COLUMN

一生懸命働いた先に、 世の中はどう良くなっていくの?

学生のころ、あらゆる社会問題を学ぶ機会はたくさんあった。講義の中では国際紛争や人口増加について触れていたし、図書館に行けば世界情勢について書かれた本が本棚の目立つところに並んでいた。社会人になるということは、そうした世の中にある問題に対して、自らアクションをおこしていく一人になる感覚に近かった気がする。

 

社会人2年目となり、気づけば世の中の情報に触れる機会は非常に少なくなった。本屋さんに行けばビジネス書籍やハウツー本がどうしても目に止まってしまうし、未来について語り合っていた友人と久々に会えば、会社の人間関係や仕事のことを話す。

 

それは悪いことではないし当然のこと。でも学生のころに持っていた、一人の若者として社会に何をしていくのかを純粋に考え、行動に移していく気概はどこにいったのだろうか。私たちが大きな社会に関わっているというナチュラルな感覚は、会社にある刺激を前にして、薄れていったのかもしれない。



朝起きて、人の波に揺られながら出勤する毎日の中では、忘れてしまうことがある。


私たち、いや、私自身が世の中というシステムを構成する一つであるということ。

もっというと、世の中ではなく地球環境なのかもしれない。太陽のエネルギーによって植物が有機物をつくり、動物が消費してフンをだし、ミミズたちが分解し、木がそれらを吸い上げる。私の排泄物も海にながれ、微生物が分解して、蒸発して空にいき、また雨になり私の上に降り注ぐ。


そんな循環の中で生かされていることを、私は忘れてしまうことがある。

 

「人間活動」が通り越したもの


2013年の新年早々、中国の大気汚染問題が世界中で注目されるようになったのは、まだ記憶に新しい。


「あけましておめでとう!」とテレビをつけたら、真っ黒な街並みを映す映像が流れていた。PM2.5のスモークが日本にもきている! と煽るアナウンサーにつられて、私も外出するときはマスクをつけて過ごした。マスクをつけなかった友人は、鼻をほじると「真っ黒な鼻くそがでてくる!」と言って騒いでいた。


中国の大気汚染は急速な経済成長による鉄鋼・セメント・板ガラスなどの重工業から、大量に有害なガスが排出されることが原因だという。中国で排出された有害ガスの分解が間に合っていないから、世界にまでPM2.5が広がっていっている。ざっくり優しくと言うならば、私たちの人間活動が、自然の分解サイクルを上回っているのだと私は思った。


循環の中にいる私たちだから、空気が汚染されているということは、空気を吸って生きている私たちも、同じように汚染されている。


この前、とあるカフェのオーナーと、牛乳の話をした。


「牛さんはお乳が出るようにホルモン剤を打つんだよ。それによって妊娠し続けることができて、お乳がいっぱい採れるんだ。じゃあ、妊娠できなくなった牛さんはどうなると思う?」


「えー、牛肉として夜ご飯のすきやきメニューに登場するのかな?」


「いや、違うんだよ。ホルモン剤を投与し続けた牛さんの肉は硬いから、ただの牛肉としては売れないんだ。スクラップしてひき肉にするんだよ。つまりハンバーグとして登場するんだね」


 

「じゃあ、ハンバーグにはホルモン剤が大量に入っているということ?」


 

私たちは、なんで、どうして、働くの?



普段の生活の中で、人はいちいちそんなことは気にしてないだろう。パソコンとにらめっこしながら、これからもコンビニ弁当を食べるだろう。使い捨ての割り箸を消耗していくだろう。


「私たちはなんで、どうして、働くの? 究極は国の経済成長のため?」


子どものころ、純粋に浮かんだこの問いに、社会人となった私はこう答えたくなる。


「ほとんどの人は、そんな大それたことは意識していない。ただ目の前の仕事、半径5mの自分の人生の幸せ、大切な人の幸せや、お客様の幸せに誰もが必死。そしてそれは素敵だし、誇れること。自分の人生における多くの選択が、世の中のあらゆる問題と切り離されてはいないことに無自覚であること以外は」


 

社会人2年目となり、自分の所属する部署や、会社の中で、どう立ち振る舞い、どんな仕事の仕方をすれば効率的に成果を生み出せるのか、評価をもらえるのか、それなりに学んできたように思う。私にとって目の前の仕事をがんばることが楽しくて嬉しくて幸せなことであるのは事実。でも、忘れちゃいけないのは、目の前の仕事も日々の生活も、世の中の問題と関わっているというナチュラルな感覚なんじゃないか。大切な人やかわいい未来の子どもたちの住む地球の、あらゆる循環に自分の人生が加担しているという自覚なんじゃないか。


 

私が入社した株式会社CRAZYでは、経営理念として「Stlye for Earth」(=地球にとって本当に良いことをするスタイル)を掲げている。(※2018年7月より『To celebrate your life the most in the world. /  世界で最も人生を祝う企業』に変更)資本主義社会においての経営理念としては、少しNPO的だと思うかもしれない。でも敢えてNPOではなく、ビジネスを選んで地球規模の理念を掲げているのには、理由がある。ビジネスが、世の中の循環・生態系の流れを変えるには絶好の手段だからだ。地球環境を含めた理想の未来のために働くモデルケースを、企業体において創ることができたら、日本に約400万ある企業*1が模倣するかもしれない。


そうすれば企業が売る商品に限らず、企業で働く何億人もの従業員の生活における選択基準が変わっていく。それは世の中の循環・生態系の流れが変わるほどのインパクトを持つだろう。だからこそ、NPOではなくビジネスという手段で、地球規模の理念に基づいて組織を拡大させていくことを選んでいる。

 

まだまだ私たちの道のりは長い。でも、挑むに値する大きなビジョンに、私はワクワクして日々生きている。自分の人生があらゆる物事と関わっているという自覚を持ち、一生懸命働いた先に、世の中が良くなっていく未来を信じて。

 

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*1 経済産業省「2016年版 中小企業白書概要」

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H28/PDF/h28_pdf_mokujityuuGaiyou.pdf

 

水玉綾(@maya_mip)
Aya Mizutama

CRAZY MAGAZINE編集長。フリーの編集者・ライター。HR領域の取材記事を中心に、媒体は「未来を変えるプロジェクト」「新R25」「PR Table Community」「BizHint」「FastGrow」等。三度の飯より愛犬が好き??

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