INTERVIEW

「感情は、殺さなくていい」——自分との向き合い方で、人生も仕事もきっと豊かになる

組織で仕事をしていくなかで、一定の「無感情」や「無関心」が求められると感じたことはないでしょうか。

プロジェクトを円滑に進めるために、ぶつかり合いから逃げるように言いたいことをグッと飲み込んで、感情に蓋をしてしまう。自分を冷静に保つなかで、仕事では成果が出るようになったけれど“心を失っている自分”にふと恐怖を抱くなんてことも。

CRAZYのプロデューサー保倉冴子さんは「感情の活かし方」に課題を感じていた一人です。しかし、自分の感情としっかり向き合うコツを掴んだことで、感情を活かして仕事を前に進められるようになった、と言います。

そんな冴子さんの話を伺うと、「感情を活かすための流儀」が見えてきました。

「感情」に隠された、自分を磨くヒント

保倉冴子 /Saeko Yasukura 新卒でキヤノン株式会社に入社し、開発業務のプロジェクトマネジメントに携わる。その後、2017年に株式会社CRAZYに転職。ウェディングプロデューサーとして年間約30件、累計55件の結婚式をプロデュースしている。

CRAZYに入社したのは2年前です。CRAZY WEDDINGのウェディングプロデューサーとして働いています。今は、8週連続で結婚式づくりを担当中。忙しくも充実した日々です。

CRAZYでは、「どんな結婚式をあげたいか」だけでなく、結婚式を挙げるおふたりの人生や親御さんとの関係性まで深く伺います。結婚式を通して人生と向き合い、承認し、一歩踏み出す機会をお届けしたい。そんな想いなんです。

コンセプトとして掲げているのは「人生が変わるほどの結婚式」。これって簡単なことじゃないんですよ。例えば、大切な人とのパートナーシップに向き合っていないプロデューサーが、お客様のパートナシップと向き合えるとは思いません。

どの仕事にも言えることだとは思いますが、お客様に信頼してもらい、任せてもらうためには、自分を磨き続けることが大事。私は「感情を上手に活かすこと」がそれを手助けしてくれると思うんです。

多忙な日々が続くと、感情ってあんまり表に出さなくなりませんか?特に、悔しさや怒りや焦りは隠したいもの。大変なときでも、余裕があるフリをすることが、大人の振る舞いと思われていますしね。

でも、感情表現が豊かな人に私は憧れるんですよ。大きく喜んで、周囲にまっすぐ気持ちを伝える。苦しみや悲しみ、葛藤をたくさん味わいながらも、前を向いて努力していく。

CRAZY WEDDING創業者の山川咲さんもそうですが、感情に素直な人は、周りを明るくするんです。ただ、今はそんなことを話す私ですが、CRAZYに入社した頃の私は、感情を表に出せない、“クールでスマートな装い”を全然外せなかったんですよ。

“余裕”を生み、前へ進むための「感情の扱い方」

私の前職は、キヤノン株式会社です。開発センターで、プロジェクトマネジメントの仕事をしていました。高品質のものを少ないコストでつくる必要があるので、前職では人や感情よりも、ファクトや数字が中心の世界で働いていたんです。

思えば昔から、喜びも悲しみもオーバーに表現することなく、しれっと物事をこなす性格でした。無駄な時間が嫌いで、集中している時に横の人に話しかけられたら、無表情で答えてしまうくらい。周囲の人には「怖い」と感じさせてしまうことが多かったんじゃないかな、と思います。

そんな私がCRAZYに転職をして驚いたのは、毎朝のシェアの時間でした。部署関係なく、いろんな世代の人たちが集まって、「最近どう?」とざっくばらんに話すんです。

仕事に関する話ではなく、人間としての調子を伺う時間。最初は全然慣れなかったですね。ただ、人の人生に触れる結婚式の仕事だからこそ、物ではなく「人が中心」で、感情とは切り離せない職場なのだと、だんだんと腑に落ちていきました。

そんな中で、特に感情と向き合うきっかけになったのは、後輩との関係がギクシャクしてしまったときのこと。後輩とペアで担当していたお客様からご意見をいただいたこともあり、胸の内では「その子がちゃんとやっていないからだ」と私は憤りを感じていました。うまくいかないことを、相手のせいにしていたんです。

当時、事業責任者だった遠藤理恵さんは、そんな私を心配し、ドライブに連れていってくれました。両国から原宿に向かう車のなかで、ただひたすら話を聞いてくれたんです。

この子のせいでお客さんが悲しんでいる——胸の内に抱えていた、相手を責める真っ黒な気持ちを打ち明けました。理恵さんは「そうだよね、大変だよね」と、怒る訳でも諭す訳でもなく、ただただ受け止めて聞いてくれたんですよ。

「相手はどう感じていると思う?」って理恵さんから問いを投げかけられたとき、初めて後輩の立場を想像しました。感情を受け止めてもらえたことで、楽になれて、自分のなかに“余裕”が生まれたんでしょう。

優しく気づかせてくれた理恵さんの愛情と、後輩への申し訳なさで、移動中の車の中でわんわん泣きましたね。理恵さんには「もう大丈夫よ。だから、今後どうしたいのかを話そう」と背中を押され、車を降りました。そして、後輩の顔を見た瞬間、泣きながらハグをしていましたよ。「ごめんね、怖かったよね、一緒に頑張ろうね」って。

思えば、毎朝のシェアの時間や、何か仕事でつまづいて強がって素直になれない時には、いつも周囲のメンバーが声をかけてくれていたように思います。感情をただただ受け止めてくれて、応援してもらえると、人って前を向く勇気が湧いてくるんですよ。

「感情は幻」。実態を掴めば、人生も仕事も、もっと豊かになる

私、”感情は幻”だと思うんです。感情の実態は、深く向き合うなかで見えてくる、“本当はどうしたいのか”という本音のこと。だからこそ、まずは感情を受けとめて、その感情が芽生えた理由を問うことが大事です。

実は私、毎朝4時半に起きて、ノートを開き、自分と向き合う時間をとっています。例えば「最近忙しすぎて苦しい、大変、イライラする」という感情の理由を掘り下げるんです。すると「大変だってことを分かってほしい」「大丈夫だよって言葉がほしい」みたいな気持ちが見えてきます。「そうか、みんなに励ましてほしかったんだ」って腑に落ちたりするんですよ。

ただ「イライラする」と周囲に伝えるだけでは、険悪な雰囲気にしてしまうのですが、感情と向き合って見えた「私を励まして〜!」という本音を伝えると、場が明るくなったりするんですよ。本音の感情はとてもいい循環を生むと思います。

今、感情を抑えてがんばっている人や、なんとなくモヤモヤしている人は、ノートに感情を書き出してみてほしいです。みんな4時半に起きたらいいのに!っていうのは冗談ですが(笑)。

頑張り屋さんの人ほど「向き合っている暇があったら働かなきゃ」と思いがちだけど、その時間が自分を成長させ、周囲に良い影響を発揮することに繋がると私は思います。

だって、感情を表現することは、時としてチームの結束力を高めるんですよ。本当の感情をぽろっと打ち明けることで、共感が生まれますし、大変な状況に陥っていたらサポートをしてもらいやすくなります。「こう言われて嬉しいです」というポジティブな表現は、チームの雰囲気を良くしてくれますしね。

私もまだまだですが、強くスマートにあろうとする必要はないんだと言い聞かせて、感情に蓋をするのではなく、感情を糧にして前へ進みたいと思います。自分との向き合い方次第で、人生も仕事も豊かになるはずだから。これからも朝4時半に起きて、ノートと向き合い、自分を磨いていきますよ。

*CRAZYは共に働く仲間を募集しています。(詳細はこちら)(※最新情報はLINE@で配信中!)

編集:山越栞水玉綾 撮影:戸谷信博

せせなおこ
naoko sese

福岡県出身。一生懸命な人を応援できる自分になる、をモットーに日本の歴史や文化を伝えるべく活動中。あんこが大好きで普段はおいしい和菓子を求めて全国を飛び回る。