2018年・初夏。私は幸せの真ん中にいた。
人生2度目の結婚は、周囲に祝福されてトントン拍子で決まっていった。
私は17歳で最愛の父を亡くしている。それからというもの、母は、娘に人生の転機が訪れる度「生きていてほしかったよ、お父さん」と仏壇の前で目を潤ませては、なんとも温かい笑顔で語りかけ、手を合わせて父に報告をするのだった。私たちは、そんな両親の結婚記念日に入籍をすることにしていた。
夫と出逢って7ヶ月。のんびり屋の私にしてみれば、比較的スピード婚だ。
私の人生は、何不自由なく順風満帆だったとは言えないけれど、家族や仲間、友人に愛されて、助けられて、間違いなく幸せだった。
———でも、結婚式は、やらなくていいかなぁ。
私と夫は、周囲にたくさん心配をかけてきたからこそ「もう大丈夫、ちゃんと幸せだよ」と、大切な人たちに伝えたかったけど、それが「結婚式をしよう」には繋がらない。
それが私の本音だった。たとえ自分が勤めていたCRAZY WEDDINGだったとしても……。
私は創業初期からCRAZY WEDDINGで働いていた。オーガニックの社員食堂の立ち上げや、託児の運営を任されていた。人を幸せにする結婚式を作ることに、社員みんなが昼夜問わず全力を注いでいる姿を近くでみてきた。きっとお願いしたならば、最高の結婚式を作ってくれるはず!!なのに、いざ自分のこととなると、選べなかった。
問題は、最高のサービスかどうかよりも「私なんかが結婚式なんてしちゃいけない」と思っているから。なぜなら、2度目の結婚で、祝ってもらうことが申し訳ない。他にも「結婚式」という言葉に、もう心が動かない理由はたくさんあった。
・バツイチで2回目のウエディングドレス。
・30代半ばも過ぎて、タキシードやドレスなんてきっと似合わない。
・年をとった親戚たちを2度も田舎から集めて、祝ってもらおうなんて。
・忙しすぎて、結婚式の準備なんて無理。
・余興やプログラムになるようなコンテンツをもっていないし、友人にそれをお願いすることも違和感がある。
入籍、引越、忙しい毎日の仕事。せめてもの幸せな2人の時間に「結婚式の準備」をするのは、ワクワクというより「タスク」という感覚。
「2人の晴れ姿が見れたら、私たちは嬉しい」と夫の家族は言ってくれたけれど、私たちの気持ちや忙しい現状を理解し、それ以上は何も言わなかった。
ところがCRAZYの新ブランド「I W A I」との出逢いが、この状況すべてをひっくり返したのだった。
祝うことを邪魔する慣例は、やらなくていい
それは、ブランドマネージャー・山川咲との雑談の中でのこと。心の氷が溶ける瞬間があった。
「みさとの結婚、幸せをお祝いしたい人はたくさんいるよ。自分がどれだけ周囲に尽くしてきたか、みんなが感謝してるか、気づいてほしい。幸せを願いたい、今までの恩を返したいという気持ちを邪魔する慣例なら、全部いらない。わがままに、やりたくないことはやらなくていい。シンプルでも、その1日を結婚式と呼べばいいんだから。」
純粋に、祝う、シンプルな結婚式。忙しいことや、バツイチで2回目のウエディングドレスを着ること、親戚を呼ぶことへの心の氷が溶けていった。
そしてある週末、夫に相談をし、2人でゆっくり話をしたのだ。
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本当に家族と思える人たちとだけ過ごしたい。
豪華なケーキカット、入退場、スポットライト、キャンドルサービスは要らない。友人の子どもたちが楽しく遊び回って、私も一緒に遊べるような時間がいい。
余興を自分がやるのも嫌だけど、友人にお願いするのはもっと嫌。
招待状とか引き出物とか、あれもいらないな。
自分たちの写真じゃなくて、幸せそうなみんなの写真とビデオが欲しいよね。
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私も夫も“ やりたいこと”と”やりたくないこと”を、考え抜いて、一通り山川に伝えた。そして夫は「I W A I」の契約前、最後にこう確認した。
「僕たちに結婚式の準備をする時間は充分にありません。それにコンテンツだって何も持っていない。それでも妻を幸せにする結婚式はできますか?」
「絶対できます、やりましょう!」
それが山川の答えだった。
実際に、蓋をあけてみると驚くほどに準備が少なかった。紙の招待状よりも簡単に入力、返信ができるWEBの招待状。自動的に整理整頓されていくゲストリスト。
結婚式を1度経験している私は、その準備にかける時間の短さに驚いた。結婚式をやると、もれなくついてくる「結婚準備のバタバタ」は、最初の面会がスタートしてから、当日までほぼなかったのだ。
それだけじゃない。同じ釜の飯を食べる、想像を超えたお料理のコース。お茶1つでもこだわりを感じる豊富なドリンクメニュー。まるでゆったりとした暮らしを切り取ったかのような1日の進行。派手な装花や装飾が必要のない落ち着いた建築。
私たち夫婦がした結婚式までの唯一の準備は、「家族や友人たちへの感謝の気持ちを手紙に書き落とすこと」。当日を素敵な自分たちで迎えられるよう「自分磨きをすること」だけ。
こんなに家族や友人に想いを馳せることや、言葉や手紙にすることなんて、一生のうちどれほどあるだろうか。そんな貴重な時間をくれたのが「I W A I」だった。
数日後に結婚式を控えている新郎新婦とは思えないほど忙しさから解放されて、夫婦2人の時間を大切に過ごし、当日を迎えられたのだ。
「真っ白なプログラム」で迎えた当日
プロデューサーから渡された進行表は、まるで結婚式の進行表とは思えないほどシンプルで、真っ白なプログラム。私たち2人は、人生で一番素敵に仕立ててもらって、大好きな人たちに囲まれて過ごすだけ!という最高に贅沢な「自由」を手に入れて、結婚式がスタートした。
人前式では、お互いの家族や参加者がそれぞれの言葉で、夫や私のことを伝える時間があった。当本人である私たちは照れくさくなりながらも、その祝福を一心に受け止め、誓いの言葉を言い合う時には、喜びで声が震えていた。日頃、感極まることの少ない夫ですら、涙で言葉がつまったようだった。
座るのも自由、歩き回るのも自由。
好きな時に友人と談笑し、同じテーブルで料理を食べ、乾杯し、写真を撮り、友人の子どもたちをドレスのまま抱っこをし、とにかく遊び回った。
夫は時にマイクを握り、友人をいじり倒しては笑いをとり、雰囲気に合わせて自由に鍵盤をたたいて、JAZZを弾いた。プログラムに縛られない自由な空間にいるのは、本当に仲のいい人たちだけ。どこもかしこも笑いに溢れていて、BGMすら要らないほど。
希望通り、やりたくないこと全てをやめた結婚式。一緒に美味しい料理を食べ、何度も乾杯し合った、楽しい時間たち。
友達と笑い合う夫の姿を見て、私は「夫がたくさんの人に愛されて育ってきたんだなぁ」と嬉しくなったし、夫は私に「周りの人にとても大事にされているね、僕はもっと大事にするよ」と誓ってくれた。
結婚式の通説をとり除いた、私たちの真っ白な結婚式はこうして幕を閉じた。
今では「結婚式をやらなくていい」と思っていた自分がいたなんて嘘のようーーー。バツイチで2度目のウエディングドレス。忙しすぎる私たちでも、全員がたくさん泣いて笑った幸せな結婚式をする理想が叶ったのだ。
私たち夫婦は「I W A I」に出逢えて、人生がよりいっそう満たされたなあと実感した。だって、私の友人のみんなが夫を大好きになってくれて、私も夫の親友たちとまるで昔からの友人のように付き合うことができるようになったのだから。
美しい写真や動画を見返しては、幸せなあの日の感覚が呼び戻ってくる。
結婚式をしてよかった。本当によかった。
今は、人生で下した素晴らしい選択の1つだったと実感している。
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編集:水玉綾 画像:kuppography
渡辺みさと MISATO WATANABE
こどもの能力と個性を伸ばすため親子関係、食生活、脳発達の指導などをする幼児教育の世界へ飛び込む。株式会社CRAZY創業と同時に、有機素材を使った自然食を提供する社員食堂を立ち上げ、創業6年で年間約49,000食を社員に提供していた。6.7年目は託児チームに在籍し、産休から戻った社員の子連れ出勤制度を具体化するため、幼児教育を含めた社内託児の立ち上げを行う。その結果、現在では産休後復帰率は100%となっている。現在は同社を寿退社している。