INTERVIEW

カリスマは”変わり者”か?右腕が語る、カリスマといい仕事をするための心得

人を魅了して、組織を導くリーダーや創業者は、時に“カリスマ”と呼ばれます。カリスマがいると、集団の結束力は増し、独自のカルチャーが育まれやすい一方で、強烈な個性と影響力を前に、周囲は翻弄されてしまうことも。

CRAZYの事業責任者 高橋純平さんは、CRAZY WEDDINGの創業者・山川咲さんに対して、「カリスマ的存在なんだけど、不器用で、難しい人。でも、愛嬌のある人」と言います。

カリスマ的リーダーとの仕事は、なぜ難しさが生じるのでしょうか。高橋さんに、話を伺うと、“カリスマの本質”と“カリスマといい仕事をしていくための心得”が見えてきました。

ちゃぶ台返しを押し通す「さらに良いもの」に目がないカリスマ

高橋 純平JUMPEI TAKAHASHI 株式会社CRAZY 事業責任者 日本IBM株式会社にて、グローバルツールの日本展開を担当。株式会社CRAZYへ転職後は、システム開発領域を経て、事業責任者・経営管理チームのマネージャー・製作チームのマネージャーを歴任。現在はCRAZY WEDDING ORDER MADE の事業責任者。

僕もそうですが、多くの人が「仕事をするなら最高のものを目指したい」と心では願うものです。しかし、そう進めるのは容易ではありません。資金、納期、人材不足…あらゆる現実問題に直面したら、夢物語として終わらせてしまうほうが楽ですから。

しかし、自分の理想に気づいてしまったら諦められない人がいます。そういう人たちのことを、人は“カリスマ”と呼ぶのではないでしょうか?

CRAZYの創業者・山川咲は、まさに思い浮かんだ理想を諦められない人。これまでの計画があったとしても、「もっと良くできる」と気付いてしまったら、ちゃぶ台返しのような方向転換をしばしば起こすんです。

もちろん、周囲は「それは無理だ」とか「今からまたやり直すの?」と、不安の渦に飲まれていく。だって、現状の前提を考慮していない理想・目標ですから、生半可な覚悟や努力じゃ始められません。

でも、彼女は諦めることなんて、絶対にしないというか、させない。だから、結果的に周囲を動かして、夢物語を実現させていく。そんな姿を見ていると、“良いものを作る”という一点につくづく集中しているんだな、と思いますね。

僕は現在、オーダーメイドウェディング事業の責任者をしていて、彼女と共に理想の形を考えて、道筋を立てる仕事をしています。ですが、昔を振り返ると、実はありえない光景なんです。

だって、たとえ良い仕事に向かっているとしても、計画を越えて突拍子のない発言をする彼女とは、絶対に分かり合えない——と思っていたんですから。

カリスマが求めるのは「理想を実行してくれる優秀な部下」か?

僕が初めて山川と仕事をしたのは、5年前の採用プロジェクト。システム開発をするエンジニアとして入社をした僕が、なぜか全社採用も兼任することに。淡々と論理立てて仕事を進める、エンジニア出身ということもあり、山川との仕事は驚きと戸惑いの連続でした。

昨日話したことが、次の日にはまた違う結論になっている。計画通りに進まないなんて、日常茶飯事。これまでの話は棚に置かれて、次から次に新しい話が展開されるので、当時は、彼女の考えがまったく分かりませんでした。

なんとか議論を進めようとして、「言いたいのはこういうことでしょ?」と、僕なりに彼女の意見を「まとめて」伝えるとかして。でも、そうすればするほど、不穏な空気が漂っていく…。たぶん、正解を確認するようなコミュニケーションが、心地悪かったんだと思います。

彼女が求めているのは、「素直に実行してくれる部下」ではなく、「同じ土俵に立って議論をしあえるパートナー」。分かってはいるものの、そもそも、相手の考えていることが見えない状態で、臆することなく主張するのって、簡単じゃない。

それに、対応の仕方に困ったのは、淡々と進める僕に対して、「本気なのか」と熱量を問われているような緊張感があったこと。手の届く範囲ではなく、最上に良いものを作り上げるために、徹底的に考えて、議論して、実行し切る覚悟があるのか——って。

そんな調子で、全然分かり合えないまま、採用プロジェクトは終了へ。

それからというもの、苦手意識が芽生えてしまって、少し距離をとって過ごしていましたね(笑)。その後、再び山川とタッグを組むことになったのは、3年後の2017年。

実はこの時にはじめて、彼女の“考え・行動の理由”が少し分かってきたんです。

“変わり者”のレッテルを剥がして踏み込んだ、関係性作り

一緒に行ったのは、CRAZYのリブランディングのプロジェクトでした。リブランディングは、抽象的な概念をすり合わせる必要があり、より難解な作業。前回のように、表面上の意思疎通で苦戦していては、進みません。

まずは、お互いを知ることから始めていきました。時にはカフェスペースで、「何を考えている?」「それってどういうことなの?」「どうしてそう思うの?」と、背景にある“真意”に耳を傾けて。分からない人・変わっている人だ、と距離を置いても、仕方がないですから。

しっかり話を聞いていくと、だんだんと、よく言えば“カリスマ”、悪く言えば“変わり者”と呼ばれてきた彼女の葛藤が、見えるようになってきたんです…!

一見カリスマが“突拍子もないこと”を言っているように感じるのには、理由があります。プロジェクトのためのインプット量と思考量が、圧倒的に多いんです。四六時中考えて、鋭い洞察力から、いろんなインスピレーションをもち、思考をどんどん深めている。見え方は天才っぽくても、実は努力家なんですよ。

それに、驚いたことは、周りに無頓着であるように見えて、実は「どう思われるんだろう…」ってすごく気にしていたこと。不安になりながらも、より良いもののために、めげずに主張していて…それが、本当の姿であったこと。

表面だけを見ていたら、気づけなかったな、と思います。そもそも、意見を主張して譲らないことって、周囲の目や、後先への恐怖を乗り越えなければできないこと。失敗したときの最悪のシナリオ、その責任だって一気に押し寄せてくるわけで。

彼女と同じ土俵に立って考えてみたら、常に最善を目指す、理想に妥協しない仕事は、想像以上に茨の道だったと気づいたのです。それならば、僕は支えられる動きをしようって。

カリスマを活かし“計画の延長線では辿り着けないところ”へ

たぶん、カリスマタイプのリーダーと共創関係を築くには、表面の言動だけでなく、背景にある意図や想いを理解するところまで踏み込むのが、必要だと思います。だって、浅い理解では「あの人は変わり者だ」「あの人との仕事は難しい」「ああいう人だから」と、分かったふりで終わってしまう。

安直に“ああいう人なんだ”とラベリングをしてしまえば、共創関係ではなく、一人の孤独なリーダーと、その後ろをついていくフォロワーの関係にしかなりえません。それは、本当に良い結果に、未来に、繋がるのでしょうか。

まずは、お互いにリスペクトを持ち、完全には分かり合えないとしても、歩み寄り続ける姿勢を失くさないこと。そして、万が一摩擦が生じた際には、「個人への攻撃」ではなく「建設的な議論」に向かう、精神的なタフさを持つこと。

カリスマの“本当に良いものを作る”というこだわりとパワーは、組織を“計画の延長線では辿り着けないところ”へ導く貴重なものです。今ではより実感しています。普通では浮かばないようなアイディアをもって、過程の大変さゆえに手を出せなかった挑戦を後押ししてくれる役割だって。

そこから他社にはないユニークさや、事業のイノベーション、非連続的成長が生まれると思います。大変さは大いにあれど、僕はカリスマ然り、それぞれのメンバーの個性と才能を生かして、成長していける組織作りに力を注いでいきたい。僕の戦いは、さらに社員数が増えていく、まさにこれからです。

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*記事に登場する山川咲についてはこちらをご覧ください。

編集:水玉綾  写真:小澤 彩聖

萩原愛梨
Airi hagiwara

ビューティーテックカンパニーSpartyでChief Customer Officerを務める。ITフリーランスの支援事業を行うgeechsでの広報・メディア運営の経験から、フリーライターとしても活動中。複業ワーカーの可能性を自ら体現すべく奮闘する日々。著書に『女子的「エモい」論 ~おじさんに伝えたい私たちの本音~』(「幻冬舎plus+」)

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