INTERVIEW

結婚式を、アップデートする。「 # 結婚式に自由を」は、結婚観・家族観をも変えていく

「結婚式」と聞いて、なにを思い浮かべるだろうか。

完全オーダーメイドのオリジナルウエディングをプロデュースするCRAZY WEDDINGは、2018年11月22日「いい夫婦の日」に、Twitter上でハッシュタグ「#結婚式に自由を」を使ってキャンペーンを行なった。

サイト上でお笑い芸人キングコングの西野亮廣氏にとある問いかけを行い、西野氏からブログで返信をいただくと同時に、世の中の結婚式に対する本音をツイッター上に集めたのだ。

その結果「なぜご祝儀は3万円なの」「上司をどこまで呼ぶのか」「再婚だと挙げにくい」「持ち込み料ってなんで必要なの」と多数の声が集まり、Yahoo!のニューストピックスに掲載されるまでに。

しかし、CRAZY WEDDINGの代表・森山和彦と、マーケティング事業部の藤沢和徳は、“ これは、はじまりでしかない ”と話す。CRAZYが目指すこれからの結婚式と「#結婚式に自由を」の背景について話を伺った。

「結婚式の本音」に対し、口火をきる人が必要だった

ー「 #結婚式に自由を 」というキャンペーンのはじまりを教えてください。

森山和彦(以下、森山):結婚式に対して、みんなが感じている本音を吐露する場をつくることが目的でした。

今年間59万組が婚姻するなか、約半数が結婚式を挙げない選択肢をとっています。これは金銭面での影響もあるのですが、“ 結婚式にいいイメージを持っていないこと”を理由に挙げないケースも増えていて。自分が参加した結婚式で、なにかしら違和感や不満を感じている人が多いんですよね。

でもそうした不満は、お祝いの席だからこそ、発信しづらいものです。ほかのイベントや飲食店に出向いたときのように、事後アンケートもほとんどありません。要は、高いご祝儀を払ってまで参加した人たちの「もやもや」が置き去りにされてしまっていたんです。

森山和彦(Kazuhiko Moriyama):株式会社CRAZY 代表取締役社長  人材コンサルティング会社での6年半の勤務を経て、2012年7月に株式会社CRAZYを創業。同社をビジネスグロースさせながら、全社員で1ヶ月休んで世界一周など、独自の組織運営を実践。2018年および2019年に「働きがいのある会社」を受賞するなど、ユニークな経営手法が注目される。

また、新郎新婦のクチコミサイトはありますが、当事者として結婚式を挙げるのは、大半の人が一生に一度だけ。そのほかの飲食業のように“ 次は別のところを選ぼう ”とはなりません。そうしたウエディング業界の市場を適正化させるためには、「もっとこういう結婚式がいい」「これは必要なの?」といった、参加者の声が市場に反映される必要があると考えたんです。

結婚式って本来は、多額のお金なんかかけなくてもできるんです。だって本質的価値は“ お祝いごと ”なんですから。既存イメージの結婚式ではないとしても、そういう意味で結婚式的なもの、つまりお祝い自体がこの社会でもっと増えたらいいですよね。

藤沢和徳(Kzunori Fujisawa):マーケティング部門リーダー  AR(拡張現実)やアプリ開発を基幹事業とする学生起業を経て、2016年4月に株式会社CRAZYへ入社。CRAZY WEDDINGの当日スタッフ(通称:クレイジーキャスト)のマネジメントチームにてリーダーを務めた後に、CRAZY WEDDING事業にてマーケティング部門のリーダーを務めている。

ーなるほど、なるほど。今回キングコングの西野さんと一緒にキャンペーンをされていましたが、それにはどういった背景があったのですか。

藤沢和徳(以下、藤沢):参加者の本音が市場に出てこない理由が「お祝いの場だからこそ言いづらい」なのであれば、ぶっちゃけた本当のことを言える人、つまり口火を切る人が必要だと思ったんです。

でも、ただ西野さんにお願いをするだけではなく、どういうやり方なら喜んでもらえるだろう、西野さんにもおもしろがってもらえるだろうかと考えましたね。ニヤニヤしてほしかったんですよ(笑)。

森山:だから、実は西野さんには詳しい話は何も伝えずに始めたんです(笑)。「とある方法でキューを出しますから、いい夫婦の日にリプライをしてください」ってお伝えしただけでした。後日談ですが、西野さんとお話をして“ 日本一無茶ぶりに強い ”という話になったのですが、本当にそのツッコみへの対応は超一流の芸人魂そのものでした。

※西野さんの無茶振りによる対応はこちら

誰も傷つけない、悲しませないやり方

ーキャンペーンは、「結婚式って本当にこれでいいの?」と問いかけて、西野さんからブログで応答いただく形で始まりましたが、この内容はどのように考えられたのでしょうか。

森山:内容を決める議論には、相当時間をかけましたね。CRAZYはまだベンチャー企業なので、お金はそう多くはかけられませんし、いい意味でアイディア勝負なので。

藤沢:そう、そう。何度もディスカッションをしましたね。すでに多くの人が結婚式を挙げているので、特定の誰かを否定するようなメッセージは発したくはなかったんです。

嫌な気持ちを感じせてしまうのは本意ではないし、ウエディング業界の人を非難したいわけでもありません。あくまで「結婚式への本音を言おう」というのが目的。ネガティブなことは誰かを傷つけるリスクがありますから、そうならないようにと相当考えましたね。その結果このような形になったんです。

※CRAZYが行った西野さんへの問いかけはこちら

今はまだ序章。結婚観・家族観をアップデートする式を作っていく

ーキャンペーンを終えてみて、世の中の反応をどう感じていますか。

森山:やっぱり結婚式に対して言いづらいことはいっぱいあったんだな、と思いました。2日間で1万を超えるツイートが寄せられましたから。同時に、ネガティブだけではなくポジティブなツイートがあったのも嬉しかったです。

「僕らの結婚式は、こんなに自由にやりましたよ」という紹介や「こういう結婚式を挙げたい」という未来への期待とか。みんなが「そうだよね」と思っていたことだったからこそ、意見が集まったのかなと思います。

藤沢:みんながそれぞれ思うことを自由に発信できるようにと、「問い」を中心に置いていたのも大きいのかもしれません。

ツイッター上では#結婚式に自由を のハッシュタグのもと、著名人を含め多くの方から反応をいただいた。

森山:取り組み自体は話題になりましたし、Yahoo!のニューストピックスにも掲載いただいたのは、嬉しかったです。ただ、ウェディング市場を自由にするという点に関しては、CRAZYを創業してからこの6年間でまだ何もできていないと思っています。結婚する人たちの半数が結婚式を挙げていないというのが現状ですから。

でもその人たち全員が、本当に結婚式を挙げたくないわけではなくて、「既存の結婚式なら挙げたくない」という人もいるわけです。だからこそ、これからのニーズを掴んだ新しい概念の結婚式であれば、まだまだサービスは伸ばせると思っています。

結婚式って盲点なんです。だって、人生の中で友人のお祝いのために何度も参加するくらい、実はみんなが当事者。だとしたときに、どうするのが良いのか、どんな式が理想なのか、ディスカッションしていくのは自然なこと。現状の固定化された“ 結婚式 ”は、変わっていくほうが健全だと思っています。

藤沢:「一律のご祝儀を出す」「豪華な料理を食べる」「華やかな写真を残す」ことではなくて、あくまでお祝いをすることが結婚式の本質的価値だと伝えていきたいですね。

僕は、友人・上司・家族とのパートナーシップの関係性まで、より良くしていく可能性のあるサービスだと思っています。パートナーシップやコミュニティの大切さが注目される時代のなかで、関係性を中心においた結婚式は他にはほとんどありません。このギャップがポテンシャルだと考えています。

目指すところは、「結婚式」という言葉を聞いたときに、思い浮かべるイメージが多様化すること。「この人が言っている結婚式って、どういう式のことなんだろう」と考えるくらいの世界観がいいですね。たとえば「おいしいごはん」って言われたとき、脳内に浮かぶものって個々で違うじゃないですか。それと同じことが結婚式という言葉で起こるようになったらおもしろい。

森山:いいですね。また違う観点なのですが「結婚式」という言葉を広辞苑で引くと、「結婚の儀式」であり、「結婚」とは「男女が夫婦になること」と出てくるじゃないですか。つまり男女ではないカップルは、結婚式が認められていないことになるんです。

現在、世界では約25ヶ国で同性婚が認められていると言われています。G7*1の中で「同性間のパートナーシップを保障する法律」が認められていないのは、日本だけです。世の中はどんどん変わってきていますし、変えていかなければなりません。結婚式の仕組みを変えることは、式だけでなく「結婚観」や「家族観」にも影響を与えるものになると思っています。

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▶︎重要なお知らせ:#結婚式に自由を のキャンペーンをまとめたムービーを近日公開予定

▶︎「結婚」をテーマにした、ONE MEDIAとのコラボレーション動画は2/22から配信予定

▶︎西野さんとの対談記事はこちら:「結婚式っておもんない。なんでみんなやってるの?」 結婚式アレルギーの本音と疑問ー西野亮廣・山川咲の対談ー

※CRAZY MAGAZINEのご感想お待ちしております。

 

注:G7*1
Group of Seven の略で、フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7つの先進国のこと

編集:水玉綾   画像:伊藤圭

卯岡若菜

「仕事・家族・どこにも属さない自分」の3つの自分の共存を目指すフリーライター。息子ふたりの母親でもある。生き方や働き方への興味関心が強く、人の想いに触れるのが好き。趣味は映画鑑賞、音楽鑑賞、児童文学執筆、弾丸旅行、読書。本や漫画はキノコのように増えるものだと思っている。

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