2024.02.07

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CRAZYクリエイティブ=?

CRAZY クリエイティブディレクターの林です。 目的ではなく手段としてのクリエイティブで、意味と可能性のある本質的な物事に対して価値発揮をしたいという想いで、創業期から外部アートディレクターとして事業に参画。その後正式に入社して、既に10年が経ちました。

本記事では、長年ブランドとともに歩んできた立場から、創業以来初めて「CRAZYのクリエイティブ」についてお話したいと思います。

クリエイティブを通して、愛をみること。

CRAZYは「愛は みえる。」というブランドメッセージを掲げています。しかしながら、サービスや商品を通して、愛をみせようというアプローチはしていません。なぜなら、誰かが愛をみようとする「機会」と「勇気」を生み出すことこそが、私たちの存在意義だと考えているからです。

クリエイティブにおいて「愛がみえるアウトプット」を目指すのではなく、つくるプロセスで「愛に出会うこと」を目指しています。その「愛」とは、時として情熱であり、時として思いやりであり、時として挑戦のことであり、目には見えない誰かの熱源です。その熱源にアクセスすることこそが、CRAZYのクリエイティブの中心となる重要なアプローチ方法なのです。

心が揺さぶられる瞬間と循環を、生み出すことをしています。

CRAZYの象徴とも言えるウェディングブランドがあります。それがCRAZY WEDDINGです。オーダーメイドのプロデュースから始まり、そこから得た可能性を詰め込んだ施設としてIWAI OMOTESANDOが生まれて5年。ずっと、結婚式の価値を追求し、開発し続けています。さらに、結婚式だけではない大切な節目の企画やイベントのプロデュースも行っています。

創業から一貫しているのは、想いを届けるということの重要性とその実現です。想いを届ける、想いが届く、想いを受け取る、この一連の行動が感動体験と呼ばれるものだと私たちは考えています。想いは、感情だけではありません。根拠や意味などのロジカルな部分もあります。この感情とロジックを重ねて伝えることが提供価値の真髄なのだと考えています。表現方法をアップデートしながらも、私たちが大切にしていることは、ずっと変わっていません。

私たちはしばしば、時代に迎合することや表面的で一時的なニーズに振り回されること、誰かを否定し傷つけ得る表現を避けてきました。課題発見や課題解決はクリエイティブのメインミッションですが、その課題は多くの場合が想像以上に複雑で、短絡的に扱ってしまうと企業やブランドとしての成長を妨げることになります。本当に手にしたい価値は一体何なのかを常に考え、熱源にアクセスすることで、最善な意思決定をすることを重要視しています。

「本人の言葉ではなく他者の言葉によって語られることや、誰かの視点で見ること、いろんな人の解釈を知ることで、本当の故人に再会できるのかもしれない。」実験的とも言える表現方法での、故人を偲ぶ会のプロデュース。

だからこそ、新しい時代を切り拓くきっかけになること、深くインサイトに触れること、誰かの勇気になることを強く意識しています。そうすることによって、自分自身が生み出したものが、大切な人に胸を張って誇ることができて、振り返ったときに素直に褒めてあげることができる。そんな意味と価値のある創造性の高い活動を目指してきました。

ここからは、どのようにしてクリエイティブという行為の中で「愛をみる」ことに出会うのかを、具体的に紐解いてみます。

最初に示したのは「本質的で、美しく、ユニーク。」という価値基準でした。

“まず何よりも先に、本質を選択することを経営の絶対条件としています。それは、地球にとって真に本質的なコトやモノを創造し、提供し、買い、大切にするということです。次に、その本質を、美しいデザインに変換して世の中に提供します。それは、外面的なデザインであり、内面的な人としての美しさです。私たちにとって成長すべき制約条件と言えます。最後に、本質性と美しさをユニークな存在感で世の中に提供していきます。私たちにしか出来ない価値であるかどうかが大切であり、ユニークさは私たちにとって意思決定基準になります。”

これは、創業から変わらないCRAZYのVALUE(行動基準)です。私がCRAZYを好きになった大きな理由の一つでもある概念です。

これに出会った時、新たな気づきや別の価値観に触れた感覚ではなく、自分の中に潜在的にあったものが凄まじく共鳴したのをよく覚えています。言語化された驚きと安心と、時間をかけてより一層確信していく喜びを感じてきました。行動基準として示したものですが、今ではクリエイティブワークにおけるポリシーとしても掲げています。何かを生み出す度に 「本質的か?美しいか?ユニークか?」と必ず問いかけるようにしています。

この問いがあることによって、強い気持ちで挑むことができます。主観だけでなく、客観的にも納得できるかどうかという思考になり、次第に血の通った仕事になります。それは同時に、それがCRAZYである意味になっていきます。もっと言えば、自分がやる意味を強く感じることができるのです。

想いや愛を、指先つま先まで通す。

CRAZYメンバーは漏れなく全員、CRAZYの媒介者です。CRAZYの見ている世界を、CRAZYの伝えたい想いを、表現することができる人たちです。全員が束になって取り組むくらいには、CRAZYには表現したいこと、表現すべきことがあると思っています。そして、それは年々増えているような気がします。だからこそ、言いたいことを言うということが大切です。言いたいことが言えているかどうか。これは、組織カルチャーにも色濃く表されているように感じます。そして、その言いたいことがきちんと受け手に伝わるかどうかも同様に重要です。そこで必要なのは、機能としてのクリエイティブでした。世の中に、届けるべき人たちに、必ず伝わらないといけない。

だからこそ、創業からクリエイティブの内製に強いこだわりを持ってきました。言いたいことがあるからこそ、それは自分たちの口で、自分たちの手で、表現したいという想いと、表現しなくてはならないという謎の正義感を貫いてきました。自分で最後まで表現しきる、こだわりきるということこそ、非効率だけど豊かであると考えてきました。

もちろん、特に客観性が欲しいときや、自分たちには持ち合わせてない技術が必要なときには、力をお借りします。それでも、どなたにご依頼するかをとても重要視しています。同じ熱量で、同じ視点で、ともにつくっていく必要があると思っています。そのためにもお互いを知ることを大切にします。価値観や感情を共有しながら、ゴールに向かって安心して走れる。上につくでも下につくでもなく、隣でつくる。だからこそ、私たちが逆の立場でご依頼を受けたときも、隣に立ってつくることを大切にしています。

みんなで自覚を持ち合いたい。

社員のことを「従業員」と呼ばない、協力会社のことを「業者」と呼ばない、組織図のことは「フォーメーション」、営業ではなく「ブランドプレゼンテーション」と呼ぶ。こういった表現に対するこだわりは、社内でも根強い文化として存在しています。創業当時から言葉の持つ強い影響力に対しても真っ直ぐに向き合ってきました。

リブランディング時にクリエイティブレギュレーションを一新。社内の意識向上に繋がった。

広告やプロモーションはもちろん、サービスにおけるあらゆるアプリケーションツール、お客様向けの資料やメールから社内で使用されるスライドに至るまで、顧客もファンもCRAZYメンバーもみんなが目にするもの全て、クリエイティブの一貫性を徹底しています。

「クリエイティブの統制をとる」というよりは「みんなで息を合わせる」というニュアンスのもと、社内においてもオリエンテーションのあり方をアップデートしてきました。依頼者であるメンバーにはより強いオーナーシップを持ってもらい、「何をどのようにしたいのかだけではなく、どうしてつくりたいのか」という想いを持ってきてもらう。自覚を持つことによって、生み出す意味や価値が明確になります。そして、何よりも作り手としても、その想い以上のクオリティーになるための提案や実現をする機会とモチベーションが生まれます。

CRAZY社員の大きな特徴として、アウトプットへの反応が異常に良いことがあります。興味関心というレイヤーではなく、なぜこれがこうなったのか、これはどのように何を意味しているのか、好奇心や学びの姿勢でアウトプットに食いついてくれます。そうなると、セクショナリズムのような障壁や分断の要因などはありません。これこそが自信を持って、勇気を出して生み出すことのできる大きな理由(もしくは原動力)だと思っています。

ヒアリングと編集が肝なのです。

新しいことを、新しい価値を生み出すことはもちろん、既存のものを違った角度から見たりアプローチすることや再定義すること、情報整理を行うのも全てクリエイティブです。だからこそ、知ること、理解すること、想像すること、拡げること、変換すること、代弁すること。拡張して凝縮すること。その繰り返しです。

習得できるテクニックであると同時に、それは人間的な成長を要するものでもあります。日頃から仲間との対人関係においてそういうコミュニケーションを意識しています。自分の感情やその変化を共有したり、悩みがあればそのインサイ トに触れてみたり、成果に対して率直にフィードバックしたり。日常がトレーニングになり、スキルとして身に付いていく感覚があります。そして、そのヒアリングから得た情報を的確に編集することで、目にはみえなかった物語が浮かび上がってくる、そんな工程があります。

結果的なアウトプットは真似できても、このプロセスを真似ることはなかなか難しいものです。クリエイティブの成果として はアウトプットが全てですが、プロセスは必ずアウトプットに影響を及ぼします。素晴らしいプロセスの先に素晴らしいアウトプットが約束されているわけではありませんが、素晴らしいアウトプットの裏には必ずと言っていいほど素晴らしいプロセスがあるものです。

ここでしかできないクリエイティブを、これからも。

広告代理店には広告代理店の素晴らしさがあるように、制作会社には制作会社の素晴らしさがあるように、事業会社にも事業会社なりのクリエイティブに対する真摯な向き合い方があります。もちろんCRAZYにはCRAZYの。CRAZYならではの。CRAZYにしかできないこと。その強さや潔さがあります。 CRAZYが届けたいことをまっすぐに届けるための努力や工夫の裏側に隠された種やしかけがCRAZYのクリエイティブなのだと、今日も信じています。


謝辞

たくさんのお客さま、いつも支えてくださる方々、のべ200名を超える卒業生を含むCRAZYの社員のみんな。試行錯誤しながらも、世の中の荒波に揉まれながらも、信じて賭けていただき、たくさんの勇気によって、信じられないほどの可能性と価値を生み出すことができました。絶大なる愛情を注いでいただき、忌憚のない意見をいただき、率直なフィードバックをいただき、ずっと見守り励ましていただき、本当にありがとうございます。引き続きどうぞよろしくお願いします。 そして、その中でも特にともにたくさんのものをつくってきた32名の歴代のCRAZYクリエイティブメンバーへ。みんなで生み出し、育んできたものを、今も変わらずずっと大切に愛でています。みんなの活躍に刺激をもらいながら、私たちも負けないようにさらに成長していきます。

執筆:林隆三
編集:池田瑞姫


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