INTERVIEW

セクシュアルマイノリティカップルの結婚式を当たり前にすることが、同性婚の法制化につながるはず。
ーー 「CELEBRATION for all 2020 」プロデューサー、渡部恵理が目指すもの。

2001年、オランダが世界で初めて「同性婚」を認めてから約20年。現在、世界では27の国と地域で「同性婚」が認められている一方、日本では様々な理由から、未だ法制化には至っていません。

そのような中、全ての人が、愛する人との結婚式を挙げられる世の中を目指す、株式会社CRAZYは、同性婚が法制化するまで、LGBTQに関しての取り組みを行うことを宣言しています。

その取り組みの一つとして、今年、セクシュアルマイノリティカップルの結婚式を無料でプロデュースする企画「CELEBRATION for all 2020」を開催します。(プレスリリースはリンクよりご覧になれます

昨年開催した「CELEBRATION WEEK for all」の第2弾となる本企画について、企画を担当するプロデューサーの渡部恵理さんにお話を伺いました。彼女が、その問題と向き合うようになった背景、そして今年の企画にかける想いをお届けします。

“LGBTQは、私にとって身近なことだった”

ー 渡部さんはいつから、LGBTQや同性婚に関して取り組み始めたのですか?

この問題について考え始めたのは、国際問題を学びながら世界一周の旅をしていた時に参加した、LGBTQの勉強会がきっかけでした。恥ずかしながら、そこで初めて、世界には多様な性が存在し、当たり前に受け入れられている国もあれば、差別に繋がる国もあるという現実を知りました。

同時期に、LGBTQの当事者で同性婚を希望していた親友が、法律で許可されているカナダへ移住するという話を聞いて、日本では認められていないことにも違和感を感じるようになりました。

結婚式のプロデューサーを始めてから、さらにその考え方は深まっていきます。多くの結婚式を担当するかたわら、ゲストとして同性カップルの式に参列し、異性での結婚式と、同性での結婚式に、本質的な違いはないように思えました。

一人一人の人生は本当に素晴らしく、そして、一緒に生きるパートナーが見つかることの尊さは、異性だろうと同性だろうと変わらない。結婚式ならば、そのことを表現できるかもしれない、というのはその頃から考えるようになりました。

ー そのような体験が、昨年の開催につながったのですね。

そうですね。

直接的なきっかけは、昨年、TOKYO RAINBOW PRIDE(TRP)さんから、ブース出展のお話をいただいたことでした。すぐに「やりたいです」と答えて、社内外のメンバーでプロデュースチームを発足しました。当日はイベント会場に設けた白いシルエットの中で、多様な性をもったカップルのみなさんに、誓いのセレモニーを体験してもらうという企画を行いました。

セレモニーの内容は、当日のお客さんの中から参加者を募り、30分ほどヒアリングを行い、パートナーへ誓いの手紙を読んでいただくというもの。

いわゆる挙式披露宴のある盛大な結婚式ではなく、誓いのセレモニーだけを開催しただけにも関わらず、改めてお互いへの気持ちを言葉にすることで、感動して涙を流したり、カップルの関係性が変わっていく様子を見ることができました。そして、この機会を通して、ハードルは低く、より多くの人が愛を誓い合える機会を増やしたいという意思がかたまり、無料で挙式をプロデュースする「CELEBRATION WEEK for all」を開催することを決めたのです。

 

“結婚式なら、今までとは違う方法で社会を変えられるかもしれない”

ー より多くの人に触れて欲しいから無料開催なのですね。「CELEBRATION WEEK for all」では挙式のプロデュースを行ったと伺いましたが、取り組む中で工夫されたことがあれば教えてください。

昨年の「CELEBRATION WEEK for all」では、YouTubeで「わがしchannel」を運営されている、カナさん&ミキさんのお二人の公開挙式を行いました。

その中で最も考えたところは、社会への伝わり方です。当事者の方やそのご家族、LGBTQに関しての知識がない人など、色々な人から見たときに、この取り組みがどのように映るのか。カナさんとミキさんが伝えたいことがしっかりと伝わるのか、という部分に細心の注意を払い、何度もお二人と話し合いながら、企画を進めて行きました。

例えば「結婚式」という言葉も意図的に「誓いのセレモニー」という言葉に換えています。なぜなら、まだ、同性での結婚式は認められていない、という現状を見ている方にも知って欲しいと思ったからです。

ー 開催してみてどのようなことを感じましたか?

セレモニーは本当に素敵で、目の前にいるお二人が、愛し合いながら一緒に生きることを誓う姿が、それが「同性婚」であるかどうかは関係なく、多くの人の心を打ったことは間違いないと思います。その美しい光景に、最後は自然と大きな拍手が起こりました。

この体験を通して、同性婚の法制化に向けて、結婚式が、これまでの活動とは違ったアプローチになるのではないかと考え始めました。

法律や制度のネガティブな面をピックアップして、異を唱えるような活動は、どうしても当事者以外の人を巻き込むのが難しい側面があります。しかし、素直に感情をさらけ出しながら、愛を誓う姿には、人の心を動かす力があります。ポジティブなエネルギーで人を巻き込んでいくことによって、法制化に繋がるのではないかと思っています。

実際、同性婚が裁判所で認められていない一つの理由として、「社会通念が至っていない」という理由があります。これはつまり、社会の共通認識として、同性婚は承認されていないということを物語っています。しかし、逆に考えれば「社会通念」を変えることで、この判決を変えることができるともいえます。

セクシュアルマイノリティカップルの結婚式が、「二人の結婚を認めている人がいる」という証拠になり得るとしたら、その数を増やしていくことで、「同性婚を認めていない」という社会通念すら変えられるのではないかと考えています。

愛し合うふたりが生涯のパートナーとして生きていく節目に式をあげ、そこにはふたりを応援する家族や友人たちが集まり、祝福する。そういう機会を誰もが、あたりまえに選べる時代をつくっていくためにも、今回の無料挙式のような取り組みは続けて行きたいと思います。

 

“勇気を持って、わからないという怖さを超える”

ー 同性婚が増えて行くためにはブライダル業界はどのような変化が必要でしょうか?

ジェンダーの話題がメディアで扱われたりする機会も増え、当事者以外でもこの問題について取り組む方も多くなり、良い方向には変化していると思います。しかし、結婚式業界と当事者の両方側の意見を聞くに、まだまだ超えるべき壁があるのも感じています。

例えば、トランスジェンダー同士のカップルで、外見が男女に見える場合は、現在の制度でも異性として結婚式が挙げられます。しかし、業界にある「新郎だから…」「新婦だから…」という常識に対して、違和感を感じながらも言い出せない方もいらっしゃいるようです。中には、女性同士のカップルで式の見学に行った際に「新郎様はどちらにいらっしゃいますか?」と聞かれ、答えに困った方もいらっしゃいました。

逆に、プランナー側からしても、どのような言葉遣いをすれば良いのか、深く話を聞いてもいいものか、などといった迷いがあり、探り探りで結婚式の準備を進めていくケースがあるのも事実です。

同性婚が増えて行くためには、新郎は新郎、新婦は新婦といった、古い常識を元に作ったシステムを変更して行く必要もありますが、それ以上に、接する側の心配りやスタンスが大事になるのかもしれません。

当事者の方に話を伺った際、「祝いたいという気持ちを持ってくれているだけでいいのです。たとえ呼び方を間違えてしまっても、迷ってしまっても、理解しようとしてくれる姿勢があれば信頼できます」と語ってくださいました。

結婚式を望むカップルには、様々な形があるという認識を持つこと。そしてわからないことに対して、恐れずに知ろうと飛び込む勇気があれば、きっと結婚式業界は変われると思います。

こういう私もまだまだ勉強中です。こうして発信することでアドバイスもいただけます。私のような当事者ではないけれどフラットな立場で、動き続けることが重要だと信じて動いています。

 

“今年は、点ではなく線を意識した活動を”

ー 結局は関わる人が持っているスタンスが重要なのですね。では、今年の「CELEBRATION for all 2020」はどのような企画にしていこうと思っていますか?

今年は、6月に開催しようとしていた無料挙式の募集が、コロナウィルスの影響で中止となってしまいました。ですが、この機会をチャンスとして、挙式とともにオンラインで当事者のみなさんと企画をしたり、より多くの人に触れてもらえる新しい形にも挑戦したいと思っています。

 

※プレスリリースより、「CELEBRATION for all 2020」の企画内容を一部抜粋


▼プロデュース内容
セクシュアルマイノリティのカップルに向けて、当社プロデューサーがお二人のご希望をお伺いし、お二人が共に生きることを誓う場をプロデュースいたします。

▼挙式プログラム例
以下は一例となります。

・誓いの言葉
・指輪の交換
・誓いのキス
・誓約書へのサイン
※お二人だけで誓いをたてる形も可能です。

▼提供事項
・ヒアリング面会 1回

・挙式当日の運営、実施場所の提供
※ご相談に応じて、衣装・ヘアメイクの手配、パーティーの開催も可能です (有料)。

▼提供期間
受付開始日:2020年6月16日(火)

提供期間 :2020年7月1日(水)〜2020年12月25日(金)平日限定
※祝日、土曜日、日曜日をご希望の方は応相談となります。

▼提供組数
先着5組限定

▼お問い合わせ方法
お問い合わせフォームの「お問合せ内容」という欄に、「CELEBRATION for all 2020希望」とご記入いただき、お気軽にご相談くださいませ。


同時にブライダル業界向けにLGBTQの勉強会を開催したりと業界のみなさんとも手を取り合いたいと思っています。今年は、点ではなく線を意識した1年間を通しての大きな取り組みを行ないたいと考えています。

CRAZYが新しくリリースした、オンライン結婚式サービスのCongratsもきっと相性がいいサービスだと思うので、自分に合うお祝いの形を選びやすくすることでさらに多くのセクシュアルマイノリティのカップルの方々もお祝いしていきたいです。

 

“全ての人が等しくお祝いできる世界を”

ー 最後に、活動を通して実現したい未来を教えてもらえますか?

私が実現したいのは、全ての人が等しくお祝いできる世界です。誰もが、自分が望む相手と一緒に、胸を張って結婚式ができる社会を作りたいと思っています。

実は、自分の結婚式をCRAZY WEDDINGで挙げた際、「ONE LOVE」というコンセプトをつけました。そこには、差別なく、誰もが愛し愛される人生を送れるように、という願いを込めています。当時は、それを願うことしかできませんでしたが、今は一緒に取り組んでくれる仲間たちがいます。私にとって、同性婚が認められることは、自身の掲げていたビジョンに一歩近づくことでもあるのです。

とはいえ、その実現にはもう少し時間がかかるかもしれませんので、近い将来でいうと、担当したお客様と一緒に、それぞれの性自認にそったおしゃれをして、多様性に富んだパーティーをしたいと思っています。きっと多様性に溢れて、素敵な会になると思います。

世の中には、LGBTQという表記にさえ収まらない様々な性を持っている方がいます。そういった方々も含む、全ての人が自分らしさを表現しながら、人と出会い、繋がれるような場を作り続けることに取り組んでいきたいと思います。

 


 

挙式プロデュースに関してのお問い合わせはこちらから

※お問い合わせフォームの「お問合せ内容」という欄に、「CELEBRATION for all 2020希望」とご記入いただき、お気軽にご相談くださいませ。

 

writer:佐藤史紹