2024.05.22

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ビジネスも愛も絶対に手放さない。それが、未来に近いということ。

CRAZYは、「人々が愛し合うための、機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消する」をパーパスに掲げ、創業以来、CRAZY WEDDINGを始めとする婚礼事業を中心に運営をしてきました。

2024年4月には、新規事業「CRAZY CAREER」もリリース。さらに水面下でも、さまざまな企画や事業が動いています。

これらCRAZYのビジネス全般を牽引しているのが、取締役COOの熊谷。実は熊谷は、CRAZY以外にも様々な業界で経営者や取締役として活動しています。また、2024年5月に初の著書『君の未来とお金の関係 格差社会を生き抜く投資の哲学』の発売も決定。

20年以上ビジネスの第一線で活躍し、多種多様な事業を成長させてきた熊谷。そんな彼は、「ビジネスの成長には、“ロマン”と“そろばん”の両方が必要だ」と語ります。一体どういうことなのか、詳しく聞いてみました。

一見異なるビジネスの共通点は、「日本から世界へ」

―まずは、熊谷さんが現在どんな仕事をしているのか教えていただけますか。CRAZY以外にも、いろんなことをしていると聞いていますが。

熊谷

熊谷:CRAZYでは取締役COOとしてCRAZY WEDDINGやCRAZY CAREER、CRAZY CULTURE AGENCYなど、事業最高執行責任者としてすべての事業責任者を担っています。また、僕のバックボーンが金融なので、CFO的に会社全体の財務戦略もデザインしていますね。つまり、CRAZYのビジネスサイドはほぼ僕が管掌してます。

CRAZY以外でいうと、投資会社「さわかみ投信」では取締役として事業戦略の立案実行を担当し、香港を拠点に日本酒文化を広める会社「株式会社 Ahead of the curve(以下、アヘッド)」を代表として経営もしています。

―ブライダル、投資、日本酒……なぜ、全く異なるジャンルの事業に携わろうと思ったのでしょうか?

熊谷:たしかに僕のやっていることは、一見すると一貫性がないように見えるかもしれませんね。でも、僕の中では、「日本から世界へ」という一貫した軸があるんですよ。日本ならではの文化や産業は、日本が世界に誇る強力な強みです。これは、日本がより良い未来を描いていくために欠かせないものだと思っています。

また、CRAZYもさわかみも、業界に新しい風を吹かせたパイオニアです。既存産業に対して、新しい価値を提供してきました。そして、僕の経営しているアヘッドもそうありたいと思っています。数字や売上などビジネスを徹底的に実行するだけでなく、浪漫の実現にも挑み続ける会社。僕の関わっている3社には、そういう共通項があるんです。

ビジネスの原動力は、「浪漫」

なるほど。ただ、「日本を良くしたい」と思っても行動に移せない人が多い中、なぜ熊谷さんは、新卒時代から一貫して最前線で走り続けられるのでしょうか。

熊谷:生まれ育った環境の影響が大きいかもしれませんね。僕は、「限界集落」と呼ばれる場所で幼少期を過ごしました。そこで、日本の栄枯盛衰を間近で見ながら成長してきたんですよ。

―日本の栄枯盛衰?

熊谷:僕の出身地である新潟県は、田中角栄によって目覚ましい発展を遂げた地域です。昭和時代に上越新幹線や関越自動車道が整備され、一時期は日本国内でも屈指の浪漫に溢れた場所でした。

実家からみえる豊かな田園風景
実家からみえる豊かな田園風景

しかし、時代の流れとともにどんどん人も産業も流出し、加速度的に衰退していって……。それを間近で見るのは切ないし、悔しかった。そして、これは僕の故郷だけの話じゃない、日本全体で起こっている問題だ、と思っていました。この経験が、「日本を良くしたい」という原体験になっています。

それから、僕の家系が全員経営者だったというのも大きいかもしれませんね。小さい頃から「物事には、やるかやらないかしかない」という考えのもと育ったから、自然と「日本を良くしたいと思うなら、まずは自分が動くしかない」と思うようになりました。

―先程から何度か出てきた、“浪漫”についても教えてください。熊谷さんはCRAZY社内でもよく、“浪漫”が原動力になると話をしているそうですね。

熊谷:“浪漫”というとキザっぽく聞こえるかもしれませんが、要は「ワクワク」するかどうかですね。

例えば、僕は2001年に新卒でさわかみ投信に入社したのですが、当時のさわかみは「そんな会社に新卒入社するなんて、大丈夫か」と周りから心配されるような会社でした。創業したばかりで、社員数はたったの10人。大手金融機関のグループでもなく販売会社も通さない「独立系直販投信」という新しい投資のスタイルは、いまでこそ多くの方から信頼していただいていますが、当時は“突飛”なものと見られていました。

でも、僕はさわかみの描く未来に文字通りワクワクしていて。さわかみが扱う投資は、地方の人を潤す力を持っています。都市部在住だろうが地方在住だろうが、投資によるリターンは平等です。地方に住みながら、世界経済の成長に乗れる可能性を持っている。つまり、投資は地方を元気にする力を持っているんですよ。

実際に入社から数年でさわかみの顧客は10万人以上になりました。ものすごい勢いの事業成長です。運用資産1000億円を突破したときの景色は、今でもよく覚えています。このときの経験から、何かを成し遂げるためにはワクワク、つまり浪漫が必要だと思うようになりましたね。

熊谷

浪漫の実現に欠かせないのが、「そろばん」

―今のお話を聞いていて、浪漫があるからビジネスも成長するのか、それとも成長するから浪漫が生まれるのか、どちらなのかが気になったのですが……。

熊谷:これは、相互作用だと思いますね。どちらか一方だけでは、なかなか伸びていきません。

―浪漫は大事だけど、浪漫だけでは会社は成長しない、と。

熊谷:はい。「浪漫だけではだめだ」と痛感したのは、2014年に香港でアヘッドを立ち上げたときですね。

―起業後、何があったのでしょうか。

熊谷:簡単に言うと、大きな詐欺被害にあったんです。アヘッドでは、日本酒などの日本文化を広めるために、レストランや酒器販売ビジネスを運営しています。実は、今香港で運営している店舗は、二つ目の建設会社と共に建てたもの。最初の建設会社は、建設費を支払った後に音信不通になってしまって……。今となれば懐かしき失敗ですが、多額の建設費を失った上に、結果トイレを3回も買う羽目になりました。最初の2つはどこかに行ってしまいました。同じ場所でトイレを3回も買う人などいないと思います(笑)。その詐欺被害のせいでキャッシュを大きく失い、あと一週間でキャッシュが尽きるなんていう状況にも追い込まれ、不安で眠れない日々を過ごしました。

あの時期は本当に辛かった。でも、あの時期があったから、ワクワクだけでは事業は立ち上げられないし、成長しない。「経営」や「数字」を本質的に見る力も必要だと痛感しましたね。

大きな苦悩を乗り越え、経営する「GODENYA」は2年連続ミシュラン1つ星を獲得
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―熊谷さんはよく「そろばん」という言葉を使いますよね。

熊谷:はい。アメリカに留学してMBAを取得したり、世界的企業であるGUCCIの経営企画部門責任者を任せていただく中でその必要性を感じていました。特にGUCCIでは、とにもかくにもシビアに数字を見るような環境でしたが、その結果V字回復的に事業を成長させることができました。「そろばん」に徹底的に取り組んだ時期です。

でも、会社の成長は「浪漫だけではだめ」なように、「そろばんだけでもだめ」なんです。アヘッドの話に戻すと、創業当時は理屈上は事業を畳んでもおかしくないようなキャッシュフローでした。でもそれで諦めてしまったら、「日本から世界へ」の夢も途絶えてしまう。倒産を回避すべく、あの手この手で資金を手当てし、現場メンバーを鼓舞し、あらゆる課題の解決に努めた結果、なんとか経営を立て直すことができました。事業拡大にチャレンジする余力も生まれ、今は地元の新潟県でサウナビレッジの建設を含む新規事業の計画を進めているんですよ。これは、絶対に諦めないという浪漫と、シビアに数字を見る経験、どちらもあったからできたことです。

地元 新潟の限界集落でサウナビレッジの建設に取り組む
地元 新潟の限界集落でサウナビレッジの建設に取り組む

ちなみに、CRAZYが2019年に大きな投資をして立ち上げた「IWAI OMOTESANDO」も、設立からしばらく、手放しに成功とは言えない状況だったんですよ。

―今では、30ヶ月連続都内の口コミランキング1位を獲得するほどなのに?

熊谷:IWAIを立ち上げた1年後に新型コロナウイルスが大流行して……。IWAIという素晴らしい空間をつくるために大きな設備投資をした直後でした。タイミングとしては最悪でした。今だから言っちゃいますけど(笑)、その頃のIWAIは、数字だけで見るとあと数ヶ月でキャッシュが尽きるような、後がない状況でしたね。眠れぬ日々を送ったことを覚えています。

約3ヶ月間、結婚式が行われない日々が続いた
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―それでも続けられたのは、やっぱり浪漫とそろばん両方があったから?

熊谷:そうですね。すごく苦しかったけど、「じゃあ辞めるか」とは1秒も思わなかった。未来はどうなるか誰にも分からないからこそ、一般論ではなく自分の見たい未来を信じようと思ったんです。だから諦めるのではなく、どうしたら窮地から脱却し事業を再生できるのかを考え続けました。

「ろまん」と「そろばん」で、世界で戦うCRAZY

―CRAZYのビジネスについて、もっと聞きたいです。熊谷さんは、どのようにCRAZYのビジネスを成長させたいと考えているのでしょうか。

熊谷:CRAZYは、愛や想いといった人間にとって大切なものを信じ、それを人生に寄り添うサービスを通して広めていこうとしている会社です。デジタル化が進んだ現代では、人と人とが直接合わなくても交流できるようになりました。今後社会の流れとして、物理的な分断はさらに進んでいくはず。だからこそ、「触れ合い」や「温もり」の重要性がより浮き彫りになっていく。

IWAIの結婚式を通じて「愛がみえた」という声も
IWAIの結婚式を通じて「愛がみえた」という声も

CRAZYの信じる価値の提供は、個人はもちろん、社会にとってもより重要なものになっていく。現在は婚礼やキャリア支援といった手段で価値提供をしていますが、物理的な分断が進めば進むほど、今後はカルチャー教育やアプリ開発など、もっと幅広い形で国内外で需要が高まっていくはずです。

何度も言うように、浪漫は大事です。でも、そこにビジネスチャンスがなければ、会社は成長しません。その点CRAZYの持つ浪漫には、大きなビジネスチャンスがある。だから、最高に面白いんですよ。

―浪漫とそろばん、どちらも大事なのは分かりつつも、資本主義経済ではどちらかを諦めざるを得なかった企業も少なくないと思います。その点について、CRAZYはどうでしょうか?

熊谷:創業から10年以上経った今も、CRAZYはどちらも諦めていません。ただ、全部取りできているかというと、まだまだですね。ビジネスの成長も発展途上です。

ただ、CRAZYにいるメンバーは、自分の人生に本気な人たちばかりです。一人ひとりが、「自分の人生は、自分で豊かにする」と思っています。そう信じているメンバーにまず、CRAZYの事業が圧倒的に成長する景色を見せたい。そうすると、メンバーはより自分やCRAZYを信じられるようになりますよね。その結果、CRAZYはより強い企業になる。

CRAZYのメンバー

―CRAZYの未来に、ワクワクしますね。

熊谷:今の調子なら、CRAZYはあと4、5年で100億円を超える企業になる。その頃には、日本だけでなく、世界に向けてサービスや事業を発信しているはずです。

今CRAZYにいるのは、叶えたい理想や夢と同時に、シビアな現実にも向き合ってきたメンバーばかりです。それでも自分の人生を諦めていない。それぞれの浪漫を持ってCRAZYに入社してくれています。そして、CRAZYの中でも日々葛藤しながら挑戦を続けています。そういう人たちは、本当に強いんですよ。

そんな彼らの浪漫とそろばんが揃えば、自然とグローバルカンパニーへの道は拓けていく。僕はそう信じています。

熊谷

執筆:仲奈々
企画・編集:池田瑞姫
撮影(一部):kuppography
デザイン:林 隆三


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