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【前編】「私たち、結婚しないことを誓います」“良い夫婦”にちなんだ1,122万円で前代未聞の式開催

友達、仲間、家族、夫婦。人の関係性は様々な言葉で表現されます。そこには典型的な型があり、「友達だからこうあるべき」「夫婦なのだからこれが当たり前」といったある種の縛りが存在しているのではないでしょうか。

そんな中、「人と人の関係は、もっと自由であるべき」と主張し、前代未聞の“結婚しないことを誓う結婚式”を挙げる人たちがいます。

2020年2月1日に開催される『ホリエモン万博』の結婚式プロジェクトの新郎新婦、斉藤達也さんと原友美さんです。

「今ある常識を打ち破る」をコンセプトに掲げる大人の文化祭『ホリエモン万博』と、完全オーダーメイドのオリジナルウェディングブランド『CRAZY WEDDING』によって生まれた本企画。「良い夫婦」にちなんだ1,122万円の費用で1組のカップルの結婚式をプロデュースするというものです。

結婚式をあげたいカップルを募った企画に、なぜ結婚しないことを誓う二人が応募したのでしょうか。そこには“関係性の型”に苦しむ全ての人に向けた、自由へのメッセージがありました。

女だから、男だから。決められた“型”に対する疑問

現在、友美さんは自動車製造業を営む会社の代表を務め、達也さんは同じ会社で職人として働いています。

友美さんは、この企画の参加を決める前から、女性の選択の不自由さを感じていました。自営業を営む両親の元に生まれ、中学生の頃には経営者となることを目指していた友美さん。

しかし、世間的には「女性の幸せは結婚して家庭に入り、男性に養ってもらいながら家を守ることだ」と聞かされることも多く、「自分の思いは一般的な幸せとは一致しない」と違和感を感じていたといいます。

友美さんが幼い頃に感じていた違和感は、年齢を追うごとに“社会への疑問”へと変わっていきました。

「中学・高校では、大学に行くよう努力することを求められるのに、いざ大学を卒業し働きだした途端に女性だけは『早く結婚しろ』と言わんばかりの雰囲気に晒される。仕事の夢や目標を持つようにと教わったこれまではなんだったのか…。

その後は『友達が結婚した』と聞いて焦ったり、『なんであの子は結婚できたのに私はできないんだ』と陰口を言う人がいたり。そんな状況を見るうちに、そもそも社会の風潮や仕組みに歪みがあるんじゃないかと感じるようになったんです」(友美さん)

友美さんが疑問を持った一つは“婚姻制度”。現在の日本の婚姻制度では、夫婦別姓は許されておらず、どちらかの姓を選択する必要があります。これは友美さんと達也さんが婚姻届を出さない大きな理由にもなっています。

「夫婦が苗字を選択する場合、暗に女性が姓を変えるべきだと言う風潮があります。もし私が結婚して姓を変えることになれば、公的書類だけでなく会社の全ての書類も作り直さないといけない。この名前でたくさんの人と関係を作ってきたので、思い入れもありますし、負担が大きすぎます」(友美さん)

男性側が姓を変えるという選択肢はもちろんあります。しかし、「男性が女性側の姓に変えたり、婿に入ったりすることを『男らしくない、情けない』とネガティブに思う風潮もある」と友美さんは語ります。

一方、達也さんも男性としての型にはめられることに生きづらさを感じてきました。

「僕は高校を出てから働き、これまでいくつか職を変えてきました。でも、とある友人は同じところにずっと勤めていたので、『いい加減定職につけよ』とよく僕に言うんです。ただ、一箇所に留まるだけが人生の道じゃないと僕は思うんですよね。

他にも『男は早く結婚して家庭を持って、家を買ってからが1人前だ』と言われることがあるけれど、そうやって価値観を決めつけられたり、押し付けられたりすることが窮屈に感じていました」(達也さん)

「契約書」はいらない——結婚しないと誓う

それぞれ世の中の風潮に疑問を感じていた二人が出会ったのは、2011年の秋。達也さんが働いていた特殊車両製造を営む会社に、友美さんが直属の部下として入社したことがきっかけでした。

日々仕事場で顔を合わせるうちに、自然と一緒に過ごす時間が長くなった二人。さらに、2015年の友美さんの独立を機に、達也さんも退職し、関係はより親密になっていきました。

しかし、付き合い始めの告白はなかったと二人は言います。自然と一緒にいるようになり今日まで至るそう。関係性を厳密に定義していないことは、第三者からすると一見心もとなく見えてしまうかもしれません。でも二人は「安心できている」と言います。

「信頼関係で成り立っているから、関係の定義や婚姻届のような契約書はいらないんです。お互いに自立した人間ですし、私としてはいつ別れてもいいと思ってる。ただ、この先も一緒にいるだろうなという確信もある。これはお互いにそうだと思います」(友美さん)

「過去に『俺はずっと一緒にいると思っているよ』とか『いつか千葉で暮らしたいね』とかそういった会話は自然としていますよ。ただ、今の二人の関係に不満はないので、明確に関係性を定義することの必要性は感じません。

今一緒にいる事実だけで僕たちにとっては十分なんです。お互いに嫌になったら、きっと他の人をすぐに見つけるでしょう。でも、僕を理解してくれる人は彼女の他にはいないと思っています」(達也さん)

世間的な“型”がなくとも8年間公私を共にし、互いに支え合いながら関係を深めてきた二人。

そんな中、友美さんはSNSで、ホリエモン万博とCRAZY WEDDINGの結婚式プロジェクトに関する応募を見つけました。

「この結婚式プロジェクトに参加して、私たちの意思を示せば、婚姻制度や社会の風潮に一石を投じることができるんじゃないかと思ったんです。だから『結婚したくない』と応募用紙に書いて、“結婚しないことを誓う結婚式”としてエントリーをしました」(友美さん)

世の中はグラデーション。もっと自由だと伝えたい

二人は「結婚自体を否定しているわけではない」と語ります。ただ、伝えたいことは、関係性の多様性と自由が認められるべきだということ。

結婚は、幸せの象徴の一つとして語られる一方で、現在の婚姻制度では、夫婦別姓だけでなく、同性婚も認められておらず、制限ゆえに苦しみが生まれていると友美さんは訴えます。

「制度という型があるからこそ、したくてもできない人が生まれてしまう。そして『結婚すれば幸せになれる』という風潮が、したくてもできない人たちの心をより苦しめてしまう」(友美さん)

また、婚姻制度には、結婚という“型”があると同時に、離婚という“型”も存在します。

「私は結婚できるけどしない人。一方結婚したいけどできない人もいる。そして、結婚して幸せな人もいれば、そうでない人もいる。離婚という型に苦しめられている人もいる。私は一人で生きることも、三人や四人の集団で生きることも別に構わないと思うんです」

それくらい世の中には、いろんな考えの人がいて、それは綺麗に分けられるものではなく、グラデーションになっている。

「もし、型に囚われて苦しんでいる人がいるなら、私たちのように考える人がいることを知ってもらい『結婚することだけが正しいわけじゃない。しないならしないでも全然良い』と感じるきっかけになれば嬉しいですね」(友美さん)

結婚せずに共に生きることを選んだ二人。それは二人なりの新しい関係の定義を作っているのかもしれません。

▶︎後編はこちら(後編では、関係性の自由を強く望むようになった原体験に迫ります。)

 

【ホリエモン万博×CRAZYWEDDING オリジナルウェディング】

プロデューサー:松田佳大 ・高橋智也
プランナー:高市祐貴
アートディレクター:五味春佳

会場:ベルサール六本木 B1
日時:2020年2月1日(土)13:00〜15:00
参加条件:「ホリエモン万博2020 ~節分まつり~」のチケットをお持ちの方はどなたでもご参加いただけます。
▶︎チケットのご購入はこちら

 

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編集:水玉綾 撮影:戸谷信博

萩原愛梨
Airi hagiwara

ビューティーテックカンパニーSpartyでChief Customer Officerを務める。ITフリーランスの支援事業を行うgeechsでの広報・メディア運営の経験から、フリーライターとしても活動中。複業ワーカーの可能性を自ら体現すべく奮闘する日々。著書に『女子的「エモい」論 ~おじさんに伝えたい私たちの本音~』(「幻冬舎plus+」)

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