2024.04.09

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健康も、人間関係も、プライベートも、仕事も、大切に。 「CRAZYのお昼ごはん」大解剖

CRAZYには、さまざまな独自の制度があります。その1つが、創業時から続いている「CRAZYのお昼ごはん」。食事の時間になったら社員全員が、仕事の手を止めて「いただきます」から「ごちそうさま」まで同じ時間を過ごす制度です。

社員が当番制で準備を行っていること。食べるものは、身体に優しい手作りのごはんであること。また、社外からの“ゲスト”が参加することなど、独自の仕組みで運用されていることも、この制度の特徴です。

なぜ、このお昼ごはんの文化が生まれたのでしょうか。また、10年以上大切にし続けてきた理由とは?

「CRAZYのお昼ごはん」を生み出した、創業者であり代表取締役社長の森山和彦(以下、森山)に話を聞いていきます。

僕たちと話をしたい人なら、誰でも大歓迎

―まず、「CRAZYのお昼ごはん」がどのようなものなのか教えてください。

森山:ほぼ毎週水曜日に、社員全員が集まって同じお昼ごはんを食べています。2人1組で毎週当番を回して、全員分のご飯を炊いたり、温めたりしています。

配膳は社員全員で行って、みんなで一緒に「いただきます」と「ごちそうさま」をする。そして、片付けも全員で行う。これが、「CRAZYのお昼ごはん」です。

社員が自分たちで配膳をする
社員が自分たちで配膳をする

―食事の内容を教えていただけますか。

森山:「CRAZYのお昼ごはん」は、すべて旬の食材でごはんを提供する「うぶすな」さんに作っていただいています。うぶすなさんは、創業期に僕たちのごはんを作ってくれていた仲間が関わっているお店です。自然の調味料と有機野菜を使用した手作りのごはんは絶品ですよ!

うぶすなさんの手料理

―「CRAZYのお昼ごはん」は、“ゲスト”を呼ぶのも特徴のひとつですよね。

森山:そうですね。毎回、10〜20人ほどのゲストを招いています。お招きする方は、パートナー企業の方やお客さま、社員の友人や家族、CRAZYが気になる人など、さまざま。場所の都合上一回のゲストは20人までという制約はありますが、それ以外は自由。僕たちと関係を深めたいと思ってくださっている方なら、どなたでも大歓迎です。

ゲストか社員か分からないほどに盛り上がる

健康も人間関係も、プライベートも、仕事も、すべて大事にできる方法を考える

―CRAZYでは、いつから食事を大切にするようになったのでしょうか。

森山:創業時からです。僕は、今も昔も人生で一番大事なことは「健康」だと思っています。でも、創業時はとにかくやることがたくさんあって、普通に暮らしていると健康が疎かになってしまう可能性がありました。意識しなくても社員の健康を守るために食事の提供を始めたんです。

創業時のお昼ごはんの様子
創業時のお昼ごはんの様子

それと同時に、食事は人間関係を育む時間だと思っています。例えば、社食などで食事を提供している企業はたくさんありますよね。好きな時間に好きな席で、自分の好きな物を食べられる。一人でスマートフォンを見ながらもくもくと食べるのも、同僚と会話を楽しみながら食べるのも自由ですよね。このスタイルももちろん良いのですが、僕たちが目指したいところとは異なります。

僕たちは、人と人との関係性が向上する仕掛けを作っていきたいんです。その想いは、事業である結婚式においても同じです。時間の使い方や空間の作り方に徹底的にこだわっています。結婚式で提供するお料理でも、単においしいだけでなく「会話が弾み、思い出が増える料理」をお届けしています。

お昼ごはんでも同様です。誰が作っているものを口にするのか、使っている素材は何か、提供される器はどんなものか、食べる場所はどこか、そして誰と一緒に食べるか。その一つひとつを、僕たちは大切にしたいと思っています。

―創業時から、ごはんに対する根本の想いは変わらないのですね。ただ、現在は週に1回程度の開催ですが、以前は毎日お昼ごはんを提供していたと聞きました。

森山:おっしゃるとおり、以前は大きなキッチンのあるオフィスで、専門のチームが毎日100名分以上のお昼ごはんを作っていました。ただ、新型コロナウイルス感染症が流行した影響で、感染を防ぐために全員集合してのお昼ごはんを中止することに。

約3年半の休止を経て、昨年からお昼ごはんの制度を復活させました。でも、リモートワーク中心の社員が増えるなど、働き方もライフスタイルも大きく変化しているので、以前のように毎日は行っていません。

―根本の想いはそのままで、運用方法は時代に合わせて柔軟に変化させているのですね。社員全員が参加し、同時に「いただきます」と「ごちそうさま」をするのは昔から変わらないのでしょうか。

森山:はい。ずっと変わっていません。うちの会社では、「赤信号は渡らない」と同じように自然にそうなってますね。

―「仕事が最優先」という企業も多いと思いますが、CRAZYはその考え方をどのように浸透させていったのでしょうか?

森山:代表の僕が、健康や人間関係を育む食事を差し置いてまで、仕事を優先させたくないと思っているからですかね。もっと言えば、自分の人生で大事なことは、自分で決めたかった。例えば、「子どもの運動会があるので、この日有給を取っていいですか?」って許可を取らないといけない会社って嫌だなと思っていたんです。自分の人生のことは、会社に関係なく自分で決める。僕が会社を作るなら、そんな会社にしたかったんです。

と言っても「仕事や同僚を犠牲にしていい」という話ではなくて。優先順位はあるけれど、人生も仕事もどっちも大事。だから、CRAZYのメンバーには両方を大事にする方法を考えてほしいんです。それは、お昼ごはんにおいても同じです。社員のことを思って企画や運営をしてくれているメンバーや、僕たちの健康を考えてごはんを作ってくれるパートナーさんがいる。それを理解していたら、簡単に「今日は自分の仕事が忙しいから、お昼ごはんはいらない」とは言えないはずです。

自分も大事だし、他者も大事。プライベートも大事だし、社会活動も大事。自社も大事だし、他社も大事。自分に向かっている目線を周りにも広げていくことで、人間関係は良くなっていくと思っています。

社員も、ゲストも、ひとりの人間として存在する

―なるほど。だから、社員だけでなくゲストも呼ぶようになったのでしょうか。

森山:ゲストにお越しいただいているのにはいろんな理由がありますが、そのひとつに「社員が客観的に自分たちを認識できるようになる」という効果もあります。

社外の方が来ると、社員は「CRAZYはどんな会社か」「ここで自分はどんな仕事をしているのか」を話しますよね。それを繰り返すことで、自分がここにいる意味がどんどん言語化されていくわけです。

―社外の人と一緒にランチをすることは、社員側のメリットもあるんですね…!同時に、「CRAZYの社員からエネルギーをもらった」など、ゲスト側からの嬉しいお声もたくさん届いているそうですね。

森山:はい。でもそのお声をいただくたびに、「あなたもそのエネルギーの発信源なんです」と思うんですよね。

当たり前のことですが、「CRAZYのお昼ごはん」は、仕事をする場ではありません。社員もゲストも、肩書や仕事内容は関係なく、純粋に美味しい食事や会話を楽しむ「一人の人間」として、存在しています。それぞれが「一人の人間」として目の前の相手に興味を持ち、どうしたらこの場を一緒に楽しめるか、どうしたらより良い関係性が築けるか、を考えることで、自然とコミュニケーションが増えていきます。

その空間を社員だけで実現することはできません。ゲストの皆さんも「一人の人間」として一緒に過ごしていくれているからこその時間なんです。

―なぜCRAZYでは、この空間を作り出せるのでしょうか。

森山:確かにCRAZYは、こういった空間を作るのが得意です。だけど、どんな会社でも意図した空間を作り出せると思っています。その理由は2つあって。

まず1つ目は、場づくりは「技術」だからです。時間帯、建物、彩る雑貨、座る場所など、人にとって居心地が良い空間はセンスではなく、技術で作ることができます。僕たちは創業から10年以上、技術で人と人とが繋がる空間を作ってきました。

IWAIの結婚式の写真
IWAI OMOTESANDOの歓談のみのパーティーが、ゲストが驚くほど盛り上がるのも、この技術を活かしているから

そして2つ目は、「情熱」が重要だからです。誰が、何のために、どんな想いで場をつくるのか。まず情熱に触れて、その想いが実現できる企画を考えます。たとえ技術が無くても、想いのこもった場があるのは、何より情熱が人に伝わるからです。

CRAZYは、この2つをずっと、丁寧にやってきただけなんですよね。

人を通して広がっていく、本物の情報

―CRAZYがお昼ごはんを大切にしている理由がわかってきました。しかし、仕事の手を止めて社員で準備を行ったり、毎回10名以上のゲストが参加したりと、かける時間やコストはかなり大きいですよね。そこまでして、創業時から大切にし続けている理由は何なのでしょう?

森山:まず、よく勘違いされるのですが、CRAZYは「想い」だけで事業運営をしているわけではないんですよ。想いと同じくらい、ビジネスとしての結果を重視しています。それは、お昼ごはんの運営においても同様です。社員の健康や人間関係の向上といった「福利厚生」的な意味合いだけで、10年以上続けているわけじゃありません。

森山インタビュー写真

―では、「CRAZYのお昼ごはん」はどんな結果に結びついているのでしょう?

森山:参加してくださった方が、後日CRAZYで結婚式を挙げてくれたり、会社の大事なイベントをCRAZYに任せてくれたり。あとは、採用にも繋がっています。

僕たちは、創業当時から独自のマーケティングを行っていて。通常だと集客や採用のために何十万円、何百万円とかけて広告を出しますよね。でも、CRAZYはずっと“口コミ中心”でやってきました。情熱の熱源は文字ではなく、人を通して広がっていくと考えているからです。

CRAZYのマーケティングのひとつが、お昼ごはんなんです。実際にCRAZYにお越しいただいて、CRAZYの熱を肌で感じてもらう。純粋に楽しい時間を過ごしてもらう。その感動は、画面上の広告よりもストレートに伝わって、簡単には忘れられないものとなります。実際に、お昼ごはんに参加した数年後に「あの感動が忘れられなくて」とCRAZYで結婚式を挙げてくれた方が何人もいらっしゃるんですよ。

人生も仕事もどっちも大事、という話をしましたよね。同じように、想いもビジネスもどちらも大事なんです。どちらかを優先させたり諦めたりするのではなく、どうしたらどちらも大事にできるのか。それを考え抜くことを、僕たちは大切にしています。それが形となったもののひとつが「CRAZYのお昼ごはん」なんです。変化してきたことはたくさんありますが、この「どちらも大事にする」というスタンスは変わらずこれからも大切にしていきたいです。

森山写真

執筆:仲奈々
企画・編集:池田瑞姫
撮影(一部):kuppography
デザイン:岩田優里


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