「本当はずっと、愛されていたんだ」見えづらかった家族の愛がみえた日 | CRAZY MAGAZINE | 株式会社CRAZY(株式会社クレイジー) | CRAZY,Inc.

2025.11.27

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「本当はずっと、愛されていたんだ」見えづらかった家族の愛がみえた日

「結婚式をやりたい理由がある。でも、ライフステージが大きく変わる今、結婚式にお金をかけてもいいのだろうか……」

妊娠をきっかけにパートナーと結婚したさきさんは、心のどこかでそんな迷いを抱えていました。

パートナーは「挙げたくない」と言っている。これから子育てを控えている状況を考えると「挙げない方がいいかも」とも思う。でも、私は本当にそれでいいのだろうか。

いろんな壁を乗り越えて、結婚式を挙げたさきさん。憧れから始まった結婚式でしたが、これまで“なんとなく壁がある”と感じていた両親との「愛がみえた」時間となりました。

「結婚式は、私にとって始まりの一日になりました」

そう語るさきさんと、最初は「反対だった」というパートナーのなおきさんにお話を伺いました。

「ありがとう」と「ごめんね」をちゃんと伝える場がほしかった

―まず、結婚式を挙げるかどうかについて、おふたりは当初どのように考えていましたか?

さきさん:
初めて友人の結婚式に参加したとき、大好きな友人が教会のバージンロードを歩く姿や泣きながらご両親へ手紙を読む姿に、すごく感動して私まで泣いてしまったことがあって……。そういう、参加したゲストにも何かが伝わるような結婚式っていいな、と憧れていました。

―そんなさきさんですが、いざご自身が結婚したときは結婚式をやることをすぐには決断できなかったとお聞きしました。

さきさん:
はい。結婚より前に、妊娠していることが分かって。引っ越しや出産、子育てと、これからお金がかかるタイミングで「この状況でやってもいいのかな」と迷いました。

―なおきさんも、さきさんと同じような考えだったのでしょうか?

なおきさん:
正直にお話すると、僕は「結婚式をやりたくない」と思っていたんです。これからライフステージも大きく変わり、いろいろと余裕がない中で結婚式を挙げるのは、あんまりよくないんじゃないかって。あと、個人的に人前に立って注目されるのも得意ではなくて……。

―そんななおきさんに、さきさんはどのように想いを伝えたのですか?

さきさん:
うまく言えないのですが、いつか結婚した当初のことを思い出すとき「大切な人たちに囲まれて笑い合っている様子」が浮かんだら素敵だなって思って。それが実現できるのって、やっぱり結婚式なんじゃないかな、と。

そんな気持ちを素直に伝えたところ「まだ結婚式を挙げるかどうかは決めきれないけど、見学は行ってみよう」となったんです。

あと、結婚式を挙げたかったのにはもうひとつ大きな理由があって。両親に「大好き」と伝えたかったんです。

ずっと感じている寂しさの先にあった、両親への想い

―どうして、そう思うようになったのでしょうか?

さきさん:
実は、なおきさんと結婚する少し前から、CRAZY PEEPSというCRAZYが運営していたコミュニティに参加していたんです。

CRAZY PEEPSに入ってから、自分と向き合うことが本当に増えて……。コミュニティの仲間やCRAZYの人たちと一緒に自分の人生を振り返る中で「私がなんとなく抱いてきた“寂しさ”や“自信のなさ”には、両親との関係性が根深く関わっているな」と気づいたんです。

CARZY PEEPSメンバー集合写真
PEEPS合宿

―ご両親との関係について、具体的にどう感じていたのでしょうか。

さきさん:
「両親は私に関心がない、私を愛していない」と思っていました。小さい頃、両親が喧嘩をする姿をよく見ていました。「どこの家庭でも喧嘩くらいするよね」と見て見ぬふりをしていたけど、本当はすごく辛かった。売り言葉に買い言葉で「こんな状況なら、生きている意味がない」と言い合っているふたりを見て「私はふたりの生きる理由になれないの?」って。

その経験から、両親に本音を話したり甘えたりすると「嫌われるかもしれない」と思うようになっていました。それが、なんとなく抱えていたモヤモヤにつながっているんだなって気づいたんです。

―長年の葛藤に気づいたことで、どのような変化がありましたか?

さきさん:
これまで私は、両親に嫌われるのが怖くて、ずっと自分の気持ちに蓋をしてきました。でもその「怖さ」の根っこには「私はふたりが大好き」という強い想いがあることに気がついて。大好きだから、嫌われることが怖かった。

そんな本音を認められるようになってからは「ふたりがどう思おうと、私はふたりが好き。勇気を出して、この想いを伝えてみたい」と思うようになったんです。その少し後に、なおきさんとの結婚が決まって。結婚式こそ、想いを伝える絶好のタイミングなんじゃないか、と考えていました。

―会場はどのように探されたのですか?

さきさん:
先程もお話したように、CRAZYのことは以前から知っていました。5〜6年前、美容室でたまたま見かけた雑誌に女性同士の結婚式が掲載されていて、その式場がIWAI OMOTESANDOだったんです。「結婚式にもいろんな形があるんだ。それを実現できる場所って素敵だな」と、そこからずっと気になってCRAZY PEEPSにも入りました。

だから、自分の結婚式の話になったとき、真っ先に思い浮かんだのはIWAI OMOTESANDOでした。

IWAI OMOTESANDO:参道

―他の式場は見学しましたか?

さきさん:
はい。IWAI OMOTESANDOがシンプルでシックな会場なので、真逆の王道ホテルウエディングができる会場も見学に行きました。どちらもとても素敵でしたが「やっぱりゲストとの距離が近いIWAI OMOTESANDOがいいな」と思いました。

―なおきさんは、2つの式場を見学してどう感じましたか?

なおきさん:
ホテルウエディングの会場は、クラシカルで厳かな外観がいいな、と思いました。でも、高砂(たかさご)があったりケーキ入刀などのゲストの注目を浴びる演出があったり、それらが結婚式の定番だと分かってはいるのですが、人前に立つのがあまり好きではない僕は、どうしても「ちょっと嫌だな」と感じてしまいました。

―その後に見学されたIWAI OMOTESANDOはいかがでしたか?

なおきさん:
正直、見学した時点では「結婚式をやらなくていいなら、やりたくない」という気持ちは変わりませんでした。でも「結婚式を挙げたい」というさきさんの気持ちは大事にしたいという想いもあって。

その点、IWAI OMOTESANDOは高砂がなく、ふたりもゲストも同じテーブルに座るから、距離感が近くてアットホームなパーティーができそうだな、と思いました。また、演出もシンプルで「こういう形なら、前向きに考えられるかもしれない」と思えましたね。

分かり合えないかもしれない。それでも両親に伝えたかった、本当の気持ち

―さきさんは、結婚式をきっかけにご両親に想いを伝えたい、と思っていたのですよね。

さきさん:
はい。実は、結婚式の前に母にLINEで「私はこれだけ辛かったんだよ」と素直な気持ちを伝えたことがあって。私なりに、すごく勇気を出したんですよね。でも母から返ってきたのは「あなたより私の方が辛かった」という言葉でした。

頭では「私が想いを伝えたかっただけだから、母の返事は関係ない」と理解していました。 でも、想いを受け取ってもらえないのはやっぱりショックでしたね。別に家族仲が悪いわけじゃないんです。ただ、越えられない壁があるというか……。私たち家族が、本当の意味で心を通わせるのは難しいのかもしれない、と思いました。

―それでもさきさんは、結婚式で再びご両親と向き合う選択をしたのですよね。

さきさん:
はい。IWAI OMOTESANDOでは、結婚式当日、挙式の前に両親が私に書いた手紙を読む時間と、私が両親に書いた手紙を読んでもらう時間があります。私と両親の関係を知っているプロデューサーさんからは「さきさんが辛かったら、手紙のやりとりをなしにすることもできますよ」と言ってもらいました。

でも、そのときの私は「とにかく両親に謝ってほしい」という気持ちが強くなってしまっていて……。両親の気持ちも知りたいし、私の気持ちも伝えたい。寂しかったこと、辛かったことを全部手紙に込めてぶつけたい。それで分かってもらえなかったら、もうしょうがない。そんな気持ちで、手紙のやりとりはすると決めたんです。

でも、いざ手紙を書き始めると、今まで見えていなかったことが見えてきて。例えば、私の実家は農家で、両親とも毎日朝から晩まで働いていました。そんな中でも、毎日私のためにごはんを作ってくれて、清潔な服を用意してくれて。この当たり前の日常を保つために、どれだけ両親が頑張っていたのか。それはやっぱり、愛がなければできなかったと思うんです。いろんなことを思い出す中で「あれもこれも、愛だったんだ」と気づくことが多くありました。私にも子どもができたから、その大変さ、難しさが分かるようになったのもあるかもしれません。

そうやって手紙を書くうちに、自分の本当の気持ちに立ち返ることができました。そもそも、両親に過去を憂いてほしくて結婚式をやりたかったわけではない。もしまだ可能性があるなら、大好きな両親と、もっと分かり合いたい。一緒に心から笑い合える未来を描きたい。両親への手紙には、そんな素直な想いを綴りました。

―そして迎えた、結婚式当日。印象に残っているシーンを教えてください。

さきさん:
両親から私宛に届いた手紙を開いたのですが、ほぼ白紙に近いような、ものすごく簡素なものだったんです(笑)。ショックというよりも「言葉にするのが苦手なうちの親らしいな」と思いました。

そのあと、私からの手紙を読んだ両親と3人で過ごすファーストミートがあったのですが……。顔を合わせた両親の目には、涙が浮かんでいて。まっすぐに私の目を見つめて、抱きしめてくれたんです。相変わらず言葉は少なかったけど「やっと気持ちが届いたんだ」と胸がいっぱいになりました。

結婚式は、すべてにおいての「始まりの日」

―結婚式を経て、ご両親との関係に変化はありましたか?

さきさん:
まず、私自身はすごくすっきりしました。今まで両親に抱いていた、ネガティブな感情がきれいになくなりましたね。私は両親が好き。相手がどう思おうが、それでいいじゃないか。そう心から思えるようになりました。

そしたら、私自身に余裕ができたのか、柔らかく接することができるようになって。ふたりとも口数が多いタイプではないので、大きな変化はありません。でも、私が気持ちを伝えると、流さず聞いてくれるようになったというか。私と両親の間にあった、見えない高い「壁」のようなものが、結婚式をきっかけに低くなった気がしています。

―結婚式では、ご両親以外にも想いを伝えたかった方がいたそうですね。

さきさん:
実は、結婚式には過去に仲違いしてしまった友人をゲストに呼んでいたんです。それまでは「私も悪かったかもしれないけど、あっちだって悪い」「私からは謝りたくない」と思っていました。でも、CRAZY PEEPSや結婚式準備で自分と向き合う中で「本当はその子のことが大好き」「仲直りしたい」という、自分の気持ちに気がついて。来てもらえるか分からなかったけど、勇気を出して結婚式に招待させてもらいました。

当日は、素直な気持ちと、ずっと言えなかった「ごめんね」を伝えることができました。近くのテーブルだった友人から「泣きながら手紙を読んでいたよ」という話も聞いて。素直になるには勇気が必要だったけど、それができて本当によかったと思っています。

私にとって結婚式は、両親だけでなく、すべてのゲストに心からの想いを伝えられる機会になりました。

―自分と向き合ったことで「自分から伝えること」の大切さに気づいたのですね。

さきさん:
そうです。気持ちを受け止めてくれるかは相手次第ですけど、自分の気持ちを大事にするなら、自分から行動するのが大事だなって。

―なおきさんはもともと結婚式に対してネガティブな印象を抱いていましたが、結婚式後の心境に変化はありましたか?

なおきさん:
「やる意味がよく分からないもの」から「やってもいいかもしれないもの」にはなったと思います。人前に出るのは今も得意ではないので、注目されたくないなという気持ちは変わらずありますが(笑)。でも、さきさんのいろんな変化を近くで見ていて、そういう意味では「やってよかったな」と思っています。

―なおきさんは、結婚式の中で印象に残っている場面はありますか?

なおきさん:
父親からの手紙ですかね。「子育てが人生のハイライトだった」と書かれていて。父は僕に似ていて、自分の気持ちをあまり言葉にはしないタイプです。だから「こんなことを思っていたのか」と知れたのはよかったですね。自分も子どもを持つ身になって、その言葉がすごく刺さりました。

―最後に、結婚式を終えた今だから思う「結婚式の意義」を教えてください。

さきさん:
結婚式は「人生を前に進められる日」だと思います。私の場合は、家族との関係性に一区切りつけることができた日です。CRAZY PEEPSや結婚式準備で時間をかけて過去と向き合ったから、悲しい気持ちやつらい気持ちにも区切りをつけられたし、本当の気持ちに気づくこともできました。

そして、そんな本音を素直に伝えたことで、自分の中でのモヤモヤが晴れていき、これからの人生を今まで以上に前向きに捉えられるようになりました。

そういう意味では、結婚式はすべてにおいての「始まりの日」と言ってもいいかもしれませんね。


編集後記

日常の中で、本当は言いたいことや伝えたいことがあるのに「まあいっか」と後回しにしてしまうことってありますよね。なかなか勇気が出せなかったり、相手がどう思うかを気にしてしまったりして想いを言葉にすることを諦めてしまう瞬間もあると思います。

けれど、さきさんは自分の人生に向き合った先で、相手がどう受け止めるかではなく「自分の素直な気持ちを伝えてみる」ということに勇気を出しました。

自分から始めるというその勇気が、さきさんがみたい景色を作り出したのだと感じました。

このストーリーが「自分の本当の気持ちを伝えたい」「自分の心の声を聴いてみたい」と思っているあなたに勇気を届けられる存在になっていましたら幸いです。

また、IWAI OMOTESANDOの結婚式にご興味のある方に向けた相談会や試食会も開催しております。ぜひ、お気軽にご相談ください。

越智

IWAI OMOTESANDOのブライダルフェア

企画・編集:夜久早紀 越智日和
執筆:仲奈々
撮影(一部):kuppograpy
デザイン:林隆三


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