2017.09.12

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睡眠を科学して、パフォーマンスをあげる。〜脳内ホルモンを味方にして、睡眠負債ゼロ体質に〜

睡魔と戦ったことがない。そんな人は存在しないだろう。

今回は、睡眠研究の総本山と言われるスタンフォード大学の研究を中心に、睡眠のための5つのホルモンを味方にする方法をお伝えしたい。

そもそも寝過ぎなのか、寝てない方なのか?

長く寝るのが好きな人もいれば、短時間派もいる。睡眠生活に個性がありすぎて、何が正解かはわからない。

睡眠時間の長さをデータで見ると、日本は都会に住む人ほど眠れていない。

50年前、22時に就寝している人は60%おり、6時間以上を平均としていた。2000年に入り、20%台まで下がっている。6時間睡眠を平均とする日本人が40%いるが、世界基準に照らし合わせると、それは短時間睡眠に分類されてしまう。

そして、2016年、睡眠事情に関するアンケートでは、100カ国で、ついに最下位になってしまった。

こうして、現代は80%以上の日本人の体には、今話題の睡眠負債が溜まっている状態だ。

負債というからには、時間と質による睡眠不足によるダメージが蓄積されている。特に、メタボリック症候群/ガンの発症/性機能障害などの関連性が目立っている。

睡眠を敵に回せば、負債のダメージは病気というリスクを高め、味方につければ負債を補うどころか、日中の生活や仕事へのパフォーマンスも向上する。「ちゃんと寝れば治る」とよく言うけれど、それは真実だ。

睡眠を改善する方法は誰もが2〜3個は知っているだろう。なぜそれをやると効果的なのか?それを知るだけで、その方法を試す必要性を俄然感じて頂けるのではないだろうか。

5つのホルモンを味方につける理由と方法

1つめはドーパミン。私たちの意識を覚醒させ、注意力、集中力を高めてくれる。日中のパフォーマンスには必要だが、睡眠には要らない。

ドーパミンは「些細な探究心」から、分泌されてしまう。「知りたい→気になる→知れた」という達成はドーパミンを分泌し、脳を覚醒させてしまう。検索やSNSはドーパミンの火種になる。つい夢中になって徹夜で本を読んだ!その経験はドーパミンのおかげである。

よく、就寝90分前には、テレビ/携帯/パソコンから離れて過ごすのが良いと言われる。それはドーパミンを静めるための大切な時間であるからだ。

続いて、目を閉じたい、少し横になりたい。そう感じた時は、脳内の老廃物質アデノシンが蓄積されている。

アデノシンは起きてる間に脳細胞が活動する際、副産物として生まれる。一定量になると疲労を感じ、脳から休養指令が出て、とたんに眠くなってしまうのだ。午後、15分の仮眠が有効と言われるのはアデノシンとの関係によるものだ。

そのアデノシンの蓄積を感じさせなくなるのが、コーヒーのカフェインである。カフェインを飲むと眠気が改善されるが、アデノシンの蓄積を麻痺させるだけであって、疲労を解決させるものではないのだ。その上、カフェインは8時間経っても50%しか消費できないことが解明されており、飲むタイミングを間違えると、夜の睡眠に影響が出てしまう。

3つめは、体内の消化器に存在するといわれているセロトニン。幸福感を感じさせてくれるホルモンである。自然発生するホルモンではなく、何を食べ、どう体を動かし、自然光をどのくらい浴びたかで生成量が決まる。

自然光によって皮膚で生成されたセロトニンは、4つめのメラトニンに進化をする。メラトニンが働いている間、他の機能を休ませる指令が出ていて、睡眠の質を保てるのだ。

そして、最後が、近年有名になっているストレスホルモンのコルチゾールである。生体バランスを司る副腎ホルモンで、適切な時間に分泌されないと、ストレスホルモンの汚名を着せられる。

コルチゾールは朝に増え、夜には無くなっていくのが正常で、メラトニンと反比例の関係にある。爽快な目覚めはコルチゾールのおかげで手に入れることができる。是非、味方にしたいホルモンだ!

そんな3つのホルモン、セロトニン、メラトニン、コルチゾールの根源は自然光である。とりわけ朝6時〜8時半の間に15分日光を浴びることが、とにかく大事なのだ。この15分の日光浴が基本の睡眠サイクルを作り出してくれる。

THE最良の睡眠とは?

さらに、研究によると3時間のレム睡眠/ノンレム睡眠のサイクルの中でも、最初の90分をしっかり深く寝れたら、最高の睡眠をとれるということが発表された。となると、ここまでの様々なホルモンとの付き合い方は、最初の90分に照準を合わせた方が良さそうだ。

最初の90分のために、電子機器の電源を落としてドーパミンを静め、8時間前にはカフェインを控えアデノシンによる疲れを感じる。毎日自然光を15分は浴びて、セロトニンとメラトニンを生成し、夜にコルチゾールが分泌されるのを防ぎ、夜になったら眠れる身体を手に入れておく。

ホルモンの分泌を感じ、ちゃんと眠れて、起きれることが体験できた時、より生活習慣の重要性がより実感できるというものだ。

あなたの日常から「なんとなく眠い」を取除くことができたら。

どれだけ目の前の楽しいことに素直に笑えるだろう。思考がスムーズに進み、とれほど仕事に自信がつくだろう。見た目の若さがどれほど回復するだろう。

そして、どれほどの多くの夢を叶えることができるだろうか。

※参考図書

SLEEPー最高の脳と体をつくる睡眠の技術ーあなたは眠るたびに賢くなる。
著:ショーン・スティーブンソン

スタンフォード式最高の睡眠 著:西野精治

ブレイン・ルール 著:ジョン・メディナ

渡辺みさとMISATO WATANABE

こどもの能力と個性を伸ばすため親子関係、食生活、脳発達の指導などをする幼児教育の世界へ飛び込む。株式会社CRAZY創業と同時に、有機素材を使った自然食を提供する社員食堂を立ち上げ、創業6年で年間約49,000食を社員に提供していた。6.7年目は託児チームに在籍し、産休から戻った社員の子連れ出勤制度を具体化するため、幼児教育を含めた社内託児の立ち上げを行う。その結果、現在では産休後復帰率は100%となっている。現在は同社を寿退社している。


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