相手にムッとするだけでも実は気付かれている? パートナーとの関係性を深めるスキルと練習について。

2020年9月4日、CRAZYは「私たちは、人々が愛し合うための、勇気と機会を提供し、パートナーシップの分断を解消します。」という新たなパーパスを発表しました。

様々な働き方や、ふうふ関係の中でパートナーシップがより大事な時代になっています。
今回は、11月22日の「いいふうふの日」にあわせて、ピーター・F・ドラッカー経営大学院の凖教授であり、セルフマネジメント理論の研究と実践の第一人者であるジェレミー・ハンター氏(以下ジェレミー氏)と、CRAZYの代表取締役社長の森山和彦(以下森山)による、これまでのパートナーシップとこれからの未来についてのセッションをお届けします。

 

ジェレミー・ハンター(Jeremy Hunter)博士
マインドフルネスとリーダーシップの世界的権威。
ピーターF.ドラッカーの経営大学院の准教授であり、同大学院のエグゼクティブマインドリーダーシップ研究所の創設者。 ウェザーヘッド経営大学院のエグゼクティブ教育プログラムでマインドフルネス、効果的なリーダーシップに関して先導している。シカゴ大学で博士号を取得、ハーバード大学とウィッテンバーグ大学の学位も有する。日本ではTransform LLCの共同設立者でありパートナーとしても活動している。曾祖父が日本人の相撲取である。著書に『ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室』がある。

森山和彦
大学卒業後、人材コンサルティング会社に6年半在籍。2012年7月に株式会社CRAZYを創業。完全オーダーメイドのウェディングプロデュース事業「CRAZY WEDDING」を運営し、「情熱大陸」をはじめ数多くのメディアに取り上げられる。2019年2月には初の自社ブランド施設「IWAI OMOTESANDO」をオープン。2020年4月にはオンライン結婚式サービスの提供を開始するなど、結婚式に新たな選択肢をつくり続けている。経営の第一優先を健康とし、創業から毎日手作りの自然食を提供する他、全社員で世界一周旅行などユニークなカルチャーを有する。日本初の睡眠報酬制度の発案・導入では、世界各国のメディアから、その独自の経営手法が注目を浴びる。

私、あなたではなく「私たち」で関係性について考える

森山:
いいふうふの日ということで、この記事をみてくださる方が日常でも生かせるようなふうふのパートナーシップについてお話できたらと思います。

*セルフマネジメント研究の第一人者であるジェレミーさんは、日々、個々人の人間関係について扱っていると思いますが「パートナーシップ」についてどのように考えていらっしゃいますか?
また、よく扱われる「課題」や「問題」はありますか?

*セルフマネジメントとは
自分の内面的な経験を理解し、シフトすることを学ぶことによって、
人は自分の思考・信念・思い込み・期待・判断・感情がどのように自分の選択や行動を狭めるのか、もしくは広げるかを観察することができます。
体系的に実践方法を学ぶことによって、人は自分自身の内面とその外側の結果を、時間の経過とともに変えていくことができるようになることを指します。

ジェレミー氏:
“パートナーシップ”という言葉は、伝統的な“結婚”より、とても微細なニュアンスを持った定義だと思うんです。
私はリレーションシップ、つまり人と人の関係には3つの種類があると思っています。

1つ目は、一人一人が自分だけの利益を得ようとする状態。
私が車を買い、ディーラーにお金を支払ったら車を手に入れることができるという非常にシンプルな関係性です。

2つ目は共通の目的や狙いを持っていて達成するために互いを必要としている状態。
医者と患者に例えてみましょう。
患者がよくなるためには医者が必要で、医者も患者が必要で、どちらかが欠けても“健康”という目標を達成できません。

自分は何が大事かを伝えなければいけないし、相手も何を大事にしているのかを伝えなくてはいけないですね。

車を買うためにお金を払う、という関係以上にコミュニケーションの質がより洗練されたものになるということです。 

3つ目は自分の気持ちを互いに共有した先にある、感情の繋がりがある状態です。
“一緒にいることが楽しいから一緒にいる”
これは感情の繋がりにもとづいているため、より複雑なコミュニケーションになります。
利益や目的だけではなく、自分の気持ちや相手の気持ちを互いに共有していく事になります。

 

典型的な話になりますが、150年前でいうと男性は働きに出て、女性は家庭に入り子育てをするという経済的な必要性にもとづいて役割が明確になっていましたよね。
しかし、20世紀後半から21世紀にかけて、経済的な理由で結婚する人が減り、結婚の理由は“その人と一緒にいたいから”になっていったのです。

そこで生まれる問題は、一緒にいたいけど人間関係を築き、繋げていくスキルを持っていないという事です。
自分の中に何が起こっているのか、自身の状態を把握できないこともあり、相手に対して上手に伝えるコミュニケーションが取れない。

異なる人間が互いに一緒にいる。しかも変化し続けながら。
だからこそ、常に自分をどう理解し、自分の感情的反応をマネージしていくかがとても重要です。

現代における、こういった人間関係の需要はかなり強いものになっていると思います。

森山:
時代背景を含めてパートナーのコミュニケーションの変遷を考えてみると面白いものがありますね。
ジェレミーさんがおっしゃった3つの関係性を、扱う主語の違いを加える事でよりよいコミュニケーションができると思っています。

1つ目は私という主語、私が何かを得たり与えたりという関係性。
自分がどうしたいか、自分自身の利害を中心に紡ぐ関係性です。

2つ目は私とあなたという関係性。
先ほどの例であったように、典型的な役割のふうふのように、
夫は働くので妻であるあなたは家事をお願いしますというIとYOUの関係性。

3つ目はより難しく洗練された関係性だと思うのですが、
WEの関係性で考えると感情の繋がりが持ちやすくなると思います。

IのためでもYOUのためでもなく、WE(私たち)という私とあなたとは別に存在している関係。

例えば、今話しているこういうことをジェレミーさんから学び、インスピレーションを受けたとしましょう。
奥さんと伝えてみよう!となりますよね。

しかし、それだけだと2つ目のIとYOUの話になりやすいんです。
“私は学んできたからあなたにこうなって欲しい”
そのようなエネルギーが自然と伝わってしまうのではないかと思います。
ジェレミーさんの話も聞かず、いきなりそのエネルギーを受けた奥さんとしては聞きたくないとなってしまいますよね。

伝える側として、そうは思っていなくても、受け取った側としては自分ができていない、やっていないと言われている感覚に陥り、互いが感情的に反応し合ってしまうんです。

伝える側は、私たちつまりWEの関係について「今一度、一緒に考えませんか?」とフラットに伝える。
それが良い関係性を築くスキルの一つだと思います。

  

ジェレミー氏:
相手のことを「問題」というレンズを通して見てしまい、他のことが見えなくなってしまうんですよね。
森山さんがおっしゃるように、その人に対して反応したいのではなく、一緒に「ここにある状況について話したい」ということを明確に伝えることが重要ですね。


パーソナルに捉えすぎず、自分の感情をマネジメントし
相手の問題があった時にそれに対して反応しないという技術が必要だと思います。

 

森山:
本当にそうだと思います。
僕も最近、ふうふ関係の気付きがありまして(笑)。

僕は自分は比較的穏やかなタイプだと認識しています。
一方で、彼女は感情表現が豊かなタイプです。
二人の関係性において、怒りはじめるのは彼女のほうが多いんですよね。
で、自分は怒っていないと思っていたのですが、実は「なんで彼女は怒るのだろう」と反応していることに気付いたんです。

言葉や態度に出さなくとも、「なんで彼女は…」と相手に対して何かを思っている事そのものが反応なんですよね。
それが彼女に伝わってしまっていたんです。

その感情は、伝えなくても自分の中で溜まり、
やっぱりイライラしているように伝わってしまうんだなと。

まさにそれがインサイトですよね。
反応をやめようと思ってから、家庭がまた一つ明るくなりました(笑)。

 

人間関係というのは、世界を一緒につくるという終わりのない冒険

ジェレミー氏:
非常に面白いね!

これって社会における感情的な洗練度のレベルなんですよね。
知性とも関係がないです。
自分の中に起こる微細な感情に気付くことが重要だと思います。

人間関係というのは、「一緒につくっていく」という終わりのない冒険だと思うんです。
パートナーと。子どもができたら子どもとも。
世界を一緒につくるという冒険になると思います。

私たちふうふは子どもができた際に、どうやって子育てをしたいか、どういった関係性を子どもと築きたいかを話しました。
また、子どもが特に20歳になった時にどのような人間関係でありたいかを話しました。

もうすぐ5才なんですけど、いたずらばっかりですよね。笑
その時に「今から私が伝えることは、彼が20歳になった時に、思い描いた人間関係の助けになるか」と常に自問しています。

というのも、一瞬一瞬において一つの言葉がけが人間関係をつくりあげているからなんです。
それは、パートナーシップにおいても同じです。

森山さんたちは、お客様がより良いパートナーシップを築くためにどんなことをされていらっしゃるんですか?
たとえの話として、私がまだ結婚していなくて、結婚を考えるガールフレンドがいて、森さんの所にいくとしましょう。
次に何が起きるでしょうか?

 

森山:
いくつかサービスがあるのですが、CRAZY WEDDINGではまずカウンセリングをします。

お二人のこれまで人生や、お二人がどのように出会い、どう生きていきたいのか、どんな家庭を築きたいのかという概念について話しを聞くのです。

話しを聞いたプロデューサーがヒアリングした内容を元に、お二人の人生の中で大切にしている価値観をコンセプトという形に昇華し、プレゼントするということをしています。

 

ジェレミー氏:
素晴らしい取り組みですね。
結婚式というものに対して鈍感な方はいらっしゃらないんですか?
特に男性の場合、興味が湧きづらいという人もいるのではないかと思いますが。

 

森山:
鈍感な方もいらっしゃいますね(笑)。
結婚式=女性のものという印象はまだまだ大きいですが、私たちのところに来てくださった新郎さんのほうが、実はやる気になります(笑)。

目的を変えてあげることを大事にしているからだと思うんですよね。
きらびやかな部分を見せるということではなく、結婚式という機会を通してお世話になった方をおもてなしするということや、これからのパートナーシップを二人で築いていくという本来の目的に戻していくのです。

結婚式は誰もが“主役”なんです。

これからは重要なのは、それを結婚式だけで終わらせないこと。パートナーシップを育み続けることをやっていきたいんです。

 

対話の機会が家族を育む

森山:
ところで、ジェレミーさんの話を聞いて思ったことがあって。

パートナーシップを継続的に築いていく上で欠かせないのが変化を前提にする事だという事です。
例えば男性側が転職した時に女性側が、
「最近なかなか帰ってこなくて大切にされていないように思ってしまう。」など、ついつい、相手の行動に課題が紐づいているように見えてしまうことって皆さんにもあると思います。
しかしながら、はじめての転職でうまくいかない中で、もがいているかもしれません。

お互いの両親や家族の問題や介護、出産、育児など、変化のタイミングはまだまだあります。
常にお互いの変化を「それぞれの状況」にするのではなく「私たちの状況」にして話し合い続けないと関係性って更新されていかないんですよね。

 

ジェレミー氏:
レギュラーダイアログ(定期的な対話)は大事ですよね。

 

森山:
そう思います。
ふうふ像、日本の男性像、女性像、LGBTQもそうですが、いろんな像・イメージに苦しめられる事はありますよね。家庭に入らないといけない、親からこう言われる、夫婦はこうあるべきなどなど。

その中で家族と「自分たちの世界をつくっていくことができる」と自分自身で思えることは、パートナーシップの一番の喜びであり自由だと思うんですよね。

 

ジェレミー氏:
私たちは今、これまでに比べるととても自由さがある中で生きてます。
でも、その自由の使い方を理解していない方が多いと思います。

無意識に「特定の役割を演じなきゃ」と思っている人が多い気がしていて、
自由があることにすら、気づけていないように思うんです。

 

自身のエネルギーを注ぐことそのものが愛

ジェレミー氏:
最近、愛を題材としてふうふで本を書いた人に、「愛とは何か」という質問をしたんです。

答えは、愛とはエネルギーだ。と。
人間関係に対して、注ぐエネルギーが愛なんだと。

私は、ビジネスリーダーと話す時に
「あなたがしていることや考えていることを
どのようなエネルギーとしてネットワークに注いでいますか」
と聞いてます。

同じことをどんな人間関係でも言えるんです。
「あなたはどのようなエネルギーを目の前の人に注いでいますか。」
「話す時に使う言葉を意識していますか。」
「言葉の持つエネルギーはどのようなエネルギーだと思いますか。」

 

森山:
「自身のエネルギーをネットワークにどう注ぐか。」
とても考えさせられる問いですね。エネルギーそのものが愛であるというのが面白いですね。
この、いいふうふの日をきっかけに
パートナーシップのスキルを学んでアクションする際に
相手に注ぐエネルギーを大事にしたいです。

 

ジェレミー氏:
今日はお話ができてよかったです。
いつか、パートナーシップのトランジションクラスで、ご一緒できることあるんじゃないかと思います。

結婚前の若いカップルが結婚を機会にどう変わっていくか、どんな経験していくかとか。
CRAZYがやろうとされているのは世界が必要としているだと思いますよ。

 

森山:
ぜひ色々とご一緒したいですね。
人々はみんな「愛」を必要としていると思いますが、今はまだ愛し続けることやパートナーシップは難しいですよねという論調がありますね。

“CRAZY”という名前が意味するものは、今はまだ見えない理想の世界を叶えていこうというある種の“情熱”なんですよね。
もっと人々は幸せになれるという部分に焦点を当てて、そのプラスのエネルギーをCRAZYでつながっているネットワークに注いでいきたいですね。


パートナーシップに関しての悩みや解決方法はふうふそれぞれ。
この記事を読んでくださった皆さんが実践していることを是非、「#私たちだけのパートナールール」というハッシュタグをつけて投稿してみてください。

編集:阿座上 陽平 執筆・編集:尾崎 友紀 

CRAZY CRAZY WEDDING IWAI OMOTESANDO