願いするかも」とご相談いただいてはいたんですけどね。

永野:
どういった経緯で当日に……?

久保さん:
もともと、おふたりが「写真はいらない」とおっしゃっていたそうなんです。少人数のこぢんまりとした式だから、プロに撮ってもらう必要はないと。でも、挙式当日に担当のプロデューサーがあらめて写真の話をしたところ「やっぱり写真に残したい」と思われたみたいで、僕が急遽撮影に向かいました。

それだけでも十分印象的な記憶なんですけど、結婚式からしばらくした後に、そのときのふたりがkuppographyのフォトスタジオに撮影の予約を入れてくれたんです!子どもが生まれて家族が増えたから、ファミリーフォトを撮ってほしいとのことでした。

それだけでも嬉しかったんですけど、撮影当日、ふたりが「結婚式のとき、写真を残して本当によかった」と話してくださって……。

永野:
それは嬉しい!

久保さん:
本当に!IWAIで結婚式をあげて、写真に残してくれて、その写真で人生を振り返れることに気がついて、次の人生の節目も写真に残したいと思ってくれる。僕がIWAIの結婚式写真を通じて届けたかったことがふたりに届いたんだなと感動しました。

永野:
写真を通じてお客さまにここまで想いが伝わるのも、式場とフォトグラファーが同じ想いで動いているからできることかもしれませんね。

久保さん:
IWAIのコンセプトに共感しているから、それをお客さまに届けるために僕はフォトグラファーとして全力で協力したいんです。僕の場合は、IWAIの立ち上げから関わっているから余計にそう思うのかもしれません。

会場のコンセプトまで熟知したフォトグラファーが撮影するのは、全国でもIWAIくらいなのではと自負しています。

IWAIの結婚式写真は、2人の人生に寄り添う

永野:
実はIWAIはすべての持ち込み料が無料です。それでも、写真は持ち込みではなく“IWAIの結婚式写真”を選んでくださるお客さまがものすごく多くて。

IWAIでは、ゲストを中心に空間も式も設計しています。それは、IWAIの結婚式写真も同じです。例えば、20、30年後にアルバムを開いたときに、“Portrait”を見て「この人どうしているかな」と連絡するシーンも想像しています。結婚式から何年、何十年経っても、写真がふたりとゲストをつなぐ役割を果たしてくれるんですよね。私は、IWAIの結婚式写真ってそういうものだと思うんです。

久保さん:
僕も永野さんと同じですね。結婚式写真を通じて自分の人生を振り返ることもできるし、その後の人生にもつながっていく。結婚式のときだけじゃなく、それからも続くふたりの人生に寄り添う。IWAIの結婚式写真は、そんな“人生と向き合う”機会になれると思っています。

 


執筆:仲奈々
編集:池田瑞姫
結婚式写真撮影・アルバム写真撮影:kuppography
インタビュー風景写真撮影・バナー画像制作:石積真理恵

         

  


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