2017.10.22

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専業ママだってワンオペ育児は辛すぎる。悩みながらも「オフィスで子育て」を選んだパパママ社員の想いとは?

こんにちは! CRAZY MAGAZINEで執筆しているライターのFELIX清香です。CRAZYを外部からの視点で紹介することになりました。

前々回「70名のベンチャー企業が育児しながら働ける環境を持つ、たった1つの大きな理由」前回「『社内総出子育て』は三方よし!?パパママ、社員、子供たちのメリットに迫る!」に続き、今回は「オフィスで子育てをすることへのパパママ社員の想い」を紹介します。

万が一、事故が起きたとしても

CRAZYでは、希望をすればオフィスに子連れで出社をすることが可能です。仕事中はシッターさんに預けますが、預けっぱなしというわけではありません。子ども達はお昼寝する部屋とオープンオフィスを行き来して過ごします。社員に遊んでもらったりすることも。その様子はまるで親戚のお兄さんお姉さんと関わっているようです。

CRAZYに来る子どもたちにとって、渡辺みさとさんたち2名のシッターは、二人目のお母さんと言ってもいいのではと思うほど、愛情たっぷり。ママ社員たちは、

「私と同じレベルで子供を愛してくれているのがわかるから、安心できます。万が一何か事故が起こっても、『母親の私が付いていても同じことが起こっただろう』と思えるんです」

と信頼を寄せている様子。子連れ出社する社員は、シッターさんや他の子連れ出社をする社員と情報交換をし、悩みを相談しながら子育てと仕事を両立しています。

「ワンオペ育児=一人で子育て」は苦しいはず

10月に第二子が生まれた高橋純平さんは、親戚のような社員に囲まれてオフィスで育つ子ども達のことを見ながら、こう言います。

「我が家は核家族なのですが、妻は3歳までは自分で子どもを育てたいと考えていて一人で子育てをしています。ただ、子育てだけをしていると世界が狭くなって限られた場所からしか情報が得られなくなるし、逆にインターネットなどで調べると情報が溢れすぎていて迷うんですよね。

『これをやろう』と思っても子どもは想像通りに動いてくれるわけではないし、誰も褒めてはくれない。思い通りにいかないことばかりだから、一人で子育てしていたら鬱々とした気分になるのも当然だなと感じます」

高橋さんは、奥さんの一人の時間を作るために、ときどき現在4歳になるお子さんを連れて出社をしているとか。今月末からは育休を取得する予定だそうです。

子育てに専念する「専業ママ」も大変ですが、仕事をしながら一人で育児や家庭のことまでこなす場合も大変です。仕事の有無に関わらず、「ワンオペ育児」は負担が非常に大きいものだと言えます。

CRAZYで働きながらも、シッターさんやその他の社員とともに子育てをしている人を見ると、この方法は専業ママなどのワンオペ育児を行う人よりも楽に子育てができるのではないかと感じます。

しかし、このような環境があったとしても、やはり育児をしながら仕事をするのは大変とのこと。

「子育てに専念していたら良かった」と思う瞬間も

「今日は子どもに邪魔をされずに仕事をしたい!」「今だけは静かにしていてほしい!」「子育てしながら働くなんて、ほんと無理」と常に思っていると、みなさん口を揃えます。

通勤に電車を使っている場合は、そこで病気をもらってくることもあり、そうすると否応なく「お熱なので早退します」という状況になります。また、昼間の時間をずっと一緒にすごせるわけではないので、子どもの成長に立ち会えないときもあります。

「シッターさんがたくさんムービーとか写真を撮ってくれて、『立ったよー』とか『歩いたー』というのをムービーや写真で知ると、その場に立ち会いたかったな、やっぱり子育てに専念していたらよかったなと思う瞬間はありますよね

と染谷和花さんは教えてくれました。

また、育児書にあるような「20時までに寝かしつけ」等の理想的な子育て方法を厳密にやろうとするのは難しい様子。

「子育てを完璧にやろうとはしていないんです。その辺に落ちたものを子供が食べちゃっても『ああ、そのくらいの雑菌は食べた方が体が強くなるよ』くらいに思っちゃう」

とママ社員たちは笑います。

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お母さんが自分の人生を生き切る

悩みつつも仕事に復帰したことについて、ママ社員のお二人に話を聞いてみました。

染谷さんは、こう言います。

「普通の託児では仕事に集中することは、結構難しいと思うんです。でも社内託児であれば仕事との両立もしやすいと思って。私は仕事を頑張りたいし、娘が将来『お母さん、かっこいい仕事をしてたんだな』とわかったら、私が子育てだけに専念しなかったことを理解してくれるのではないかなと考えました」。

2歳の圭都くんを育てながらウェディング事業の執行責任者を務める遠藤理恵さんも、

「『あなたとの時間が取れなくてごめんね』と自分を責めたこともあったけれど、今は『あなたにも、私にも使命があるはず。そして、あなたは私たちを選んで生まれてきてくれたからお互い頑張ろうね』と思うことにしています。お母さん自身が自分の人生を生き切ることが大事だし、そんな姿をみて子供もきっと感じるものがあるんじゃないかなと思うんです」

と言います。

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子どもに育てられている

環境が整っていたとしても、大変な「子育て」ですが、子育てをすることで仕事にも良い影響があるようです。

遠藤さんは、言います。

「子育てをしてみて、社員に対しても親心を感じるようになりました。もともとメンバーのことは大切に思っていましたが、子どもを持って『ああ、このメンバーの親御さんも、きっとこういう思いで産み、育て、愛情をかけてきたんだな』と思うようになり、さらに大切な存在だと感じるようになりました」。

世の中には、社員をまるで会社のコマのように扱う会社もあります。ですが、誰しもが愛情をかけられて育った人であることを感じれば、そういった扱いはできなくなるかもしれません。

高橋さんは、子育ては「子どもを育てる」だけでなく「子どもに育てられている」と感じると言います。

「子どもが話しかけてきた時に、仕事に夢中になって子どもの目を見ずに聞いていると、子どもは次第に目を見て話さないようになるんです。子どもって本当に素直で、鏡なんですよね。こちらの接し方が悪かったんだなと気づかされて、仕事の時にも同じようにしていないかと考えさせられます

子育てを大事にすると「生きる」が見えてくる

子どもを産み育てることも、働くことも、どちらも人間の生活には大事なことです。また子どもを産み育てることで学ぶことも多い。

ところがなぜか今、子育ては仕事に比べて軽視されている面があると思います。そんな中CRAZYがこういった子育て環境を作れたのは、「当たり前のこととして生きる姿勢」が前提にあるからではないかと、パパママ社員さんやシッターさんの話を聞いて感じました。

前編:
「70名のベンチャー企業が育児しながら働ける環境を持つ、たった1つの大きな理由」

後編:
「社内総出子育て」は三方よし!?パパママ、社員、子供たちのメリットに迫る!

Editor:水玉綾(@maya_mip
Photo:小澤 彩聖(@ayatoozawa

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FELIX 清香SAYAKA FELIX

greenz.jp、Pouch、「ソトコト」等のWEBマガジン、雑誌での執筆や書籍構成、オウンドメディアの立ち上げ等を行なっている。国際交流やエシカル、児童文学、体感型アートに興味あり。プライベートでは、Give & Takeではなく、Give & Giveで経済が回るかどうかをさまざまな取り組みで実験する「ギフト経済ラボ」のメンバーとして、カルマキッチンというカフェイベント等の運営に参加している。


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