INTERVIEW

結婚式が退屈なあなたへ。今話題の斬新なウェディング「IWAI」は、他の結婚式と何が違うのだろうか。

結婚式に必要なものを考え直してみよう

派手な入場、乾杯の挨拶、ケーキ入刀……。「誰の結婚式にいっても同じに見える」と感じた人は多いのではないでしょうか。

CRAZY WEDDINGのブランドマネージャー・山川咲は、自身が夢であった結婚式を挙げる中で、歯がゆい思いを感じたという。「誰一人として同じ人生を歩んできた人はいないのに、同じ結婚式を挙げるしか選択肢がない」。少しでもやりたいことをしようと思うと、追加で莫大に発生する料金。結婚式業界の常識は、山川の目にはクレイジーに映った。

「一人の人間として、心から理想だと思える結婚式を作ろう」。自分たちをあえてクレイジーと名乗り、新郎新婦の人生を表現する完全オーダーメイドのオリジナルウェディングCRAZY WEDDINGを立ち上げたのだった。

創業から6年たち、彼女はいま、新しい挑戦をしようとしている。新ブランド、IWAIだ。結婚式に必要なものを0から考え直して生まれたという。IWAIを、擬似体験するオープン記念イベントで見えてきた、通常の結婚式との違いとは。

イベント実施日時:2018年9月4日

山川咲(Saki Yamakawa)株式会社CRAZY / CRAZY WEDDINGブランドマネージャー
業界で不可能と言われ続けた完全オーダーメイドウェディングのブランド「CRAZY WEDDING」 を立ち上げ、たった1年で人気ブランドに成長させる。2016年には夢であった毎日放送「情熱大陸」に出演。2年間の休業を経て第一子を出産後、表参道にて新ブランドIWAIを始める。著書に『幸せをつくるシゴト』(講談社)。

山川は、1000組以上のお客様と向き合う中で、「自分が目立つことよりも、みんなと一緒に思い出を作りたい」という新郎新婦の声が多いことに気がついた。だが、既存の結婚式のプログラムでは、「披露宴」という言葉からも分かるように、芸能人のような派手な入場から始まるものが殆ど。

共有したい、思い出を作りたい、という共通体験に価値を感じる人が多い今の時代。結婚式に必要なものは一体なんだろうか。新郎新婦の歩んできた人生を、本当の意味で祝うために考え尽くし、それらは結果、斬新な形になったという。

披露宴は廃止。肩書きに人を縛らない、会話が生まれる設計。

IWAIでは、新郎新婦が出席者を歓迎するところから始まる。派手な入場をする通常の結婚式と、全く逆だ。肩書き順の座席指定はなく、自由に着席・移動をし、ホームパーティのように楽しい時間を過ごす。

山川はこれまで、オーダーメイドの式をプロデュースするなかで、会場の一体感を作り、奥手な日本人がオープンに話せるようなコミュニケーションの仕掛けを行ってきた。空間装飾などのハード面から、当日関わるスタッフのソフト面。これまで磨いてきたノウハウを土台としてIWAIを作っているという。

IWAIを擬似体験する本イベントでは、初めまして同士の人も自然と仲良くなっている様子が伺えた。

料理は毎回同じようなコースではなく、コースとビュッフェを合わせた形式。出席者は、気取らず、自由に立ち歩く。また、コミュニケーションを生むために、同じ釜の飯を食べることが、IWAIの料理のメインだ。

出席者全員に手紙を書く。一人ひとりプロのカメラマンによる撮影。

結婚式では、「お付き合い」として、親しくない会社の人や親戚まで招待することがある。だが、人間関係に気を遣うことなく、お祝いに集中してほしいという想いから、IWAIでは少人数を歓迎し、大切な人だけを招待する形をとっているという。今回のイベントは、CRAZYの大きな節目を作ってくれた30名が招待されていた。

出席者は山川からの一人ひとりに宛てた「手紙」を受け取る。多くのウェディングでも「今日は来てくれて嬉しいです」などのメッセージを受け取ることが多いが、大半が似た内容になっているのが現状。出席者全員分を書くことは大変であるし、普段書く機会のない人が、自分の気持ちを正直に表現するのは難しいからだろう。

手紙の上部には関係性を表すキャッチコピー、下部には初めて出会った日の思い出や、これまでの感謝の思いなどが綴られていた。

しかし、IWAIでは誰しもが丁寧に手紙を書ける秘密があるという。それは、ウェディングプロデューサーとプロのライターによる入念なヒアリングによって、出席者との思い出や感じている気持ちと向き合うからだ。また、ヒアリング後にライターが文章を代筆するサポートもある。通常の結婚式と違って、座席を決めることに時間がかからない分、出席者との思い出を振り返る時間を過ごしてほしいという想いが込められているそうだ。

また、結婚式で出席者が写っている写真の多くは、新郎新婦がいる高砂で撮影したものが多い。だが、IWAIでは出席者全員、ポートレート写真を撮影する。その日着ていた服や、纏っていた雰囲気、素敵な表情を丁寧に残せるようにと、プロのカメラマン監修のもと一人ひとり撮影していくのだ。イベント出席者は、自然な表情が引き出されていた。

CRAZY WEDDINGで式を挙げた元新郎、株式会社ビズリーチの南壮一郎社長や、IWAIのコンセプトメイキングに携わった株式会社スマイルズの遠山正道社長をはじめ、名だたる方々に出席いただいた。

山川が、ここまで結婚式に力を入れるには、特別な理由があった。「幼い頃、フジテレビのアナウンサーだった父が仕事を辞め、ワゴンカーで1年にもわたり日本を放浪したんです。そして住み着いた千葉の片田舎で、私は周囲に全然馴染めませんでした。自分の存在価値を疑い、人生を疎み、普通になることを夢見ていました。そんな私だからこそできることを探した時に見つかったのが、自分の人生をお祝いし、肯定できる結婚式という事業でした」。

結婚式は、結婚を披露する式ではなく、それぞれが歩んできた人生をお祝いする機会。山川は、結婚式を通して、お互いの人生を祝える世界を実現するのだと強い決意を表明し、オープン記念イベントは、幕を閉じた。

仰々しい入場がない、席次がない、手紙を書く、ポートレートを撮影するなど、IWAIは、これまでと全く違う斬新な結婚式だ。だが1番の違いは、結婚式を、結婚式として捉えていないこと。関わる人の人生を祝福するために必要な要素を考え尽くしていることだろうと私は感じた。その結果として形式ばったプログラムを廃止している。

そんなIWAIは2019年2月のオープンに向けて、絶賛お問い合わせ受付中だという。友人の結婚式でまたこの場に足を踏み入れる日が、私も今から待ち遠しい。

 

写真:小澤 彩聖

水玉綾(@maya_mip)
Aya Mizutama

CRAZY MAGAZINE編集長。フリーランスのライター・編集者。働き方・組織論などのビジネスシーンから、個展やポエミーな文章まで幅広く担当。世の中が美しくなる編集を大切にしている。吉本ばななさんのTUGUMI、ミヒャエル・エンデさんのモモが好き。

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