INTERVIEW

世界が熱狂する“こんまり”のパートナー・川原卓巳 —— ときめく生き方を選ぶための「サードドア」とは?

Netflixで公開されたオリジナル番組『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~』が190カ国で放映。世界中でますます人気が加速している“こんまり”こと近藤麻理恵さんを裏で支えるのが、ビジネスプロデューサーであり、麻理恵さんの夫・川原卓巳氏。

川原氏とCRAZY WEDDING創業者・山川咲は元同僚。同じチームの部下と上司の関係だったふたりは、現在、“片づけ”と“結婚式”と異なる分野で活動していますが、根底にある願いは一緒だと言います。それは、他人から望まれた道を生きるのではなく、その人らしい生き方を見つけ、自分の人生を愛せる人が増えてほしいということ。

その川原氏が山川を含めた精鋭メンバーと共に、生き方に迷うビジネスリーダーに向けた新しいプロジェクトを始めます。その概要と込められた想いについて話を聞きました。

“KonMari”の番組を生んだ原点は、一緒に作った伝説のプログラム

― はじめに川原さんの自己紹介と、ふたりの関係性について教えてください。

川原卓巳(以下、川原)氏:KonMari Media, IncのCEOの川原です。僕の人生は、妻の近藤麻理恵との出会いによって、大きく変わりました(笑)。現在はシリコンバレーやハリウッドを拠点に、『こんまりメソッド』を世界に広げる活動をしています。マネジメントから、メディアやプロダクションとの交渉、講座やサロンの運営など、活動は多岐にわたります。Netflixの番組のプロデューサーもやりましたね。

川原卓巳(Kawahara Takumi):KonMari Media, Inc CEO
大学卒業後、人材コンサルティング会社に入社し、個人向けのコンサルティング、新卒採用担当として、述べ5000名以上のキャリアコンサルティングおよび企業向けのビジネス構築・人材戦略のコンサルティングを行う。学生時代からの友人・近藤麻理恵とは公私ともにパートナーとして彼女のマネジメントとこんまりメソッドの世界展開をプロデュース。2016年にアメリカへ移住。2019年に公開されたNetflixオリジナル TVシリーズ”Tidying Up with Maire Kondo” のエグゼクティブプロディーサー。

川原氏:彼女との出会いはお互い大学4年の時なので、長い付き合いです。はじめての著書『人生がときめく片づけの魔法』が話題になる反面、これからのビジネスをどうしていこうか色々と考えていた時期でもあって、僕はコンサルタントとして働いていたので、「もっとこうしたほうがいいんじゃない?」とアドバイスするようになったことから、ビジネスパートナーの関係が始まりました。

― 咲さんと川原さんは、どんな出会いだったのでしょうか。

山川咲(以下、山川):実は、彼が新卒で入社した人材育成会社の上司が私だったんです。彼が入社2年目の時に、私が責任者を務める新卒採用チームに配属になりました。

山川咲(Saki Yamakawa)):株式会社CRAZY / CRAZY WEDDINGブランドマネージャー
業界で不可能と言われ続けた完全オーダーメイドウェディングのブランド「CRAZY WEDDING」 を立ち上げ、たった1年で人気ブランドに成長させる。2016年には夢であった毎日放送「情熱大陸」に出演。2年間の休業を経て第一子を出産後、表参道にて新ブランド「IWAI OMOTESANDO」の立ち上げに携わる。著書に『幸せをつくるシゴト』(講談社)。

山川:当時は、無名なベンチャー企業に、優秀な学生を集めるために、無茶苦茶な働き方をしていたんですよ。絶対に結果を出してやると、私も必死でした。そのせいで、彼にはかなりキツく当たっていましたね。

川原氏:今思い出しても、地獄の日々。咲さんから、毎日ボコボコに言われてました…(笑)。

川原氏:でも、僕の仕事のスキルは、当時の経験が全てベースになっているんですよ

特に、記憶に残っているのは、学生向けインターンシッププログラム。優秀な学生を集めて、目隠ししてバスに乗せて、行き先がわからない。辿り着く場所は、日本で最も険しいとも言われる谷川岳だったりするんですよ(笑)。そして、「これは登山じゃない。君の人生なんだ。どこに足を踏み出すかによって、人生が決まっていく」と言って、ナイトハイクに送り出す。とんでもない企画ですよね…。

山川:でも、このプログラムが話題を呼んで、就職先人気企業ランキングに入りましたからね。ただ、準備はすごく大変だった…。何度逃げ出したいと思ったかわからない(笑)。

川原氏:その時の咲さんの演出が天才的でした。参加者が、どうすれば動機付けられて、どうすれば熱狂するのかを、細部まで考え抜いてプログラムをつくっていた。BGMひとつでも、人の気持ちって変わりますからね。

だから、咲さんがCRAZY WEDDINGを始めると聞いた時、成功すると思ったんです。結婚式も、演出や様々な仕掛けによって、会場にいる人たちの感情をつくっていくわけじゃないですか。

僕も、咲さんから感情の揺さぶり方を学ばせてもらいました。Netflixで、制作の素人にも関わらず、ハリウッドのスタッフに演出の指示が出せるのは、その時の経験が大きい。“KonMari”の番組は、世界中で大きな反響がありましたが、あの伝説のインターンプログラムがなければ、ここまでの反響にならなかったかもしれない(笑)。

世界屈指の成功者達は、誰もがサードドアを開けてきた

― そんなふたりが、錚々たるプロジェクトメンバーと共に、全米ベストセラーのアレックス・バナヤン著『サードドア: 精神的資産のふやし方』で記されている「サードドア」の考え方を日本に広めるプロジェクトをはじめると聞きました。

川原氏:そうなんです。もともと僕が、この本を読んで感動し、アレックスに「本で書かれている考え方を日本に広めるプロデュースをさせてほしい」と相談したのがはじまりです。

川原氏:アレックスは、19歳の時にシリコンバレー史上最年少のベンチャーキャピタリストになったり、アメリカの大手出版社と契約した最年少作家となったり、歴史をつくってきた27歳です。

でも、本の中にも書かれていますが、彼自身はもともとすごくビビリで、何者でもなかったんです。そんな彼が、ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグのような人達が、どうやって大きな成功を実現したかに興味を持ち、様々な文献を読みあさるのですが、納得できる答えを見つけることができなかった。じゃあ、自分で彼らにインタビューして、その答えを本にまとめようと執筆活動した軌跡が、彼の本には書かれています。

― 「サードドア」という言葉の意味は、何なのでしょうか?

川原氏:アレックスは、人生で成功するには3つのドアがあると言います。

ファーストドアは、多くの人が並ぶ正面入り口。大企業に入るとか、出世するとか、世の中の99%が列を成して並ぶ狭き門です。セカンドドアは、VIP専用入り口で、名家に生まれた人とか、セレブしか使えない限られた門です。

そして、サードドアとは、自分だけが見つけられる秘密のドア。いわば、抜け道のようなもの。行列から飛び出し、誰も気づいていない道を探し、そこに潜り込む。成功している人たちは、全員がサードドアを開けた人達だとアレックスは言います。

アレックス自身もゼロコネクションの状態から、ウォーレン・バフェットやレディー・ガガなど、錚々たる著名な人へのインタビューに成功していきます。本を読むと、誰でもサードドアな生き方ができることが、彼自身の体験を通して伝わってきます

内面を見つけ、自分らしい生き方を選べる人を増やしたい

― 川原さんが、サードドアの考え方を広めたいと思われた理由は、何なのでしょうか?

川原氏:日本の知り合いに、ファーストドアに並んだまま、「俺の人生はこれで良いんだろうか…」と悩んでいる人が多いと感じていました。有名企業に入社して、出世もして、奥さんも子供もいて、多くの人から羨ましいと思われてきたけど、本人は迷っている。

川原氏:優秀だからこそ、周りから期待され、ファーストドアの行列から抜け出せない人が大勢いると思います。でも、入れるかどうかわからないファーストドアに並び続けるより、自分の意思でサードドアを叩き続ける人生の方が幸せだと思うんです。

僕は妻と一緒に、片づけを通して「ときめくモノ」を知り、自分の価値観に沿った生き方を探す手助けをしたいと思い活動しています。同様に、サードドアの考え方を知ると、自分がどんな挑戦にときめくかを考えるキッカケになるはずだと思ったんです。

自分らしい生き方ができる人を増やす。そのために、誰と組んだら一番良いかを考えた時に、直ぐに思い浮かんだのが、咲さんです。

― 咲さんは、川原さんからお話を聞いた時にどう感じましたか?

山川:CRAZYが大切にしている考えそのものだと思いました。私たちも、結婚式を通じて、内面に向き合い、自分らしく生きていける人を増やしていきたいんです。

山川:一方はお片づけで、一方は結婚式。やっていることは全然違いますが、根本にある考えは一緒です。だから、サードドアを知った時、すごくしっくりきました。

私自身もサードドアを叩く生き方をしたくて起業したし、そういう生き方を啓蒙したくてウェディングをやっています。ふたりとも人材育成会社にいましたけど、ある種、現在でも教育事業をやっていると思うんです。生き方に悩んでいる日本のエリートに、サードドアの考え方を伝えたいという川原さんの気持ちは尊いと感じたし、それを一緒に手伝いたいと素直に思いました。

サードドアを叩き続ける人生を送る仲間になれたら

― サードドアの概念を日本に広めるべく、「サードドアプロジェクト・キックオフイベント」が、12月1日に開かれると聞きました。

川原氏:はい。著者のアレックスにも参加してもらいます。彼の話を生で聞いて欲しいと思い、なんとか予定をこじ開けました(笑)。

テーマは ”Knocking the door -自分らしいセンスの磨き方 -”。まずはドアをノックして、自分らしい生き方のきっかけになるイベントになればと思っています。

是非、ファーストドアの行列に並んでいて、人生に息苦しさを感じている人に参加して欲しい。特に、会社で成果をだして、出世もして、「もうすぐドアが開くかもしれない」と、列の前方に並んでいる人たち。ずっと並んでいると降りるのが、だんだん怖くなります。でも、その向こうにあるのは、自分が求めているものではないかもしれません。

肩の力を抜いて、アレックスと共にサードドアの世界を体験してみてほしい。きっと、イベントの終わりに、心の中の何かが動き始めることを信じて。

また、サードドアプロジェクトの運営メンバーも多種多様な精鋭揃い。日本最大級のファンコミュニティの構築をプロデュースした人間や、固定概念に囚われない新しい住み方を提案している先駆者など、実際にサードドアをこじ開けてきた経験者たちが、本気で取り組んでくれています。

山川:私は空間づくりで参画しているんですが、当日は「サードドア」という言葉にこめられた信念と希望を共有し、憧れつつも一歩を踏み出しきれないと悩んでいる人の背中を押す場にしたい。そして、半年後とかに、何人がサードドアを開けたのかを振り返ったり、互いを讃えあうような関係を築いていきたいです。

人生がときめくサードドアは、どんな人にも必ずあるはず。サードドアを叩く人生を送る仲間になれたら嬉しいです。 

■ サードドアプロジェクト・キックオフイベントのお問い合わせはこちら

 

撮影:安東 佳介

井手桂司
Ide Keishi

1984年熊本生まれ。「ブランドエディター」という肩書きで、企業の持っている物語を多くの人の心に届けるお手伝いをさせていただいています。現在は、IKEUCHI ORGANIC、Oisix ra daichi、コルクなどの企業メディアを支援。趣味は、銭湯・サウナ。

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