INTERVIEW

「結婚式っておもんない。なんでみんなやってるの?」 結婚式アレルギーの本音と疑問ー西野亮廣・山川咲の対談ー【前編】

時代はどんどん変わっているのに、一向に新しくならないものがある。結婚式だ。何十年も前から似たような司会のアナウンスに始まり、新郎新婦が派手に登場するスタイルを守りつづけている。なにかおかしいと感じても、他人の晴れ舞台に口をだすことはできない。そしてまた、ナシ婚を選択する人が増えていく。

芸能界の異端児である西野亮廣氏は「結婚式嫌い」を公言している。西野氏が結婚式に抱いている不満とはなんだろうか。新ブランド『IWAI』の立ちあげを前に、CRAZY WEDDINGのブランドマネージャー・山川咲と西野氏が、現代の結婚式に感じていた窮屈さを暴露した。激しい共感の嵐に見舞われた、2時間をレポートする。

「なんで結婚しないの?問題」

山川咲(以下、山川)私たちCRAZYは表参道に『IWAI』という新しい結婚式ブランドを立ちあげます。1122日「いい夫婦の日」にIWAIの全貌を公開するのですが、今日はそれにちなんで「結婚式をもっと自由に」をテーマにお話しできればと思います。

西野さんは、結婚式が嫌いだというウワサも聞きますし(笑)。

西野亮廣(Akihito Nishino)氏
1999年に相方の梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成し、ツッコミとネタ作りを担当。バラエティ番組やソロトークライブ、舞台の脚本執筆など幅広く活躍するほか、絵本作家として『えんとつ町のプペル』をはじめとした3冊の絵本を執筆。クラウドファンディングの活用でこれまでに1億円以上を調達。自身が運営するオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」 は会員数1万人を突破した。

西野亮廣(以下、西野)氏よく知ってますね。なんでまた急に会場を持つことに?

山川:2012年に創業してからオーダーメイドの結婚式をやっているのですが、もっと多くの人たちに、結婚式を届けるためには、オーダーメイドではないやり方をつくる必要があると思ったんです。会場をもったうえで、あたらしい結婚式のフォーマットを生みだそうと思っています。今日は質問を交えながら、西野さんの率直なお話をぜひ聞かせてください。

西野氏:ぼくは「愛」みたいなのは結構好きなんですけど、とにかく「恋愛」が嫌いなんです。恋愛と愛のちがいは、「自分目線」か「他人目線」かということ。恋は完全に自分目線じゃないですか。それに対して愛は相手目線です。相手のことを思って、相手の立場にたって物事を考える。言い方を変えると、相手が主役なんですよね。いい夫婦は、相手を主役にしているとぼくは思うんですよ。

山川咲(Saki Yamakawa)株式会社CRAZY / CRAZY WEDDINGブランドマネージャー
業界で不可能と言われ続けた完全オーダーメイドウェディングのブランド「CRAZY WEDDING」 を立ち上げ、たった1年で人気ブランドに成長させる。2016年には夢であった毎日放送「情熱大陸」に出演。2年間の休業を経て第一子を出産後、表参道にて新ブランド「IWAI」を始める。著書に『幸せをつくるシゴト』(講談社)。

山川:なんだか意外にも心あたたまる会になりそう(笑)。西野さんはご結婚されないのですか。

西野氏:しないですね。一生しないかもしれない。時間が奪われそうと思うんですよ。今でも足りないくらいなのに。でもおかしな話で、「なんで結婚しないんだ」と言ってくる人がいるんです。ぼくはこの人生で一度も「結婚します」なんて宣言してないのに!

山川:結婚はするべきものだ、みたいな風潮がありますよね。

西野氏:結婚したい人はしたらいいですよ、それは大賛成ですが、他の人にまで押し付けないでほしいんです。それで余計に反発に向いてしまっている気がします。山川さんはなぜ結婚したんですか。

山川:私は結婚式がしたかったんです!

 

結婚式に不自由さを感じていない?

西野氏:実際に結婚式をやってみて、どうでしたか。

山川:私は最高に楽しかったです! それがきっかけで結婚式を仕事にしてしまったくらい(笑)。あれだけの時間とお金と労力をかけて、自分のやりたいことができる経験って、人生でもそんなにないじゃないですか。

普段の生活は、無意識だとしても「するべきだから」している人が多いと思うんです。勉強はするべきだから学校に行って、仕事はするべきだから会社に行って。でも結婚式はやりたかったことを自分で選べる。夢が叶う経験をするからこそ、本当に人生が変わるレベルのパワーがあると思ったんです。

西野氏:そう言われるといいですね、結婚式。たしかに、普段からステージで自分を見てもらってるぼくとは違って、普通に生きていたらあんな風に自分色に世界を作る経験はないですね。

山川:西野さんは結婚式はよく行かれますか?

西野氏:いや、最後にちゃんと参加したのが相方の梶原くんの結婚式かな。もう10年以上前です。お誘いはいただくんですけど、基本は断っています。だって、結婚式っておもんない。

どこかの誰かのコピペみたいなのをずっと見させられて。何だこれって感じですね。そう思ってる人は多いんじゃないですか。誘われたらとりあえず行くと思うんです。人間関係があるから断るのは難しい。でも、退屈さは拭えないよ。

世の中にこれだけたくさんのエンタメが出てきているなかで、結婚式だけは全然アップデートされていないじゃないですか。

予算についても、ぼくは地下劇場の出身なので、照明やセットを見れば大体どのくらいの費用かわかるんです。すると、どうやら計算が合わない(笑)。せっかくのハレの日なのに、新郎新婦はずいぶん会場にお金を持っていかれてるな、と思うと悲しくなっちゃって。そんなところは見たくないので、基本は行かないんです。

山川:たしかに、ほとんどの結婚式が昔のままです。私も新郎新婦として式をあげた当時は、あまりにぼったくられたんですよ。この業界は一体なんなのかと思いましたね(笑)。

次に、会場のお客さんが感じている不自由さを聞いていけたらと思います。

ご飯も座席も強制的なんて嫌だ

参加者:私はご祝儀で3万円を包むのが当たり前になっているのが嫌なんです。去年5回出席しましたが、ドレスも変えないといけないし、お金の面で大変でした。

山川:外国では会費制や、プレゼントを贈るところが多いのですが、日本の一律ご祝儀は、世界的にみても本当に高いんです。

西野氏:みんな同じ年に集中して結婚したりしますしね。高級フレンチコースが出てくるのもぼくは苦手なんですよ。やたらと余白の大きいお皿に、ちょっとだけ食べ物がのっていて、ナイフとフォークでカチャカチャって……。みんなそんなに食べたいですか?ぼくは自分の食べたいものを食べたいですよ!

山川:昔は、高級フレンチが本当に憧れの存在だったから、結婚式に行くと食べられることに価値を感じる人が多かったんです。でも今はもう、そんなことないですよね。ビュッフェ形式も人気ですし、自分たちでつくるスタイルも支持されていますし。ほかに質問はありますか。

参加者:席次が嫌でしたね。まったく知らないおじさんたちが隣でずっと内輪の話をしていたんです。自分は一人でぽつんとなってしまいましたよ……。

西野氏:円卓に自分の席が決まってて、強制的にそこに座らされるんですよね。今日はこのメンバーとしゃべらなければいけない、みたいな圧力がある。

山川:ケーキカットの時間が始まったら、立ち上がって写真を撮りなさいと言われますし(笑)。

西野氏:ケーキカットって、みんなで食べるんですか?

山川:実際はほとんど食べません。コースにデザートも入っていますからね。でも見積もりにはもちろん自動的にケーキ代が入っていて、不思議なシステムなんです。

相手を祝う気持ちは「自由」から生まれる

西野氏:そう考えると結婚式って今っぽくないですね。スマホで誰でもすぐに発信できる時代なのに、とにかく受信一方で、「ここに座れ」「ここで立ち上がれ」「この時は待て」と、常に向こうの指示通りに動かないといけない。まるで軍隊です。しかもこちらがご祝儀を払うんですよ!つらいですよ、拷問ですよこんなの! (笑)

そうだ、思い出しました。ぼくがやっているオンラインサロンで、今年の夏にメンバー同士の結婚式があったんです。「西野さんはどんな式だったらきますか?」と聞かれたので「そんなもんBBQに決まってる!」と返したら、本当にBBQ会場で式をあげたんですよ。もう最高でした。

自分の好きなときに好きなように動けて、ごはんを食べたかったら食べて。それだけ自由にさせてもらうと、自然と「なんとかして彼らを祝ってあげよう」という気持ちになれます。最後は参加者みんなで一丸となって「おめでとう」を言いました。

山川:自由だからこそ生まれてくる感情ですね。

西野氏:もっと手作り感が出たほうがいいですよ既存の結婚式は体温を感じない。不自由すぎます。こちらが参加できない、アクションを起こせないというのは、まったく時代と合っていないでしょう。

山川:こういった意見が公に出てこないのは、声に出して文句を言いにくいからですよね。大切な人の結婚式に行って「つまらなかった」とはとても言えない。だからすべてがブラックボックスになってしまうんです。

 

結婚式が嫌いだ。招待を受けると口では「ありがとう」と言いながらも、内心はうんざりする。どうしたら断れるか理由を探し始める。でも、友人同士でこの話をしたことは一度もない。二人の対談をとおして、自分が結婚式のどこに苦手意識を感じているかがわかりました。不本意なルールを押し付けられることへの抵抗です。

今回会場に集まったのは、約30名。感じたのは「結婚式に不満を持っているのはみんな同じ」ということでした。おかしいと感じながらも口に出せないのは、私だけではなかったとわかって、ほっと安心したのです。日本の結婚式を取り巻く環境は果たして変わるのでしょうか。後編はこちら

 

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編集:水玉綾   画像:小澤 彩聖

小村トリコ
(TORIKO KOMURA)

ワシントン大学のビジネスクラスを履修したのち、シアトルの日本語新聞『Soy Source』の編集長を務める。現在は日本で編集・ライターとして活動。ライフワークは「人の話を聞く」こと。コトリ2羽とニンゲンのさんにん暮らし。

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