2026年、CRAZYは新たな挑戦「CRAZY WEDDING ALLIANCE」を始動します。
CRAZYが、全国の式場とパートナーシップを組み、これからの結婚式を共創する事業です。
第1弾のパートナーとして、全国11店舗に式場を展開するBLDグループホールディングス株式会社(以下、BLDグループ)との業務提携が決定。東京、そして福岡の2つの施設から共同運営を開始し、全国へ拡大していきます。
この挑戦をリードするのが、取締役COOの吉田勇佑です。12年前、自身がCRAZY WEDDINGで結婚式を挙げたことをきっかけに入社。人事責任者、IWAI OMOTESANDO(以下、IWAI)の支配人、婚礼事業や新規事業開発全体の統括を歴任してきました。
なぜ、自社だけでなく、全国の式場と共に結婚式をよくしていこうとするのか。その決断の背景にある想いを聞きました。
いい結婚式をもっと届けたい。でも、僕たちだけでは限界がある
――今回「CRAZY WEDDING ALLIANCE」という新しい取り組みを始めることになった背景には、どんな想いがあったのでしょうか。
吉田:
CRAZYは創業当初から、いい本番、つまりいい結婚式をつくることが、次のお客さまにつながるという考えで事業をつくってきました。

2019年に開業したIWAIは、大手業界クチコミサイト※で、4年連続1位の評価をいただいています。また、参列したゲストがまたIWAIを選んでくださるケースも少なくありません。本当にありがたいことです。
でも、僕たちが見ているのは、結婚式を届ける組数だけではありません。その結婚式に参列し、この体験に触れるゲストの数まで増やしていきたい。たとえば僕はずっと「年間100万人のゲストに、この体験を届けられるようになりたい」と考えてきました。それくらいの規模まで広がって初めて、社会に与えられるインパクトも大きくなると思っているからです。
※結婚式場クチコミサイト「ウエディングパーク クチコミアワード2026」にて「東京都 総合ポイント評価部門」4年連続1位を受賞
――その目標に向けて、拠点を増やすためにはどんな方法を模索してきたのでしょう。
吉田:
新しい店舗を出したり、他社の事業を引き継いで運営したり、いろいろな方法を模索してきました。それでも、事業責任者として走り回った6年間で新たに形にできた拠点は「CRAZY GRANDE MAISON」の出店と、横浜マリンタワーの婚礼・レストラン事業の承継の2つ。
率直に「6年かけて2店舗か。このペースだと、100万人に届く頃には俺はおじいちゃんだな」と感じました。
自社で一つずつ拠点を増やしていくやり方だけでは、僕たちが届けたい体験を社会に広げるには時間がかかりすぎる。正直、そんな壁も感じていました。

人生において、命が輝く大きなきっかけをつくれるのが、結婚式
――そもそもなぜ、そこまで多くの人に結婚式を届けたいと考えてきたのでしょうか。
吉田:
結婚式には、人の人生や関係性を動かす力があると信じているからです。僕自身、その力を信じ続けられている理由は、大きく2つあります。
1つは、12年前に僕自身がCRAZY WEDDINGで結婚式を挙げた経験からです。
CRAZY WEDDINGでは、最初の打ち合わせで、これまでどんな人生を歩んできたのか、これからどう生きていきたいのかを、プロデューサーと一緒に掘り下げていきます。実は、僕の結婚式の最初の打ち合わせに入ってくれたのが、CRAZY WEDDING創業者の山川咲だったんです。
そのなかで、咲さんから「勇佑は、本当はどう生きたいの?」と聞かれました。僕なりに答えてはいたんですけど、自分で話しながら、どこかしっくりこなくて。「本当に自分が思っていることは、これなのかな」という違和感が残りました。

その問いを抱えたまま準備を重ね、結婚式当日を迎えました。すると、僕たちの結婚式をきっかけに、自分の人生を見つめ直して、実際に転職したり、起業したりした友人もいたんです。
そんな姿を見ているうちに、僕自身も「自分がやりたいのは、こうやって人が自分の人生を見つめ直すきっかけをつくることなのかもしれない」と気づいていきました。その体験が忘れられなくて、CRAZYに入社することになります。
そうやって準備のプロセスから当日まで含めて、自分がどう生きたいのかを問い直すきっかけになった。その経験が、今も結婚式の力を信じている原点の一つです。
もう1つは、IWAI OMOTESANDOの支配人を務めていた頃に感じていたことです。僕は結婚式の現場の中でも、セレブレーションホール(挙式を行う会場)の入り口にいる瞬間がすごく好きなんです。

親御さまとのファーストミートや挙式の時間に、扉の外からその様子をそっと覗いたり、耳を澄ませたりするのが、とにかく好きで。
その時間は、これまでの人生の中で伝えたかったけれど伝えられなかった「ありがとう」や「ごめんね」といった本音が交わされていて。その言葉が重なるたびに「この方々の関係性が、今日を境に動いている、深まっている」と感じていました。その瞬間に何度も心を動かされて、よく1人で泣いていました(笑)。
自分自身が結婚式で人生を動かされ、現場では、お客さまの人生や関係性が動く瞬間を何度も見てきた。だから結婚式には、人の人生において、命が輝く大きなきっかけをつくる力があると心から信じています。

結婚式が必要とされなくなる時代がきている
――一方で、結婚式を挙げないという選択も増えています。今の状況をどう見ていますか。
吉田:
正直、かなり危機感を持っています。
結婚式を挙げる人が減っていることと同じく、僕が危機的だと思っているのは、結婚式に参列した結果「自分はやらなくていい」と思う人がいることです。
つい先日、IWAIの結婚式に参列してくれた方で、それまで何度か結婚式に出席して「自分は絶対に結婚式をやらない」と思っていた方がいました。でも、IWAIの結婚式を体験して「絶対にやりたい」に変わり、そのままお母さまに電話をしたそうなんです。
僕は、こういうことが起こるのが結婚式だと思っています。だから「結婚式を挙げる人が減っているのは、時代や価値観が変わったから仕方がない」と、問題を外に置きたくないんです。
結婚式にこれだけ人の人生や関係性を動かす力があるのに、実際に参列した人にまで「やらなくていい」と思わせてしまっているとしたら、僕たち業界側が、その価値を届けきれていないということだと思う。
この状態を続けていたら、結婚式が必要とされなくなるのは当然だと思っています。だからこそ、今の時代に本当に必要とされる結婚式とは何なのかを、僕たち自身が本気で問い直して、つくり直さなければいけないと思っています。

いい本番をつくることが、次のお客さまにつながるとは限らない
――CRAZYだけでなく「いい結婚式をつくりたい」と努力している人はもちろんいますよね。それでも、結婚式の価値をゲストに届けきれないことがあるのは、なぜなのでしょうか。
吉田:
個々の会社や現場の努力不足ではなく、業界のビジネスモデルに理由があると考えています。まさに婚礼業界には、結婚式の価値を信じて、お客さまに本気で向き合っている人がたくさんいます。実際、結婚式を行ったおふたりから「やっぱり結婚式を挙げて良かった」という声もいただく。それでも、いい本番をつくることが、そのまま次のお客さまにつながるとは限らないんです。
結婚式は、同じお客さまが何度も利用する商品ではありません。だから経営の合理性を考えると、新しいお客さまに来てもらうためのマーケティングやセールスに投資が向きやすくなる。
一方で、本番のサービスや進行をさらに良くするために、継続的に人や時間をかけることは難しくなります。そうすると、現場ではまず、決められた時間のなかで「ミスなく、滞りなく」結婚式を届けることが求められる。
その先で、参列したゲストに「自分もこんな結婚式を挙げたい」と思ってもらえる体験をつくるところまで、人や時間をかけるのは簡単ではありません。

――CRAZYも、この業界の構造に難しさを感じているのでしょうか。
吉田:
はい。僕たちも、日々葛藤はしていますし、マーケティングには一定の投資をしています。
そのなかでも、僕たちはやっぱり、いい結婚式をつくることを通じて、結婚式の価値を広げていきたい。実際にその場にいたゲストが「結婚式って、いいものだな」と感じる。そんな体験が、また次の結婚式につながっていくことを大切にしたい。
ただ、結婚式を挙げない人が増えている今、CRAZY一社だけで体験価値の高いものをつくる努力を続けても、届けられる範囲には限界があります。だからこそ、全国の式場と一緒に、いい結婚式を増やしていきたい。そこに、僕たちがこの事業を始める意味があります。
――その最初のパートナーが、BLDグループだったんですね。
吉田:
はい。BLDさんも、まさにこれからの結婚式をどうつくっていくのか、本気で考えている会社でした。
僕がすごくリスペクトしているのは、今の事業がうまくいっているかどうかだけではなく、10年先を見据えて、未来のために投資しようとしているところです。
僕たちとまったく同じ強みを持つ会社である必要はないし、同じやり方をする必要もない。
でも「このままでいいとは思っていない」「もっといい結婚式をつくりたい」という危機感と意志を共有できることは、すごく大切だと思っています。
そうやって同じ未来を見ている人たちと、これから手を組んでいきたいと思っています。

大変だからやめるのではなく、これまで育んできた「人」の力を核にする
――CRAZY WEDDING ALLIANCEでは、パートナー企業とどのように結婚式をつくっていくのでしょうか。
吉田:
パートナー企業とCRAZYが、それぞれの強みを持ち寄り、一つのチームとして、結婚式の準備から当日までの体験価値を高めていきます。
全国の式場には、その場所ならではの建物や料理、そして式場を運営してきた人の力があります。そこに、CRAZYがこれまで培ってきた「ライフストーリー」と「司会・サービス」を掛け合わせます。

ライフストーリーでは、当日までの打ち合わせで、おふたりのこれまでの歩みや大切な人との関係性を紐解き、その人生を1本の映像にしてゲストと分かち合います。
そして、その背景を理解した司会者が場をつくり、サービススタッフが料理を届けるだけではなく、ゲスト一人ひとりの表情や言葉を受け取りながら「今、この場に何が必要か」を見極めて関わる。
準備から当日までがひとつの意図でつながって初めて、おふたりの想いがゲストに届き、その場にいる人の感情や関係性まで動くような結婚式になります。

そして、もう一つ大切にしたいのが「お客さまへの深い関わりを評価すること」です。
当日のクチコミ評価などをもとに、サービススタッフへインセンティブを還元する「チップ制度」も導入します。目の前の人を見て、自ら考え、深く関わる。そんな人にしかできない仕事の価値を高めていくことも、今回挑戦したいことの一つです。

――自社で育んできたものをパートナー企業と共有すると決めるまでに、難しさもあったのではないですか。
吉田:
ありました。実は、最初から「全国の式場で、当日のサービスまで僕たちがやろう」と決めていたわけではないんです。これまで僕たちは、組織カルチャーを大事にしていたので、次に拠点を増やすなら、まずは関東のなかで広げていこうと考えていました。
そこに九州での展開の話をいただいて、議論になったのが「当日のサービスまでCRAZYが自分たちで担うのか」ということでした。IWAIも、開業当初はパートナー企業に当日のサービスを委託していたところから、現在のように人を集め、一つのチームをつくることに何年も苦労してきたからです。
その中で、九州でも同じ体制をつくるのか。それとも、当日のサービスは現地のパートナー企業に任せるのかは、かなり議論しました。
でも、考えていく中で改めて気づいたことがありました。僕たちがつくりたい結婚式を、本当に最後まで届け切ろうとしたら、コンテンツを共有するだけでは足りない。司会やサービスも含めて、当日の現場まで関わる必要があるんじゃないか、と。
そして、経営陣で交わしたことは「僕たちは、どう考えても“人”が一番の強みだし、誰かに言われなくても勝手に大事にしてしまう会社なんだよね」ということでした。
だったら、大変だからやめるのではなく、これまで育んできた「人」の力を、CWAでも核にしよう。そう決めたんです。

「また会いたい人」が、全国にいる未来へ
――その「人」の力を起点に、CWAでは、どんな可能性を広げたいですか。
たとえば、先ほどお話ししたライフストーリーの打ち合わせ。パートナー企業のプランナーさんにも参加していただき、同じチームとしてお客さまに関わります。そうすることで、プランナーさんにとっても「こんなに深くお客さまの人生に寄り添っていいんだ」と、新しい関わり方に触れる機会になると思っています。
僕たち自身も、パートナー企業の皆さんと一緒に結婚式をつくることで、自分たちだけでは気づけなかったことに出会える、とワクワクしています。
委託する側、される側ではなく、お互いの強みを持ち寄りながら、一つのチームとして結婚式をつくる。それが、僕たちの考える本当のパートナーです。
以前、業界で親交のある方が「いろいろ戦略はあるけれど、やっぱり最後はいいチームがいい結婚式を作るんだよね」とおっしゃっていて。本当に、その通りだと思うんです。

――そうした関わりが全国の式場に広がっていった先に、どんな未来を見ているのですか。
吉田:
僕がつくりたいのは、結婚式をきっかけに、お客さまが「あの人にまた会いたい」と思えるような関係が、全国で生まれていく未来です。
CRAZYでは、結婚式を挙げたおふたりに対して、記念日のための宿泊サービス「CRAZY ANNIVERSARY」やレストラン体験など、結婚式後も帰ってこられる機会をつくっています。

でも、ただ機会を用意するだけで「また帰りたい」と思っていただけるわけではありません。結婚式でスタッフと深くつながった体験があるからこそ「あの人たちにまた会いたい」「あの場所に帰りたい」と思ってもらえる。
この取り組みが広がれば、自社店舗だけでなく、パートナー企業の皆さまと一緒に同じような関係性をつくっていけます。「あのサービススタッフにまた会いたい」「あのプランナーがいるから、また行きたい」と、人をきっかけに再び訪れたくなる場所が全国に増えていく。

そして、結婚式を挙げたおふたりはその場所を再び訪れることで、結婚式の日に感じた、大切な人の存在や人生で大切にしたいことを、何度でも思い出せる。そんな機会を、結婚式の一日だけで終わらせず、その先の人生にもつくっていきたいんです。
そのために、お祝いや結婚式の価値をまだ諦めたくない。そんな思いを持っている業界の方やサービスマンと共に、未来の結婚式の在り方を本気でつくっていきたいと思っています。

“いい結婚式”を共に考えるウエディング業界向けイベントを東京・福岡で開催!

「CRAZY WEDDING ALLIANCE」の始動とあわせて、婚礼業界に関わるすべての人と“いい結婚式”を共に考える、結婚式共創プロジェクト「Bridal for Good」をスタートします。
その第一弾として、さまざまな立場で“いい結婚式”を追求してきたゲストを迎え、感動が生まれる現場の裏側を紐解くトークイベントを東京にて、9月30日(水)に開催します。
さらに、10月7日(水)には福岡での開催も予定(情報は順次公開)しています。
企画・編集:浅田有貴
執筆:仲奈々
撮影(一部):kuppograpy
デザイン:宮川雄気
