2023.11.14

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日本から世界へ。CRAZY発、AIに負けないビジネスを

株式会社CRAZY(以下、CRAZY)では、「人々が愛し合うための機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消する」をパーパスに掲げています。そのパーパスを実現する手段として、現在はブライダル事業をメインに展開しています。

今回スポットを当てるのは、CRAZYの取締役COOを務める熊谷幹樹さんです。

投信会社のアナリスト、GUCCIの部門責任者、香港での起業などを経てCRAZYに参画した熊谷さん。グローバルを相手に活躍し、一度確立されたキャリアを持つ彼が、国内でブライダル事業を営むCRAZYに入社し、現在も最前線を走る理由は一体何なのでしょうか。

「日本のサービス業は、世界展開できるビジネスだ」

そう語る熊谷さんに、入社までの経緯や、今後CRAZYが目指す世界を伺いました。

少子高齢化社会の日本を盛り上げるには、世界に目を向けなければいけない

まずは、現在の仕事内容を教えてください。

熊谷:CRAZYでは取締役COOとして、ウエディングを含めた全事業の責任を担っています。そのほか、香港で日本酒文化を広めるためレストラン運営や酒器の販売をする会社を経営していたり、サウナで地方創生を目指す事業をしたり、投資会社の取締役を務めていたりもします。

インタビュー中の様子

―熊谷さんは、新卒で日本初の独立系投資信託会社であるさわかみ投信に入社し、アナリスト・ファンドマネージャーとして活躍。その後アメリカでMBAを取得しGUCCIに転職し、部門責任者を務めていたそうですね。また、香港で起業し事業を現在も経営されています。世界を相手に順調にキャリアを築いていた中、なぜ国内でブライダル事業を営むCRAZYへ参画することとなったのでしょうか。

MBA卒業式での1枚
MBA卒業式での1枚

熊谷:根本は、「日本を元気にしたい」という思いからですね。僕のキャリアは一見すると、統一性がないように見えるかもしれません。でも、すべて「日本から世界へ」という思いが共通しているんです。

今から40年以上前の日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、HONDAのバイクやTOYOTAの自家用車、SONYの電化製品など日本のものづくりが世界を席巻していた時代がありました。しかし、あの時代から、日本の“ものづくり”を始め、日本の世界における影響力は大きく縮小してしまいました。国内では徐々に少子高齢化が進み、日本全体としての経済成長が難しくなってきています。

再び日本を盛り上げるためには、どんどん人口が減少していく国内だけを見ていてはいけません。そこで現代の日本が世界に輸出できるものは何かと言うと「体験や文化」だと思うんです。例えば日本のレストランでは、おしぼりが出るのも、店員さんが挨拶してくれるのも“当たり前”ですよね。でも世界に目を向けると、全然違う。日本のサービスクオリティはものすごく高いことがわかるんです。日本の文化や体験は、世界に通用するビジネスになると考えています。

地元 新潟での事業開発にも個人で取り組む
限界集落でサウナを作ろうと挑む様子

―では、CRAZYの事業も世界に通用する体験になると考えた?

熊谷:はい。ブライダルのおもてなし体験は特にレベルが高いですからね。その中でも、CRAZYはブライダル業界のゲームチェンジャーになると確信できたんです。

―CRAZYがゲームチェンジャーになる?

熊谷:さわかみ投信でアナリストをしていた2002年頃、たまたまブライダル業界の分析をする機会がありました。そのときに、「ブライダルの事業会社って、名前が違うだけでどこもやっていることはほとんど同じだな」と思って。同じようなプログラムで、同じようなドレスを着て、同じような写真をとって、同じようなご飯を食べて……。

少子高齢化が進む日本でこのビジネスモデルを続けていくのは、非常に難しい。だからこそ近い将来ゲームチェンジャーが現れて、業界を変えていくだろうと考えました。

インタビュー中の様子

夢の実現のため、挑戦し続けるメンバーがCRAZYには大勢いる

―CRAZYが創業されたのは2012年ですよね。それよりも10年前に、CRAZYのような会社が現れる未来を予想していたとは……!

熊谷:僕がCRAZYと出会った2017年当時は、すでにブライダル業界のゲームチェンジャーにはなりつつあったけど、グローバルは目指していませんでした。でも、CRAZYが提供している文化や体験は、世界で通用するビジネスになる。なら、僕がここに入ってグローバルカンパニーにしよう。CRAZYから日本を元気にしよう。そう考えて、入社を決意しました。

―「グローバルを狙える」と伝えたときのCRAZY側の反応はどうだったのでしょうか。

熊谷:代表の森山さんからは、すぐに「やりましょう!」という反応が返ってきて気持ちよかったですね。代表に限らず、当時からCRAZYの人たちは熱量の高い人が多かった。そこも、CRAZYへの参画を決めた理由のひとつです。

僕の経験やビジョンから、CRAZYの役員候補として採用面談が進んでいきました。採用が決まるまで、25回は面談しました。たしか、当時在籍していたほぼ全員の社員と話したと思います。

入社直後、2017年の熊谷と代表森山
入社直後、2017年の熊谷と代表森山

―25回も採用面談を行ったのですか!

熊谷:はい。どんなメンバーが在籍しているのか、それぞれどんな想いを抱えているのか。CRAZY側が僕とカルチャーフィットするか見極める場であるのと同時に、僕が納得してCRAZYに入社できるよう場を設けてくれたのだと思います。

事実、メンバーと話してからのほうが、より強く「CRAZYは世界に挑戦できる」と思えましたね。当時のCRAZYは創業5年目の若い会社で、在籍しているメンバーも若手がほとんど。そのため、経験やスキルの面では課題が多くありました。でも、全員が“純粋な目”を持っているんです。

“人としてどうあるか?”を突き詰めるCRAZYの文化に心が動いた
“人としてどうあるか?”を突き詰めるCRAZYの文化に心が動いた

世の中の大企業、とりわけ外資系企業においては、高いスキルと豊富な経験を兼ね揃えた優秀な人がたくさんいます。でも、「経済的報酬」のために実際は何かを諦めている人も少なくはないと思うのです。日々の競争も激しいですしね。

その点、CRAZYの人たちからは、諦めとは対象的に高い熱量を感じました。会社やお金のために仕事をしているのではなくて、自分の夢や志のために必死で生きている。彼らを見て、僕が若手の頃に抱いていた夢や志を思い出して。「ここでチャレンジしたい」という思いが、自然と込み上げて来たんです。

この純粋な目を持った人たちと一緒なら、CRAZYはもっと進化できる。世界で戦える企業になる。そう思えました。

人を感動させられるのは、人。感動体験はAIと匹敵するビジネスになる

―CRAZYがグローバルカンパニーを目指すにあたって、現在進めている施策などあれば教えてください。

熊谷:CRAZYでは現在ブライダル事業をメインに行っていますが、その根底にあるのは“感動体験”です。CRAZYは、「感動産業のリーディングカンパニー」としてグローバルを目指します。

―感動産業?

熊谷:近年、AIがどんどん普及しているじゃないですか。技術レベルも日々進化して、記事やイラストを作ったり、人の代わりに仕事もしてくれたりする。これにより、近い将来衰退すると言われている業界・職種も多くあります。

AIに任せた方がミスのない正確なものができますよね。でも、AIが作った文章を読んで人は感動できるのか。AIが作った企画で人は感動できるのか。「感動」という視点で見ると、AIに任せるのが正しいとは言い切れないはずです。

人を感動させられるのは、人です。さらに言うと、人は人を見て、その光景を自分に当てはめて自分自身に感動するんです。たとえば、友人の結婚式で感動したことのある人は多いはず。友人が大切な人へ想いを伝える様子から、自分の大切な人を思い出して会いたくなったり、感謝を伝えたくなったりする。今後どれだけAIが進化しても、この感動のサイクルは崩せない。つまり、感動体験を提供するビジネスは、AIにも負けない成長産業になると考えています。

合宿にて全社員の前で等身大の自分を語る様子
社内イベントで肉を焼き続ける熊谷

―「感動産業のリーディングカンパニー」として、具体的に考えていることはありますか。

熊谷:今の段階では3つあります。まずは、既存のブライダル事業を伸ばすこと。ブライダル自体は衰退産業と言われていますが、「人は何に感動するか」に焦点を当てたらまだまだ成長する余地はあります。僕たちの競合はブライダル会社ではなく、感動的なデザインで業界を変えたAppleや、感動体験でファンを増やし続けるディズニーランドだと考えています。

次に、カルチャー開発。CRAZYでは、「人々が愛し合うための機会と勇気を提供し、パートナーシップの分断を解消する」というパーパス(存在目的)を掲げています。それは、結婚式を挙げるふたりのパートナーシップに限りません。家族や友人、企業にもパートナーシップはあります。そして信頼関係が強まれば強まるほど、強いパートナーシップを築ける。CRAZYでは、社長とメンバー、そしてメンバー間など組織としてパートナーシップの構築にチャレンジしています。その一例として、これまでの人生を振り返り、価値観や理想の生き方をメンバーと共有する「ライフプレゼンテーション」を入社時に全員行っています。

パートナーシップの構築やカルチャーづくりに悩む企業は、日本だけでなく世界中にある。まずはCRAZY自身が実証実験の場としてデータを蓄積していき、いずれは研究機関を設立したいですね。そこを通じて、国内外で人材開発や組織開発に悩んでいる企業のサポートができると嬉しいです。

3つ目は、感動×テクノロジーの構築。テクノロジーの力を活用して、パートナーシップの分断を解消していきたい。“愛”をテーマにしたアプリケーションを作りたいと思っています。日本発の“ラブテック”として、感動体験を世界に広めていきたいですね。

―ありがとうございます。最後に、どんな人と一緒に熊谷さんが描く未来を実現したいですか?

熊谷:挑戦し続けられる人、ですかね。僕は、CRAZYを通じて感動体験を世界中に広めていきたいと思っています。でも、それを実現するにはハードルの高い挑戦をし続けなければいけません。これまでのスキルや経験も大切ですが、それ以上に挑戦の中で学び、成長し、新たな挑戦に繋げられる人。そんな方と一緒なら、きっとCRAZYから日本を元気にできる。世界を感動させられる。そう思っています。

笑顔の1枚

執筆:仲奈々
企画・編集:池田瑞姫
撮影(一部):kuppography
デザイン:岩田優里


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