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「こんな結婚式なら毎週行きたい。誰か誘って!」 結婚式アレルギーの意識改革ー西野亮廣・山川咲の対談ー【後編】

「大切な人の結婚式に行ったけどつまらなかった」。そんなことは言えないからこそ、ブラックボックス化してしまった結婚式。でもみんなが感じていることは、退屈さと窮屈さではないだろうか。

ありきたりの儀式に時間をとられ、決められたご飯を決められた席で食べる。新郎新婦に直接お祝いの言葉を伝えられる時間も、一緒に写真を撮る時間もごくわずか。何のための、誰のための結婚式なのか。

前編は、「結婚式は嫌いだ」と公言する西野亮廣氏と、CRAZY WEDDING1000組のオーダーメイド結婚式を挙げてきたブランドマネージャー・山川咲が、現代の結婚式に感じていた窮屈さを大暴露。 つづく後編は、「こんな結婚式だったら行きたい」と思える新ブランド『IWAI』が打ちだす、結婚式の新しい形について。

山川咲(以下、山川)西野さんとお話ししたことで、結婚式の不自由さが見えてきました。私たちは今の結婚式を解放して、もっといいものを生み出したいと思っています。そのためのアイデアを5つ持ってきました。

写真左:西野亮廣(Akihito Nishino)氏
1999年に相方の梶原雄太と漫才コンビ「キングコング」を結成し、ツッコミとネタ作りを担当。バラエティ番組やソロトークライブ、舞台の脚本執筆など幅広く活躍するほか、絵本作家として『えんとつ町のプペル』をはじめとした3冊の絵本を執筆。クラウドファンディングの活用でこれまでに1億円以上を調達。自身が運営するオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」 は会員数1万人を突破した。

お金の使い方を選べる

山川:大切なのは、参加者からいただいたお金をどう使うか。通常の結婚式では、式場がパッケージプランを持っていて、それ以外のことをしようとすると、高額な「持ち込み料」が発生してしまいます。でも新ブランド『IWAI』では、持ち込み料を一切かけないと決めています。たとえばカメラマンや司会者など、ご希望があれば新郎新婦の好きな方に自由にお願いしていただけます。

西野亮廣(以下、西野)氏えっ、もともと司会は決められているんでしたっけ。

山川:通常は会場が候補者を何名か用意していて、新郎新婦はそのなかから選びます。式の当日になってはじめて、司会者と会う場合もあるので、初めて会った人が、新郎新婦の人生を語るんです。だから堅苦しいというか、形式感がでると思うんですよね。とにかくお金を気にせず、自由に知人に頼めるようにしたいんです。

山川咲(Saki Yamakawa)株式会社CRAZY / CRAZY WEDDINGブランドマネージャー
業界で不可能と言われ続けた完全オーダーメイドウェディングのブランド「CRAZY WEDDING」 を立ち上げ、たった1年で人気ブランドに成長させる。2016年には夢であった毎日放送「情熱大陸」に出演。2年間の休業を経て第一子を出産後、表参道にて新ブランド「IWAI」を始める。著書に『幸せをつくるシゴト』(講談社)。

西野氏:ぼくは司会者の、あのかしこまった喋り方が苦手です。あれが参加者を緊張させているんじゃないかな。スマホみたいに自分の好きなようにカスタムできる方が絶対いい。それって普通のことなのに、今までの結婚式ではできなかったんですね。これを突破しようと思ったらなにが難しいんですか。

山川:お金が儲からなくなります。全部パッケージで頼んでもらった方が式場としてはうれしいんです。結婚式が入るのは、ほとんどが土日。平日はたまに宴会が入るくらいで、ほぼ使われていません。

つまり、アクセス抜群の場所に大きな建物を持つ分のコストを、土日だけで何とか取り戻さないといけない。だから高価な商品になってしまうのです。式場のジレンマですね。

あとは広告費。式場がSNSを駆使して、そこからお客様が来てくださるようになれば、結果的にお客様の負担額は減るんですが、ほとんどの式場はゼクシィに多額の広告費を払うことでいっぱいいっぱいです。

西野氏:式そのものとは別で、お金を生み出す方法を開拓すると面白そうですね。ぼくのようにオンラインサロンを開いて、コミュニティ内で情報をシェアするとか。今こうして話している情報にだって価値があります。

たとえば、ぼくは最近書籍を出したんですけど、別に印税はいらないんですよ。本を出す人は普通そこでやりくりするじゃないですか。作家だったら印税、タレントだったら出演料。ぼくの場合、書籍が売れると、オンラインサロンのメンバーが増えます。だから印税は、全額その本の宣伝に還元できるんですよ。

別口にマネタイズの方法をつくれば、仕事がやりやすくなりますし、結婚式場であればいくらでも可能性がありそうです。ユーザーに対してやさしいサービスになりますよ。

本当に大切な人だけを呼ぶ

山川:今の日本の結婚式がつまらなくなっている理由を考えてみたんです。私は気を使わないといけない人がいるからだと思うんです。たとえば、上司を呼ぶと、その人に失礼がない結婚式をしなければならない。するともう楽しい結婚式とは程遠いです。

だから『IWAI』では本当に大切な人しか呼ばないでもらいます。「肩書きとか関係がなく、大切な人を呼ぶ」という当たり前のことが、今はまだ当たり前でないので。私たちから始めていこうかなと。

西野氏:具体的にはどうやって進めるのですか。

山川:「これは結婚式ではなくて『IWAI』ですよ」と言ってしまいます(笑)。

西野氏:なるほど、名前を変えて概念を更新するんだ。 普通の結婚式のなかのIWAIではなくて、IWAIという結婚式。いいアイデアですね!

参加者の声を反映する、プロセスを楽にする

山川:今の結婚式は、新郎新婦がやりたいことを参加者が一方的に受けるだけです。IWAIではまず、参加者にメールアンケートをお送りして「自分がやりたいこと」をヒアリングします。何が食べたいか、何を見たいか、何がしたいか。それをもとに当日のプログラムを組み立てます。自分の声が反映されたら、思いきり楽しむしかないですよね。

西野氏:お客さんの声を聞いてつくるなんて、まるでライブですね。ぼくが行ったサロンメンバーのBBQ結婚式も、同じでしたよ。「かたいのはやめてくれ!」という参加者の思いがあったから。その声を聞いてくれたことは、うれしかったです。

山川:特に新郎のなかには、「結婚式の準備が苦痛だ」とうったえる方が多いんです。結婚式をあげたことがある方、どんなことが大変でしたか?

参加者:会場スタッフさんのペースにだいぶ飲まれてしまったことです。たとえば「奥さんにサプライズで花束をあげたらどうですか」と言われて。断ったのですが「でも記念なんで」と問答しているうちに、気が付いたら4万円くらい上乗せされていました(笑)。

西野氏:花束で4万円!? ちょっと痴漢冤罪の作り方に似ていますね(笑)。「お前がやったんだろう」と毎日言われ続けると、たとえやっていなくても「やりました」と言うはめになりますから。結婚式の準備はこれから簡単になるんですか。

山川:準備のなかで一番大変なのは、席次を決めることなんです招待客のリストを作り、招待状を発送して、その返事と照らし合わせながら全員の席割りを作る。こんなことに何カ月も翻弄されるのは、新郎新婦が気の毒ですよね。

IWAIでは席次をなくします。すべてが自由席。最初にゲスト宛にお送りするアンケートで住所を記入いただき、招待状が必要かどうかを選んでもらいます。希望によってはPDFで送ります。

西野氏:なんか、いいことしてますね(笑)。

高砂をなくして、もっと楽しめるように

山川:現状では、入籍する人たちの約半数が結婚式を挙げない、いわゆる「ナシ婚」を選択しています。結婚式を挙げたがらない人たちの本音は「目立ちたくない」「仰々しいのが嫌だ」「自分が主役になるためにみんなを呼ぶわけじゃない」という声が意外にも多いんですよ。

結婚式というと、ワーッと派手に入場して、高砂に座るのが一般的ですね。そんなことを本人たちは望んでいないとしても、残念ながら受け皿がないんです。

IWAIでは、新郎新婦はゲストと一緒のテーブルに座ってもらいます。会場にはソファスペースがあったり、立ち上がって自由に行けるバーカウンターがあったり。空間ごとデザインできると、その場はもっと楽しくなると思っています。

西野氏:ぼく、タレントとして珍しいと思うんですけど、自分の誕生日会をずっとやってこなかったんですよ。理由は同じで、自分が主役になるのは気恥ずかしいからです。でも今年になって知人から「お前のことはどうだっていいけど、会を開けばここに人が集まって、新しいつながりが生まれる。そこは背負わなきゃいけない」と言われて、芸能界に入って18年ぶりくらいに誕生日会をしました。

その時にやったのが、まさにその「お誕生日席」を外すこと。みんなと同じ高さで一緒に飲んで、自由に動きまわったんです。心地よかったですよ。「お誕生日席に座ってなにか一言」とかだとマジでつらいですから! そういうことが好きな人もいるだろうけど、ぼくのように嫌な人もいる。

山川:本来はそういった方々のスタイルも尊重できたらいいですよね。IWAIは、結婚式に行き慣れた大人の方や、たとえばバツイチ同士の方などにも選んでいただければと思っています。張りきってあげたいわけじゃないけど、結婚式という特別なものを諦めるのはもったいない、と感じていらっしゃる方、多いのではないでしょうか。

西野氏:いいですね。結婚式がしやすくなりますね。

結婚式をもっと自由に。心から二人をお祝いできる時間にしたい

山川:こういった観点で、今の結婚式のスタイルは本当にこれでいいのかな?と日々考えています。たくさんの課題が見えてくるので、それを全部解決したらどうなるのかというものを現在開発中です。

西野氏:こんな結婚式だったらぼく、毎週行きたいですよ。結婚式する友達を探し出して(笑)。こっちもお金払ってるんだから、純粋に楽しいのを選びたい。右に行きたいときは右に、左に行きたいときは左に、ちゃんと自分でハンドルを握らせてほしい。今までの結婚式は「ここにずっと乗ってろ!」でしたもんね。

山川:ゲストは決して3万円を払いたくないのではなくて、払ってその場に来たことで二人の喜んでいる姿を見られたり、価値のある時間を過ごせたりすることを求めているのだと思います。参加者が自分の感覚でお祝いできる結婚式が最高だなと。だからブランド名も『IWAI(祝い)』なんだと、今日改めて感じました。

10年後には、今の結婚式事情はまったく違ったものになっていると思います。その流れが少しでも早く訪れるように、もっと自由な結婚式のために、結婚式の解放運動をこれからもしていきたいと思います!

山川のInstagramで配信したイベント当日の様子

「『IWAI』は人生の節目を祝えるものにしたい」と山川さんは言いました。祝うことで生まれるのは、人と人がつながることへの感謝の気持ちです。ここにいてくれて、ありがとう、おめでとう。

つい先日、友人の結婚式に出席しました。入り口でスタッフの方に「本日はおめでとうございます」と言われると、「別に私自身はめでたくないのにな」と多少の反発心を覚えてしまったものの、始まってみればたしかに私もめでたいのです。たくさんの旧友と再会して、新しい友人との出会いもあって。こんなにハッピーな場はありません。新郎新婦とお話しできる時間はほんの少しでしたが(笑)。

祝いとは世界とつながること。新しい祝い方を提案する『IWAI』によって育まれる人間関係は、どのようなものになるのでしょうか。

◆前編はこちら:「結婚式っておもんない。なんでみんなやってるの?」

 

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編集:水玉綾   画像:小澤 彩聖

小村トリコ
(TORIKO KOMURA)

ワシントン大学のビジネスクラスを履修したのち、シアトルの日本語新聞『Soy Source』の編集長を務める。現在は日本で編集・ライターとして活動。ライフワークは「人の話を聞く」こと。コトリ2羽とニンゲンのさんにん暮らし。

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