2017.02.16

Article

【前編】「こんなに型破りでいいの?」結婚式の由縁 にタイムスリップ

“ 最初のデートのことを覚えていますか? 

大切な人を「大切にしたい」と感じたとき、感謝の気持ちで心が満たされたとき、そこからやさしいせかいが始まる。”

この文章は、CRAZY WEDDING*1で結婚式を挙げたお二人の「Great Organic」というコンセプトの一部。このコンセプトは、やさしさと思いやり、感謝の心を大切にしていたお二人の行き方を表現しています。

そして、このコンセプトにそった世界観を表現したのが、冒頭映像。このように、最近の結婚式は、パッケージではなくオーダーメイドが増え、その人らしさや個性を表現する形に変わってきています。でも実は、日本の結婚式が変わってきたのはつい最近の話。今回は、結婚式の由縁を遡ってお伝えします。

婚礼の儀式に、1週間もかけていた?!

日本では、実は明治時代に至るまで概念すら存在していなかった「結婚式」。その始まりは、婚礼の儀式として「道具入れ・嫁入り・祝言」の3つの行事を行ったことから。明治時代といえば、今から約150年前。そんなに最近まで、結婚式は存在していなかったとは驚きですよね。

婚礼の儀式は、最低でも2〜3日、長いところでは1週間もかけて行っていたと言われてます。当時から多くの時間とエネルギーを費やすビッグイベントなのは、変わらないのですね。

今でこそ結婚式を通して、両家が初めて顔合わせをし、家族が誕生するシュチュエーションは当たり前となりました。ですが当時は、新しく家族となる家と家が、数日に渡って儀式を行い、関係性を深めて、家族誕生への準備を入念に行うことが大切にされていました。

神前式は、天皇から広まった

結婚式には大きく分けて5パターンがあります。

宗教のある教会式・キリスト教式・神前式・仏前式そして無宗教の人前式です。

その中で、日本に「結婚式」という概念をもたらしたのは、神前式だと言われています。

日本で一番最初に行われた神前式は、明治33年、大正天皇の結婚の儀式でした。その背景には、欧米各国から「結婚の儀式もない野蛮な国」と批判を受けたからという説も。

その神前式の様子が新聞で全国に紹介されたことで、一般の人にも「結婚式」が広まったと言われています。今の結婚式の源流は、ここからきているのですね。

ちなみに大正天皇は、側近を持つことなく一夫一妻制を確立した初めての天皇。 家庭を大事にされたという記録も残っています。そんな誠実な大正天皇ですが、明治天皇と昭和天皇の影に隠れて全然名が知られていないのがちょっと残念ですね。

芸能人の影響により、会場での結婚式が主流に

そして時代は戦時中へ。国家総動員法が公布された昭和13年、日本は戦時体制下でした。結婚式は質素に行うことや「国民服」*2を着用して行うことが定められていました。この時代にCRAZY WEDDINGが「個性ある結婚式を!」と唄えていたら、社員全員非国民だと裁かれてしまっていたかもしれませんね。

戦争が終わっても、結婚のお祝いをするムードがすぐに戻るはずもなく、籍はいれても式は挙げない結婚が多かったと言います。再び結婚式が行われるようになったのは、昭和26年以降になってから。

空襲の影響もあって、自宅で式を挙げることが難しかったため、公共の施設や会場を借りて挙げるようになりました。

1954年ごろから高度経済成長期に突入すると、東京オリンピックの開催に押され、ホテルが次々に建設されていきました。石原裕次郎はじめとする芸能人たちが、ホテルでの結婚式を多数開催。会場を借りて式を挙げるスタイルが一気に広がっていきました。

「産業」として発展した結婚式

1970年ごろからはホテルだけではなく、大型の専門式場が次々とオープン。多くの人が式場を選ぶようになりました。結婚式を式場に依頼すれば、家族は料理の準備をする必要がなく、参加者にとっても交通の便が良いからです。結婚式は「産業」として花開いていきました。

その後は第一次ベビーブームにより、1970年にピークを迎えた婚姻数は、ブームの終焉と共に緩やかに減っていきます。結婚式産業はその影響を受け、少ないパイを奪い合うことに。そこでホテルや結婚式場は、若い新郎新婦を惹きつけるため多種多様な企画を打ち出すようになりました。

例えば、女性が好きそうなお城のような会場、ドライアイスを使った入場や天井からゴンドラを使った登場など。いろんな結婚式があっても良いと認知され出したのは、このころからです。

その後は、バブル到来によりハデ婚やリゾート婚が流行り、バブル崩壊後は出費を抑えるための「ナシ婚」や、どうせ結婚式を挙げるのであれば自分たちらしい結婚式を挙げたいというニーズが高まり、オーダーメイドの結婚式が流行り出した今日へと続きます。

ここまで振り返ってみると、結婚式は家と家の結びつきを大切にする結婚の儀式として生まれ、戦争などの社会的背景や、産業の発展によりどんどん形を変えてきたことが分かりますね。

後半では、現代にスポットライトを当てて、二人らしい個性のある結婚式の可能性を見ていきたいと思います。

<参考>

http://www.100nen-shuppan.com/kekkonshikinorekishi

新・日本の結婚式の歴史

注*1

CRAZY WEDDING

2012年創業。「人生が変わるほどの結婚式をしよう」をコンセプトに創業5年目で約400組のお客様の結婚式をプロデュースしてきた。結婚する意味、結婚式の意味を改めて再定義し、結婚式を「個性を表現する場」と捉え、お客様からこれまでの人生についてのヒアリングを行い、1組1組にオリジナルのコンセプトを紡いできた。それを元に世界観、当日の演出までを全てプロデュースする完全オリジナルウエディングを確立。

*2

国民服

1940(昭和15)年に定められ、太平洋戦争中に使用された、日本国民男子の標準服。

 Share Tweet

水玉綾(@maya_mip)AYA MIZUTAMA

CRAZY MAGAZINE編集長。フリーの編集者・ライター。HR領域の取材記事を中心に、媒体は「未来を変えるプロジェクト」「新R25」「PR Table Community」「BizHint」「FastGrow」等。三度の飯より愛犬が好き?? 


CRAZY CRAZY WEDDING IWAI OMOTESANDO BENE