IWAI OMOTESANDO(以下、IWAI)の結婚式は、一般的な結婚式にある高砂や豪華な装飾、ケーキ入刀がなく、空間もプロセスもとてもシンプル。その分引き立つのは、人と人との関係性や想いです。この「Voice」シリーズでは、おふたりがどんな気持ちで当日を迎え、何を感じたのか。より臨場感をもってお届けするべく、ご本人への取材をもとに、おふたり目線での口語表現でお届けします。
Vol.4は結婚して4年、付き合ってから15年以上経ってから結婚式を挙げたヒデオさんとエミさんのお話。付き合いが長いからこそ、結婚式を通して気付けたお互いの想いや変化をエミさんに本音でお話しいただきました。
挙げたくても、挙げられなかった
私たちふたりは、スタイリストとヘアメイクアーティストをしています。職業柄もあってか、「自分が主役」として人前に出るのは昔から少し苦手。「ふたりにスポットライトが当たり続ける結婚式は向いていないかも」と思っていました。でも、お互いの人生を両親に共有して安心してもらったり、お互いの好きな人をつなげたりできる結婚式であればやりたいと思っていました。
妊娠・出産が落ち着いたら式を挙げようと思っていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行で、挙げたくても挙げられない期間が続きました。
それでも「結婚式を挙げたい」という気持ちは変わらなかった。大事な人だけが集まる場だからこそ、決まりきった流れ作業のような結婚式はしたくない。それで、以前から“想い”を大切にしてくれるイメージのあったIWAIに一度、話を聞いてみようと思ったんです。
好きとか大切とか、普段は口に出さないけど
結婚式の準備を通して、彼の想いを聞けたことが特によかったです。感じたことを言葉にしたい私と、言葉にするのは苦手な彼。付き合いも長いので、好きとか大切とか普段から思ってはいても、あらためて表現することはありませんでした。
でも、IWAIの結婚式準備は、プロデューサー(※)さんが「どうしてお互いのことをパートナーに選んだのか」「お互いのどんなところが魅力的なのか」など私たちの中にある想いを引き出してくれます。だから、自分が思っている以上に相手に大切にされていることや、こんなふうに思ってくれていたんだ、とあらためて彼の想いを聞けたことが嬉しかった。
今、すごく幸せ
打ち合わせ中に溢れた、特に印象的だった彼からの言葉。「ふたりとも、同じ気持ちなんだ」とあらためて感じることができました。
久しぶりのデートのようで懐かしくて、新鮮で
あと、打ち合わせのために仕事帰りにふたりで待ち合わせて会場に行くのも、なんだか久しぶりのデートみたいでドキドキしたことを覚えています。
懐かしくて、でも、新鮮な感情。結婚式の準備中、ずっと「私、幸せだな」と感じていました。
“家族っていいな”と思えた誓いの言葉
IWAIの結婚式では、ふたりがお互いに自分の言葉で綴った手紙を読み合うことで、誓いを立てます。
家族3人で過ごす、なんでもない毎日が幸せ
彼からの手紙には、そんな言葉が綴られていました。そのとき「家族になるって、こういうことなのか」と腑に落ちたのです。
結婚して子どもができると、お互いにときめいたり、ドキドキしたりすることはなくなるのかな、と思っていました。でも、いざ家族になってみると、「人として大好きだな」「家族っていいな」と、関係性が一、二歩先に進んだように感じられて。それを私だけでなく、彼も同じように感じてくれていたことが嬉しかった。
結婚式は、思いっきり素直になれる時間
あと、嬉しかったのは付き合っているときから人前では手をつながなかった彼が、一日中ゲストの前で手をつないでくれていたこと。だから私も「今日は思いっきり素直になろう」と思えました。
さらに、付き合っているときに私がぽろっと口にした、「ヒデオさんの作った衣装で式を挙げたい」という言葉を覚えていてくれて。仕事も忙しい中、結婚式のためだけのドレスを用意してくれたことも本当に嬉しかった。
「いつか挙げたい」と思っていた理想の式が、想像以上に最高の形で実現しました。
結婚式準備で自分たちの想いを棚卸しできたからこそ、当日自然と感情が込み上げ、そしてその気持ちに素直になろうと思えたのかもしれません。
結婚式後は、小さな喧嘩が減りました..!
これまでだったら思わずイライラしてしまうようなことも、結婚式で書いてくれた誓いの言葉を思い出すと「私たちは心の奥では同じ気持ち」と優しい気持ちになれます。相手のことをもっともっと信じられるようになりました。
これからも同じ方向を向けずにすれ違う日もあるかもしれない。それでも、結婚式やプロセスを通して想いを伝えあった私たち家族なら大丈夫。あの日“家族の絆”を目にすることができたから。
※プロデューサー:おふたりと共に結婚式を創り上げる担当のスタッフ。一般的には「プランナー」と呼ばれることが多いですが、結婚式のプランニングに留まらず、おふたりの人生に深く関わりながら大切な節目をプロデュースするという決意を込めて、「プロデューサー」と名付けています。
「Voice-あの日が私にくれたもの-」バックナンバー
Vol.1「人前で読む手紙は、私には合わないと思っていた」
両親へ心からの感謝を言葉にできた結婚式
Vol.2「結婚式にお金をかけるなんて、無駄だと思っていた」
人生観まで変わった結婚式
Vol.3「親族は末席」それが常識だと思っていた
両家が垣根を越えてつながった結婚式
Vol.4 「結婚式で、こんなに仲良くなれると思っていなかった」
結婚から4年、お互いをもっと愛しく思えた結婚式
Vol.5「打ち合わせで、人生が変わるなんて思ってもみなかった」
過去の挫折を愛せるようになった結婚式
Vol.6「はじめは、シンプルな見た目が好みなだけだった」
本物の建築だからこそ、人が主役になった結婚式
Vol.7「新しいスタイルで、上司に失礼がないか不安だった」
組織を越えて信頼関係を築けた結婚式
執筆:仲奈々
編集:永井絢
バナーデザイン:岩田優里
結婚式写真撮影:kuppography