一番変わるべきは、私だった SHE代表・福田恵里さんが取り戻した「ピュアなまま、勝つ」という選択肢 | CRAZY MAGAZINE | 株式会社CRAZY(株式会社クレイジー) | CRAZY,Inc.

2026.03.10

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一番変わるべきは、私だった SHE代表・福田恵里さんが取り戻した「ピュアなまま、勝つ」という選択肢

CRAZYでは「人と組織が本音で向き合う時間」そのものに価値があると考え、法人向けに合宿や体験型プログラムを提供しています。戦略を整える以前に、まず人が変わり、関係性が変わること。そこから組織の未来が動き出す——そんな場づくりを企業と共に行っています。

SHE株式会社(以下、SHE)とのご縁も、「急成長のただ中にいる今だからこそ、立ち止まり、経営チームとしての在り方を問い直したい」という対話から始まりました。

そんな想いを受け、CRAZYはSHEの経営幹部13名での一泊二日の合宿を提供しました。

SHEは、女性向けキャリアスクール「SHElikes」を運営しています。 受講生は累計20万人以上を突破し、2025年8月には日本スタートアップ大賞・審査委員会特別賞を受賞。まさに今、急成長中のスタートアップです。

「組織を変えたいなら、まずは代表の私が変わらなきゃいけないと痛感したんです」そう話してくださったのは、SHE代表の福田恵里さん。
経営陣合宿に伴走したCRAZYの渡部が、その背景にあった想いや、その後の変化を伺いました。

社員よりも私自身を変えることに集中した方がいいと思った

―恵里さんは2年ほど前から、組織についてCRAZYに相談してくださっていましたよね。そもそも「組織を変えなきゃ」と思ったきっかけは何だったのでしょうか?

恵里:正直にお話すると、昨年までSHEの組織の状態はこれまでの勢いと比べると、ポジティブな状態ではありませんでした。

長く一緒に働いてきた中核メンバーが退職したり、執行役員から「卒業したい」という声があがったり。その状況はスタッフにも影響しているようで、組織全体に沈滞感が漂っていたように感じました。

「このままではまずい」

そう思ってはいましたが、どう打破すればいいのかは当時の私にはイメージできなかった。その原因の一つが、「メンバーの顔が見えない」ことでした。

SHEはコロナ禍以降、約5年間ほぼフルリモートで運営してきました。もちろん、リモートだからこそできたこともたくさんありますし、定期的に顔を合わせる機会やカルチャーを同期する機会も設定してきました。ただ、この5年間で入社したメンバーも多く、お互いのことを深く知る機会が十分でないまま、時間が経ってしまって。その人が何を大切にしているのか、どんな人生を歩んできたのかよく知らない。そんなメンバーが大多数の状況で、雰囲気の良い組織を作るなんてそれは難しいですよね。

そこで、メンバーとも相談を重ねたうえで、2025年4月にフルリモートから週2日出社に切り替えたんです。

それから半年ほど経って、組織の雰囲気はすごく良くなりました。「最近会社が楽しい」という声も聞こえてきて、「やっぱり私たちに足りなかったのは、楽しいことも苦しいことも含めて、一緒に過ごす時間だったんだ」って。

ただ、経営陣やユニット長(部長職)は、まだどこか遠慮し合っているのを感じていたんですよね。みんな良い人たちだからこそ、「これを言ったら傷つけるんじゃないか」と思って、言いたいことを言えない雰囲気が漂っていた。ここを突破できれば、SHEはきっと次のステージに行ける。

そう思っていたときに、人事責任者のよっしーから「恵里さん、経営陣全員で合宿をしましょう」って提案をもらったんです。

SHEの人事責任者の吉田さんの視点から合宿について書かれた記事はこちら

―「合宿」と聞いて、恵里さんはどう思いましたか。

恵里:最初聞いたときは、「なんで合宿?」と思いました。でも、普段はロジカルに話を進める彼女が「私もうまく理由は言えません。でも、今のSHEには絶対に合宿が必要なんです」って熱い思いをぶつけてくれて。

―思いが強すぎるからこそ、うまく説明できないときってありますよね。

恵里:そうなんです。きっと、あの時の彼女もそうだったんじゃないかなって。

何か物事を進めるとき、やる意義やゴールをきちんと言語化するのは、とても大切なことです。でも、言語化しづらいことは、すべて切り捨てていいかと言ったらそんなことはない。むしろ、私たちがまだ言語化できていない、つまりまだ認識できていない領域にこそ、次のステップへのヒントがあるのかもしれない。そう思って、合宿をやってみることにしたんです。

―そして、CRAZYが経営陣合宿に伴走させていただきました。合宿の前に、私が「この合宿で一番変わるべきなのは、恵里さんだ」とお話したのを覚えていますか?

恵里:もちろん覚えています。それまでは、私は自分のことを「フラットな視点でSHEを見ている、中立的な立場」だと思っていたんです。だからこの合宿を通じて、他の経営陣をモチベートしたり、経営陣同士の関係性を整えたりするのが私の役目だ、と。

だから、渡部さんから「一番変わらなきゃいけないのはあなた」と言われて驚きました。でも同時に、「たしかにな」とも思って。

―研修合宿の設計のために、たくさんのSHEのメンバーとお話させていただいたのですが、SHEを語るのと同じくらい、みなさん恵里さんのことを語るんです。やっぱり、SHEのキーマンはどう考えても恵里さんなんですよね。

恵里:そうですよね。それに、人の変化は、私にはコントロールできません。でも、自分自身の変化は、いくらでも自分でコントロールできます。だったら、私自身を変えることに集中した方がいい。これはそのための合宿なんだって、渡部さんの言葉で気づきました。

「弱さ」を見せたら、関係が壊れると思っていた

―では、合宿当日についても聞かせてください。どんな気持ちで合宿をスタートしましたか?

合宿については、ざっくり「仕事やデジタル機器から離れて、大自然の中でキャンプをやる」と聞いていたくらいで、ほとんど何も知らなかったんですよね。だから、始まるまでは不安はありつつも、「みんなでキャンプって楽しそうだな」と思っていました(笑)。

でも、最初のワークで一気に気持ちが落ちてしまって……。

―「本当はずっと言いたかったけど、言えなかったこと」を紙に書き出して、壁に貼り付けていくワークでしたね。

はい。私としては、「今の組織の状態は、わりといい感じ」だと思っていたんですよ。先ほどもお話したように、ここ最近は社内でもポジティブな声が飛び交うようになったし、みんなの笑顔も増えているのを感じていたから。でも壁には、みんなの不安や悩みがどんどん貼り出されていって。

「私、みんなの何を見ていたんだろう」

とショックでした。そして、「みんなが本音を言えないのは、代表である私の責任だ」って。やっぱり、一番変わるべきは私なんだって、このとき痛感しました。

―ワークが終わった後、全員で語り合う時間がありましたよね。そのとき、恵里さんが泣いているのが印象的でした。

恵里:それまでの私は、代表として「強くあらねば」と思っていました。弱さを見せたら、みんなを不安にさせてしまうと思っていたんです。でもその結果、社内に「本音を言えない空気」をつくってしまいました。

CRAZYが伴走してくれたおかげで、みんなの本音が見えてきたのは嬉しかったです。でも同時に、自分が情けなくて、悔しくて。

「全部、私のせいだ」

そう思って、涙が止まらなくなってしまったんです。

―でも、恵里さんが「弱さ」を見せたことで、場の空気が変わっていくのを感じました。

恵里:それでも、まだ自分の本音をさらけ出すのは怖かったんですよ。そこでまずは、創業期から一緒に会社を作ってきた役員2人と私を含めた3人で、膝を突き合わせて話す時間をとって。そこで初めて、ずっと言えなかった本音を口にしました。

―どんな本音だったのでしょう?

恵里:「仲間が離れていくのが、本当はものすごく怖い」って。

人それぞれの人生があるから、SHEを離れる選択をした人も、心から応援したい。それは本心です。同時に、卒業する人を一人、また一人と見送るたびに、言いようのない寂しさや不安に襲われる自分もいて。でも、そんな本音を言ってしまったら、みんなを困らせてしまうじゃないですか。

そんな私の矛盾した気持ちを、2人は静かに聞いてくれました。そして「恵里ちゃんのそのピュアなところ、好きだよ」って言ってくれたんです。

その言葉を聞いて、勇気を出してみんなとも本音で語り合ってみよう、と。

―そのあと、恵里さんと各メンバーで、1対1で話す時間がありましたね。

恵里:この合宿に参加した、13人全員との関係性を変えないと、合宿前と何も変わらない。そう思って、時間をかけて全員と1対1で話し続けました。

そこで、ある役員が「将来やりたいこと」を話してくれたんです。でも、その内容がSHEとは全く関係なくて。「この人は、今SHEにいる意味をどう思っているんだろう」って、正直モヤモヤしちゃったんです。

でも、さっき本音を吐き出せたから「私、目の前の大切な人が離れていくかもしれないことに、不安を抱いているんだ。だからモヤモヤするのか」と分かって。

―応援したい気持ちと、モヤモヤする気持ち。どちらも本音だからこそ、折り合いをつけるのは難しいですよね。

恵里:本当に。でも、SHEを創業したときの気持ちに立ち返ってみたら、私が変わるべき方向性が見えてきたんですよね。

私は「一人ひとりが、自分の行きたい場所に行ける社会をつくりたい」と思って、SHEを創業しました。

人それぞれの人生があるように、目的地も人それぞれ違うはずです。その人が目指したい場所に着いたのなら、そこで船を降りるのは当然のことですよね。だって、それこそSHEが叶えたいことなのだから。

そう考えると、「モヤモヤ」は私のエゴだなって。私がすべきことは、SHEから離れていく人を思って嘆くことじゃない。目的地にたどり着くための経由地として、SHEを選んでくれた人たちがいる。この人たちの可能性を本気で信じて、本気で向き合うのが私のやるべきことだって、思えるようになりました。

合宿の最後に、13人全員で手を繋いで、円になったんです。そのときに「今、みんなを信じられている」「みんなも、私を信じてくれている」と心から感じられて。それがすごく嬉しかったです。

とはいえ、人も組織も生き物だから、揺らぐ時はまた来ると思います。私も、変に強がったり、自信をなくしたりするときがまた訪れるかもしれません。でも、「あのとき乗り越えられた」という経験があれば、次の壁も越えていける。今回の合宿は、その確信を持てたことが大きな収穫だな、と思っています。

―なぜ、この合宿でそこまでの変化が起きたと思いますか?

恵里:振り返ってみると、「ワークの順番」「時間の制約」「環境」の3つの要素が重なったからかな、と思っています。

まず、順番。いきなり全員で話す時間だったら、あそこまで本音は飛び交わなかったはずです。最初に紙に本音を書き出す時間があったから、みんなの心が開いた状態で対話をスタートできました。「本音を書いて可視化する」「全員で円になって語り合う」「少人数で深く話す」という流れが、すべて意味を持っていた。一つひとつのワークが、次のワークの土台になっていたんです。

次に、時間。一泊二日という制約も絶妙でした。「この時間の中で関係性を変えるなら、今しかない」という緊張感が、全員の本気を引き出してくれた気がします。

最後に、環境。大自然の中でデジタル機器から離れる、という設定も大きかったですね。普段の会議室だったら、きっとここまで心を開けなかったんじゃないかな。

私が変わったら、周りも変わった

―合宿から1ヶ月が経ちました。自分が変わるべき方向性に気づいたことで、仕事への変化は何かありましたか?

恵里:まず、今仕事がめちゃくちゃ楽しいです!

合宿で気づいたのは、「ピュアであることが自分の強みだ」ということ。創業当初は、根拠がなくても「こんな社会を作りたい」と夢を語れていたし、それが一番楽しかった。でも会社が大きくなるにつれて、ステークホルダーが増えていくにつれて、うまく言語化できないアイデアや想いは、だんだん口にしづらくなっていったんです。

でも今は、「言葉にできなくても、ピュアな思いを信じていい」と思えるようになりました。それができているのは、私の思いを信じてくれる仲間がいるからです。

―そのピュアな願いを叶えるために、現在はどんな仕事に取り組んでいるのでしょうか。

恵里:たとえば、地方の女性の賃金格差を解消するプロジェクト。私は滋賀県出身で、創業前から「地方と都市の格差を解消したい」と思い続けていました。でも「成功するか分からない」「利益に繋がりづらい」という理由から、一歩踏み出せなかったんです。

でも、そもそも私がSHEを立ち上げたのは、いろんな場所にある格差や不均衡を解消して、一人ひとりが自分らしい人生を生きられるようにしたかったから。地方の女性の格差解消は、ビジネス上の目標というより、SHEのビジョンそのものなんです。

だから、「絶対やる」と先に決めて、その後に「どう経済的に成り立たせるか」を考えることにしました。

―メンバーとの向き合い方に変化はありましたか?

恵里:はい。以前は「社長」と「メンバー」という役割で話していたけど、今は「人と人として」向き合えるようになった気がします。

たとえばフィードバックをするとき、「社長としてはこう思うけど、福田恵里としてはこう思う」と分けて話すようにしています。私はたしかにSHEの代表だけど、誰かの仕事仲間であり、友人であり、娘でもあり、母であり、パートナーでもある。いろんな役割を持っていて、それぞれの観点で物事の見方も少しずつ変わってきます。そう考えると、自分の中に矛盾する感情があるのも、おかしなことではないんですよね。

今は、矛盾した気持ちもそのまま伝えるようにしています。そうすると、「恵里さんはドライに判断してるわけじゃなくて、いろんな観点を持った上で話してくれてるんだ」と理解してもらえるんじゃないかなって。

―そうやって向き合い方を変えたことで、メンバーにも何か変化がありましたか?

恵里:めちゃくちゃありました!たとえば、ある役員はまるで人が変わったようになっています。もともとドライなタイプだったのですが、合宿以降コミュニケーションが柔らかくなったんです。きっと、彼も役職を全うしようと、かなり気を張っていたんじゃないかな。

合宿に参加していなかったメンバーから「いったい何があったんですか?」ってメッセージが来るくらいです(笑)。

その他の経営陣も、みんなそれぞれ変化があったようで。「SHEに入って何年も経つけど、今が一番楽しいです」と言ってくれた人もいました。

2026年2月にはSHEの全社員合宿もCRAZYチームにて伴走させていただきました。

組織をつくるのは「人」 関係性の質が結果の質を作る

―恵里さんは、これからどんなリーダーでありたいと思っていますか?

恵里:自分の中にある矛盾を、否定しなくていいんだと思えるようになりました。仲間を応援したいけど、離れていくのは寂しい。強くありたいけど、弱さも感じている。そんな自分が嫌だったけど、今は、影があるから光がある、弱いところも強いところも全部合わせて自分なんだって思えるようになりました。

あと私、自分のことを「凡人」だと思っていて。他の経営者と比べて、普通すぎるなって。以前はそれがコンプレックスだったんです。でも今は、凡人だからこそSHEを作れたと思っています。自分に自信がなかったり、人と比べて落ち込んだりする気持ちがわかるから、同じように悩んでいる人に寄り添える。それがSHEの強みになっているんじゃないかな、と。

―そんな恵里さんが率いるSHEは、これからどんな会社になっていくのでしょうか。

恵里:SHEは「二項対立を突破する会社」だと思っています。子どもを育てながら仕事をする。優しいけど厳しい。自由があるけど責任もある。一見相反するものが合わさって、強さになっていく。

だからこそ、弱さを強さに変えていく勝ち方をしたい。SHEを、ピュアなまま成果を出す会社にしていきます。

―最後に、組織のあり方に悩む経営者や人事担当者に向けて、メッセージをいただけますか。

恵里:私のように「組織の状態は、わりといい感じ」と思っている人ほど、仲間と本音で語り合う時間を取ってほしいです。経営者が思っている以上に、メンバーは何かを飲み込んでいる。問題が表面化するのは、我慢が限界に達したとき。そうなってからでは、遅いんです。

組織の問題が表面化すると、事業の成長が数カ月、場合によっては数年止まることもある。だからこそ、問題が見える前に、対話の時間に投資してほしいなと思います。

―しかし、忙しい中で対話に時間を割くことに、疑問を感じる人もいますよね。

恵里:むしろ、直結していると思います。関係性の質が、行動の質を作る。行動の質が、結果の質を作るんです。だって、組織をつくるのは「人」ですから。人と人の関係がうまくいっていないのに、事業だけがうまくいくなんてことはありません。だから、成果を出したい時ほど、関係性への投資を勇気を持って決断していくことが大事だと思っています。

組織の伴走者として絆が生まれたSHE代表恵里さんとCRAZY渡部

CRAZY 法人向け組織合宿・体験型プログラムについて

CRAZYでは、企業の成長フェーズや組織の転換期に向けて、法人向け合宿・体験型プログラムを提供しています。

急成長や組織拡大の過程で生まれる、意思決定のズレやビジョン共有の課題に対し、対話と共通体験を通じて経営チームの共通認識と関係性を再構築することを目的としています。

経営合宿の設計や、組織フェーズに応じたプログラムのご相談も可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。


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