INTERVIEW

「感情を殺した優秀なサラリーマンにはなりたくない」。大企業の幹部候補生からベンチャーへ転身した社会人3年目の心意気

上司がいて、成果があって、タスクに追われる。忙しい毎日の中で「なんのために働くのか」を考えてしまう瞬間はないでしょうか。本当にこの仕事でいいのか。このまま働いた先に変化はあるのだろうか。本心でやりたいことは違うことなんじゃないか。そうした悩みは誰しもが一度は抱くものだと思います。

JT(日本たばこ産業株式会社)からCRAZYに転職した塩見拓也もそのひとりでした。大企業の社会人3年目で、幹部候補生。そんな彼が、なぜ今ベンチャー企業のCRAZYに転職を決めたのか。そこには、馴染みのある「成長できるから」という理由だけでなく、彼なりの意思決定の軸、心意気がありました。

「幹部候補生」として入社、積んだ経験

―塩見さんは、JT(日本たばこ産業株式会社)からCRAZYに入社されたと伺っています。その歩みを聞かせてください。

塩見拓也(Takuya Shiomi):株式会社CRAZY マーケティング担当
2016年京都大学法学部卒業。学生時代は、日本最大規模の就活支援NPO「encourage」の2代目京都大学支部長、全国支部マネージャーとして活動。2016年JT(日本たばこ産業株式会社)に入社し、経営企画部に配属。関連会社にて新規事業の開発を経て、本社加熱式たばこのマーケティングチームに異動。ブランドショップやイベント運営など、主にオフラインのマーケティングに従事。2018年に株式会社CRAZYに転職し、マーケティング部署に在籍。

僕は新卒でJTを選んだのですが、それは人が嗜好品として、たばこを吸う理由に興味を持ったからなんです。僕自身は非喫煙者なのですが、国内では約18%の人がたばこを吸っていますし、人の人生に何かしらの影響を与えるものだと仮定していました。

また、たばこは長期視点のビジネスです。お気に入りのブランドができたら、数年単位で長く同じ銘柄を吸い続けることも少なくはありません。長期視点で考えていく業界だからなのか「そもそも嗜好品とは何なのか」といった、自分たちの存在価値を問い続ける社風も強く、そこに惹かれたのも理由の1つですね。

―JTでは「幹部候補生」として入社されたと聞いています。競争率が高そうですが。

そもそもJTは離職率が1桁台と非常に低く、生え抜きの社員が経営陣になることがとても多いんです。そのため、入社時から将来経営を任せる人材を育成する制度がありました。新卒社員の中で選ばれた数十人が試験を受けて、最終数名の幹部候補生が毎年決まるのですが、僕はその中の1人でした。

幹部候補生は、経営企画や新規事業、M&Aのほか、関連子会社に出向して事業開発に携わることもあります。僕もそうでした。入社後すぐに、ECをやっている関連会社に出向して、新規事業の開発に携わりました。

1年半はそこで働いていましたね。その後、主幹事業のたばこの領域に移動し、ブランドショップ運営や店舗のマーケティングを担当することに。約2年間は、若手ではあまり経験できないような貴重な経験をさせてもらったと思います。ブランドショップのビジョンや行動指針、評価制度の作成。マーケティングを中心に、人と組織周りの仕事も多く担当しましたね。

“ このままでは感情が死んだ優秀なサラリーマンになってしまう ”

―様々な挑戦をされていたなかで、非常に充実されてそうですが、なぜ退職を考えられたのですか。

たばこの領域に移動してから、ブランドショップのビジョンとして、毎日たばこの未来を考え、言葉にしていたんです。それを様々なメンバーに話していくうちに、自分は「たばこの価値を心底信じきれてはいない」ということに気づいてしまったんですよね。 たばこは、1本という小さな積み重ねが結果として価値になるもの。でも、その価値を自分は手触り感を持って感じられなかった。

マーケティングという仕事上、魅力を語り続けて、誰かに売る必要がありましたが、当時の自分にとっては結構辛い状況でした。本心とは別で、役割に徹することはできます。でも、感情を押し殺して働くのは、将来的な成長を考えるとマイナスでしかない。なぜなら、優れたアウトプットには感情がパワーとなって下支えしてくれるものだから。学生時代の経験から、賭ける想いや感情の強さが、最終的な成果に大きな影響を与えるだろうとの思いもありました。

そしてJTでは今後少なくとも、数年間はたばこが主幹事業。部署異動をしたとしても、いずれまた同じ壁にあたってしまうのではないか。“ このまま働いていると、感情が死んだ優秀なサラリーマンになってしまう ーー。”それは大きなリスクだ思い、転職を考え始めたんです。

―そこからCRAZYに入社するまでには、どのような経緯があったのですか。

まずCRAZYで働いていた知人から紹介を受けました。僕は転職は2つの軸で動いていたのですが、まさしくその軸に合うのがCRAZYだったんです。1つは、「人の人生をダイレクトによりよくすること」。

この想いは、昔からずっと抱いていたものでした。というのも、実は中学受験のタイミングで、父親の会社が倒産しているのですが、その危機を救ってくれたのが母親でした。家計が苦しいなかでも、なんとか工面して、通わせてくれた。だからこそ今があると思っていて、そうした誰かの節目に、人生をよい方向に変えられる人になりたいとは昔から抱いていた思いです。

たとえば、たばこのように、小さな積み重ねが人生に影響を与えるものもあると思います。でも、僕はあまりそうした価値を感じられなかったからこそ、次は、大きな節目のタイミングで人の人生をよくすることに関われないかを考えました。一つの方法としては「家族が生まれる瞬間」ですね。結婚式や子どもの誕生の瞬間も。この人生の節目を良くしていくことは、より大きな価値をもたらすんじゃないかって。

2つ目は、成長への課題感。先ほど伝えた通り、感情を殺して働くことに慣れていました。でも、 今後自分の枠をはみ出して成長していく為には、感情と理性のバランスを高いレベルで両立する必要がある。そして、結婚式は儀式という側面上に、感情的価値を提供しているビジネスです。二人の馴れ初めを聞き、お祝いをし、時に涙する。あえて今の自分とは逆の場所に、強制的に身を置くことができるのは、魅力的な選択だと思ったんですよね。

ちなみに、CRAZYで働いていた知人が、まさに感情を大事にする人だったんですよ。「どう感じているの、どう考えているの」って聞かれるんです(笑)。僕はビジネスの会話に慣れ過ぎてしまい、なかなか自己開示が出来なかったのですが。本音にまっすぐな知人を見ていると、日頃から心に素直に働ける職場環境なんだろうなとは感じていましたね。

安全圏からでる状況を作っていきたい

―実際に転職してみて、いかがですか。今の仕事も教えてください。

仕事は、マーケティングチームの立ち上げメンバーのひとりとして、尽力しています。社長直下で主にデジタルマーケティング領域の担当ですね。

結論から言うと、まだまだ感情を使いこなして仕事をするところまでは至っていません。いい仕事ができたことへの嬉しさは感じられるようになりましたが、ネガティブな感情はまだまだ。悔しさをバネにしてもっと馬力が効くようになればいいのですが……。今はリハビリ中のような感覚ですね。

なぜネガティブな感情が芽生えにくいのかというと、自分を客観視するがゆえに、限界ラインを見極めてしまうんですよ。体力や時間、能力の限界をあえて超えていこうとしない自分がいる。

無鉄砲に限界突破を試みるって、歳を重ねるごとに難しくなりますよね。でも、限界ラインだと分かりながらも超えていく狂気みたいなものが、今は欲しい。そうした姿勢がなければ、僕は優秀なサラリーマンで終わってしまうんじゃないかという危機感もあります。せっかくCRAZYにきたからには、安全圏からでる状況を意図的に作っていきたいですね。

ただ、仕事において喜びを感じるポイントが異なってきたのを感じています。CRAZYでは今、まずは社会に対して実現したいことがまずあって、その一部が実現できたことに喜びを感じるんです。喜んでくれるお客様の顔も現場で見ることができます。

一方これまでは、大企業ゆえにお客様との距離は遠かったです。すると、成功の判断軸として、身近な上司やチームの目標が最終目標になりがちだったように思います。当時はそうならないでいたいともがいて、やきもきしていましたが。

今後はやっぱり、人の人生をよくすることにどれだけ貢献できるか。ストイックに突き詰めていきたいと思っています。人生のターニングポイントになるような、心にずっと残るベストな言葉を投げかけられる人になりたいですね。それは何度も過去の自分を超えていかないと、辿り着けない境地だなと思っています。

*CRAZYは中途社員を募集しています。
異業種からのチャレンジも大歓迎です。
(
詳細はこちら)

編集:水玉綾   トップ画像:小澤 彩聖

ご感想お待ちしております。

卯岡若菜

「仕事・家族・どこにも属さない自分」の3つの自分の共存を目指すフリーライター。息子ふたりの母親でもある。生き方や働き方への興味関心が強く、人の想いに触れるのが好き。趣味は映画鑑賞、音楽鑑賞、児童文学執筆、弾丸旅行、読書。本や漫画はキノコのように増えるものだと思っている。

Writer's Articles