INTERVIEW

元クックパッドのエンジニアがCTOとして参画!「テクノロジー」と「人の熱量の強さ」を掛け合わせていく。

優秀なエンジニアの採用は難易度が高く、転職エージェントを介しても出会える機会は少ない現状。そんな中、IT事業がメインではないウェディング会社・株式会社CRAZYに、CTO*1が参画することに。クックパッドでiPhoneアプリの月額課金システムを開発、ベンチャー企業でCTOとして経営の立て直しをした、結城駿なぜ彼は今、CRAZYへの転職を決めたのか、話を伺いました。

スマホが主流ではない時代の波をくぐり抜け、築いたキャリア

結城さんは、エンジニアとして幅広い経験を経たのちに、今回CRAZYのCTOに就任しています。エンジニアとしてのキャリアの歩みをお聞かせください。

僕がプログラミングを始めたのは、アメリカの大学で、コンピュータと政治学を専攻していたことがきっかけです。そこにはIBMで働いた実務経験のある教授もいて、アメリカの開発スタイルや”プロとして働く”姿勢についても教わりましたね。学生生活はずっとパソコンに触れていましたよ。コンピュータのラボのアシスタントをしていましたから。

結城駿(Shun Yuki):株式会社CRAZY CTO
2007年にUniversity of Wisconsin Stevens Pointを卒業。BtoBの開発案件からパッケージソフトの開発を経て、2011年株式会社クックパッドに入社、iOSアプリケーションの開発を担当。当時国内初であった月額課金モデルを提案し、開発から実装まで行う。その後、2014年3月株式会社スポットライトに入社。CTOとして、組織の再生と経営の安定化を成し遂げる。2018年、株式会社CRAZYにCTOとして入社。

大学卒業後はどのような仕事に就かれたのでしょうか。

研究開発のサポートを行うシステムエンジニアですね。1年勤めたのち、もっと手触り感のある仕事がしたいと思って転職しました。その後は、CGの作成ができるソフトウェアを開発する会社に転職し、Windows、Macどちらの開発にも携わっていました。

CGの会社にいた頃は、 まだスマートフォンが主流ではなく、少しずつiPhoneが市場に出回り始めた時代。当時は本当に野心的で、副業でiPhoneアプリの開発もしていました。9時から19時ぐらいまで働いたあと、同期と一緒にファミレスにこもってコーディングとかデザインとか企画をやって。思えば、変化の激しい中で幅広い経験を積んできましたね。

そしてスマートフォンが普及し始めた頃、転職エージェントから紹介を受け、 iPhoneアプリの開発を検討していたクックパッドに転職することになります。そこからiOSエンジニアとしてのキャリアが始まったんです。

でも、実はクックパッドでiPhoneアプリの開発に積極的だったのは僕だけだったんですよ。なぜなら、iPhoneアプリはAppleの決済しか使えず、手数料が30%も取られる。「それなのにiPhoneアプリを作る必要があるのか、Webで良いんじゃないか」と考えるメンバーも少なくはありませんでした。それでも「絶対アプリの時代が来る」と信じて作り続けたんです。

今では当たり前の月額課金モデルですが、当時は事例がなかった。Appleが開発者向けに月額課金システムについてリリースしたのが約3年前のことですが、クックパッドは国内初の導入事例じゃないかと思います。

会社を立て直すことに明け暮れたCTO時代

― CRAZY転職の直近では、SpotlightでCTOとして、経営にも関与されていたと伺っています。

そうですね。僕が入社して1年くらい経った頃、Spotlightは楽天に売却することになり、そのタイミングで現職のCEOとCTOが辞任したんです。社内は混乱し、僕も身の振り方を考えました。その時、当時の副社長に「一緒に会社を立て直してくれないか」と声をかけられまして。彼がCEO、僕がCTOになって『会社を立て直すミッション』を担うことになったんです。

人数も少ない組織ですし、役割の範囲は広かったですね。CEOと週次でミーティングをし、戦略の立て直しから採用まで。年間200名を超える候補者に会ったと思います。

実はSpotlightの開発組織は、ほとんどのメンバーが外国人なんです。これは、エンジニア採用の競争が激化する中で、優秀な人材を獲得するための採用戦略でした。僕は英語が話せるので、日本で働きたい外国人エンジニアをターゲットに採用したんですよ。あらゆる国の方と面談しましたね。経営数字に対しても強烈にコミットメントするのが当たり前だったので、CTOに着任した4年の間で有難いことに黒字化し、義務は果たせたかなと思っています。

「17回の面接」で疑問を取り戻した

― やりがいのあるお仕事をされていたところ、なぜCRAZYヘの転職を決めたのでしょうか

5年間を通して、ある程度の達成感が生まれたからですね。漠然と転職について考えていたところ、知人を通して声をかけられた会社の1つがCRAZYでした。もちろん当時は「ウェディング会社で何をするの?」状態。まずは一旦話を聞こうと思って、初めて会ったのが取締役の熊谷幹樹さんでした。

「ウェディング業界はイノベーションが起きていない」という課題感には共感しましたね。僕も友人の結婚式に出席しながら「これでいいんだっけ?」って疑問に思うこともありましたし。ITがまだまだ入っていない産業、イノベーションが起きていない産業に対して、ITを活用して変革していこうとする挑戦的な印象を受けました。

一方で、実は警戒もしていたんです。幹樹さんの熱量には惹かれましたが”夢物語”ではないかと。粗いプランニングでIT事業を立ち上げて失敗するということはよくあります。景気が良いおかげで上手くいってしまったというサクセス経験がある方もいますから。でも僕はリーマンショックの冷え切った市場でプレイしていた人間なので、石橋を叩いて渡る世界観で仕事をしています。エンジニアという計画を「形」にする職業でもあるし、その計画が綿密に練られたものなのか、はたまた夢いっぱいな甘いストーリーなのかは警戒心を持って見ていましたね。

― そんな中で入社を決意されるまでにどんな変化があったのでしょうか。

実は入社までに17回の面談を受けています。いろんなポジションの方と、何度も話をさせていただきました。その全てが”良い時間”だったんです。

転職の理由として、ある程度の達成感が生まれたからとお伝えしましたが、やっぱり何か不満があるから別の仕事を探していたわけで。その正体は何なのか、CRAZYの採用プロセスを通じて見えてきたんですよ。ただの面談というよりは、人生のことを深く考える時間でした。

これはビジネスマンとして普通の感覚ではあると思うのですが、「個人の人格」と「企業人格」を分けざるを得ない時はあります。会社が生き延びるために、CTOとして必要なことをする。それが全て。利益を追求すること自体は間違いではないですし、そう走ってきました。でも、僕らが仕事をした結果、世の中はよくなっているのか。これを作ったときに誰に笑って欲しかったのか。そうした、心の奥で感じていた疑問を自分の中に取り戻したんです。

究極的には、モノづくりを通じて、使う人の思想や人生に影響を与えて生きたい。その思いを採用プロセスの中で改めて思い出していきましたね。

次のCRAZYは「テクノロジー」と「人の熱量の強さ」を掛け合わせていく

また、お声がけいただいた当初のCRAZYには、テクノロジーの要素はありませんでした。むしろ、僕自身がそれをもたらす人ですし。だからこそ決め手になったのは、事業ではなく”人”が信じられたこと。僕は、働いている人を信じられない会社は例外なく失敗すると考えていますから。

CRAZYの”人”に対する熱量は、確かなものでした。言葉にするとあれなのですが、一見めんどくさいと感じられてしまいそうなことも平気でやるんですよ。

基本的に、ITサービスは、複雑なものをテクノロジーの力でシンプルにする。それによって短縮された時間を価値=お金にしています。だから、テクノロジーの力でシンプルにならない、”面倒なこと”は煙たがられるんですよ。

でも一見面倒に見えることの先にある、お客様の笑顔のために、という熱量があるからこそ、CRAZYの社員は喜んで動けてしまう。面倒なことに抵抗がないんです。これは本当に強みです。そうした”人の強さ”と、テクノロジー。これをかけ合わせることの可能性は感じています。まだ詳細は公開できないんですけどね(笑)。

― 入社後はどのようなお仕事をされているのでしょうか?

CTO(最高技術責任者)のポジションで入社していますから、基本的にはサイトの保守から障害対応、新ブランド『IWAI』のサイネージの制御も開発・運用しています。「この人が実現できないなら、会社として実現できない」という最終防衛ラインだと思って動いていますね。今は1人なので、プランニングも実務もやっていますが、今後はチームを作っていくことも考えています。

そのためには、IT業界の人材から魅力を感じてもらえないといけません。「CRAZYではこんなものが作れるんだ」と。これまでITを投入していなかったからこそ、この点は今後の課題ですね。

― 当面の目標を聞かせてください。

お伝えできることは限られるのですが、まずはオペレーションの中で回転数が多く、総作業時間の大きい業務をシステム化し、最適化することですね。

本当に力をかけたいことに注力をして、成果が出せるサイクルを作っていきたいんですよ。究極的には、ウェディングプロデューサーにはスプレッドシートでの作業なんてして欲しくないと思ってる。最大限に事務作業を減らし、もっとお客さんとの対話やクリエイティブな価値にコミットしてもらえる時間を増やしたい。そうすると、お客さんに届けられる体験も良くなるでしょう。それが会社の価値を高める。そのサイクルを作ることを僕は下支えできると思っています。まずお伝えできるのはここまでですね(笑)。

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* CTOchief technology officerの略):最高技術責任者

編集:水玉綾  画像:伊藤圭

 

萩原愛梨
Airi hagiwara

ビューティーテックカンパニーSpartyでChief Customer Officerを務める。ITフリーランスの支援事業を行うgeechsでの広報・メディア運営の経験から、フリーライターとしても活動中。複業ワーカーの可能性を自ら体現すべく奮闘する日々。著書に『女子的「エモい」論 ~おじさんに伝えたい私たちの本音~』(「幻冬舎plus+」)

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